営業利益と経常利益の違い

営業利益と経常利益の意味をやさしく解説し、計算方法や実践での使い分けを具体例で紹介。初心者がつまずきやすい誤解も整理します。

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P/L利益収益性

この記事で学べること

  • 営業利益と経常利益の基本的な意味
  • 2つの利益がどのように計算されるか
  • 本業の強さと資金のやりくりの上手さを見分けるポイント
  • 金利や為替など、日々の営業以外の要素が利益に与える影響
  • 実際の決算書での見つけ方と読み取りのコツ
  • 投資判断でどの場面でどちらを重視するかの使い分け
  • 初心者がやりがちな勘違いと避け方

概念の説明

「営業利益」は、会社が日々の商売で稼いだもうけのことです。八百屋さんを思い浮かべてください。仕入れてきた野菜を売る。その売上から、仕入れ代やお店の家賃、店員さんのお給料、広告など、お店を回すのに必要な費用を引いたら残るのが営業利益です。つまり、本業だけの実力を表す指標です。

一方の「経常利益」は、営業利益にプラスアルファの要素を足したものです。八百屋さんが銀行に預けていたお金の利息を受け取ったり、借入金の利息を支払ったり、為替の影響でちょっと得をしたり損をしたり。こうした本業以外の、日常的に起こりがちな収入や費用を合算した結果が経常利益です。日本の会計では「営業外収益」「営業外費用」と呼ばれる項目を足し引きして求めます。

イメージで言うと、営業利益は「走る力」、経常利益は「走る力に追い風や向かい風を加味した実際の走り」です。追い風が利息収入や持ち合い株の配当、向かい風が支払利息や為替差損と考えると、雰囲気がつかめます。

さらにその先には「当期純利益」という最終成績もありますが、これは火事の損失のように一度きりの特別な出来事なども含むため、日常運転の比較には向きません。本業の実力は営業利益、日々の金融や為替の影響も含む継続的な力は経常利益、という整理を覚えておくと便利です。

なぜ重要なのか

投資家は、会社が将来も安定して稼げるかを見極めたいと考えます。営業利益は、価格設定のうまさ、コスト管理、規模の効率化など、事業そのものの競争力を映し出します。ここが強い会社は、景気の波があっても比較的持ちこたえやすい傾向があります。

ただし、現実の会社は本業だけで動いているわけではありません。借入金の利息負担が重かったり、保有資産の利息や配当で支えられたり、為替の影響を受けたりします。経常利益は、こうした「資金のやりくり」や「金融環境」の影響を含めた、より実態に近い稼ぐ力を示します。特に金利が上昇する局面や、海外取引が多い会社では、経常利益のチェックが欠かせません。

つまり、営業利益はエンジンの出力、経常利益はエンジンに路面状況や風向きも加味した速度計。どちらも見てこそ、車全体の状態が分かります。

計算方法

まず、用語の意味を簡単に整理します。

  • 売上高: 商品やサービスを売って得た金額の合計
  • 売上原価: 仕入れや製造など、売るために直接かかった費用
  • 販売費及び一般管理費: 給与、家賃、広告、光熱費などの運営コスト
  • 営業外収益: 受取利息、受取配当金、為替差益など、本業以外の収入
  • 営業外費用: 支払利息、為替差損など、本業以外の費用

営業利益の計算式は次の通りです。

営業利益 = 売上高 - 売上原価 - 販売費及び一般管理費

経常利益は、営業利益に営業外収益を足し、営業外費用を引きます。

経常利益 = 営業利益 + 営業外収益 - 営業外費用

具体例 1: 小さな雑貨店のイメージ

  • 売上高: 1,000万円
  • 売上原価: 600万円
  • 販売費及び一般管理費: 250万円
  • 受取利息などの営業外収益: 2万円
  • 支払利息などの営業外費用: 5万円

ステップ計算:

  1. 売上総利益 = 売上高 - 売上原価 = 1,000 - 600 = 400万円
  2. 営業利益 = 売上総利益 - 販売費及び一般管理費 = 400 - 250 = 150万円
  3. 経常利益 = 営業利益 + 営業外収益 - 営業外費用 = 150 + 2 - 5 = 147万円

具体例 2: 借入が多い製造業のイメージ

  • 売上高: 5億円
  • 売上原価: 3.3億円
  • 販売費及び一般管理費: 1.2億円
  • 受取配当金などの営業外収益: 300万円
  • 支払利息などの営業外費用: 1,000万円

ステップ計算:

  1. 売上総利益 = 5.0 - 3.3 = 1.7億円
  2. 営業利益 = 1.7 - 1.2 = 0.5億円 (5,000万円)
  3. 経常利益 = 5,000 - 300 + 1,000の符号に注意 → 5,000 + 300 - 1,000 = 4,300万円

このように、営業外の要素が重いと、営業利益と経常利益の差が大きくなります。

決算書では、多くの会社が損益計算書に営業利益と経常利益を並べて表示します。まず営業利益で本業の実力を把握し、次に経常利益で金融や為替の影響を確認すると読みやすくなります。

具体例・ケーススタディ

ケース 1: 為替影響が大きい輸出企業

  • 円安で輸出の採算が改善し、為替差益が発生。
  • 営業利益は横ばいでも、経常利益が増えることがあります。
  • 翌期に為替が戻ると逆回転する可能性があるため、営業利益が伸びているかを別途確認するのが安全です。

ケース 2: 借入金の多い成長企業

  • 新工場の建設で借入が増え、支払利息が膨らむ。
  • 営業利益は力強く増えているのに、経常利益が伸びにくい局面が続くことがあります。
  • 金利の低下や借換えで支払利息が減ると、経常利益が跳ねやすい構造です。

ケース 3: 豊富な現金や有価証券を持つ老舗企業

  • 受取利息や受取配当金が安定的に入り、営業利益に上乗せされる。
  • 本業がやや弱くても、経常利益が底堅いことがあります。
  • ただし、投資先の配当方針変更などで変動するリスクもあります。

実践的な活用法

  • 長期の競争力を見極める: まず営業利益の成長率や営業利益率の推移を見て、本業の強さを評価します。例えば、売上が横ばいでも営業利益率が改善しているなら、コスト改善が進んでいる可能性があります。
  • 金利環境のチェック: 金利上昇局面では、支払利息が重くなり経常利益が圧迫されがちです。借入金の規模、利率、固定と変動の比率などを有価証券報告書で確認しましょう。
  • 為替感応度の把握: 海外売上比率が高い企業は、為替差損益が経常利益に効きます。企業の開示資料にある為替感応度の目安を参考に、想定レートとの差も意識します。
  • 予想と実績のギャップ分析: 会社計画やコンセンサス予想と比べて、営業利益の差なのか経常利益の差なのかを切り分けると、何が起きたかが分かります。営業外でのぶれなら一時的かもしれません。
  • セクター比較の軸分け: 同業他社の比較では、まず営業利益で本業比較、次に経常利益で資金調達や金融収支の巧拙を比較する、という二段構えが有効です。
スクリーニングでは、営業利益の安定性を見るために過去3〜5年の営業利益の増減と利益率をチェックし、リスク把握には経常利益のぶれ幅や営業外損益の内訳を確認すると立体的に企業像をつかめます。

よくある誤解

よくある誤解
- 経常利益だけ見れば会社の実力が分かると思う: 営業外の追い風や向かい風で大きくぶれるため、本業の力を測るには営業利益も必須。 - 営業利益が強ければ安心と思う: 借入負担が重いと、経常利益や最終的な資金繰りが厳しい場合がある。 - 受取配当や利息は常に安定と思う: 金利や投資先の方針で変わる。過去の数字を鵜呑みにしない。 - 為替の影響は無視できると思う: 海外売上が多い企業では、為替差損益が経常利益を大きく動かす。 - 特別損益と経常利益をごっちゃにする: 一度きりの損益は経常利益の外で集計されることが多く、性質が異なる。

まとめ

まとめ
- 営業利益は本業のもうけ、経常利益は本業に加えて金融収支や為替などの影響も含む。 - 計算は、営業利益 = 売上高 - 売上原価 - 販売費及び一般管理費、経常利益 = 営業利益 + 営業外収益 - 営業外費用。 - 本業の競争力を測るときは営業利益、総合的な日常運転の成果を見るときは経常利益を重視。 - 金利や為替の環境変化で経常利益はぶれやすい。借入や海外比率の高い企業は要注意。 - スクリーニングや比較では、まず営業利益で基礎体力、次に経常利益で資金面の風向きを確認。 - 決算読みでは、営業外損益の内訳を見て、変動要因が一時的か継続的かを見極める。

用語集

営業利益: 売上から原価と販売費及び一般管理費を差し引いた、本業のもうけ

経常利益: 営業利益に営業外収益を足し、営業外費用を引いた、継続的な総合利益

営業外収益: 受取利息や受取配当金、為替差益など本業以外の収入

営業外費用: 支払利息や為替差損など本業以外の費用

売上原価: 商品やサービスを提供するために直接かかった費用

販売費及び一般管理費: 給与、家賃、広告など会社運営のための間接コスト

特別損益: 火災損失や固定資産売却益など一度きりの要因で発生する損益

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