本日公表された2026年7月末の営業毎旬報告によると、日本銀行の総資産は644兆2,957億円となり、前月比で4兆7,448億円の増加となった。国債残高は519兆3,818億円で、前月比は+10,395億円の増加を記録している。6月末に記録した14兆7,932億円の大幅減少からの反動増であり、四半期末特有の変動パターンを踏まえた評価が必要になる局面だ。
【速報】QTフロー分析:反動増局面での月間+1兆円ペース
2026年7月の国債前月比は+10,395億円で、増加に転じた。過去12ヶ月の月次推移を見ると、日銀の国債残高は「大幅減少月」と「小幅増加月」を交互に繰り返すパターンが定着している。2025年9月(-148,911億円)、12月(-153,987億円)、2026年3月(-158,104億円)、6月(-147,932億円)といった四半期末に大規模な減少が発生し、その間の月は概ね1兆円前後の増加で推移する構図だ。
7月の+10,395億円という増加幅は、直近の増加局面(2026年1月+11,876億円、4月+10,793億円、5月+11,867億円)とほぼ同水準にある。この動きは、四半期末の大幅減少が償還集中などの技術的要因を反映している可能性を示唆し、月中の実勢としては月間1兆円強の緩やかな積み増しが継続していると解釈できる。
総資産全体も前月比+47,448億円と、国債の増加におおむね連動する形で増加した。当座預金は前月比-23,523億円の減少となり、資産・負債両サイドで縮小基調が継続している構図が確認される。
【速報】ストック分析:国債比率は80.6%、政策資産ウェイトは高止まり
2026年7月末の国債比率(対総資産)は80.6%となり、6月末の81.0%からわずかに低下した。ただし、これは6月の急減後の反動という技術的な動きであり、過去12ヶ月のレンジ(78.9%〜81.0%)の中では引き続き高水準に位置する。
政策資産比率(ETF+J-REIT+社債の合計/総資産)は6.1%で、6月末と同水準を維持した。ETF残高は37兆98億円で、前月比305億円の減少となっている。ETF残高は2025年6月以降、毎月小幅な減少が続いており、処分ペースは緩やかながら一貫している。社債比率は0.2%まで低下し、過去12ヶ月で最も低い水準となった。
| 月 | 国債比率(%) | ETF比率(%) | 政策資産比率(%) |
|---|---|---|---|
| 2026-04 | 80.2 | 5.6 | 6.0 |
| 2026-05 | 80.2 | 5.6 | 6.0 |
| 2026-06 | 81.0 | 5.8 | 6.1 |
| 2026-07 | 80.6 | 5.7 | 6.1 |
この表から、国債比率が高水準で推移する一方、ETF・社債という政策資産の圧縮は緩慢なペースにとどまっていることが読み取れる。バランスシートの主要な縮小ドライバーは国債と貸付金であり、政策資産の残高調整は相対的に後回しになっている構図だ。
【文脈】12ヶ月累計で見るパッシブQTの進行度
国債前月比の12ヶ月移動累計は、2026年7月時点で-51.2兆円となった。6月時点の-49.2兆円からさらにマイナス幅が拡大しており、年間ベースでの国債残高縮小トレンドは継続している。この12ヶ月累計の推移を見ると、5月の-47.6兆円から6月-49.2兆円、7月-51.2兆円と、直近3ヶ月で緩やかにマイナス幅が拡大している。
| 月 | 12ヶ月累計(兆円) |
|---|---|
| 2026-05 | −47.6 |
| 2026-06 | −49.2 |
| 2026-07 | −51.2 |
この表は、四半期末の大幅減少が積み重なることで、年間ベースの国債圧縮ペースが緩やかに加速していることを示している。単月の増減に一喜一憂せず、この12ヶ月累計こそがパッシブQTの実勢ペースを捉える指標といえる。
流動性環境では、当座預金/総資産比率が2026年7月末で68.0%となった。2025年6月の73.7%から約6ポイント低下しており、過去12ヶ月を通じて緩やかな低下トレンドが続いている。同比率は2026年2月に67.4%まで低下した後、3月・4月に一時反発したが、5月以降は68%前後で下げ止まりの様相を見せている。発行銀行券は114兆9,807億円で、他の指標と合わせて負債側の構造変化を確認する材料となる。
【文脈】企業センチメントとQT環境
日銀短観の業況判断DIを見ると、2026年6月調査で大企業製造業は22、大企業非製造業は37と、いずれも改善基調にある。中小企業製造業も2025年9月調査の1から2026年6月調査の9まで、緩やかながら着実な改善を示している。
先行き判断DIは総じて最近の水準を下回っており、大企業製造業の先行きは14、非製造業の先行きは29となっている。この最近と先行きのギャップは、企業が現状の良好な業況が今後やや調整される可能性を織り込んでいることを示す。パッシブQTが進行する中でも、短観の業況判断DIが総じて改善方向にあることは、バランスシート縮小と企業マインドの間に急激な負の相関が生じていないことを示唆する材料となる。
先行き展望
今後の注目点は、8月以降の国債前月比が7月と同様の増加基調を維持するか、それとも四半期末に向けて再び大幅減少に転じるかである。過去12ヶ月のパターンを踏まえると、9月末の営業毎旬報告で再度大幅な減少が発生するかどうかが、次の重要な観察ポイントとなる。
当座預金/総資産比率が68%近辺で下げ止まっているように見えるが、この水準が新たなレンジの下限として定着するのか、それともさらなる低下余地があるのかは、今後数ヶ月のデータ蓄積を待つ必要がある。ETF・社債といった政策資産の圧縮ペースについても、月間300億円前後という緩やかな処分速度が今後加速するかどうかを注視すべきである。次回の営業毎旬報告公表時には、これらの指標が四半期末効果を除いた実勢トレンドとしてどのように推移するかを改めて検証する。
用語集
| 用語 | 説明 |
|---|---|
| 営業毎旬報告 | 日本銀行が10日ごとに公表するバランスシートの速報データ。資産・負債の主要項目の残高を示し、金融政策の実施状況を月内で把握できる一次資料。 |
| パッシブQT | 中央銀行が積極的な売却を行わず、保有国債の満期到来・償還を通じて自然に残高が減少していく量的引き締めの形態。日銀は新規買入れを抑制しつつ償還を迎えることで残高を縮小させている。 |
| ストック効果 | 中央銀行が保有する資産の累積残高水準が、長期金利やタームプレミアムを継続的に押し下げる効果。フロー効果(月次の売買量)とは異なり、残高そのものの多寡が金利形成に影響する。 |
| フロー効果 | 中央銀行による国債等の月次の購入・減少量が、市場の需給バランスや価格形成に与える短期的な影響。QTのペース変化が市場に与えるインパクトを評価する際に用いられる概念。 |
| 政策資産 | 日銀が金融政策の一環として非伝統的に購入したETF、J-REIT、社債の合計を指す。国債とは異なり、株式・不動産・信用リスクを伴う資産である点が特徴。 |
| 当座預金/総資産比率 | 日銀当座預金残高を総資産で除した比率。負債側の流動性供給規模を示す指標で、比率の低下は市中への資金供給が総資産に対して相対的に縮小していることを意味する。 |
| 業況判断DI | 日銀短観における企業の景況感を示す指数。「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を差し引いて算出し、プラスであれば景況感が良好であることを示す。 |
本コラムは日本銀行公表の営業毎旬報告データ、FRED(FRBバランスシート)、ECB統計データ等をAIが統合分析して自動生成した日銀バランスシート分析記事です。特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談の上、行ってください。