記事一覧に戻る
90642027 第1四半期プライムJGAAP

ヤマトホールディングス(9064) 2027年度第1四半期決算 増収1%

2027年度第1四半期の売上高は4,433億円(前年同期比+1.4%)、営業損失は48.7億円。以下、セグメント別の増減要因とキャッシュフローを確認します。

運輸・物流/陸運業


クイックビュー

指標当期前年同期YoY
売上高¥4433.3億¥4373.5億+1.4%
営業利益−¥48.7億−¥64.9億+25.0%
経常利益−¥49.4億−¥66.6億+25.8%
純利益−¥58.3億−¥53.9億−8.2%
ROE(年換算)−4.1%−3.7%-

Executive Summary

増収と営業赤字縮小を達成した一方、減損損失計上に伴う特別損失により純損失は拡大しており、増収減益の決算である。売上高は4433.3億円(前年比+1.4%)、営業損益は-48.7億円(前年-64.9億円から16.2億円改善)、経常損益は-49.4億円(同25.8%改善)となった。一方、純利益は-58.3億円で前年の-53.9億円から8.2%悪化した。主因はエクスプレス事業で計上した減損損失16.1億円を含む特別損失18.6億円であり、営業段階の改善効果を上回った。

業績変動要因

【売上高】売上高は4433.3億円、前年比+1.4%の増収。コントラクト・ロジスティクス(+9.1%)、モビリティ(+8.7%)、グローバル(+6.1%)が牽引した一方、連結売上の82.3%を占める主力エクスプレス事業は+0.4%にとどまり、成長の重石となっている。

【損益】営業損益は-48.7億円で前年の-64.9億円から16.2億円改善し、営業利益率は-1.1%(前年-1.5%から改善)。経常損益もほぼ同水準の-49.4億円にとどまり、営業外損益は概ね収支均衡である。一方、エクスプレス事業で使用用途変更に伴う減損損失16.1億円を含む特別損失18.6億円を計上し、純損失は-58.3億円(前年比-8.2%)と拡大した。これは一時的要因による悪化であり、営業段階の改善とは方向が異なる。結論として、増収減益の決算である。

セグメント別分析

セグメント別では、主力のエクスプレス事業が売上3646.8億円(構成比82.3%)に対し営業損失131.4億円を計上し、連結損益の最大の下押し要因となっている。前年の-134.4億円から2.98億円の縮小にとどまり、利益率は-3.6%と依然低採算である。一方、コントラクト・ロジスティクス(売上411.7億円、利益19.1億円、利益率4.6%、利益YoY+57.3%)、グローバル(売上263.3億円、利益26.6億円、利益率10.1%)、モビリティ(売上55.4億円、利益20.5億円、利益率37.0%)は増収増益で高採算を維持している。その他セグメントは売上-13.8%と減収だが利益率27.1%を確保した。エクスプレス事業以外の各事業が黒字を積み上げているものの、規模面で主力事業の赤字を相殺するには至っていない。

主要財務指標

【収益性】営業利益率は-1.1%(前年-1.5%から改善)、純利益率は-1.3%。年換算ROEは-4.1%で、赤字による純利益率のマイナス化が主因であり、資産回転率(約1.37倍)やレバレッジ(約2.26倍)自体に大きな異常はない。【キャッシュ品質】営業CFは91.9億円で純損失を上回るが、未払費用の増加460.5億円に大きく支えられており、賞与引当金の減少181.5億円、買掛金の減少150.2億円、売掛金の増加84.2億円が資金流出要因となっている。設備投資35.2億円は減価償却費132.1億円を大幅に下回り、投資水準は抑制的である。【投資効率】ROICはマイナス水準にあり、資本集約的な物流ネットワークに対して営業利益が不足している状況が続く。【財務健全性】自己資本比率は44.3%(前年44.6%から小幅低下)。現金及び預金2319.6億円は短期借入金324.1億円を大きく上回り短期の資金繰りに余裕がある一方、短期借入金は前年比+51.3%と増加しており、資金調達構造の変化には留意が必要である。

キャッシュフロー分析

営業CFは91.9億円のプラスで、投資CF-81.3億円(うち設備投資35.2億円)を差し引いたフリーキャッシュフローは10.6億円の黒字を確保した。財務CFは-81.5億円で、配当金支払71.3億円が主因である。営業CFは前年同期の184.8億円から50.3%減少しており、減価償却費132.1億円や減損損失16.1億円という非資金項目に加え、未払費用の増加460.5億円が下支えした一方、賞与引当金の減少181.5億円、買掛金の減少150.2億円、売掛金の増加84.2億円が資金流出となった。純損失計上下で営業CFがプラスとなっている点は、運転資本の一時的な受払タイミングに左右されている可能性があり、通常の「利益の現金化不足」とは異なる文脈として捉える必要がある。現金及び現金同等物の期末残高は2311.8億円で、流動性バッファーは維持されている。

収益の質

当期の損益は経常的な営業損益改善と一時的な特別損失の悪化という異なる方向の要因が併存している。営業損益は-48.7億円、経常損益は-49.4億円とほぼ同水準で、営業外収益14.6億円(受取配当金4.0億円等)と営業外費用15.3億円(支払利息7.4億円、為替差損3.4億円等)はおおむね均衡している。これに対し特別損失18.6億円は、エクスプレス事業の資産用途変更に伴う減損損失16.1億円が中心であり、非経常的な性質が強い。この一時的損失により税引前損失は-67.0億円まで拡大し、純損失は-58.3億円となった。包括利益は-24.4億円で親会社株主分は-24.8億円と純損失を若干上回る悪化幅にとどまり、有価証券評価差額金+36.7億円が一部相殺している。減損を除けば営業段階の構造的な赤字が本質的な課題として残る。

業績予想・ガイダンス

通期予想は売上高1兆9180億円、営業利益420億円(前期比+48.4%)、経常利益420億円(同+59.9%)、EPS予想50.52円で、当四半期に修正はない。Q1の売上進捗率は23.1%と標準的な25%をやや下回る水準にとどまり、営業利益は48.7億円の赤字であるため、通期計画達成には残り3四半期での大幅な採算改善が必要となる。特にエクスプレス事業の損失縮小ペースが、通期計画達成の可否を左右する主要な変数である。

株主還元

通期の1株当たり配当予想は46.0円で、当四半期に修正はない。期中平均株式数316,676,594株から算出される予想配当総額は約145.7億円で、通期の親会社株主帰属当期純利益予想160億円に対する予想配当性向は約91.0%となる。当四半期は純損失計上のため四半期利益に基づく配当性向は算定できず、配当の持続性は通期計画の達成度に依存する。Q1の配当金支払額71.3億円は営業CF91.9億円の範囲内で賄われている。自社株買いは当四半期に実施されておらず、上記91.0%は自社株買いを含まない配当性向であり、総還元性向ではない。

リスク要因

  1. 主力エクスプレス事業の低採算構造: 売上3646.8億円(連結の82.3%)に対し営業損失131.4億円を計上しており、規模の大きさゆえに連結収益性への影響が大きい。前年比での損失縮小は2.98億円にとどまる。

  2. レバレッジ・利払い余力の低下: 営業利益ベースでは損益がマイナスであるため営業利益による利払い余力が確保できておらず、短期借入金は前年比+51.3%の324.1億円に増加している。現金預金2319.6億円は上回るが、資金調達構造の変化は継続的な確認が必要である。

  3. 資産の減損・投資抑制: エクスプレス事業で使用用途変更に伴う減損損失16.1億円を計上した。また設備投資35.2億円は減価償却費132.1億円を下回っており、物流ネットワークや車両・IT基盤の更新投資が抑制的である点はモニタリングが必要である。

業種ベンチマーク(参考・当社調べ)

収益性・リターン

指標自社中央値 (IQR)Delta
営業利益率−1.1%7.1% (4.3%–8.6%)−8.2pt
純利益率−1.3%5.9% (2.8%–8.5%)−7.2pt
収益性は業種中央値を大きく下回り、営業・純利益ともに赤字水準にある。

成長性・資本効率

指標自社中央値 (IQR)Delta
売上高成長率(前年比)1.4%3.3% (0.2%–7.6%)−1.9pt
売上高成長率も業種中央値を下回り、トップラインの伸びは相対的に緩やかである。

※出所: 当社調べ

決算上の注目ポイント

  1. 営業損益は前年から16.2億円改善したが、純損失は減損損失16.1億円を含む特別損失の計上により拡大した。営業段階の改善と最終損益の悪化が同時に生じており、一時的要因と経常的要因を区別して捉える必要がある。

  2. 連結収益の82.3%を占めるエクスプレス事業が-131.4億円の損失を継続する一方、コントラクト・ロジスティクス、グローバル、モビリティは増収増益で高採算を維持しており、事業ポートフォリオ間の収益構造の差が明確である。

  3. 通期営業利益計画420億円に対しQ1は赤字であり、進捗ペースは会社計画達成のためには後半での大幅な採算改善を前提とする水準にある。

理論株価(参考値)

シナリオ理論株価
bear(弱気)1,499円
base(基準)1,507円
bull(強気)1,516円
算出前提
1株純資産(BPS)1,807円
調整後予想EPS53.8円
株主資本コスト r9.27%(10年国債 2.77% + 株式リスクプレミアム 6.00% + 規模プレミアム 0.50%)
残余利益の持続係数 ω / 明示予測0.62 / 5年
想定配当性向91.0%
予想EPSの信頼度調整×1.060(同業種のガイダンス達成率実績に基づく)
implied PBR / PER0.83倍 / 28.0倍

感応度: 株主資本コスト±1%で 1,467円〜1,549円、ω±0.1で 1,498円〜1,513円。

注記:

  • のれん償却 0.3円/株 を利益に足し戻しています(非資金費用・IFRS企業との比較可能性のため)。
  • 税負担・買収関連費用・少数株主持分等により、営業利益に対して純利益が大きく圧縮されています(純利益÷営業利益 38%)。本値はその圧縮を額面どおり反映しており、要因が一時的であれば実力値はこれより高い可能性があります。
  • 予想ROEが株主資本コストを下回るため、理論値は1株純資産を下回る水準になります。
  • 四半期末時点の純資産を使用しています(通期予想との間に期間のずれがあります)。
  • 純資産に非支配株主持分を含むため、理論値はやや高めに算出される可能性があります。

(算出モデル: 残余利益モデル(Ohlson型・明示5年フェード) / 金利基準月: 2026-07 / 公表データのみからの機械算出値であり、市場株価の予測や特定の投資行動の推奨ではなく、将来の株価を予測・保証するものではありません)


本レポートはXBRL決算短信データをAIが分析して自動生成した決算解析資料です。特定銘柄への投資を推奨するものではありません。業種ベンチマークは公開決算データを基に当社が集計した参考情報です。投資判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談の上、行ってください。