記事一覧に戻る
72022027 第1四半期プライムIFRS

いすゞ自動車(7202) 2027年度第1四半期決算 増収・営業益31%増

2027年度第1四半期の売上高は8,325億円(前年同期比+6.8%)、営業利益は747.6億円(同+30.7%)。以下、セグメント別の増減要因とキャッシュフローを確認します。

自動車・輸送機/輸送用機器


クイックビュー

指標当期前年同期YoY
売上高¥8325.2億¥7798.5億+6.8%
営業利益¥747.6億¥572.2億+30.7%
税引前利益¥814.3億¥642.1億+26.8%
純利益¥626.6億¥503.2億+24.5%
ROE3.7%3.0%-

Executive Summary

増収に加え粗利率改善が利益成長を牽引し、増収増益の決算となった。売上収益は8,325.2億円(前年比+6.8%)、営業利益は747.6億円(同+30.7%)、税引前利益は814.3億円(同+26.8%)、親会社所有者帰属利益は509.4億円(同+23.0%)となった。営業利益率は9.0%と前年同期7.3%から改善し、粗利率改善による増収を上回る利益成長が主因である。一方、棚卸資産増加と仕入債務減少により営業キャッシュフローは452.7億円の支出となっており、利益成長とキャッシュ創出力の間に乖離がみられる。

業績変動要因

【売上高】売上収益は8,325.2億円で前年比+6.8%増収。セグメント別では自動車事業が7,852.8億円(構成比94.3%、前年比+6.4%)、金融事業が472.4億円(構成比5.7%、同+12.9%)となり、主力の自動車事業が全体を牽引した。

【損益】営業利益は747.6億円(前年比+30.7%)で、粗利率が22.6%と前年同期20.0%から改善したことが主因。自動車事業のセグメント利益は711.8億円(同+32.5%、利益率9.1%)と大きく改善した一方、金融事業は32.6億円(同+4.7%、利益率6.9%)にとどまり、利益率は低下した。金融収益72.7億円が金融費用25.7億円を上回り、税引前利益は814.3億円(同+26.8%)に達した。販管費は前年比+18.0%増と売上成長率を上回っており、増収に加え粗利改善による増益で、増収増益の構図である。

セグメント別分析

報告セグメントは自動車事業と金融事業の2区分。自動車事業は外部売上7,852.8億円(前年比+6.4%)、セグメント利益711.8億円(同+32.5%)で利益率9.1%(前年同期比+約1.8pt)。金融事業は外部売上472.4億円(同+12.9%)、セグメント利益32.6億円(同+4.7%)で利益率6.9%(前年同期比△約0.5pt)。増収率では金融事業が上回るものの、利益成長・利益率改善は自動車事業に集中しており、全社利益改善の主因は主力の自動車事業にある。

主要財務指標

【収益性】営業利益率9.0%(前年同期7.3%)、純利益率6.1%(親会社帰属ベース、前年同期5.3%)で、いずれも改善。粗利率22.6%は前年同期20.0%から約2.6pt上昇し、増益の中心的要因となっている。【キャッシュ品質】営業CFは452.7億円の支出で親会社帰属利益509.4億円との乖離が大きく、当四半期の利益は現金化に至っていない。棚卸資産の増加および仕入債務の減少が主因である。【投資効率】ROEは3.7%(開示ベース)で、総資産回転率が低く、棚卸資産8,195.0億円・売上債権7,007.3億円など運転資本・金融資産の保有規模が資本効率の制約となっている。設備投資は595.5億円で減価償却389.7億円の約1.53倍と、更新投資を上回る投資局面にある。【財務健全性】自己資本比率40.7%(前年同期40.4%)はほぼ横ばい。流動資産2兆528.8億円に対し流動負債1兆1,949.3億円で流動比率は約172%と流動性は確保されているが、短期社債・借入金は期首比+1,332.1億円増加しており、コマーシャル・ペーパー純増による資金調達への依存が高まっている。

キャッシュフロー分析

営業CFは452.7億円の支出(前年同期634.3億円の収入から悪化)となり、税引前利益814.3億円を大きく下回る資金流出となった。主因は棚卸資産の増加718.9億円と仕入債務の減少1,116.8億円で、売上債権の回収による615.4億円の資金流入では相殺しきれなかった。投資CFは641.6億円の支出で、うち設備投資595.5億円が中心。営業CFと投資CFを合算したフリーキャッシュフローは1,094.3億円の支出となり、投資・配当を内部資金で賄えない状態にある。財務CFは1,063.9億円の収入で、コマーシャル・ペーパーの純増1,230.0億円を中心とする短期・長期の資金調達が、運転資本の悪化と投資支出を補完した。配当支払は311.9億円で、自社株買いは僅少である。現金及び現金同等物は期首比56.9億円増の3,911.2億円となったが、増加の実質は外部資金調達によるものであり、今後は在庫・仕入債務の正常化による営業CFの回復が焦点となる。

収益の質

当期の増益は粗利率改善という経常的な要因が中心であり、特別損益的な一時項目は限定的である。営業外では金融収益72.7億円が金融費用25.7億円を上回り、税引前利益を営業利益比+66.7億円押し上げているが、持分法投資利益は19.7億円と前年同期28.0億円から減少しており、持分法適用会社の業績寄与は縮小した。一方でアクルーアル比率は小さく発生主義上の利益計上自体に大きな歪みはないものの、営業CFが452.7億円の支出となっており、利益と現金創出の間に明確な乖離が生じている。この乖離は棚卸資産の積み増しと仕入債務の減少という運転資本要因によるもので、収益の質としては利益水準の高さに対しキャッシュ裏付けが不足している点に留意が必要である。包括利益は723.9億円で親会社帰属利益509.4億円を大きく上回り、差額は主に在外営業活動体の換算差額119.1億円の増加によるもので、為替要因による評価益が包括利益を押し上げている。

業績予想・ガイダンス

通期会社予想は売上高3兆7,000億円、営業利益2,600億円(前年比+27.6%)、EPS232.82円、配当94.00円で、当第1四半期に予想修正はない。Q1実績の進捗率は売上高22.5%、営業利益28.8%、親会社帰属利益31.8%(609.38億円/1,600億円)で、いずれも単純な25%の四半期按分を上回る。ただしQ1実績の営業利益率9.0%は通期予想の営業利益率7.0%を上回っており、通期予想は下期の利益率低下を織り込んだ保守的な構造とみられる。棚卸資産・仕入債務の動向と営業CFの回復状況が、通期予想達成の持続性を判断する上での注目点となる。

株主還元

通期配当予想は1株94.00円で、期中平均株式数687.2百万株から算出される年間配当総額は概算約646億円となる。通期親会社帰属利益予想1,600億円に対する予想配当性向は約40.4%である。自社株買いは当期0.0億円と僅少で、総還元は実質的に配当が中心である。当四半期の配当支払額311.9億円は当四半期利益509.4億円に対し高い比率となっているが、支払時期の影響を受けるため単純比較には留意を要する。営業CFが支出超過となる中での配当支払は、財務CFによる資金調達で補完されており、今後の営業CF正常化が配当の内部資金裏付けを回復させる鍵となる。

リスク要因

  1. 在庫積み上がりリスク: 棚卸資産は期首比+794.2億円増の8,195.0億円となり、年換算在庫回転日数は約116日と高水準。商用車需要の変動や部材需給の変化が生じた場合、評価損や生産調整を通じて利益率を圧迫する可能性がある。

  2. 運転資本悪化によるキャッシュ創出力の低下: 営業CFは452.7億円の支出となり、親会社帰属利益509.4億円との乖離が大きい。棚卸資産増加と仕入債務減少が主因であり、短期社債・CPによる資金調達への依存が高まっている。

  3. セグメント間の収益性格差: 自動車事業の利益率が9.1%へ改善する一方、金融事業は6.9%へ低下した。金利動向や信用コストの変化が金融事業の収益性をさらに下押しする可能性があり、連結利益の約95%を自動車事業が占める構造上の集中リスクもある。

業種ベンチマーク(参考・当社調べ)

収益性・リターン

指標自社中央値 (IQR)Delta
営業利益率9.0%8.7% (4.2%–14.3%)+0.3pt
純利益率7.5%7.1% (3.2%–10.6%)+0.4pt

収益性は業種中央値をわずかに上回る水準にある。

成長性・資本効率

指標自社中央値 (IQR)Delta
売上高成長率(前年比)6.8%6.2% (-1.1%–14.6%)+0.6pt

売上成長率も業種中央値をやや上回り、IQR中央付近に位置する。

※出所: 当社集計

決算上の注目ポイント

  1. 営業利益率は前年同期比で改善し、増収以上の増益を達成しているが、この改善は主に粗利率改善によるものであり、販管費は売上成長率を上回るペースで増加している。利益率改善の持続性は今後の販管費動向次第である。

  2. 営業CFが支出超過となる一方で利益は増加しており、利益とキャッシュフローの乖離が明確に生じている。棚卸資産と仕入債務の動向は、今後の決算で確認すべき構造的なポイントである。

  3. 通期予想に対する営業利益・親会社帰属利益の進捗率はいずれも標準的な25%を上回っているが、通期予想の営業利益率はQ1実績より低く設定されており、下期の利益率動向が通期着地を左右する。

理論株価(参考値)

シナリオ理論株価
bear(弱気)2,233円
base(基準)2,303円
bull(強気)2,373円
算出前提
1株純資産(BPS)2,194円
調整後予想EPS241.6円
株主資本コスト r9.27%(10年国債 2.77% + 株式リスクプレミアム 6.00% + 規模プレミアム 0.50%)
残余利益の持続係数 ω / 明示予測0.62 / 5年
想定配当性向40.4%
予想EPSの信頼度調整×1.038(当社の過去のガイダンス達成率実績に基づく)
implied PBR / PER1.05倍 / 9.5倍

感応度: 株主資本コスト±1%で 2,239円〜2,370円、ω±0.1で 2,300円〜2,307円。

注記:

  • 四半期末時点の純資産を使用しています(通期予想との間に期間のずれがあります)。

(算出モデル: 残余利益モデル(Ohlson型・明示5年フェード) / 金利基準月: 2026-07 / 公表データのみからの機械算出値であり、市場株価の予測や特定の投資行動の推奨ではなく、将来の株価を予測・保証するものではありません)


本レポートはXBRL決算短信データをAIが分析して自動生成した決算解析資料です。特定銘柄への投資を推奨するものではありません。業種ベンチマークは公開決算データを基に当社が集計した参考情報です。投資判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談の上、行ってください。