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自動車メーカー4社の決算を紐解く — FY2026通期とFY2027第1四半期に見える「二極化」

トヨタ・ホンダ・日産・スズキのXBRLデータを比較。4社合算営業利益は前期比40%減の一方、スズキは営業利益率9.9%を維持。FY2027 Q1では利益率の回復差が鮮明に。

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自動車決算分析トヨタホンダ日産スズキ

本稿は、TDnetで公開された決算短信(XBRL)データのみを用いて、トヨタ自動車(7203)・本田技研工業(7267)・日産自動車(7201)・スズキ(7269)のFY2026通期およびFY2027第1四半期(Q1)を比較分析するものです。株価指標、台数データ、為替レート、地域別内訳は提供データに含まれないため、本稿では一切扱いません。

結論を先に述べると、FY2026は「増収でも減益」が業界の共通言語となった年でした。4社合算の収益は前期比プラスながら、営業利益は4割の減少。しかもその内訳は一様ではなく、ホンダの営業赤字転落、日産の営業利益ほぼ消失、トヨタの利益率3ポイント超の低下、そしてスズキの高採算維持という、極端な分散が生じています。さらにFY2027 Q1では、その分散が「回復速度の差」として再び現れています。

1. 4社合算で見る業界トレンド

まず全体像です。なお提供データの年度カバレッジは各社で異なり(トヨタはFY2024以降、日産はFY2024が欠測、スズキはFY2023以降)、4社完全合算が可能なのはFY2025とFY2026の2期のみです。5年通期が揃うのはホンダのみで、業界全体の5年推移は提供データからは算出困難です。

4社合算(億円)FY2025FY2026YoY
収益881,837907,822+2.9%
営業利益67,21440,328−40.0%
営業利益率7.6%4.4%−3.2pt
設備投資(トヨタ+ホンダ)100,28098,644−1.6%
有形固定資産(スズキ除く3社)228,755247,940+8.4%
4社合算営業利益率 = FY2025: 67,214 ÷ 881,837 = 7.6% → FY2026: 40,328 ÷ 907,822 = 4.4%(-3.2pt)

増収率が+2.9%にとどまる一方で営業利益が-40.0%。売上の伸びが利益に結びつかない典型的なコスト圧迫局面です。他方、有形固定資産は3社合算で+8.4%と増加を続けており、利益が縮んでも投資は止まっていない構図が読み取れます。減価償却費(D&A)はスズキのFY2023・FY2024のみ開示で、4社合算のD&AおよびEBITDAマージンは提供データからは算出困難です。

本稿の「設備投資」は各社XBRLの開示タグをそのまま用いています。トヨタ・ホンダは金融事業を含む連結体であり、賃貸資産等が設備投資に含まれる可能性があるため、製造設備投資として他社と単純比較することは適切ではありません。特にホンダはFY2024以前が小額・符号反転で開示されており、FY2025を境に定義が変わったと見られます。

2. 収益力比較 — 増収の中身が分かれた

項目トヨタホンダ日産スズキ
FY2026 収益(億円)506,849217,966120,07862,929
収益YoY+5.5%+0.5%−4.9%+8.0%
収益CAGR+6.0%(2年)+10.6%(4年)+9.3%(4年)+10.7%(3年)
FY2026 営業利益(億円)37,662−4,1435806,229
営業利益YoY−21.5%赤字転落−16.8%−3.1%
親会社帰属当期利益(億円)38,480−4,239−5,3304,392
当期利益YoY−19.2%赤字転落赤字縮小+5.6%
収益CAGR = (期末収益 ÷ 期初収益)^(1/年数) - 1 例:ホンダ = (217,966 ÷ 145,526)^(1/4) - 1 = +10.6%

過去数年の増収率で見れば4社はいずれも二桁前後の成長軌道にありました(トヨタは2年CAGRで+6.0%)。しかしFY2026では、日産が減収に転じ、ホンダは横ばい、トヨタとスズキが増収を確保という形に分岐。利益面ではスズキのみが営業利益率一桁後半を維持し、当期利益で増益を確保した唯一の会社となりました。

注目すべきは日産です。営業利益は580億円と黒字ながら、税引前は-4,403億円。営業段階から下で約4,983億円の損失が発生している計算で、事業再編関連の費用や減損等が計上された可能性があります。加えて税引前赤字にもかかわらず法人税等が862億円の費用計上となっており、実効税率は-19.6%。繰延税金資産の回収可能性見直しなど、税務上の評価が影響していると考えられます。

3. 収益構造の深掘り — 粗利率の落差が決定的

FY2026トヨタホンダ日産スズキ
売上総利益率22.8%※16.5%12.8%25.5%
前期比−3.3pt−5.0pt−0.6pt該当年欠測
販管費率9.3%※11.4%12.3%16.1%
R&D比率開示なし7.1%開示なし開示なし
営業利益率7.4%−1.9%0.5%9.9%
EBITDAマージン算出困難算出困難算出困難算出困難(FY2024: 12.3%)

※トヨタは収益-売上原価から筆者算出。開示された販管費(46,975億円)を売上総利益から控除しても営業利益と一致せず、販管費タグが一部費用のみを捕捉していると見られるため、他社との水準比較には限界があります。

最も明快な物語はホンダです。営業利益が前期の12,134億円から-4,143億円へ、実額で16,277億円悪化しました。その内訳は分解可能です。

ホンダ営業利益のYoY分解:売上総利益 -10,608(46,640→36,032)/販管費 -1,258(増加)/研究開発費 -4,412(10,994→15,406)=合計 -16,278億円

つまり悪化の約65%が売上総利益の減少、約27%がR&D増加です。R&D比率は5.1%から7.1%へ、実額ではFY2022の7,870億円からFY2026の15,406億円へ4年CAGR+18.3%で拡大しており、電動化・ソフトウェア領域への先行投資が損益計算書上に明確に現れている状態と考えられます。一方で売上総利益率が21.5%→16.5%と5.0ポイント低下しており、原価側に一時的要因(費用計上や品質関連費用など)が含まれた可能性も否定できません。

スズキは売上総利益率25.5%、販管費率16.1%と、粗利も販管費も高い構造です。販管費率の高さは販売網関連コストの構成に起因すると考えられますが、提供データからは内訳を特定できません。日産は粗利率12.8%に対し販管費率12.3%で、粗利がほぼ販管費で消える損益構造となっており、固定費吸収の余裕が最も小さい状態です。

4. 設備投資と資本集約度

FY2026トヨタホンダ日産スズキ
設備投資(億円)60,59738,047開示なし3,971
設備投資/売上12.0%17.5%6.3%
設備投資/D&A算出困難算出困難算出困難(FY2024: 1.55x)
有形固定資産(億円)170,67331,96345,30418,021
使用権資産(億円)9,012開示なし開示なし576
無形資産(億円)13,9277,8471,6771,854
PP&E/総資産16.2%9.5%22.9%27.2%

PP&E/総資産はスズキ27.2%、日産22.9%が高く、トヨタ16.2%、ホンダ9.5%が低い。ただしトヨタ・ホンダは金融債権を多く抱える連結構造のため、総資産が膨らみ比率が薄まる効果があると見られます。トヨタの総資産はFY2026に1,055,223億円(105.5兆円)へ、前期比+12.7%と大きく増加しました。

資産の動きで目を引くのは3点です。第一に、トヨタの使用権資産が5,830億円→9,012億円へ約1.5倍。第二に、ホンダの無形資産が11,260億円→7,847億円へ3,413億円減少しており、償却を超える評価見直し(減損等)が含まれる可能性があります。第三に、スズキの有形固定資産がFY2023の11,345億円からFY2026の18,021億円へ約1.6倍、無形資産も1,854億円へ急増しており、投資局面に入っていることが確認できます。設備投資/売上は6.3%と4社中最低ですが、これは分母となる売上の伸びが速いためでもあります。

5. キャッシュフロー分析 — トヨタのFCF大転換

FY2026(億円)トヨタホンダ日産スズキ
営業CF54,72911,3527,9467,175
投資CF−15,203−8,521−9,143−4,995
FreeCF39,5262,830−1,1962,179
前期FreeCF−4,928−6,498−2,1751,941
財務CF−5,366−369519−1,272
配当金支払開示なし開示なし開示なし開示なし
自社株取得開示なし開示なし00
総還元額開示なし開示なし00

(FreeCF=営業CF+投資CF。配当金支払額は4社いずれも当該タグの開示がなく、総還元額はトヨタ・ホンダで算出困難)

最大の変化はトヨタです。営業CFが36,969億円→54,729億円へ+48.0%増加した一方、投資CFの支出が-41,897億円→-15,203億円へ縮小し、FreeCFは-4,928億円から+39,526億円へ4.4兆円規模の改善を示しました。営業利益が減益であることを踏まえると、この改善は損益ではなく運転資本や金融債権・投資有価証券関連のキャッシュフロー動向によるものと考えられます。設備投資額自体は60,597億円へ増えており、投資CFの縮小は設備投資の抑制によるものではありません。

ホンダはFY2024・FY2025の2期連続FreeCFマイナスから+2,830億円へ転じましたが、営業CFは11,352億円とFY2023の21,290億円には遠く及びません。日産はFY2025・FY2026と2期連続でFreeCFがマイナス、しかも財務CFがプラス(外部資金流入)となっており、キャッシュ創出が投資を賄えていない状態です。現金及び現金同等物は19,615億円→15,754億円へ3,861億円減少しています。スズキは4期連続で営業CFを伸ばし(2,866→7,175億円)、FreeCFも2期連続プラスと最も安定しています。

6. 資本効率と財務健全性

FY2026トヨタホンダ日産スズキ
ROE10.1%−3.5%−10.9%(算出)13.8%
自己資本比率37.8%35.3%24.2%(算出)51.0%
Net D/E算出困難算出困難算出困難算出困難
実効税率22.7%12.5%(税ベネフィット)−19.6%25.6%
持分法投資損益(億円)5,527−1,620開示なし75
非支配株主持分(億円)11,0123,3054,4267,710
日産 親会社帰属持分 = 資本合計 52,416 - 非支配株主持分 4,426 = 47,990億円 → 自己資本比率 = 47,990 ÷ 198,124 = 24.2%/ROE = -5,330 ÷ ((49,585 + 47,990) ÷ 2) = -10.9%

有利子負債はスズキのみ開示(流動2,633+非流動4,852=7,485億円)で、Net D/Eは現金残高が未開示のため4社すべて算出困難です。参考としてスズキのグロスD/Eは7,485÷33,820=0.22倍と低水準です。

資本効率ではスズキ13.8%がトップで、トヨタ10.1%が続きます。トヨタのROEはFY2024の15.8%から2期で5.7ポイント低下しており、減益(当期利益49,449→38,480億円)と自己資本の増加(342,209→399,188億円)が同時に効いた結果です。分母が2期で16.6%膨らむ一方、分子が22.2%減少しています。

財務体質はスズキ51.0%が突出、日産24.2%が最も薄い。日産は自己資本比率がFY2023の29.2%から5.0ポイント低下しており、2期連続赤字が資本を削っています。ホンダも42.6%(FY2024)→35.3%へ7.3ポイント低下しました。持分法投資損益ではホンダが-1,620億円と損失転落(FY2025は9億円)しており、持分法適用先の業績悪化が示唆されます。

7. 1株当たり指標と配当政策

ホンダはFY2024に約1対3、スズキはFY2024に約1対4の株式分割を実施しています(発行済株式数の変動から推定)。FY2023以前の1株当たり指標は分割前基準であり、そのままでは比較できません。以下では分割調整後の値を併記します。

分割調整後(FY2023):ホンダ EPS 409.87÷3 = 136.62円、BPS 2,248.76円、配当 40.00円/スズキ EPS 455.21÷4 = 113.80円、BPS 1,068.87円、配当 25.00円
FY2026トヨタホンダ日産スズキ
EPS(円)295.25−106.06−152.58227.69
BPS(円)3,062.823,035.911,372.561,753.03
1株配当(円)95.0070.000.0046.00
配当性向32.1%赤字のため算出不能20.2%
DOE3.3%2.4%2.8%

ホンダの「EPS 409.87円→-106.06円」は分割と赤字の二重要因であり、分割調整後のFY2023 EPS 136.62円が正しい比較基点です。同様にスズキのEPSは調整後113.80円(FY2023)から227.69円(FY2026)へ3年でおよそ2倍、CAGR+26.0%。1株配当も調整後25.00円→46.00円へ増加しています。

配当政策の性格差も明確です。トヨタは減益下でも配当を90円→95円へ引き上げ、配当性向は20.4%(FY2024)→32.1%へ上昇。DOEは3.2→3.4→3.3%とほぼ一定で、純資産基準の安定配当を志向していると読み取れます。ホンダは当期赤字でも70円を維持(DOE 2.4%)し、利益連動ではなく資本基準の配当運営を採っていると考えられます。日産はFY2025・FY2026とも無配。なお、ホンダのBPSは赤字にもかかわらず調整後2,248.76円→3,035.91円へ上昇しています。親会社帰属持分は126,969億円(FY2024)→118,175億円へ減少しているため、これは発行済株式数の減少(自己株式取得の可能性)による効果と考えられます。

8. 業績予想とFY2027 Q1進捗率

会社予想収益Q1収益進捗予想営業利益Q1営業利益進捗予想当期利益Q1当期利益進捗
トヨタ510,000135,25426.5%30,00010,63435.4%30,00014,77049.2%
ホンダ231,50060,61526.2%5,0005,307106.1%2,6004,509173.4%
日産130,00029,64222.8%2,00077838.9%2003718.5%
スズキ68,00017,05725.1%5,7001,58027.7%3,8001,83648.3%

(単位:億円。進捗率=Q1実績÷通期予想)

ホンダはQ1営業利益5,307億円で通期予想5,000億円を第1四半期で超過しています。Q1の売上総利益率は22.2%(13,481÷60,615)と、FY2026通期の16.5%から5.7ポイント回復。FY2026の粗利率低下に一時的要因が含まれていた可能性、あるいは通期予想が保守的に置かれている可能性の双方が考えられます。

各社の予想水準そのものも示唆的です。トヨタは営業利益予想30,000億円をFY2026実績37,662億円から20.3%低い水準に設定。スズキも5,700億円と実績6,229億円比-8.5%です。逆に日産は580億円→2,000億円、ホンダは赤字→5,000億円と回復シナリオを描いています。

Q1の質にも差があります。トヨタは営業利益進捗35.4%に対し当期利益進捗49.2%で、税引前利益19,638億円が営業利益10,634億円を大きく上回り、持分法投資損益2,106億円などの営業外要因が寄与。スズキも税引前2,832億円が営業利益1,580億円を1,252億円上回っています。一方、日産はQ1営業利益778億円(営業利益率2.6%、FY2026通期0.5%から改善)に対し当期利益37億円で、税引前407億円に対する法人税等324億円が利益を圧縮しました。日産のQ1売上総利益率は15.8%とFY2026通期12.8%から3.0ポイント改善しており、原価構造の立て直しは進み始めていると見られます。

9. 今後の注目点(定性的考察)

電動化投資の損益への織り込み方:提供データで研究開発費が開示されているのはホンダのみですが、同社のR&D比率が5.1%→7.1%へ跳ね上がった事実は、電動化・ソフトウェア領域の開発費が損益を直接押し下げる段階に入ったことを示していると考えられます。他3社についても同様の投資が進行している可能性はありますが、提供データからR&D額を特定できないため、比率比較は困難です。無形資産の動き(ホンダの3,413億円減、スズキの1,854億円への増加)は、開発資産の資産計上・評価方針の違いを反映している可能性があります。

為替の影響:具体的な為替レートは提供データに含まれないため定量評価はできません。ただし、4社いずれも海外売上を持つ輸出型構造であり、円換算の収益と原価に与える影響は非対称に働く可能性があります。FY2026にトヨタ・ホンダの売上原価率が同時に上昇した点については、為替に加え、原価インフレや一時費用など複数要因が絡んでいると考えられます。

棚卸資産の動向:在庫は最も注視すべき先行指標の一つです。FY2026の棚卸資産/収益比率は、トヨタ10.1%、ホンダ11.6%、日産8.1%、スズキ11.0%。トヨタは棚卸資産が45,982→51,349億円へ+11.7%と増収率+5.5%を上回って増加し、FY2027 Q1にはさらに54,698億円へ拡大しています。スズキも4,370億円(FY2024)→6,926億円へ約1.6倍で、収益の伸びを大きく上回ります。増産・供給体制の先行手当ての可能性がある一方、需要の伸びが鈍化すれば在庫調整圧力に転じる可能性もあり、次四半期以降の回転動向の確認が必要と考えられます。日産は棚卸資産が減少(10,042→9,769億円)しており、減収に合わせた在庫圧縮が進んだと見られます。

10. 総括

まとめ
- **業界全体**:FY2026は4社合算で増収+2.9%・営業利益-40.0%、営業利益率は7.6%→4.4%へ3.2ポイント低下。有形固定資産は3社合算+8.4%で、減益下でも投資は継続。 - **トヨタ**:営業利益率11.9%(FY2024)→7.4%へ低下しROEも15.8%→10.1%。一方でFreeCFは-4,928→+39,526億円へ大転換し、総資産は105.5兆円へ。配当は95円へ増配、配当性向32.1%。 - **ホンダ**:売上総利益率-5.0ptとR&D+4,412億円で営業利益が16,277億円悪化し赤字転落。ただしFY2027 Q1で粗利率22.2%へ回復し、営業利益は通期予想を単四半期で超過。赤字下でも70円配当を維持。 - **日産**:粗利率12.8%対販管費率12.3%で営業利益はほぼ消失。営業外で約4,983億円の損失、2期連続の当期赤字で自己資本比率24.2%(算出値)、無配継続。Q1は粗利率15.8%へ改善。 - **スズキ**:収益3年CAGR+10.7%、営業利益率9.9%、ROE13.8%、自己資本比率51.0%と4社中最良のバランス。FreeCFも2期連続プラス。ただし棚卸資産と有形固定資産の増加ペースが速く、投資回収局面の管理が焦点。 - **共通の限界**:D&A・配当金支払額・有利子負債(スズキ以外)が未開示のため、EBITDAマージン・Net D/E・総還元額は多くの社で算出困難。

4社を横並びにして浮かび上がるのは、「規模の大小」ではなく「利益率と自己資本の厚み」が現在の耐久力を決めているという構図です。営業利益率9.9%・自己資本比率51.0%のスズキと、営業利益率0.5%・自己資本比率24.2%の日産では、同じコスト環境でも取り得る選択肢の幅が大きく異なります。FY2027は、ホンダの粗利率回復が持続的なものか、トヨタの高水準FreeCFが投資と還元にどう配分されるか、そして日産の原価改善が営業外の負担を吸収できるかが、決算数値上の主要な確認ポイントとなるでしょう。

本記事はTDnet公開の決算短信(XBRL)データに基づく財務分析です。 特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。

用語集

CAGR(年平均成長率): 複数年にわたる成長率を1年あたりに換算した指標。(期末値÷期初値)^(1/年数)-1で算出する。

売上総利益率: 売上総利益(収益-売上原価)が収益に占める比率。製品の基礎的な採算性を示す。

販管費率: 販売費及び一般管理費が収益に占める比率。販売網や管理体制のコスト構造を示す。

R&D比率: 研究開発費が収益に占める比率。技術投資の負担度合いを示す。

EBITDAマージン: 営業利益に減価償却費を加算した利益が収益に占める比率。減価償却の影響を除いたキャッシュ創出力の目安。

FreeCF(フリーキャッシュフロー): 本稿では営業CFと投資CFの合計。事業活動と投資活動を通じた純粋な現金創出額を示す。

設備投資/D&A: 設備投資額を減価償却費で割った倍率。1倍超は資産の拡大局面、1倍未満は縮小局面を示す。

PP&E/総資産: 有形固定資産が総資産に占める比率。資本集約度の目安。金融事業を含む連結では比率が低く出やすい。

ROE(自己資本利益率): 親会社帰属当期利益を自己資本(親会社帰属持分)で割った指標。株主資本の収益性を示す。

Net D/E(ネット有利子負債比率): 有利子負債から現金等を差し引いた純有利子負債を自己資本で割った指標。財務レバレッジの水準を示す。

実効税率: 法人税等を税引前利益で割った比率。税引前赤字や繰延税金資産の評価見直しがあると異常値になる。

持分法投資損益: 持分法適用会社(関連会社等)の損益のうち、投資会社の持分に相当する額。

非支配株主持分: 連結子会社の資本のうち親会社に帰属しない部分。ROEや自己資本比率の算出では親会社帰属分と区別する必要がある。

配当性向: 1株配当をEPSで割った比率。利益のうち配当に回した割合を示す。

DOE(株主資本配当率): 配当総額を自己資本で割った比率。利益変動に左右されにくい配当水準の指標。

株式分割調整: 株式分割前後で1株当たり指標を比較可能にするため、分割前の値を分割比率で割る調整。