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日銀BS625兆円、国債の四半期純減は14.3兆円に拡大

2026年9月の日銀総資産は625.0兆円で前年比10.2%減。国債の四半期純減は14.3兆円と直近4四半期で最大になった。FRBの総資産が増加するなか、日銀とECBの縮小が続く構図を分析する。

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日銀バランスシートQQE量的緩和

2026年9月の日銀バランスシートでは、国債の四半期純減が14.3兆円に達し、直近4四半期で最大の縮小幅となった。日銀営業毎旬報告によると、総資産は625.0兆円で前年同月比10.2%減、国債の12ヶ月累計減少は52.7兆円である。四半期末月の減少幅がほぼ一定の一方、それ以外の月の国債純増が四半期合計で縮小しており、これが四半期純減の拡大につながっている。一方、FRBの総資産は増加基調にあり、主要3中銀の総資産の方向は分岐している。

1. QQE出口の定量評価:四半期純減は14.3兆円へ拡大

国債保有の四半期純減の拡大は、四半期末月の減少幅の拡大よりも、それ以外の月の純増縮小によって説明される。国債残高は3・6・9・12月に約15兆円ずつ減少し、他の月は1兆円前後の純増にとどまる。この鋸歯状のパターンは、四半期末月に満期償還が集中し、それ以外の月に買入れが続くというパッシブQTの姿と整合的である。ただし、提供データは残高のみで、償還額・買入れ額・再投資方針の内訳は含まれていない。このため、各月の変化を償還と買入れに分解することはできない。

四半期非四半期末月の純増計(億円)四半期末月の変化(億円)四半期純減(億円)
2025年Q4+30,362−153,987−123,625
2026年Q1+22,848−158,104−135,256
2026年Q2+22,660−147,932−125,272
2026年Q3+15,853−159,197−143,344

四半期末月の減少幅は14.8〜15.9兆円で比較的安定している。これに対し、非四半期末月の純増計は2025年Q4から2026年Q3にかけて約48%縮小した。四半期純減の拡大は、主にこの純増側の縮小によって生じている。

ただし、月単位の純増は単調に縮小しているわけではない。4月の10,793億円から5月は11,867億円へ、7月の10,395億円は前月の四半期末月を挟んで5月並みの水準にある。直近の8月は5,458億円で、前年10月の14,010億円の半分以下にとどまった。純増縮小が買入れ減額によるものか、月内の償還発生によるものかは、残高データだけでは判別できない。

12ヶ月累計の減少は8月の51.7兆円から9月は52.7兆円へ拡大した。これは前年9月の国債残高の約9.5%に相当する。保有国債を年率1割弱のペースで圧縮する段階にあることを示している。

2. バランスシート構造分析:国債比率は約80%で横ばい、貸付金が構成変化を主導

資産構成の変化を主導しているのは国債比率の低下ではなく、貸付金の縮小である。国債と総資産がほぼ同率で減少しているため、国債比率は80.0%から80.6%と横ばい圏にある。

項目2025年9月(兆円)2026年9月(兆円)前年差(兆円)前年比
総資産695.8625.0−70.8−10.2%
国債556.8504.0−52.8−9.5%
貸付金83.868.4−15.4−18.4%
ETF37.237.0−0.2−0.5%

総資産の前年比減少70.8兆円の内訳は、国債が約75%、貸付金が約22%を占める。貸付金の減少率(18.4%)は国債(9.5%)の約2倍である。貸付金は四半期末月に減少し、1月・7月に一部戻る動きを繰り返している。提供データには各オペの期日や実行額の内訳がないため、このパターンの要因特定は今後の課題として残る。

政策資産は分母効果で比率が上昇

政策資産(ETF・J-REIT・社債)の合計は約38.7兆円で、総資産比は6.2%と前年の5.9%から上昇した。ただし、ETFの減少は2026年1〜9月の累計で約2,300億円にとどまる。比率の上昇は主に総資産縮小による分母効果である。社債比率は0.5%から0.2%へ低下している。

総資産に占めるETFのウェイトは、日銀固有のリスク資産エクスポージャーである。国債残高の減少が進むほど、このエクスポージャーの相対的な重みは増していく。

3. 準備預金と流動性環境:当座預金は総資産より速く減少

当座預金は前年比85.5兆円減(17.0%減)となり、総資産の減少(70.8兆円)を上回るペースで縮小している。日銀営業毎旬報告によると、9月の当座預金は416.6兆円であった。

月当座預金(兆円)前月差(兆円)当座預金/総資産(%)
2026年6月440.4−11.768.9
2026年7月438.0−2.468.0
2026年8月424.3−13.765.8
2026年9月416.6−7.766.7

9月は当座預金が減少したにもかかわらず、比率は上昇した。総資産が19.6兆円減と当座預金以上に縮んだためである。一方、8月は総資産が微増したのに当座預金は13.7兆円減少した。資産側と当座預金の動きがずれる場合、当座預金以外の負債の増減が差を埋めていることになる。ただし、提供データには負債側の月次内訳がないため、どの項目が差を生んだかは特定できない。月次比率は振れが大きく、前年差で趨勢を判断する方が適切である。

発行銀行券は114.2兆円である。日銀統計補助データのマネタリーベースは532.8兆円で、銀行券と当座預金の合計(530.8兆円)を約2.0兆円上回る。この差額の内訳は提供データからは確認できない。マネタリーベースの約8割を当座預金が占めている。このため、当座預金の圧縮がマネタリーベースの縮小に直結する構造である。

当座預金は依然として400兆円を上回る。ただし、所要準備額や超過準備額のデータは提供されておらず、準備の過不足を直接評価することはできない。ウォッチすべきは、四半期末月に当座預金が10兆円超減少した局面で、コール市場の金利が上振れするかどうかである。

4. 3中央銀行BS比較:FRBは増加、日銀とECBは縮小継続

共通データがそろう2026年1月から9月で比較すると、縮小ペースは日銀が最も速く、FRBは逆方向に動いている。

中銀2026年1月2026年9月8ヶ月変化率月平均変化率
BOJ(兆円)682.9625.0−8.5%−1.1%
FRB(兆ドル)6.596.75+2.4%+0.3%
ECB(兆ユーロ)6.295.90−6.2%−0.8%

9月単月の前月比は、日銀が-3.1%、FRBが+0.3%、ECBが-0.2%であった。日銀の月次変化は四半期末月に集中するため、単月比較は過大評価になりやすい。月平均で比べると、日銀の縮小ペースはECBの約1.4倍である。

FRBの総資産はデータ期間を通じて緩やかに増加している。ECBは7月に前月比約2.9%減と大きく縮小した。両中銀について、資産項目別の内訳や政策運営の詳細は提供データに含まれていない。このため、増減の要因(パッシブかアクティブか)は総資産データだけでは判別できない。なお、対GDP比での比較に必要なGDPデータも提供されていないため、規模の比較は本稿の対象外とする。

2026年1〜9月に限れば、3中銀が同時に縮小する局面にはなっていない。FRBの総資産が増加している期間は、日銀・ECBの縮小が世界的な資産縮小として重なる度合いが限られている。

5. 物価環境との関連:CPIは2%を下回るなかでQTが継続

物価の伸びは2%を下回っているが、国債保有の縮小ペースは緩んでいない。総務省統計局によると、2026年8月のCPI前年比は総合1.9%、コア1.7%、コアコア1.9%であった。2025年10月はそれぞれ3.0%、3.0%、3.1%だったため、1年弱で1%ポイント強低下している。

コアコアCPIは2026年3月の2.4%から6月に1.7%まで低下した後、7〜8月は1.9%で下げ止まっている。この物価減速局面でも、国債の四半期純減は12〜14兆円台で推移した。データ上、BS縮小のペースが物価の短期的な変動に合わせて調整された形跡は確認されない。

対立解釈として、ストック効果の縮小(タームプレミアムの上昇)がディスインフレに寄与した可能性もある。ただし、コアコアの低下は2026年初から始まっており、四半期純減の拡大(Q3)とは時期が一致しない。現時点のデータでは、QTが物価減速の主因であるとは言えない。

6. 実体経済との整合:景気指数は高水準を維持

内閣府の景気動向指数によると、BS縮小が進む一方で景気指標は底堅い。

  • 先行指数:2026年8月は118.0。前年同月(106.9)から11.1ポイント上昇
  • 一致指数:2026年8月は118.7。7月(120.6)からは低下したが、前年同月(114.0)を4.7ポイント上回る
  • 遅行指数:112.1で、前年同月(112.7)とほぼ同水準

総資産が前年比1割縮小した期間に、先行・一致指数はいずれも上昇した。現段階では、QTが実体経済の下押し要因として景気指数に表れていない。ただし、銀行の貸出データは提供されておらず、準備預金の減少が貸出行動に与える影響は本稿では検証できない。

7. 企業センチメント:製造業は改善、先行きは慎重

日銀短観では、QT進行下でも製造業の業況判断が改善した。2026年Q3の大企業製造業DIは24で、2025年Q4の15から9ポイント上昇した。中堅製造業は23(同+7)、中小製造業は14(同+8)と、企業規模を問わず改善している。

一方、先行きDIは大企業製造業が17、大企業非製造業が28で、いずれも最近の値を7ポイント下回る。大企業非製造業は2026年Q2の37から35へ低下した。企業は足元の好調と先行きの慎重さを同時に示している。仮にQT進行に伴って長期金利が上振れした場合、その資金調達コストへの影響は次回短観で確認すべき論点となる。

8. 構造的整合性:金利水準とBS縮小の並存

クロスリファレンスを統合すると、短期金利が1%を超える環境のもとで、物価の動きとは別にBS縮小が続いていることが確認される。

  • BS×金融政策:2026年10月のコールレートは1.227%である。提供データは1時点のみで、政策金利の推移と国債純減の時系列関係は検証できない。プラス金利環境とBS縮小が並存している点は確認できる
  • BS×物価:CPI総合は2026年8月時点で1.9%と2%を下回るが、四半期純減は縮小していない。BS縮小のペースは物価の短期変動と連動していない
  • BS×流動性:当座預金の前年比17.0%減に対し、景気指数と短観は改善している。準備預金の減少が実体経済の悪化として表れている兆候は確認されない
  • 3中銀比較:FRBの総資産が増加、ECBが縮小という環境のなかで、日銀の縮小ペースは3中銀で最も速い

なお、コールレート(2026年10月)とCPI総合(2026年8月)は時点が異なる。単純な差をとると実質短期金利は-0.7%程度となるが、これは参考値にとどまる。実質金利がマイナス圏にある限り、BS縮小は緩和度合いの調整であって、明確な引き締めとは言い難い。

9. リスク評価と先行き展望:年50兆円超の減少経路と3つのシナリオ

現行の12ヶ月累計ペース(52.7兆円減)が続けば、国債残高は機械的試算で2027年9月に約451兆円、2028年9月に約399兆円となる。非四半期末月の純増が四半期合計で縮小する傾向が続けば、実際の減少はこの試算を上回る可能性がある。

金利リスクについては、保有国債の平均残存期間や時価のデータが提供されていない。このため、評価損の定量化は控える。ただし、短期金利が1%を超える局面では、当座預金への付利コストが上昇する。一方で、満期到来により保有利回りが更新されるには時間がかかる。このタイムラグが日銀の収益を圧迫する経路は構造的に存在する。

想定されるシナリオは次のとおりである。

  • 基本シナリオ:四半期純減12〜15兆円が続き、当座預金は400兆円を割り込む方向に進む。四半期末月のコール金利の動きで短期市場への影響を確認する
  • 利上げ加速シナリオ:付利コストの上昇と保有国債の評価損拡大が同時に進む。四半期末に当座預金が大きく減少する月に、コール金利が上振れするかを確認する必要がある
  • グローバルQT同期シナリオ:FRBの総資産が増加している間は蓋然性が低い。ECBの縮小ペースが7月のような月次3%近い水準で定着し、FRBも縮小に転じた場合、債券需給への影響を再評価すべきである

次回以降の重要な確認点は3つある。第一に、12月の四半期末月の国債純減が15兆円を超えるか。第二に、当座預金/総資産比率が65%を下回るか。第三に、非四半期末月の純増が5,000億円を下回るか。これらは、国債残高の減少がどこまで加速するかを測る指標となる。


データソース

  • 出典: 日本銀行 営業毎旬報告
  • Source: Federal Reserve Bank of St. Louis (FRED)
  • Source: European Central Bank, Statistical Data Warehouse
  • 総務省統計局 消費者物価指数、内閣府 景気動向指数、日本銀行 短観・統計補助データ(コールレート、マネタリーベース)

用語集

用語説明
パッシブQT保有債券の満期償還分を再投資しない、または買入れを償還額より少なくすることで、売却を伴わずにバランスシートを縮小する手法。
12ヶ月累計QTペース国債保有残高の前月比変化を直近12ヶ月分合計した値。四半期末月に減少が集中する季節性をならし、年間の正常化ペースを測る指標。
当座預金/総資産比率日銀の負債のうち金融機関の当座預金が総資産に占める割合。準備預金を通じた流動性供給の厚みを示す。
政策資産比率ETF・J-REIT・社債の合計が総資産に占める割合。日銀固有のリスク資産エクスポージャーの大きさを示す。
分母効果ある資産の残高がほぼ変わらなくても、総資産が縮小することで構成比が上昇する現象。
マネタリーベース日銀が供給する通貨の総量。発行銀行券、貨幣流通高、日銀当座預金の合計。

本コラムは日本銀行公表の営業毎旬報告データ、FRED(FRBバランスシート)、ECB統計データ等をAIが統合分析して自動生成した日銀バランスシート分析記事です。特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談の上、行ってください。

出典:日本銀行

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