記事一覧に戻る
72362026 第3四半期プライムJGAAP

ティラド(7236) 2026年度第3四半期決算 増収・営業益168%増

2026年度第3四半期の売上高は1,181億円(前年同期比+3.7%)、営業利益は83.3億円(同+168.2%)。以下、セグメント別の増減要因とキャッシュフローを確認します。

自動車・輸送機/輸送用機器


クイックビュー

指標当期前年同期YoY
売上高¥1180.8億¥1138.4億+3.7%
営業利益¥83.3億¥31.1億+168.2%
経常利益¥92.2億¥41.2億+124.0%
純利益¥68.8億¥11.6億+490.6%
ROE14.1%2.4%-

Executive Summary

増収を上回るペースで利益が急回復した決算であり、採算改善が今期の最大の特徴である。売上高は1,180.8億円(前年比+3.7%)、営業利益は83.3億円(同+168.2%)、経常利益は92.2億円(同+124.0%)、親会社株主に帰属する当期純利益は68.8億円(前年11.6億円から大幅増)となった。売上の伸びが小幅にとどまる一方で利益が急拡大しており、原価吸収力の改善と固定費レバレッジが主因である。

業績変動要因

【売上高】売上高は1,180.8億円で前年比+3.7%の増収。セグメント別ではJapan625.5億円(構成比53.0%)が最大、United States317.6億円(同26.9%)、Asia193.1億円(同16.4%)、China101.1億円(同8.6%)、Europe40.7億円(同3.4%)と続く。利益率はAsiaが18.8%と突出して高く、Japan5.3%、China8.7%、United States1.1%、Europe0.3%と地域間で収益性に大きな差がある。

【損益】売上総利益は169.2億円(粗利率14.3%)で、販管費85.9億円を差し引いた営業利益は83.3億円(利益率7.1%)となり、前年の2.7%から大幅に改善した。営業外損益は差引8.9億円の利益(受取利息2.0億円、持分法投資利益5.5億円等)で経常利益92.2億円を押し上げた。特別損益は差引4.5億円の利益で、主因は投資有価証券売却益4.6億円であり、一時的要因として純利益を押し上げている。税引前利益96.7億円に法人税等27.9億円を控除し、純利益68.8億円を計上した。増収に対して利益の伸びが顕著に大きく、増収増益、かつ利益率の構造的改善を伴う決算である。

セグメント別分析

Japanが売上高625.5億円と全体の過半を占めるが、利益率は5.3%とAsiaの18.8%を大きく下回る。United Statesは売上高317.6億円と規模は大きいものの利益率1.1%にとどまり、収益貢献は限定的である。Asiaは売上規模193.1億円ながら営業利益36.3億円を稼ぎ、全社営業利益83.3億円の43.6%を占める収益の中核となっている。Europeは売上高40.7億円に対し営業利益0.1億円とほぼ収支均衡であり、地域間の収益性格差が全社利益率7.1%の構造を規定している。

主要財務指標

【収益性】営業利益率7.1%は前年の約2.7%から約4.3pt改善し、純利益率は5.8%(前年約1.0%)に上昇した。粗利率は14.3%にとどまり、原価吸収力は業種内でみると相対的に低い水準にある。【キャッシュ品質】営業CFは108.6億円で純利益68.8億円の約1.6倍にあたり、利益の現金化は良好である。【投資効率】ROEは14.1%、総資産970.7億円に対する回転率は堅調で、設備投資52.0億円は減価償却40.0億円を上回り能力増強型の投資を継続している。【財務健全性】自己資本比率50.3%、流動資産590.4億円に対し流動負債287.5億円と流動性は厚く、長期借入金154.2億円を中心とする有利子負債構成で短期の資金繰りリスクは限定的である。

キャッシュフロー分析

営業CFは108.6億円で前年比+79.1%と大幅に増加し、純利益68.8億円を上回る水準で利益の現金化が進んでいる。増加の一因は仕入債務が29.4億円増加したことで、売上債権5.6億円増、棚卸資産5.8億円増という運転資本の使用を相殺した。投資CFは53.8億円の支出で、その大半が設備投資52.0億円である。フリーキャッシュフローは営業CFから投資CFを差し引いて54.8億円となり、設備投資後も資金余力を確保した。財務CFは78.6億円の支出で、長期借入金の返済や自己株式取得36.5億円が主因であり、結果として現金及び現金同等物は減少したものの、期末残高は143.4億円を維持している。

収益の質

今期利益の中心は本業の回復であり、営業利益は前年比+168.2%と急拡大した一方、営業外収益では受取利息2.0億円や持分法投資利益5.5億円などが経常利益を押し上げた。特別利益4.9億円のうち投資有価証券売却益4.6億円は一時的要因であり、純利益68.8億円のうち相応の部分を占めるため、経常的な収益力を評価する際は営業利益・経常利益を重視すべきである。営業CFが純利益を上回っており、利益の質を示すアクルーアルの観点からは会計上の利益が過度な未収計上に依存している兆候は見られない。ただし仕入債務増加がキャッシュフローを押し上げている点は一時的な効果である可能性があり、今後の反転にも留意が必要である。包括利益は56.0億円と純利益68.8億円を下回り、為替換算調整額のマイナス10.2億円が主因である。

業績予想・ガイダンス

通期会社予想は売上高1,600.0億円(前年比+0.5%)、営業利益109.0億円(同+49.0%)、経常利益122.0億円(同+50.6%)である。累計実績の進捗率は売上高73.8%、営業利益76.4%、経常利益75.6%となり、利益面は標準的な進捗率75%を上回っている。通期計画達成には第4四半期に営業利益約26.7億円が必要で、この場合の通期営業利益率は約6.8%となり、累計の7.1%をやや下回る前提となっている。足元の収益性水準を維持できれば、計画に対して上振れの余地がある局面といえる。

株主還元

第2四半期配当は1株160円、通期配当予想は320円である。通期予想純利益87.0億円に基づく配当性向は約21.7%と低水準にとどまる。自己株式取得は36.5億円実施されており、配当支払18.96億円と合わせた総還元額は55.4億円、当期純利益68.8億円に対する総還元性向は約80.6%となる。総還元額はフリーキャッシュフロー54.8億円とほぼ同水準であり、現預金143.4億円と低い有利子負債水準を踏まえれば単年度の還元原資は確保されている。

リスク要因

  1. 収益性の再現可能性: 粗利率14.3%は改善したとはいえ絶対水準としては高くなく、原材料・エネルギーコストの価格転嫁が滞った場合、営業利益率7.1%への改善が一時的にとどまる可能性がある。

  2. 研究開発投資水準: 研究開発費は9.3億円、売上高比0.8%にとどまる。自動車部品を含む製造業においては技術転換への対応投資が競争力に直結するため、この水準の持続は中長期的な製品競争力に影響し得る。

  3. 地域別収益性格差: United States(売上構成比26.9%、利益率1.1%)とEurope(同3.4%、利益率0.3%)の採算が低く、Japan(構成比53.0%、利益率5.3%)を含め地域間の収益性ばらつきが全社利益率を左右する構造にある。

業種ベンチマーク(参考・当社調べ)

収益性・リターン

指標自社中央値 (IQR)Delta
営業利益率7.1%8.6% (4.3%–12.7%)−1.5pt
純利益率5.8%6.4% (2.8%–10.3%)−0.6pt

収益性は営業利益率・純利益率とも業種中央値をやや下回る水準にある。

成長性・資本効率

指標自社中央値 (IQR)Delta
売上高成長率(前年比)3.7%3.3% (-2.1%–8.9%)+0.4pt

売上高成長率は業種中央値をわずかに上回る水準にある。

※出所: 当社集計

決算上の注目ポイント

  1. 営業利益率は前年から大幅に改善したが、粗利率14.3%は業種中央値を下回る水準にあり、原価上昇局面での価格転嫁力が今後の利益率の持続性を左右する。

  2. 営業CFが純利益の約1.6倍に達し、設備投資後もフリーキャッシュフロー54.8億円を確保するなど、利益の現金化とキャッシュ創出力は良好である。

  3. 通期予想に対する進捗率は利益面で75%を上回っており、地域別ではAsiaが高い利益率で全社利益を牽引する一方、United States・Europeの採算改善が今後の構造的な注目点となる。

理論株価(参考値)

シナリオ理論株価
bear(弱気)10,636円
base(基準)11,164円
bull(強気)11,678円
算出前提
1株純資産(BPS)8,507円
調整後予想EPS1,673.3円
株主資本コスト r9.77%(10年国債 2.77% + 株式リスクプレミアム 6.00% + 規模プレミアム 1.00%)
残余利益の持続係数 ω / 明示予測0.62 / 5年
想定配当性向21.1%
予想EPSの信頼度調整×1.103(同業種のガイダンス達成率実績に基づく)
implied PBR / PER1.31倍 / 6.7倍

感応度: 株主資本コスト±1%で 10,840円〜11,502円、ω±0.1で 11,095円〜11,269円。

注記:

  • 四半期末時点の純資産を使用しています(通期予想との間に期間のずれがあります)。

(算出モデル: 残余利益モデル(Ohlson型・明示5年フェード) / 金利基準月: 2026-07 / 公表データのみからの機械算出値であり、市場株価の予測や特定の投資行動の推奨ではなく、将来の株価を予測・保証するものではありません)


本レポートはXBRL決算短信データをAIが分析して自動生成した決算解析資料です。特定銘柄への投資を推奨するものではありません。業種ベンチマークは公開決算データを基に当社が集計した参考情報です。投資判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談の上、行ってください。