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メガバンク3行の決算を紐解く — 3行合算経常利益7.2兆円、みずほの「コアOHR悪化」という死角

FY2026通期でメガバンク3行の合算経常利益は7兆2,865億円(4年CAGR+23.4%)。資金利益と手数料の二本柱が拡大する一方、みずほのコア経費率は49.5%→61.4%へ悪化。FY2027Q1進捗率まで検証する。

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銀行メガバンク決算分析三菱UFJ三井住友みずほ

本稿は、TDnetで公開された各社決算短信(XBRL)データのみを用い、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)、三井住友フィナンシャルグループ(8316)、みずほフィナンシャルグループ(8411)のFY2026通期実績とFY2027第1四半期を比較分析する。株価指標・市況データ・セグメント別収益は提供データに含まれないため、本稿では一切扱わない。

1. 導入:4年で経常利益が2.3倍になった業界

FY2026通期の3行合算は、経常収益34兆4,970億円、経常利益7兆2,865億円、親会社株主に帰属する当期純利益5兆2,587億円。FY2022(経常利益3兆1,380億円)比で2.3倍である。総資産合算は1,062兆円規模に達した。

ただし本質は「増収」ではない。FY2026の経常収益伸び率はみずほ+0.6%、三井住友+6.1%、三菱UFJ+7.3%と一桁にとどまる一方、経常利益は+34.6%/+34.0%/+27.7%と大きく伸びた。収益トップラインの膨張局面(金利上昇に伴う受取利息と支払利息の同時膨張)が一巡し、スプレッド(利鞘)の実質的な改善が利益に落ち始めたのがFY2026の姿である。

銀行の「経常収益」は資金運用収益をグロス(支払利息控除前)で計上するため、金利上昇局面では売上規模が実態以上に膨らむ。本稿では資金利益(資金運用収益−資金調達費用)、手数料純益(役務取引等収益−同費用)を軸に、実質的な収益力を評価する。

2. 業界全体トレンド(3行合算・億円)

指標FY2022FY2023FY2024FY2025FY2026
経常収益141,499212,018299,882328,350344,970
経常利益31,38029,71245,08055,56972,865
純利益23,67824,77731,32539,26252,587
貸出金2,859,9642,962,3743,166,182n.a.3,511,817
預金5,028,4345,228,7865,487,289n.a.5,910,504

(注)FY2025は三井住友の貸出金・預金が提供データに欠落しているため合算不能。

経常収益はFY2022→FY2026で2.4倍だが、FY2025→FY2026の伸びは+5.1%に減速。対して純利益は同期間+34.0%。貸出金はFY2024→FY2026で+10.9%、預金は+7.7%と、資産サイドの伸びが負債サイドを上回っている。3行合算の預貸率(貸出金÷預金)はFY2022の56.9%からFY2026は59.4%へ上昇し、余剰預金を貸出に振り向ける動きが確認できる。

3. 経常利益トレンド:伸び率で先行するみずほ、絶対額で圧倒する三菱UFJ

CAGR = (FY2026値 ÷ FY2022値)^(1/4) − 1
項目みずほ三井住友三菱UFJ3行合算
経常利益 FY20225,59810,40615,37631,380
経常利益 FY202615,73123,03334,10172,865
4年CAGR+29.5%+22.0%+22.0%+23.4%
FY2026 YoY+34.6%+34.0%+27.7%+31.1%
純利益 4年CAGR+23.9%+22.3%+21.1%+22.1%
経常利益率(FY2026)17.3%21.3%23.3%21.1%
ROE概算(FY2026)10.9%9.9%10.2%

みずほの経常利益CAGR+29.5%は3行最高だが、これはFY2022の水準が低かったこと(経常利益率14.1%)の裏返しでもある。FY2026時点でも経常利益率17.3%は三菱UFJの23.3%に6.0ポイント劣後する。一方、ROE概算ではみずほ10.9%が首位に立ち、三菱UFJ10.2%、三井住友9.9%が続く。ROE概算は純利益÷純資産のため、自己資本比率(総資産に対する純資産比率)がみずほ3.7%、三井住友4.8%、三菱UFJ5.2%と差があることを踏まえれば、みずほのROEの高さは分母の薄さ(レバレッジの高さ)にも支えられていると読むのが妥当だ。

なお三菱UFJはFY2023に経常利益が1兆207億円へ落ち込み(FY2022比−33.6%)、FY2024以降に急回復している。この一時的な落ち込みの内訳要因は提供データからは特定困難である。

4. 収益構造分析:みずほのトレーディング依存と三井住友の資金利益依存

FY2026のコア収益4項目(億円)と構成比:

項目みずほ三井住友三菱UFJ
資金利益13,77027,19630,060
手数料純益10,80418,20522,268
特定取引収益8,9882,3634,333
信託報酬6701171,631
コア粗利計34,23247,88158,292
資金利益比率40.2%56.8%51.6%
手数料比率31.6%38.0%38.2%
トレーディング比率26.3%4.9%7.4%

(注)特定取引収益はグロス計上であり、特定取引費用が提供データに含まれないためネット化できない。この点でみずほのトレーディング比率は上振れバイアスを含む可能性がある。

三行の性格差は明瞭だ。三井住友は資金利益比率56.8%と最も貸出・預金スプレッド依存が強い。三菱UFJは資金利益と手数料がほぼ5対4のバランス型で、信託報酬1,631億円も3行最大(みずほの2.4倍)。みずほは特定取引収益8,988億円が他2行合計を上回り、市場性収益の存在感が際立つ。ただしみずほの特定取引収益はFY2024の10,903億円から2年連続減少(FY2026は−14.2%)しており、その減少を役務取引等収益の増加(11,154→13,119億円、+17.6%)で埋めた構図となっている。

手数料純益の4年CAGRはみずほ+9.9%、三井住友+11.0%、三菱UFJ+11.7%。金利要因に左右されない非金利収益が、3行いずれも年率10%前後で積み上がっている点は業界全体の構造変化として重要である。

5. 利鞘分析:期末残高ベースの利回り比較

貸出金利回り(概算) = 貸出金利息 ÷ 期末貸出金残高

FY2026(利息は億円、利回りは%):

項目みずほ三井住友三菱UFJ
貸出金利息27,85640,24942,141
預金利息16,77017,37420,867
有価証券利息配当金9,29610,16718,364
貸出金利回り2.79%3.42%3.15%
預金利回り1.01%0.94%0.87%
差(スプレッド)1.78pt2.48pt2.28pt
有価証券利回り2.18%2.54%2.14%
資金利益÷総資産0.46%0.83%0.70%

(注)期中平均残高が提供データにないため期末残高で算出した概算値。厳密な資金利鞘とは一致しない。

スプレッド最大は三井住友(2.48pt)で、みずほ(1.78pt)とは0.70ポイントの差がある。総資産あたり資金利益でも三井住友0.83%がみずほ0.46%の約1.8倍。みずほは総資産3,022兆円規模のうち現金預け金が615,677億円(総資産比20.4%)を占め、低収益資産の比率が高いことが利回りを押し下げている可能性がある。

資金利益の推移も対照的だ。みずほはFY2024に8,876億円まで落ち込んだ後、FY2026は13,770億円(前年比+31.7%)へ回復。注目すべきは、FY2026に資金運用収益が60,002→58,515億円へ減少したにもかかわらず、資金調達費用が49,549→44,745億円へ4,804億円縮小したことで資金利益が増えた点である。三菱UFJは資金運用収益+3.0%に対し調達費用+2.3%で資金利益+4.5%(28,764→30,060億円)の小幅増、三井住友はFY2024の18,806億円からFY2026に27,196億円(2年で+44.6%)と最も高い伸びを示した。

みずほのFY2026資金利益改善は「運用収益の増加」ではなく「調達費用の減少」が主因。調達構成の入れ替えやヘッジ効果が寄与した可能性があるが、内訳は提供データからは特定困難。持続性の検証にはFY2027以降の四半期推移の確認が必要である。

6. 効率性指標:公表OHRとコア粗利ベースOHRの乖離

提供データのOHR(営業経費÷経常収益)はFY2022→FY2026で3行いずれも大幅改善しているが、これは分母の経常収益がグロス利息で膨張した結果であり、経費効率の改善を意味しない。そこで分母をコア粗利(資金利益+手数料純益+特定取引収益+信託報酬)に置き換えて再計算した。

コアOHR = 営業経費 ÷ (資金利益 + 手数料純益 + 特定取引収益 + 信託報酬)
コアOHRFY2022FY2023FY2024FY2025FY2026
みずほ49.5%52.3%57.5%60.1%61.4%
三井住友64.2%63.6%60.1%n.a.55.4%
三菱UFJ71.3%59.4%62.9%58.4%59.9%
(公表OHR)みずほ35.1%25.0%19.0%20.4%23.2%
(公表OHR)三井住友44.3%31.7%24.1%n.a.24.6%
(公表OHR)三菱UFJ45.2%32.0%24.6%23.2%23.9%

見え方が完全に逆転する。公表OHRではみずほが3行最良(23.2%)だが、コアOHRではみずほが4年連続悪化し61.4%と3行最劣位、三井住友が55.4%で最良となる。みずほの営業経費はFY2022の13,928億円からFY2026に21,034億円へ+51.0%増(4年CAGR+10.9%)で、コア粗利の増加率(+21.7%、CAGR+5.0%)を大きく上回った。三井住友は経費+45.6%に対しコア粗利+68.9%、三菱UFJは経費+27.0%に対しコア粗利+51.4%であり、コスト増を上回る収益増を実現できているかどうかがみずほと他2行を分ける最大の相違点といえる。

7. B/S分析:預貸率、含み益、与信バッファ

FY2026末(億円、比率は%):

項目みずほ三井住友三菱UFJ
貸出金997,5311,176,2921,337,994
預金1,659,3701,856,7422,394,392
有価証券426,325399,741857,147
預貸率60.1%63.4%55.9%
有価証券評価差額金13,14421,85016,720
繰延ヘッジ損益−8,552−3,007−12,628
為替換算調整勘定6,30817,06937,115
上記3項目の純額10,90035,91241,207
貸倒引当金−6,373−10,074−12,299
引当金÷貸出金0.64%0.86%0.92%
純資産114,038159,331237,441

貸出金は3行そろって二桁近い増加(FY2025→FY2026でみずほ+6.0%、三菱UFJ+10.2%、三井住友はFY2024比+9.9%)。預貸率は三井住友63.4%が最高、三菱UFJ55.9%が最低で、三菱UFJは有価証券857,147億円(総資産比19.9%)と現金預け金900,455億円を厚く抱える資産構成である。

評価差額金と繰延ヘッジ損益はセットで見る必要がある。みずほは有価証券評価差額金がFY2025の8,676億円からFY2026に13,144億円へ+4,468億円増加した一方、繰延ヘッジ損益が−4,652億円から−8,552億円へ3,900億円悪化しており、両者を合算した純額はほぼ横ばい(4,024億円→4,592億円)。三菱UFJも繰延ヘッジ損益が−12,628億円と3行最大のマイナスだが、為替換算調整勘定37,115億円がこれを大きく上回る。3項目純額では三菱UFJ41,207億円、三井住友35,912億円に対しみずほ10,900億円で、その他包括利益の蓄積には大きな格差がある。

与信バッファでは、みずほの貸倒引当金がFY2024の7,878億円から2年連続減少し6,373億円(貸出金比0.64%)まで低下。逆に三井住友はFY2024の8,175億円から10,074億円へ+23.2%積み増した。信用コスト率はリスクアセットが不明のため算出困難だが、引当水準の方向が逆であることは与信ポートフォリオ運営の姿勢差を示唆する可能性がある。

8. キャッシュフローと株主還元

項目(億円)FY2024FY2025FY2026
営業CF みずほ18,849−38,208−48,385
営業CF 三井住友6,42848,484−102,831
営業CF 三菱UFJ−98,44864−230,644
投資CF みずほ19,82237,930−66,683
投資CF 三井住友−9,189−45,12932,542
投資CF 三菱UFJ39,864−1,86944,739
財務CF みずほ−2,309−2,990−5,231
財務CF 三井住友2,806−4,801−463
財務CF 三菱UFJ83−8,611−11,498

FY2026は3行そろって営業CFが大幅なマイナス。銀行の営業CFは預金・貸出・特定取引資産の増減で振れるため、事業の収益性悪化を意味しない。実際、貸出金は3行とも増加しており、貸出資産の積み上げが営業CFのマイナス要因として作用した可能性が高い。三菱UFJは現金預け金が1,090,954→900,455億円へ190,499億円減少しており、手元流動性の運用資産への振替が進んだと見られる。

株主還元(億円)は次の通り。配当金支払額は提供データに欠落しているため、下表の「総還元額」は自己株式取得のみを表す。

自己株式取得FY2023FY2024FY2025FY2026
みずほ23331,0294,043
三井住友1,3882,114n.a.2,506
三菱UFJ4,5014,0014,1855,002

三菱UFJは4年連続で4,000億円超の自己株式取得を継続。みずほはFY2025から本格化し、FY2026は4,043億円(前年比約3.9倍)で三井住友2,506億円を上回った。財務CFのマイナス拡大(−2,990→−5,231億円)は主に自己株取得の増加を反映していると考えられる。

9. 1株当たり指標と配当政策

三井住友はFY2025に約1対3の株式分割を実施している(発行済株式数の変動から推定)。FY2024以前の1株当たり指標は分割前基準であり、単純比較はできない。以下では三井住友のFY2022〜FY2024を分割調整後(3分の1)に換算した値を併記する。

項目FY2022FY2023FY2024FY2025FY20264年CAGR
EPS みずほ209.27219.20267.88350.20502.92+24.5%
EPS 三井住友(公表)515.51590.46724.55301.55411.97
EPS 三井住友(分割調整後)171.84196.82241.52301.55411.97+24.4%
EPS 三菱UFJ88.4590.73124.65160.02213.17+24.6%
DPS みずほ80.0085.00105.00140.00145.00+16.0%
DPS 三井住友(分割調整後)70.0080.0090.00n.a.157.00+22.4%
DPS 三菱UFJ28.0032.0041.0064.0086.00+32.4%
配当性向 みずほ38.2%38.8%39.2%40.0%28.8%
配当性向 三井住友40.7%40.6%37.3%n.a.38.1%
配当性向 三菱UFJ31.7%35.3%32.9%40.0%40.3%

注目すべきは3行のEPS CAGRがいずれも+24%台でほぼ横並びである点だ。三井住友のDPSが270円(FY2024)から157円(FY2026)へ「減配」したように見えるが、分割調整後では90円→157円で+74.4%の増配である。

配当性向の動きは逆方向だ。三菱UFJは31.7%→40.3%へ切り上がり、みずほはFY2025の40.0%からFY2026は28.8%へ低下した。みずほのDPSは140→145円と+3.6%の増配にとどまり、EPS+43.6%の伸びに対して配当が追随していない。自己株式取得を4,043億円へ大幅拡大していることを併せて読むと、みずほは還元手段を配当から自己株取得へシフトさせている可能性がある。ただし配当金支払額の実額が提供データにないため、総還元性向の厳密な比較は算出困難である。

10. 業績予想と第1四半期の進捗

項目(億円)みずほ三井住友三菱UFJ
FY2027 純利益予想13,00017,000開示なし
FY2026 純利益実績12,48615,82924,272
予想の対前期増減+4.1%+7.4%
FY2027 Q1 純利益4,2295,0138,094
予想進捗率32.5%29.5%
Q1純利益÷前期実績33.9%31.7%33.3%
Q1 経常利益5,9896,93111,179
Q1 資金利益3,6427,9198,823
Q1 手数料純益2,6644,7385,582
Q1 コアOHR50.0%52.1%55.6%

みずほは予想進捗率32.5%、三井住友29.5%で、いずれも通期の4分の1(25%)を上回る滑り出し。三菱UFJは通期予想が提供データに含まれないが、Q1純利益8,094億円は前期実績の33.3%に相当する。

Q1の資金利益を単純に4倍換算すると、みずほ14,568億円(FY2026比+5.8%)、三井住友31,676億円(同+16.5%)、三菱UFJ35,292億円(同+17.4%)。四半期の季節性を考慮しない粗い試算だが、資金利益の拡大局面が継続している可能性を示す。一方、手数料純益の4倍換算はみずほ10,656億円、三菱UFJ22,328億円でいずれもFY2026比ほぼ横ばい、三井住友のみ18,952億円(+4.1%)と伸びる計算になる。

コアOHRはQ1時点でみずほ50.0%と大幅改善しているが、これは特定取引収益3,641億円がQ1に集中的に計上された(単純4倍で14,564億円=FY2026通期8,988億円を大きく上回る)影響が大きく、通期での持続性は慎重に見る必要がある。

11. 今後の注目点(定性考察)

第一に、みずほのコスト構造である。コアOHRが4年連続で悪化し61.4%に達した背景には、人件費・システム投資・戦略投資の増加があると考えられるが、内訳は提供データからは特定困難である。営業経費のCAGR+10.9%がコア粗利のCAGR+5.0%を上回る状態が続けば、収益成長が経費に吸収される構図が定着する可能性がある。

第二に、三井住友の与信バッファ積み増しの意味。貸倒引当金を2年で+23.2%積み増した一方、預貸率は3行最高の63.4%であり、成長性と健全性を同時に追う運営と見られる。引当積み増しが個別案件由来か予防的なものかは、提供データからは判断できない。

第三に、繰延ヘッジ損失の拡大。3行合算の繰延ヘッジ損益はFY2026に−24,187億円まで拡大した。金利上昇に伴うヘッジポジションの評価が反映されている可能性があるが、金利水準そのものは本稿の分析対象外である。有価証券評価差額金との相殺関係が今後どう推移するかは、自己資本の質を測る上で重要な観点となり得る。

第四に、還元手段の選択。みずほの配当性向が28.8%へ低下する一方で自己株取得が4,043億円へ拡大した動きは、資本効率を意識した方針変更の可能性を示す。三菱UFJは配当性向40.3%と自己株取得5,002億円を併走させており、資本蓄積(純資産237,441億円)の厚みが選択肢の広さにつながっていると考えられる。

12. 総括

まとめ
- **業界全体**:FY2026の3行合算経常利益は7兆2,865億円(4年CAGR+23.4%)、純利益5兆2,587億円。増収率は一桁に減速する一方、利益は+31.1%と、収益膨張から利鞘実現へフェーズが移行。 - **三菱UFJ**:経常利益34,101億円・経常利益率23.3%で規模と収益性を両立。資金利益51.6%/手数料38.2%のバランス型、信託報酬1,631億円は3行最大。預貸率55.9%と資産に余裕があり、自己資本比率5.2%、自己株取得5,002億円と還元余力も最大。コアOHRは59.9%。 - **三井住友**:コアOHR55.4%で3行最良、スプレッド2.48ptも最大。資金利益比率56.8%と貸出依存が強く、預貸率63.4%は最高。貸倒引当金を2年で+23.2%積み増し健全性も確保。株式分割調整後DPSは90円→157円と実質+74.4%増配。 - **みずほ**:経常利益CAGR+29.5%・ROE概算10.9%と伸びは最速だが、コアOHRは49.5%→61.4%へ4年連続悪化。スプレッド1.78ptは最小、貸倒引当金は2年連続減少。配当性向は28.8%へ低下する一方、自己株取得は4,043億円へ約3.9倍に拡大。 - **FY2027 Q1**:予想進捗率はみずほ32.5%、三井住友29.5%で順調。Q1資金利益の単純年換算は三菱UFJ+17.4%、三井住友+16.5%、みずほ+5.8%と、利鞘拡大の恩恵に差が出ている。

本記事はTDnet公開の決算短信(XBRL)データに基づく財務分析です。 特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。

用語集

経常収益: 銀行における売上高に相当する項目。資金運用収益(受取利息)、役務取引等収益、特定取引収益などの合計で、支払利息控除前のグロス金額で計上される。

資金利益: 資金運用収益から資金調達費用を差し引いた純額。貸出・有価証券運用と預金等調達の利鞘から生じる銀行の основной収益源。

手数料純益: 役務取引等収益から役務取引等費用を差し引いた純額。送金、投信販売、法人向けソリューション等の非金利収益を示す。

特定取引収益: トレーディング業務(債券・デリバティブ・為替等の売買目的取引)から生じる収益。本稿では対応する特定取引費用が未開示のためグロス計上値を使用。

信託報酬: 信託業務(年金信託・証券代行等)の受託報酬。信託銀行を傘下に持つグループで規模が大きくなる。

OHR(経費率): Overhead Ratioの略。営業経費を収益で割った経費効率指標。分母を経常収益とするか業務粗利益とするかで水準が大きく変わる。

コアOHR(本稿定義): 営業経費÷(資金利益+手数料純益+特定取引収益+信託報酬)。グロス利息膨張の影響を除いて経費効率を比較するための本稿独自の概算指標。

預貸率: 貸出金残高÷預金残高。集めた預金をどれだけ貸出に振り向けているかを示す指標で、資金運用の積極度を測る。

有価証券評価差額金: その他有価証券の時価と取得原価の差額を税効果考慮後に純資産へ計上した項目。いわゆる含み損益の蓄積。

繰延ヘッジ損益: ヘッジ会計適用のデリバティブの評価差額のうち、対象資産負債の損益認識時期まで純資産に繰り延べられた金額。金利変動局面で大きく振れる。

為替換算調整勘定: 在外子会社等の財務諸表を円換算する際に生じる差額を純資産に計上した項目。海外展開比率が高いグループで金額が大きくなる。

貸倒引当金: 貸出金等の将来の回収不能見込額に備えて計上する引当金。貸出金に対する比率は与信バッファの厚みの目安となる。

配当性向: 1株当たり配当(DPS)÷1株当たり利益(EPS)。利益のうち配当として株主に還元した割合。

CAGR: 年平均成長率(Compound Annual Growth Rate)。複数年の成長を年率換算した指標で、本稿ではFY2022を起点とする4年ベースで算出。

株式分割調整: 株式分割の前後で1株当たり指標を比較可能にするため、分割前の値を分割比率で割り戻す処理。三井住友のFY2024以前は3分の1に換算。

ROE概算: 親会社株主に帰属する当期純利益÷純資産で算出した自己資本利益率の概算値。厳密な株主資本ベースのROEとは一致しない。

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