記事一覧に戻る
57072027 第1四半期プライムJGAAP

東邦亜鉛(5707) 2027年度第1四半期決算 増収16%

2027年度第1四半期の売上高は311億円(前年同期比+15.7%)、営業損失は2.5億円。以下、セグメント別の増減要因とキャッシュフローを確認します。

東邦亜鉛株式会社

鉄鋼・非鉄/非鉄金属


クイックビュー

指標当期前年同期YoY
売上高¥311.0億¥268.7億+15.7%
営業利益−¥2.5億−¥8.5億+70.7%
経常利益−¥5.8億−¥10.8億+46.1%
純利益¥2.6億−¥11.1億+123.3%
ROE1.4%−8.1%-

Executive Summary

売上高が15.7%増収する一方、営業損益は赤字ながら縮小し、純利益は税効果により黒字転換した増収の決算である。売上高は311.0億円(前年268.7億円、+15.7%)、営業利益は▲2.5億円(前年▲8.5億円)、経常利益は▲5.8億円(前年▲10.8億円)、純利益は2.6億円(前年▲11.1億円)となった。増収の主因は製錬セグメントの数量・価格の増加であるが、粗利率3.2%に対し販管費率4.0%と基礎収益力はなお販管費を吸収できておらず、純利益黒字化は税引前損失6.1億円に対する法人税等8.7億円の益計上が主因である。

業績変動要因

【売上高】売上高は311.0億円(前年比+15.7%)。セグメント別では製錬が263.3億円(+37.8%)と全体を牽引し、環境・リサイクルも21.2億円(+23.6%)と増収。一方、金属リサイクルは7.6億円(-82.2%)と大幅減収、電子部材・機能材料も9.4億円(-1.0%)とほぼ横ばいで、増収は製錬への依存度が高い。

【損益】営業損失は2.5億円で前年の8.5億円の損失から6.0億円改善し、営業利益率は▲3.2%から▲0.8%へ改善した。経常損失は5.8億円で、支払利息3.4億円を含む営業外費用5.1億円が損失拡大要因となっている。セグメント利益では製錬が24.8億円の損失を計上し連結損益の主因となる一方、金属リサイクル(+10.6億円)と環境・リサイクル(+5.7億円)が黒字を確保し損失を補完している。純利益2.6億円は税引前損失6.1億円に法人税等8.7億円の益が加わった結果であり、本業の収益改善によるものではない。総括すると増収減益(税引前段階)であり、純利益ベースでは増収増益に見えるが実態は税効果によるものである。

セグメント別分析

製錬は売上高263.3億円(+37.8%)と連結売上の84.6%を占める最大セグメントだが、セグメント損失24.8億円(前年比損失拡大)を計上し、連結損益の主因となっている。環境・リサイクルは売上高21.2億円(+23.6%)、利益5.7億円(+144.3%)と増収増益。金属リサイクルは売上高7.6億円(-82.2%)と大幅減収ながら利益10.6億円(+256.4%)と黒字幅を拡大しており、取扱数量よりも単価・採算構造の変化が寄与したとみられる。電子部材・機能材料は売上高9.4億円(-1.0%)、利益0.7億円(-2.9%)とほぼ横ばい。事業ポートフォリオ内で製錬とその他事業の採算格差が極めて大きく、連結収益は非製錬部門の黒字が製錬の損失を一部相殺する構図となっている。

主要財務指標

【収益性】営業利益率は▲0.8%(前年▲3.2%)、純利益率は0.8%(前年▲4.1%)で、粗利率3.2%に対し販管費率4.0%であり、基礎収益力は依然として販管費を吸収できていない。【キャッシュ品質】税引前損失6.1億円に対し純利益は2.6億円で、法人税等が8.7億円の益となっており、実効税率は異常値を示す。純利益の黒字化は税効果によるもので、営業・経常段階の損益がより実態に近い。【投資効率】ROEは1.4%で、純利益率0.8%、総資産回転率0.289倍、財務レバレッジ5.87倍の組み合わせで構成され、高レバレッジがROEを押し上げている。【財務健全性】自己資本比率は17.0%(前年13.8%)、総資産は1077.5億円、純資産は183.6億円。有利子負債は738.7億円で長期借入金613.7億円が中心を占め、支払利息3.4億円は営業利益で賄えない水準にある。

キャッシュフロー分析

キャッシュフロー計算書のデータは開示されていないため、貸借対照表の変動から資金動向を確認する。現金及び預金は128.2億円で前年同期の111.3億円から増加し、短期借入金125.0億円をほぼ同水準でカバーしている。流動資産は834.7億円、流動負債は244.3億円で流動比率は約342%と高水準にあり、短期的な資金繰りには余裕がある。一方、原材料188.6億円、仕掛品257.7億円と在庫関連資産が積み上がっており、運転資本への資金滞留が資金効率上の課題となる。固定負債は649.6億円と高水準で、その大半を長期借入金613.7億円が占め、資金調達構造は長期借入への依存度が高い。

収益の質

当期の純利益2.6億円は、税引前損失6.1億円に対して法人税等が8.7億円の益となったことで生じており、経常的な収益力を反映したものではない。営業外収益1.8億円のうち受取配当金0.1億円、為替差益0.4億円は限定的な規模にとどまる一方、営業外費用5.1億円の大半を支払利息3.4億円が占め、金融費用が経常損失を拡大させる構造的な要因となっている。特別損益は特別利益0.0億円、特別損失0.3億円(固定資産除却損)と僅少であり、当期損益への影響は軽微である。包括利益は36.5億円と純利益を大きく上回るが、その主因は繰延ヘッジ損益35.0億円であり、当期の事業収益力を示すものではない。純利益と本業の収益力(営業損失2.5億円、経常損失5.8億円)には明確な乖離があり、決算の質を評価する上では税引前・営業段階の損益を重視する必要がある。

業績予想・ガイダンス

通期予想は売上高1785.0億円(前年比+42.2%)、営業利益67.0億円(同-0.3%)、経常利益45.0億円(同-20.7%)、純利益34.5億円である。Q1進捗率は売上高17.4%と標準的な25%を下回り、営業利益は当期が赤字のため進捗率がマイナスとなっている。通期営業利益予想の達成には残り3四半期で69.5億円の営業利益計上が必要であり、Q1実績から見て下期にかけての大幅な収益改善を前提とした計画となっている。業績予想の修正は当四半期において行われていない。

株主還元

通期の1株当たり配当予想は0円であり、配当性向は0%である。累積利益剰余金は▲274.4億円のマイナスであり、配当原資となる分配可能な利益蓄積は限定的な状況にある。自社株買いに関する実績は開示されておらず、当期は配当・自社株買いのいずれによる株主還元も想定されていない。

リスク要因

  1. 製錬事業の採算悪化リスク: 主力の製錬セグメントは売上高263.3億円と連結売上の84.6%を占める一方、セグメント損失24.8億円を計上している。金属価格・原料調達コストの変動が薄い粗利率(3.2%)に大きく影響し、連結損益の主因となり得る。

  2. 財務レバレッジと金利負担: 有利子負債738.7億円、自己資本比率17.0%と負債依存度が高く、支払利息3.4億円は営業利益(▲2.5億円)で賄えていない。金融費用の負担が経常損失を拡大させる構造が続いている。

  3. 在庫・運転資本の滞留リスク: 仕掛品257.7億円、原材料188.6億円と在庫関連資産が積み上がっており、生産リードタイムの長期化や市況変動時の評価リスクが資金効率とキャッシュ創出力に影響し得る。

業種ベンチマーク(参考・当社調べ)

業種ベンチマーク(manufacturing)

収益性・リターン

指標自社中央値 (IQR)Delta
営業利益率−0.8%8.7% (4.2%–14.3%)−9.5pt
純利益率0.8%7.1% (3.2%–10.6%)−6.3pt

収益性は業種中央値を大きく下回り、営業・純利益率とも業種内で低位に位置する。

成長性・資本効率

指標自社中央値 (IQR)Delta
売上高成長率(前年比)15.7%6.2% (-1.1%–14.6%)+9.5pt

売上成長率は業種中央値・IQR上限を上回り、業種内でトップクラスの伸び率にある。

※出所: 当社集計

決算上の注目ポイント

  1. 増収と営業損失縮小が同時に進行しているが、純利益の黒字化は税効果によるものであり、営業損失2.5億円・経常損失5.8億円という本業の収益力を重視した理解が必要である。

  2. 主力の製錬セグメントが24.8億円の損失を計上する一方、環境・リサイクルと金属リサイクルが黒字を確保しており、事業ポートフォリオ内の収益格差が連結損益を左右する構造となっている。

  3. 有利子負債738.7億円、自己資本比率17.0%という財務構造のもとで支払利息が経常損失を拡大させており、通期営業利益予想67.0億円の達成には残り3四半期での大幅な収益改善が計画上前提とされている。

理論株価(参考値)

シナリオ理論株価
bear(弱気)1,045円
base(基準)1,116円
bull(強気)1,135円
算出前提値
1株純資産(BPS)1,008円
調整後予想EPS133.5円
株主資本コスト r9.77%(10年国債 2.77% + 株式リスクプレミアム 6.00% + 規模プレミアム 1.00%)
残余利益の持続係数 ω / 明示予測0.62 / 5年
想定配当性向0.0%
予想EPSの信頼度調整×1.150(同業種のガイダンス達成率実績に基づく)
implied PBR / PER1.11倍 / 8.4倍

感応度: 株主資本コスト±1%で 1,083円〜1,151円、ω±0.1で 1,113円〜1,120円。

注記:

  • 税負担・買収関連費用・少数株主持分等により、営業利益に対して純利益が大きく圧縮されています(純利益÷営業利益 51%)。本値はその圧縮を額面どおり反映しており、要因が一時的であれば実力値はこれより高い可能性があります。
  • 四半期末時点の純資産を使用しています(通期予想との間に期間のずれがあります)。
  • 純資産に非支配株主持分を含むため、理論値はやや高めに算出される可能性があります。

(算出モデル: 残余利益モデル(Ohlson型・明示5年フェード) / 金利基準月: 2026-07 / 公表データのみからの機械算出値であり、市場株価の予測や特定の投資行動の推奨ではなく、将来の株価を予測・保証するものではありません)


本レポートはXBRL決算短信データをAIが分析して自動生成した決算解析資料です。特定銘柄への投資を推奨するものではありません。業種ベンチマークは公開決算データを基に当社が集計した参考情報です。投資判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談の上、行ってください。