記事一覧に戻る
68572027 第1四半期プライムIFRS

アドバンテスト(6857) 2027年度第1四半期決算 増収・営業益53%増

2027年度第1四半期の売上高は3,675億円(前年同期比+39.3%)、営業利益は1,900億円(同+53.3%)。以下、セグメント別の増減要因とキャッシュフローを確認します。

電機・精密/電気機器


クイックビュー

指標当期前年同期YoY
売上高¥3674.7億¥2637.8億+39.3%
営業利益¥1899.9億¥1239.5億+53.3%
税引前利益¥2340.8億¥1213.6億+92.9%
純利益¥1747.8億¥901.8億+93.8%
ROE(年換算)67.1%45.3%-

Executive Summary

AI・HPC向け半導体テスト需要の拡大を背景に、大幅な増収増益となった。売上高は3674.7億円(前年比+39.3%)、営業利益は1899.9億円(同+53.3%)、純利益は1747.8億円(同+93.8%)となった。営業利益率は51.7%まで上昇し、増収に加えて主力のテストシステム事業における高い限益率が利益成長を増幅した。ただし純利益には戦略投資関連の金融商品評価益410.8億円が含まれ、事業収益力の改善だけでは説明できない部分がある。

業績変動要因

【売上高】売上高は3674.7億円で前年同期比+39.3%増収。主力のテストシステム事業が同+38.7%増の3335.6億円と伸長し、AI・HPC向け半導体投資の拡大が需要を牽引した。サービス他も設置台数増加を背景に+46.0%増収した。

【損益】営業利益は1899.9億円(+53.3%)、営業利益率は51.7%へ4.7pt改善した。売上原価率の低下(粗利率69.5%、前年65.1%)と、販管費増加率(+31.1%)が売上成長を下回ったことによる営業レバレッジが寄与した。純利益は1747.8億円(+93.8%)と大幅増加したが、金融収益446.8億円のうち410.8億円は戦略投資に関連する金融商品評価益であり一時的要因である。この評価益を除くと事業本体の伸びは営業利益の伸びに近い水準と見られる。増収増益。

セグメント別分析

テストシステム事業が売上構成比90.8%を占め、主力事業として業績を牽引している。同事業の売上は3335.6億円(+38.7%)、調整前営業利益は1907.2億円(+50.3%)、利益率57.2%と極めて高水準。サービス他は売上339.1億円(構成比9.2%)、調整前営業利益85.6億円(+216.4%)、利益率25.3%へ改善したが、前年同期には事業一部譲渡益25.0億円が含まれ比較上の押上げがある点に留意が必要。全社・消去の調整損79.4億円を反映し連結営業利益1899.9億円となった。テストシステム事業の高い利益率が連結収益性を大きく規定している。

主要財務指標

収益性: ROE(年換算)67.1%、営業利益率51.7% キャッシュ品質: 営業CF/純利益 0.78倍、FCF 346.1億円 投資効率: 設備投資98.5億円に対し減価償却費71.5億円、比率約1.4倍で成長投資局面 財務健全性: 自己資本比率68.8%(前年67.9%)、流動比率266.6%

キャッシュフロー分析

営業CFは1371.5億円で前年同期比+192.7%と大幅に増加した。純利益比0.78倍とやや低く、法人税支払1011.1億円と棚卸資産増加413.5億円が現金化を抑制している。投資CFは1025.5億円の流出で、設備投資98.5億円に加え投資有価証券への資金配分(負債性金融商品取得878.2億円等)が主因である。財務CFは349.7億円の流入で、転換社債発行889.3億円が自己株買い422.1億円・配当214.3億円を上回った。FCFは346.1億円のプラスを維持している。現金創出評価は標準、在庫積み増しによる運転資本圧迫をモニタリングする必要がある。

収益の質

税引前利益2340.8億円と純利益1747.8億円の差は法人税等593.0億円であり、実効税率25.3%は概ね正常水準である。ただし金融収益446.8億円は売上高の12.2%に相当し5%を大きく超え、うち410.8億円は戦略投資に関連する金融商品評価益という一時的要因である。営業CFが純利益を下回る(0.78倍)点はアクルーアルの観点から留意が必要で、棚卸資産の積み増しが主因となっている。

業績予想・ガイダンス

通期予想(売上高1714.0億円、営業利益846.0億円、純利益660.0億円)に対するQ1進捗率は、売上高21.4%、営業利益22.5%、純利益26.5%である。標準進捗25%と比較して売上・営業利益はやや下回るが、通期予想自体がCY26テスタ市場見通しの上方修正(TAM+約19%)を反映し前回予想から売上+294.0億円、営業利益+218.5億円上方修正されたばかりであり、需要拡大の後半偏重を前提とした計画とみられる。純利益進捗が標準を上回るのは評価益を含むためで、通期計画に対する余裕とはみなしにくい。

株主還元

配当金支払額は214.3億円で、当期純利益に対する配当性向は12.3%である。自己株買い422.1億円を加えた総還元額は636.4億円となり、純利益に対する総還元性向は36.4%である。FCF346.1億円は配当金の1.6倍をカバーしており、当四半期の配当実行力は十分である。

カタリスト

【短期】Q2以降の売上・営業利益進捗率が標準の50%に到達するか、在庫413.5億円積み増しの消化動向。 【長期】CY26テスタ市場(TAM130-145億ドル、前回比+約19%)の実現度合いと、推論AI向けSoC・メモリ双方の生産能力増強の進捗。

業種ベンチマーク(参考・当社調べ)

業種ベンチマーク(manufacturing)

収益性・リターン

指標自社中央値 (IQR)Delta
営業利益率51.7%8.7% (4.2%–14.3%)+43.0pt
純利益率47.6%7.1% (3.2%–10.6%)+40.4pt

製造業中央値を大幅に上回り、業種内で最上位水準の収益性を有する。

成長性・資本効率

指標自社中央値 (IQR)Delta
売上高成長率(前年比)39.3%6.2% (-1.1%–14.6%)+33.1pt

売上成長率も製造業中央値を大幅に上回り、半導体テスト需要拡大の恩恵が顕著に表れている。

※出所: 当社集計

リスク要因

  1. 在庫滞留リスク: 棚卸資産は前年同期比+18.1%の2736.5億円まで増加し、年換算在庫回転日数223日、CCC142日はいずれも一般的な製造業基準を大きく上回る。需要が鈍化した場合、評価損や粗利率悪化につながる可能性がある。

  2. 金融資産の価格変動リスク: 投資有価証券は3577.4億円と総資産の23.6%を占め、当期は戦略投資関連の評価益410.8億円が純利益を押し上げた。市場価格の変動により純利益・純資産が影響を受ける構造にある。

  3. 半導体投資サイクルの変動リスク: 売上の90.8%を構成するテストシステム事業はAI・HPC向け半導体投資動向に強く依存する。TAM予想は上方修正されているが、先端パッケージング容量やメモリ供給動向など外部要因の変動が業績に影響しうる。

決算上の注目ポイント

  1. 営業利益率51.7%(前年47.0%)は業種中央値を大幅に上回り、テストシステム事業の製品ミックス改善と固定費吸収が構造的な収益性向上として観察される。

  2. 通期予想は前回から大幅に上方修正されたが、Q1の売上・営業利益進捗率(21.4%、22.5%)は標準の25%をやや下回り、需要拡大が後半に加速する計画である点が確認できる。

  3. 棚卸資産の積み増しとCCC142日への拡大は、成長投資に伴う運転資本の変化として、今後の在庫消化動向を確認する材料となる。

理論株価(参考値)

シナリオ理論株価
bear(弱気)3,836円
base(基準)3,836円
bull(強気)3,836円
算出前提
1株純資産(BPS)1,440円
調整後予想EPS720.1円
株主資本コスト r8.77%(10年国債 2.77% + 株式リスクプレミアム 6.00% + 規模プレミアム 0.00%)
残余利益の持続係数 ω / 明示予測0.62 / 5年
想定配当性向30.0%
予想EPSの信頼度調整×1.052(当社の過去のガイダンス達成率実績に基づく)
implied PBR / PER2.66倍 / 5.3倍

感応度: 株主資本コスト±1%で 3,717円〜3,961円、ω±0.1で 3,755円〜3,961円。

注記:

  • 想定為替レートから±5円変動した場合のEPS影響(約27.3円/株)をbear/bullシナリオに反映しています。
  • 予想ROEが高いため、算出上はROE 50%を上限として扱っています(シナリオ間の差が小さく表示される場合があります)。
  • 四半期末時点の純資産を使用しています(通期予想との間に期間のずれがあります)。

(算出モデル: 残余利益モデル(Ohlson型・明示5年フェード) / 金利基準月: 2026-07 / 公表データのみからの機械算出値であり、市場株価の予測や特定の投資行動の推奨ではなく、将来の株価を予測・保証するものではありません)


本レポートはXBRL決算短信データとPDF決算説明資料をAIが統合分析して自動生成した決算解析資料です。特定銘柄への投資を推奨するものではありません。業種ベンチマークは公開決算データを基に当社が集計した参考情報です。投資判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談の上、行ってください。