記事一覧に戻る
68692027 第1四半期プライムIFRS

シスメックス(6869) 2027年度第1四半期決算 増収・営業益40%増

2027年度第1四半期の売上高は1,307億円(前年同期比+23.6%)、営業利益は148.2億円(同+39.5%)。以下、セグメント別の増減要因とキャッシュフローを確認します。

電機・精密/電気機器


クイックビュー

指標当期前年同期YoY
売上高¥1306.7億¥1057.3億+23.6%
営業利益¥148.2億¥106.3億+39.5%
税引前利益¥141.1億¥78.7億+79.2%
純利益¥86.2億¥44.8億+92.5%
ROE(年換算)7.1%3.5%-

Executive Summary

当第1四半期は全地域増収を背景に増収増益となり、成長ペースが利益改善を伴った点が特徴である。売上高は1306.7億円(前年比+23.6%)、営業利益は148.2億円(同+39.5%)、税引前利益は141.1億円(同+79.2%)、親会社株主に帰属する四半期利益は86.9億円(同+90.9%)となった。営業利益率は11.3%で前年同期の10.1%から改善し、販管費率の低下(32.6%、前年36.2%)が主因である一方、粗利率は50.7%と前年の51.5%からやや低下した。前年同期の為替差損が当期は為替差益に転じたことも税引前利益・純利益の伸長を押し上げている。

業績変動要因

【売上高】売上高は1306.7億円(前年比+23.6%)と大幅増収。地域別では本社統括が254.3億円(+49.6%)、米州統括が392.1億円(+37.2%)、EMEA統括が423.8億円(+24.7%)、AP統括が103.1億円(+15.5%)と伸長した一方、中国統括は133.4億円(-22.6%)と減収となり、全社成長の逆風要因となっている。

【損益】営業利益は148.2億円(前年比+39.5%)、営業利益率は11.3%(前年10.1%)に改善した。粗利率は50.7%と前年の51.5%から約77bp低下したものの、販管費率が32.6%(前年36.2%)へ低下し固定費吸収が進んだことが増益の主因である。税引前利益は141.1億円(+79.2%)で、前年同期の為替差損15.1億円が当期は為替差益7.9億円に転じたことが押し上げに寄与した。増収増益であり、収益の質としては一時的な為替要因を含む点に留意が必要である。

セグメント別分析

本社統括は売上高254.3億円(+49.6%)、営業利益64.4億円(+189.0%)、利益率25.3%と全社利益の約43%を占める最高収益セグメントである。米州統括は売上高392.1億円(+37.2%)、営業利益25.9億円(+223.7%)、利益率6.6%で増益率が最も高い。EMEA統括は売上高423.8億円(+24.7%)、営業利益37.0億円(+63.7%)、利益率8.7%と安定成長を示す。一方、中国統括は売上高133.4億円(-22.6%)、営業利益9.5億円(-42.9%)、利益率7.1%と唯一の減収減益セグメントである。AP統括は売上高103.1億円(+15.5%)と増収したが、営業利益は10.6億円(-31.0%)、利益率10.3%(前年17.2%)と減益であり、増収下での利益率低下が注視点となる。

主要財務指標

【収益性】営業利益率は11.3%で前年同期10.1%から改善したが、粗利率は50.7%と前年51.5%から低下し、増益は販管費率低下(32.6%、前年36.2%)による固定費吸収が主因である。研究開発費は72.1億円、対売上比5.5%(前年6.1%)で、売上成長が研究開発費増加を上回った。【キャッシュ品質】営業CFは355.9億円で純利益86.2億円の約4.1倍に達し、税引前利益141.1億円に減価償却120.3億円と営業債権減少176.9億円が加わったことが主因である。営業債権減少は一時的な押し上げ効果を含み、継続的な創出力の評価には注意を要する。【投資効率】ROE(年換算)は7.1%で、純利益率と資産回転率、財務レバレッジの組み合わせで説明される水準である。【財務健全性】自己資本比率は65.0%で前年同期71.4%から低下したが、長期借入金500億円調達や自己株式取得228.8億円を反映したものであり、負債水準は依然低い。

キャッシュフロー分析

営業活動によるキャッシュ・フローは355.9億円で前年同期比+275.0%となり、純利益86.2億円を大きく上回るキャッシュ創出力を示した。この背景には税引前利益141.1億円、減価償却費120.3億円に加え、営業債権の減少176.9億円という運転資本要因が寄与しており、この点は一時的な押し上げとして区別して評価する必要がある。棚卸資産は47.1億円増加し、仕入債務は7.7億円減少しており、両者は営業CFに対して資金流出要因となっている。投資活動によるキャッシュ・フローは185.9億円の支出で、設備投資63.1億円に加え子会社・事業取得78.4億円が中心である。フリーキャッシュフローは170.0億円で、財務活動によるキャッシュ・フローは長期借入50.0億円を主因に120.3億円のプラスとなり、配当支払118.1億円と自己株式取得228.8億円の合計を借入で補う構図となっている。現金及び現金同等物は期末時点で1136.3億円と前年同期比で大幅に増加した。

収益の質

当期の増益には販管費率低下による構造的な改善と、前年同期の為替差損15.1億円が当期は為替差益7.9億円に転じたという一時的要因の両方が含まれる。税引前利益の伸び+79.2%は営業利益の伸び+39.5%を上回っており、この差は主に為替要因の反転によるものである。営業CFが純利益の約4.1倍に達している点はキャッシュへの転換力の強さを示すが、その主因は営業債権の減少176.9億円という運転資本変動であり、恒常的な収益力とは区別して捉える必要がある。包括利益は152.1億円で純利益86.2億円を上回り、在外営業活動体の換算差額65.8億円がその差の主因である。この差異は海外事業比率の高さに伴う為替変動の影響であり、事業の本源的収益力とは別の要因として認識される。

業績予想・ガイダンス

通期会社予想は売上高5450.0億円(前年比+9.0%)、営業利益600.0億円(同+15.8%)である。当第1四半期の進捗率は売上高24.0%、営業利益24.7%で、標準的な四半期進捗率25%と概ね整合する水準である。Q1の成長率(売上+23.6%、営業利益+39.5%)は通期計画の成長率を上回っており、この差は前年同期の為替差損からの反動を含む。当四半期に業績予想の修正が行われている一方、配当予想の修正はない。通期の達成ペースは中国事業の回復度合いや下期の費用投入、為替動向に左右される。

株主還元

当第1四半期の配当支払額は118.1億円であり、通常は前年度期末配当を含むため、当期利益86.2億円との比較のみでの配当性向評価は保守的な参考値となる。会社予想の年間配当40.0円と予想EPS60.89円に基づく通期予想配当性向は65.7%である。自己株式取得は228.8億円実施され、配当と合わせた四半期の総還元額は346.9億円となり、当四半期のフリーキャッシュフロー170.0億円を上回っている。この不足分は長期借入金500億円の調達により補われており、内部創出資金のみでは当期の総還元を賄っていない点はモニタリングが必要である。配当予想については修正がなく、年間40.0円の方針が維持されている。

リスク要因

  1. 中国事業の減速: 中国統括の売上高は前年同期比-22.6%の133.4億円、営業利益は-42.9%の9.5億円となった。医療需要や入札・償還環境、競争環境の変化が全社成長の不確実性要因となっている。

  2. 運転資本の拘束長期化: 棚卸資産は前年同期比+11.7%の1068.3億円に増加し、営業債権も1587.9億円と高水準にある。当期の営業CF押し上げは営業債権の一時的な減少に依存しており、成長再加速時の運転資本負担が今後の注視点である。

  3. 株主還元と資金調達の構図: 配当・自己株株買いの合計346.9億円がフリーキャッシュフロー170.0億円を上回り、長期借入金500億円の調達により補われた。長期借入金は前年同期比+157.4%に増加しており、還元継続の持続性は営業CFの推移に依存する。

業種ベンチマーク(参考・当社調べ)

収益性・リターン

指標自社中央値 (IQR)Delta
営業利益率11.3%8.7% (4.2%–14.3%)+2.7pt
純利益率6.6%7.1% (3.2%–10.6%)−0.5pt

営業利益率は業種中央値を上回るが、純利益率は業種中央値をわずかに下回っており、営業外・非営業要因の影響がうかがえる。

成長性・資本効率

指標自社中央値 (IQR)Delta
売上高成長率(前年比)23.6%6.2% (-1.1%–14.6%)+17.4pt

売上高成長率は業種中央値を大幅に上回り、業種内でも高い成長ペースにある。

※出所: 当社調べ

決算上の注目ポイント

  1. 当第1四半期は増収増益であり、営業利益率は11.3%と前年同期の10.1%から改善した。改善の主因は粗利率低下を上回る販管費率の低下であり、固定費吸収による構造的な収益性改善が観察される。

  2. 地域別では米州・EMEA・本社統括が増収増益で成長を牽引した一方、中国統括は唯一の減収減益セグメントであり、地域間の業績格差が広がっている。

  3. 大規模な自己株式取得と長期借入金の増加が同時に発生しており、資本配分の変化が自己資本比率を前年同期の71.4%から65.0%へ低下させた点は、財務構造の変化として確認しておくべき事実である。

理論株価(参考値)

シナリオ理論株価
bear(弱気)766円
base(基準)779円
bull(強気)795円
算出前提
1株純資産(BPS)802円
調整後予想EPS65.7円
株主資本コスト r9.27%(10年国債 2.77% + 株式リスクプレミアム 6.00% + 規模プレミアム 0.50%)
残余利益の持続係数 ω / 明示予測0.62 / 5年
想定配当性向65.7%
予想EPSの信頼度調整×1.080(同業種のガイダンス達成率実績に基づく)
implied PBR / PER0.97倍 / 11.8倍

感応度: 株主資本コスト±1%で 758円〜801円、ω±0.1で 778円〜779円。

注記:

  • 予想ROEが株主資本コストを下回るため、理論値は1株純資産を下回る水準になります。
  • 四半期末時点の純資産を使用しています(通期予想との間に期間のずれがあります)。

(算出モデル: 残余利益モデル(Ohlson型・明示5年フェード) / 金利基準月: 2026-07 / 公表データのみからの機械算出値であり、市場株価の予測や特定の投資行動の推奨ではなく、将来の株価を予測・保証するものではありません)


本レポートはXBRL決算短信データをAIが分析して自動生成した決算解析資料です。特定銘柄への投資を推奨するものではありません。業種ベンチマークは公開決算データを基に当社が集計した参考情報です。投資判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談の上、行ってください。