本日公表された2026年9月末営業毎旬報告によると、日銀の総資産は625兆253億円となり、前月から19兆6,367億円減少した。国債保有残高は504兆79億円まで縮小し、前月比では15兆9,197億円の減少となった。これは直近1年で最大規模の減少幅であり、四半期末特有の大幅減少パターンが今回も繰り返された。
【速報】QTフロー分析:国債15.9兆円減は過去12ヶ月で最大
9月の国債前月比はマイナス15兆9,197億円であり、2025年9月(マイナス14兆8,911億円)、2025年12月(マイナス15兆3,987億円)、2026年3月(マイナス15兆8,104億円)、2026年6月(マイナス14兆7,932億円)に続く5回目の四半期末大幅減少となった。
このパターンは3・6・9・12月の四半期末に国債保有残高が大きく減少し、その間の月は1兆円前後の小幅増加にとどまるという、明確な季節性を示している。実際、直近では7月に1兆395億円増、8月に5,458億円増と小幅な増加が続いた後、9月に反動の大幅減少が発生した。
この四半期パターンの背景には、保有国債の償還スケジュールが集中していることが示唆される。月次ベースの振れが大きいため、単月の数値のみでQTペースを評価するのは適切ではない。
【速報】ストック分析:国債比率は80.6%、政策資産比率は6.2%に上昇
国債比率(対総資産)は80.6%となり、前月の80.7%からほぼ横ばいで推移した。総資産・国債残高がともに大きく減少したため、比率自体への影響は限定的だった。
一方、政策資産比率(ETF+J-REIT+社債の合計が総資産に占める割合)は6.2%となり、前月の6.0%から上昇した。これは分子となるETF・J-REIT・社債の残高がほぼ横ばいで推移する中、総資産の分母が縮小したことによる構成比上昇である。ETF残高自体は前月比278億円減少しており、残高面では緩やかな縮小が継続している。
| 項目 | 2026-08 | 2026-09 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 総資産(兆円) | 644.7 | 625.0 | −19.6 |
| 国債比率(%) | 80.7 | 80.6 | −0.1pt |
| 政策資産比率(%) | 6.0 | 6.2 | +0.2pt |
| 当座預金/総資産(%) | 65.8 | 66.7 | +0.9pt |
この表は、総資産の急減局面において国債比率はほぼ不変だが、政策資産比率は分母効果で相対的に目立つ動きを見せたことを示している。
【文脈】過去推移における位置づけ:12ヶ月累計QTは52.7兆円に拡大
国債前月比の直近12ヶ月累計は、日銀営業毎旬報告のデータに基づく計算でマイナス52兆7,000億円となった。前月(マイナス51兆7,000億円)からさらに拡大しており、年間ベースでのパッシブQTの進行が継続していることを示している。
この12ヶ月累計は2026年6月時点のマイナス49兆2,000億円から、7月マイナス49兆5,000億円、8月マイナス51兆7,000億円、9月マイナス52兆7,000億円と、3ヶ月連続で拡大基調にある。四半期末の大幅償還が累計値を押し上げる構造が明確になっている。
当座預金/総資産比率は66.7%となり、前月の65.8%から上昇に転じた。ただし、過去12ヶ月のレンジで見ると、2025年7月の72.7%をピークに趨勢的な低下傾向が続いており、今回の反発がトレンド転換を意味するかは今後数ヶ月のデータで見極める必要がある。総資産の急減(分母縮小)が当座預金の減少(分子縮小)を上回るペースで進んだ場合、比率は上昇しやすい。9月は総資産が19兆6,367億円減少したのに対し、当座預金は7兆7,266億円の減少にとどまり、結果として比率が上昇した。
発行銀行券は114兆2,474億円となった。過去12ヶ月のデータでは銀行券残高の具体的推移は総資産・国債統計ほど提供されていないため、単月の水準確認にとどめる。
【文脈】企業センチメントとQT環境
日銀短観によると、2026年9月調査(2026-Q3)の業況判断DIは大企業製造業が24.0となり、2026年Q2の22.0から改善した。大企業非製造業は35.0で前期の37.0からやや低下したものの、高水準を維持している。中小製造業は14.0と、2025年Q4の6.0から大幅に改善している。
一方、先行き判断DIは大企業製造業が17.0、大企業非製造業が28.0と、いずれも現状水準を下回っており、企業の先行き慎重姿勢がうかがえる。パッシブQTによる当座預金の趨勢的減少が進む中でも、企業の業況判断は総じて改善方向にあり、現時点でQT進行と実体経済センチメントの悪化が同時進行している状況ではないことが、短観データから確認される。
先行き展望:10-12月の四半期パターンと次回公表への注目点
今後の注目点は以下の通り。
- 10月・11月は過去パターン通りであれば国債残高が小幅増加に転じる可能性があり、その増加幅が従来レンジ(1兆円前後)を維持するか確認が必要
- 12月末は四半期末にあたり、過去の同時期(2025年12月マイナス15兆3,987億円)と同様の大幅減少が再度発生するか注視
- 当座預金/総資産比率が66.7%への反発を起点に反転するか、再び低下トレンドに戻るかの見極め
- 政策資産比率は6.2%まで上昇しており、総資産縮小が続く局面で残高横ばいのETF等の構成比がさらに上昇するかを確認
- 次回の営業毎旬報告(10月公表分)で、12ヶ月累計QTペースがマイナス52.7兆円からどう変化するか
日銀営業毎旬報告は旬次・月次で公表が継続されるため、次回10月末データの公表時には今回確認された四半期パターンの再現性を検証する必要がある。
用語集
| 用語 | 説明 |
|---|---|
| 営業毎旬報告 | 日本銀行が旬ごと(10日ごと)に公表するバランスシートの速報資料。月末時点のデータが月次のバランスシート分析に用いられる。 |
| パッシブQT | 日銀が能動的に国債を売却するのではなく、保有国債の償還を迎えて再投資を抑制することで、自然に資産規模が縮小していく量的引き締め(Quantitative Tightening)の形態。 |
| フロー効果 | 国債の月次購入・減少量が市場の需給バランスや価格形成に与える影響。QTペースの変化そのものが注目される。 |
| ストック効果 | 中央銀行が累積的に保有する国債残高が、長期金利水準やタームプレミアムを抑圧する効果。残高水準や比率の趨勢が重視される。 |
| 政策資産 | 日銀が金融政策の一環として保有するETF、J-REIT、社債の合計。量的緩和期に積み増された資産であり、その構成比の推移が政策スタンスの指標となる。 |
| 当座預金/総資産比率 | 日銀当座預金残高を総資産で除した比率。負債側の流動性構造を示し、金融機関の準備預金水準の相対的な大きさを表す。 |
| 業況判断DI | 日銀短観における企業の業況判断を示す指数。「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いて算出される。 |
本コラムは日本銀行公表の営業毎旬報告データ、FRED(FRBバランスシート)、ECB統計データ等をAIが統合分析して自動生成した日銀バランスシート分析記事です。特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談の上、行ってください。