記事一覧に戻る
96272027 第1四半期プライムJGAAP

アインホールディングス(9627) 2027年度第1四半期決算

2027年度第1四半期の売上高は1,771億円(前年同期比+33.2%)、営業利益は46.1億円(同+8.4%)。以下、セグメント別の増減要因とキャッシュフローを確認します。

小売/小売業


クイックビュー

指標当期前年同期YoY
売上高¥1771.2億¥1329.7億+33.2%
営業利益¥46.1億¥42.5億+8.4%
経常利益¥39.2億¥42.6億−8.0%
純利益¥19.8億¥19.3億+2.3%
ROE(年換算)5.0%4.9%-

Executive Summary

売上高が大型増収となる一方、粗利率低下と金融費用増加により利益成長は限定的にとどまった決算である。売上高は1771.2億円(前年比+33.2%)、営業利益は46.1億円(同+8.4%)、経常利益は39.2億円(同-8.0%)、親会社株主に帰属する純利益は19.8億円(同+2.3%)となった。主力のファーマシー事業の高成長が全社売上を牽引したが、営業利益率は前年の3.2%から2.6%へ低下し、加えて支払利息の増加(1.1億円→6.7億円)が経常減益の主因となった。

業績変動要因

【売上高】売上高は前年比+33.2%と大幅増収。セグメント別ではファーマシー事業(調剤薬局)が1512.9億円(+39.3%)と連結売上の85.4%を占め成長を牽引し、リテール事業(ドラッグ・化粧品店)は230.2億円(+6.7%)にとどまった。

【損益】営業利益は46.1億円(+8.4%)と増収に追いつかず、営業利益率は前年3.2%から2.6%へ低下した。粗利率も16.4%から14.6%へ約1.8pt低下しており、販管費率の改善(13.2%→12.0%)では相殺しきれなかった。経常利益は支払利息が1.1億円から6.7億円へ増加した影響で39.2億円(-8.0%)へ減益。特別損失6.9億円(うち投資有価証券評価損5.1億円)は一時的要因として税引前利益を32.7億円まで押し下げた。純利益は前年の税負担が相対的に重かった反動もあり19.8億円(+2.3%)を確保した。全体としては増収増益(営業利益ベース)だが、経常利益・税引前利益段階では減益であり、増収の割に利益転換力が弱い決算といえる。

セグメント別分析

ファーマシー事業は売上1512.9億円(+39.3%)、セグメント利益(経常利益ベース)51.3億円(+21.2%)、利益率3.4%と増収増益だが利益率は低水準。リテール事業は売上230.2億円(+6.7%)に対し利益28.9億円(-0.9%)と増収減益で、利益率12.5%は相対的に高いものの前年からの低下がみられる。全社の成長は調剤薬局事業への依存度が高く、同事業が売上の86.8%を占める構造である。

主要財務指標

【収益性】営業利益率2.6%(前年3.2%)、純利益率1.1%と、増収の一方で利益率は低下傾向にある。年換算ROEは5.0%、自己資本比率は31.1%(前年31.2%からほぼ横ばい)。【キャッシュ品質】税引前利益32.7億円に対し法人税等12.9億円を控除後、純利益19.8億円となっており、実効税率は約39.5%。【投資効率】のれん1913.8億円は純資産1579.9億円の121.1%に達し、無形資産(のれん含む)は総資産の40.5%を占め、M&Aで形成した資産の収益化が課題となる。【財務健全性】流動資産1730.3億円に対し流動負債1895.3億円で流動比率は91.3%と1倍を下回る。長期借入金1460.4億円を含む有利子負債は高水準で、負債依存度の高い資本構成となっている。

キャッシュフロー分析

CF計算書の詳細開示はないが、貸借対照表の推移から資金動向を確認できる。現金及び預金は542.6億円で前年同期の509.3億円から増加している一方、買掛金は1183.7億円(前年1138.7億円)と増加し、運転資本を通じた資金調達への依存がうかがえる。長期借入金は1460.4億円から1511.1億円へと変化しており、有利子負債全体としては高水準が継続している。現金預金は短期借入金205.8億円の2.6倍にあたり、短期的な返済資金は確保されている一方、流動比率91.3%は短期流動性の面でモニタリングが必要な水準である。

収益の質

経常利益と純利益の乖離は、営業外費用における支払利息の増加(6.7億円、前年1.1億円)と、特別損失6.9億円(うち投資有価証券評価損5.1億円、固定資産除売却損0.6億円)という一時的要因によって生じている。包括利益は22.0億円で、純利益19.8億円との差異は有価証券評価差額金2.6億円、繰延ヘッジ損益0.5億円等のその他の包括利益項目によるもので、純利益と包括利益の乖離は限定的である。営業外収益は受取配当金0.2億円等小規模にとどまり、本業以外の収益貢献は小さく、利益の質は本業の粗利率・販管費率の動向に強く依存している。

業績予想・ガイダンス

通期会社計画は売上高7215.0億円(+11.4%)、営業利益325.0億円(+8.9%)、経常利益300.0億円(+5.6%)である。Q1累計の進捗率は売上高24.5%と季節性の範囲内である一方、営業利益進捗率は14.2%と標準的な25%を10.8pt下回る。経常利益進捗率も13.1%程度にとどまり、上期・下期の利益計画達成には粗利率の安定と金融費用・一時損益の平準化が前提となる。業績予想の修正はない。

株主還元

通期配当予想は1株あたり100円で、修正はない。予想EPS426.74円に基づく予想配当性向は約23.4%であり、一般的な還元目安である60%を下回る水準にとどまる。有利子負債の水準や流動比率91.3%を踏まえると、株主還元の評価にあたっては利益水準に加え、負債圧縮や資金創出力とのバランスが観察点となる。

リスク要因

  1. 事業集中リスク: ファーマシー事業が連結売上高の86.8%を占め、調剤報酬・薬価制度改定や薬剤師確保、人件費上昇が全社業績に大きく波及する構造にある。

  2. 財務レバレッジと流動性: D/E比率は2.22倍、流動比率は91.3%、当座比率は65.3%であり、いずれも1倍前後ないし高レバレッジの水準にある。支払利息は前年1.1億円から6.7億円へ増加しており、金利変動への感応度が高まっている。

  3. のれん・無形資産の集中: のれん1913.8億円は純資産の121.1%に達し、無形資産は総資産の40.5%を占める。買収先の収益計画未達時には減損損失発生の可能性がある。

業種ベンチマーク(参考・当社調べ)

業種ベンチマーク(retail)

収益性・リターン

指標自社中央値 (IQR)Delta
営業利益率2.6%3.2% (0.7%–7.3%)−0.6pt
純利益率1.1%2.1% (0.4%–5.9%)−1.0pt

収益性は業種中央値をいずれも下回り、低マージン構造が業種内でも相対的に目立つ。

成長性・資本効率

指標自社中央値 (IQR)Delta
売上高成長率(前年比)33.2%7.7% (1.4%–14.4%)+25.5pt

売上高成長率は業種中央値を大幅に上回り、業種内では突出した増収企業に位置づけられる。

※出所: 当社調べ

決算上の注目ポイント

  1. 売上高は業種内で突出した+33.2%の伸びを示す一方、営業利益率は業種中央値を下回る2.6%にとどまり、増収を利益成長へ転換する力の弱さが決算上の注目点である。

  2. のれんが純資産の121.1%に達し、D/E比率も2.22倍と高水準であることから、M&Aで形成した資産の収益化状況とバランスシートの規律が継続的な観察点となる。

  3. 通期計画に対するQ1進捗率は、売上高24.5%に対し営業利益14.2%・経常利益13.1%と利益面で下回っており、下期における粗利率改善や金融費用の動向が通期実績を左右する構造にある。

理論株価(参考値)

シナリオ理論株価
bear(弱気)4,347円
base(基準)4,542円
bull(強気)4,647円
算出前提
1株純資産(BPS)4,491円
調整後予想EPS438.5円
株主資本コスト r9.37%(10年国債 2.87% + 株式リスクプレミアム 6.00% + 規模プレミアム 0.50%)
残余利益の持続係数 ω / 明示予測0.62 / 5年
想定配当性向23.4%
予想EPSの信頼度調整×1.028(同業種のガイダンス達成率実績に基づく)
implied PBR / PER1.01倍 / 10.4倍

感応度: 株主資本コスト±1%で 4,414円〜4,677円、ω±0.1で 4,541円〜4,544円。

注記:

  • 税負担・買収関連費用・少数株主持分等により、営業利益に対して純利益が大きく圧縮されています(純利益÷営業利益 46%)。本値はその圧縮を額面どおり反映しており、要因が一時的であれば実力値はこれより高い可能性があります。
  • 純資産に対するのれんの比率が高く、減損が発生した場合は前提が大きく変わります。
  • 四半期末時点の純資産を使用しています(通期予想との間に期間のずれがあります)。
  • 純資産に非支配株主持分を含むため、理論値はやや高めに算出される可能性があります。

(算出モデル: 残余利益モデル(Ohlson型・明示5年フェード) / 金利基準月: 2026-08 / 公表データのみからの機械算出値であり、市場株価の予測や特定の投資行動の推奨ではなく、将来の株価を予測・保証するものではありません)


本レポートはXBRL決算短信データをAIが分析して自動生成した決算解析資料です。特定銘柄への投資を推奨するものではありません。業種ベンチマークは公開決算データを基に当社が集計した参考情報です。投資判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談の上、行ってください。