| 指標 | 当期 | 前年同期 | YoY |
|---|---|---|---|
| 売上高 | ¥43475.7億 | ¥32999.4億 | +31.7% |
| 営業利益 | ¥1785.3億 | ¥991.4億 | +80.1% |
| 持分法投資損益 | ¥1391.5億 | ¥1209.1億 | +15.1% |
| 税引前利益 | ¥3621.6億 | ¥2342.0億 | +54.6% |
| 純利益 | ¥3030.8億 | ¥1977.6億 | +53.3% |
| ROE | 3.3% | 2.2% | - |
三井物産の2026年3月期第1四半期は、資源・エネルギー関連事業の拡大に持分法投資損益と有価証券損益の押し上げが加わり、増収増益で立ち上がった。売上高は4兆3,475.7億円(前年比+31.7%)、営業利益は1,785.3億円(同+80.1%)、税引前利益は3,621.6億円(同+54.6%)、親会社株主に帰属する四半期純利益は2,940.5億円(同+53.4%)となった。増収はエネルギー・金属資源・モビリティ関連の取扱高拡大が主因で、増益には持分法投資損益1,391.6億円(+15.1%)と有価証券損益870.0億円(前年36.7億円)の寄与が大きい。EPSは103.73円(前年66.68円、+55.6%)で、通期進捗率は32.0%と標準的な25%を上回るペースにある。
【売上高】売上高は4兆3,475.7億円で前年比+31.7%の増収。セグメント別ではエネルギーが1兆1,021.4億円(構成比25.4%、+45.6%)で最大、化学品9,559.5億円(22.0%、+35.5%)、ウェルネスエコシステム9,075.5億円(20.9%、+8.9%)、金属資源6,335.1億円(14.6%、+40.2%)、モビリティ・デジタル・インフラ4,866.5億円(11.2%、+58.6%)と続く。鉄鋼製品のみ1,629.1億円で前年比-1.0%とわずかに減収だが、その他全セグメントで増収基調にあり、資源価格上昇と取扱高拡大が広範に寄与している。
【損益】営業利益(粗利-販管費)は1,785.3億円(前年991.4億円、+80.1%)で、粗利率9.5%(前年9.1%、+0.4pt)への改善が販管費増(+16.3%)を上回る形で利益率を押し上げた。税引前利益3,621.6億円(+54.6%)には、持分法投資損益1,391.6億円(+15.1%)と、前年比で大幅に拡大した有価証券損益870.0億円(前年36.7億円、一時的要因)が加算されている。親会社株主に帰属する四半期純利益は2,940.5億円(+53.4%)で、実効税率は約16.3%と低位にとどまった。増収増益の決算だが、増益の一部は市況・評価損益に左右される非事業性要因に依存している点は留意される。
四半期利益(親会社株主に帰属)はモビリティ・デジタル・インフラが730.4億円(前年494.4億円、+47.8%)で最大の寄与を示し、イノベーション&コーポレートディベロップメントが652.0億円(前年103.1億円、+532.6%)と突出した増加を記録した。金属資源は611.9億円(前年515.2億円、+18.8%)、エネルギーは344.4億円(前年202.4億円、+70.2%)、ウェルネスエコシステムは183.6億円(前年148.2億円、+23.9%)と続く。一方、化学品は265.9億円(前年309.3億円、-14.0%)、鉄鋼製品は53.4億円(前年64.8億円、-17.6%)と減益となった。粗利率はイノベーション&コーポレートディベロップメントが54.3%と他セグメントより著しく高く、モビリティ・デジタル・インフラ12.0%、化学品9.1%、金属資源9.6%、エネルギー7.1%、ウェルネスエコシステム6.6%と続く。持分法投資損益は合計1,391.6億円のうちモビリティ・デジタル・インフラが647.3億円と過半を占め、収益源の一部が同セグメントの持分法適用会社に集中している。イノベーション&コーポレートディベロップメントの利益急増は、収益(988億円、+22.0%)の伸びを大幅に上回る規模であり、セグメント間配分・非反復要因の影響を含む可能性がある。
【収益性】営業利益率は4.1%で前年3.0%から+1.1pt改善、純利益率(親会社株主帰属)は6.8%で前年5.8%から+1.0pt改善した。粗利率は9.5%(前年9.1%)へ小幅改善しており、増収に伴う規模の経済と持分法投資損益・有価証券損益の押し上げが利益率改善の背景にある。【キャッシュ品質】営業CFは422.8億円で、親会社株主帰属純利益2,940.5億円に対する比率は約0.14倍にとどまり、純利益の伸びに対しキャッシュ創出が追随していない状態にある。【投資効率】ROEは3.3%(四半期実績、年率換算前)で、総資産回転率は売上高/総資産で見て概ね0.21回転の水準にある。【財務健全性】自己資本比率は43.3%で前年同期末42.1%から+1.2pt上昇し、長期借入金5,079.3億円を中心とする有利子負債構成のもとで流動資産6,661.9億円が流動負債4,593.6億円を上回り、短期の資金繰りには余力がある。
営業CFは422.8億円で前年同期2,625.5億円から-83.9%の大幅減少となった。主因は営業債権の増加(-1,736.3億円)とその他運転資本の悪化(-1,318.6億円)、法人税等支払の増加(-591.9億円)で、増収に伴う回収サイトの長期化が実現キャッシュを圧迫した形である。投資CFは-887.5億円で、設備投資938.2億円(前年817.5億円から増加)が主な使途となっている。財務CFは-614.9億円で、配当金支払1,700.5億円が長期債務の増加による資金調達(純増318.2億円程度)で一部相殺されている。フリーキャッシュフローは-464.7億円となり、営業CFで設備投資と配当を十分にカバーできていない状態が確認される。現金及び現金同等物は期末884.6億円で、前年度末982.7億円から-981.3億円減少した。
当期の税引前利益3,621.6億円には、有価証券損益870.0億円(前年36.7億円)という一時的要因が大きく含まれており、増益の一部は市況変動に伴う評価益によるものである。持分法投資損益1,391.6億円は税引前利益の約38%を占め、資源・モビリティ関連の持分法適用会社の業績が連結利益に直結する構造が続いている。営業CF422.8億円が親会社株主帰属純利益2,940.5億円を大きく下回っており、非現金の評価益・持分法益の計上が純利益とキャッシュフローの乖離を生んでいる。包括利益は3,896.4億円(親会社株主分3,777.6億円)で、純利益2,940.5億円との差837.0億円は外貨換算調整勘定(+180.3億円)やキャッシュ・フロー・ヘッジ(+253.0億円)等その他の包括利益の増加によるものである。全体として、事業本体の収益力に加え、評価損益・持分法益という市況感応度の高い項目が当期利益を押し上げている点は収益の質を評価する上で留意点となる。
通期の親会社株主帰属純利益予想は9,200億円、EPS予想は324.54円である。第1四半期の実績は純利益2,940.5億円、EPS103.73円で、進捗率は32.0%(純利益ベース)となり、単純な四半期均等配分の目安である25%を+7pt上回るペースで進んでいる。当四半期時点で業績予想・配当予想の修正は行われておらず、通期計画は維持されている。
通期の配当予想は1株あたり140円で、通期予想純利益9,200億円に基づく配当性向は約43%となる。第1四半期の配当支払額は1,700.5億円だが、これは前期決算に係る期末配当の支払いであり、当四半期の利益と直接対応するものではない。自社株買いは0.1億円と極めて僅少で、株主還元は配当を中心とした構成となっている。
キャッシュ転換の弱さ: 営業CF422.8億円は親会社株主帰属純利益2,940.5億円の約0.14倍にとどまり、営業債権の増加(-1,736.3億円)が要因となっている。売上拡大に伴う回収サイトの動向は今後のキャッシュフロー正常化の鍵となる。
非事業性収益への依存: 税引前利益3,621.6億円のうち、持分法投資損益1,391.6億円(約38%)と有価証券損益870.0億円が大きな比重を占める。これらは資源価格や市場環境の変動に感応する項目であり、利益の持続性はその動向に左右されやすい。
投融資規模の拡大に伴う資金負担: 設備投資は938.2億円(前年817.5億円)に増加し、フリーキャッシュフローは-464.7億円となった。短期債務も286.6億円へ増加しており、投資活動の資金調達構造は継続的なモニタリング対象となる。
収益性・リターン
| 指標 | 自社 | 中央値 (IQR) | Delta |
|---|---|---|---|
| 純利益率 | 7.0% | 3.8% (1.5%–5.1%) | +3.2pt |
同業種の中央値と比較して純利益率は上位に位置し、業種内でも高収益水準にある。
成長性・資本効率
| 指標 | 自社 | 中央値 (IQR) | Delta |
|---|---|---|---|
| 売上高成長率(前年比) | 31.7% | 3.1% (-0.6%–11.7%) | +28.6pt |
売上高成長率は業種中央値を大幅に上回り、資源関連事業の拡大が業種内でも際立った伸長要因となっている。
※出所: 当社集計
増益の質: 純利益成長+53.4%のうち、有価証券損益870.0億円(前年36.7億円)と持分法投資損益1,391.6億円という市況感応度の高い項目の寄与が大きく、事業本体の営業利益成長(+80.1%)と合わせて収益構造を確認する必要がある。
キャッシュフローと利益成長の乖離: 営業CFは前年比-83.9%の422.8億円にとどまり、純利益の伸びとの間に構造的な差が生じている。売上債権の増加を中心とする運転資本の動向は、今後の利益の実現可能性を測る上での注目点となる。
セグメント別のばらつき: モビリティ・デジタル・インフラとイノベーション&コーポレートディベロップメントが利益成長を主導する一方、化学品と鉄鋼製品は減益となった。セグミックスの変化が全体の利益率改善に与える影響は継続的な観察対象である。
残余利益モデル(Ohlson型・明示5年フェード)により公表データのみから機械算出した参考レンジです。市場株価の予測や特定の投資行動の推奨ではありません。
| シナリオ | 理論株価 |
|---|---|
| bear(弱気) | 3,309円 |
| base(基準) | 3,378円 |
| bull(強気) | 3,420円 |
| 算出前提 | 値 |
|---|---|
| 1株純資産(BPS) | 3,168円 |
| 調整後予想EPS | 346.6円 |
| 株主資本コスト r | 8.65%(10年国債 2.65% + 株式リスクプレミアム 6.00% + 規模プレミアム 0.00%) |
| 残余利益の持続係数 ω / 明示予測 | 0.62 / 5年 |
| 想定配当性向 | 43.1% |
| 予想EPSの信頼度調整 | ×1.068(当社の過去のガイダンス達成率実績に基づく) |
| implied PBR / PER | 1.07倍 / 9.7倍 |
感応度: 株主資本コスト±1%で 3,283円〜3,476円、ω±0.1で 3,373円〜3,385円。
注記:
(算出モデル: 残余利益モデル / 金利基準月: 2026-06 / 本値は将来の株価を予測・保証するものではありません)
本レポートはXBRL決算短信データをAIが分析して自動生成した決算解析資料です。特定銘柄への投資を推奨するものではありません。業種ベンチマークは公開決算データを基に当社が集計した参考情報です。投資判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談の上、行ってください。
残余利益モデルによる機械的な算出値です。市場株価の予測や特定の投資行動の推奨ではなく、将来の株価を予測・保証するものではありません。 1株あたりの値は株式分割を最新基準に調整しています。 過去分は現行のガイダンス達成率統計を用いて遡及算出しています。