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45682027 第1四半期プライムIFRS

第一三共(4568) 2027年度第1四半期決算 増収・営業益12%減

2027年度第1四半期の売上高は5,747億円(前年同期比+21.1%)、営業利益は851億円(同-12.0%)。以下、セグメント別の増減要因とキャッシュフローを確認します。

第一三共株式会社

医薬品


クイックビュー

指標当期前年同期YoY
売上高¥5747.4億¥4746.0億+21.1%
営業利益¥851.0億¥967.1億−12.0%
税引前利益¥913.4億¥1054.4億−13.4%
純利益¥686.4億¥855.0億−19.7%
ROE4.0%5.1%-

Executive Summary

2026年度第1四半期は、主力のオンコロジー領域が牽引する大幅増収と、事業再編費用や研究開発投資増を背景とした営業減益が同時進行した点が最大の特徴である。売上高は5,747.4億円(前年比+21.1%)と力強く伸びた一方、営業利益は851.0億円(同-12.0%)、純利益(親会社株主に帰属する当期純利益、連結当期純利益と同額)は686.4億円(同-19.7%)と減益となった。増収の主因はエンハーツ・ダトロウェイの拡大と円安効果、減益の主因はEUスペシャルティ事業の再編費用計上と研究開発費・販管費の増加である。通期会社予想(売上高2兆3,400億円、営業利益3,200億円)に対する進捗率は売上24.6%、営業利益26.6%、純利益27.0%と、四半期の標準進捗(25%)を上回って推移している。

業績変動要因

【売上高】増収率+21.1%は、主力のオンコロジー事業におけるエンハーツ(前年比+523億円)とダトロウェイ(同+134億円)の拡大が牽引した。加えて、当第1四半期の実績為替レート(USD/円159.49、EUR/円185.38)が前年同期比でそれぞれ+14.89円、+21.57円の円安となり、海外売上の円換算額を押し上げた。ジャパンビジネスはリクシアナの減収(-46億円)が響き前年比微減となったが、オンコロジー・EU・ASCAの各事業が増収を補った。

【損益】営業利益は-12.0%の減益で、粗利率は78.4%(前年80.5%)へ2.2pt低下、販管費は2,499.6億円(前年比+38.6%)と売上成長率を上回るペースで拡大し、営業レバレッジが逆回転した。研究開発費は1,154.5億円(同+9.0%)とDXd ADC群への投資継続を反映するが、対売上比では20.1%(前年22.3%)とやや低下している。EUスペシャルティビジネスユニットの事業再編費用240億円(一時的要因)と棚卸資産評価損の計上が減益の主因で、小田原工場投資中止関連補償金の引当戻入69億円(一時的要因、コア外収益)が一部相殺した。税引前利益は913.4億円(同-13.4%)、法人税等227.0億円(実効税率24.9%)を控除後の純利益は686.4億円で、税引前利益からの乖離は通常の税負担範囲内であり異常な乖離は見られない。結論として、当四半期は増収減益である。

セグメント別分析

当社は医薬事業の単一セグメントであり正式な報告セグメント区分はないが、決算説明資料の事業ユニット別実績では、オンコロジービジネスが売上高1,974億円(前年比+662億円、+50.4%)で構成比最大(全体の約34%)となり、主力事業と位置づけられる。オンコロジー事業はエンハーツ・ダトロウェイの拡大により今期増収の中心的な牽引役となった一方、EUスペシャルティビジネス(売上747億円、前年比+109億円)は増収ながら事業再編費用240億円を計上し、全社営業利益の押し下げ要因となった。ジャパンビジネス(1,200億円、同-49億円)はリクシアナの減収を主因に減収、アメリカンリージェント(422億円、同-71億円)もヴェノファー等の減収で前年を下回った。増収を牽引したオンコロジーと、減益要因となったEUスペシャルティが、それぞれ売上と利益の変動要因として対照的な役割を果たした。

主要財務指標

収益性: ROE 4.0%(前年同期5.1%)、営業利益率14.8%(前年同期20.4%)で、いずれも前年から低下。 キャッシュ品質: 営業CF/純利益0.30倍(前年同期はマイナス)で1.0倍を下回り、FCFは487.5億円。 投資効率: 設備投資/減価償却1.73倍で、1.0倍超の成長投資局面にある。 財務健全性: 自己資本比率41.4%(前年同期42.1%)、流動比率291.8%。

キャッシュフロー分析

営業CFは203.3億円で、純利益686.4億円に対する比率は0.30倍にとどまり、利益の現金裏付けは弱い。投資CFは284.2億円のプラスで、設備投資-372.4億円を計上する一方、定期預金の払戻345.7億円や投資売却収入541.2億円が資金流入として上回った。財務CFは1,224.7億円で、社債発行2,000億円による資金調達が配当支払-712.2億円と自社株買い-4.8億円を上回る主因となった。FCFは487.5億円(営業CF+投資CF)とプラスを確保している。現金創出評価は、在庫増加(+406.1億円)・仕入債務減少(-337.3億円)・法人税支払増加(-925.3億円)が営業CFを圧迫しており、要モニタリングと位置づけられる。

収益の質

IFRS採用企業のため経常利益は用いず、税引前利益913.4億円から法人税等227.0億円(実効税率24.9%)を控除して純利益686.4億円となっており、両者の乖離は通常の税負担水準の範囲内である。金融収益は97.4億円で売上高比1.7%にとどまり、営業外収益の規模は限定的である。一方、EUスペシャルティ事業再編費用240億円と小田原工場関連引当金戻入69億円という相殺的な一時的項目が営業利益に含まれており、報告ベースの営業利益851.0億円はこれら一時要因の影響を受けている。営業CF(203.3億円)が純利益(686.4億円)を大きく下回るアクルーアルが生じており、在庫・売上債権・税金支払の増加が背景で、収益の質としてはモニタリングが必要な水準にある。

業績予想・ガイダンス

通期予想に対する進捗率は、売上高24.6%(5,747.4億円/2兆3,400億円)、営業利益26.6%(851.0億円/3,200億円)、純利益27.0%(686.4億円/2,540億円)で、いずれも四半期の標準進捗(25%)を上回っている。当四半期に業績予想修正が実施され、売上高は+600億円、営業利益は+50億円の上方修正となった。主因は第2四半期以降の為替前提見直し(USD/円155、EUR/円180)とエンハーツ米国売上の好調推移、および小田原工場関連引当金戻入によるコア外収益の押し上げである。配当予想の修正は無く、年間配当100円が据え置かれている。

株主還元

通期会社予想ベースでは、予想EPS137.94円に対し予想DPS100円で、配当性向は72.5%と算出される。当四半期のキャッシュフロー計算書上の配当支払額は712.25億円で、前年同期の561.03億円から増加している。自社株買いは4.8億円と小規模にとどまり、前年同期の585.36億円から大幅に縮小した。配当のみを対象とした配当性向は上記の72.5%であり、自社株買いを含めた総還元性向は当四半期実績としては相対的に低い水準にある。

カタリスト

【短期】第2四半期以降の為替前提(USD/円155、EUR/円180)の実勢との乖離動向、エンハーツ・ダトロウェイの追加適応拡大の進捗、新規Treg細胞標的ADC「DS1025」のFIH試験開始(2026年度上半期予定)が注目点である。

【長期】DXd ADCsを1st BGTと位置づけ、2030年度までに複数のNext BGTを見出す研究開発方針の進捗、免疫腫瘍学領域における新規モダリティ開発の展開が中長期の注目イベントとなる。

業種ベンチマーク(参考・当社調べ)

業種ベンチマーク(pharma)

収益性・リターン

指標自社中央値 (IQR)Delta
営業利益率14.8%17.5% (6.9%–23.1%)−2.7pt
純利益率11.9%7.0% (2.5%–15.6%)+4.9pt

営業利益率は業種中央値をやや下回るが、純利益率は業種中央値を大きく上回っており、営業段階の投資先行と税引後の相対的な効率の良さが対照的である。

成長性・資本効率

指標自社中央値 (IQR)Delta
売上高成長率(前年比)21.1%9.8% (2.9%–13.0%)+11.3pt

売上高成長率は業種中央値の2倍超で、業種内でも高い伸長を示している。

※出所: 当社集計

リスク要因

  1. キャッシュコンバージョンの低下: 営業CF/純利益は0.30倍にとどまり、棚卸資産は7,330.5億円(前期末比+5.9%)へ増加している。在庫評価損の計上も確認されており、在庫・運転資本の管理状況がキャッシュ創出力に影響を与えている。

  2. 為替変動リスク: 当第1四半期の実績為替(USD/円159.49、EUR/円185.38)は、通期予想の前提(USD/円155、EUR/円180)よりも円安水準にあり、下期にかけて為替前提との乖離が生じた場合は業績への影響が想定される。

  3. 事業再編に伴う一時的費用: EUスペシャルティビジネスユニットの事業再編費用240億円が当四半期の営業利益を押し下げており、今後の事業構造改革の進捗次第で追加的な一時費用が発生する可能性がある。

決算上の注目ポイント

  1. 売上高成長率+21.1%は業種中央値9.8%を大きく上回る一方、営業利益率14.8%は業種中央値17.5%を下回っており、研究開発投資と事業再編費用が先行する成長投資局面にあることが決算データから読み取れる。

  2. 営業CF/純利益0.30倍という低いキャッシュ転換率は、在庫増加・売上債権や税金支払の動きに起因しており、利益の現金化力は今後の四半期でのモニタリングポイントとなる。

  3. 通期予想は上方修正済みで、売上・営業利益・純利益の進捗率はいずれも標準進捗(25%)を上回っており、開示情報からは通期計画の実現に向けた進捗の妥当性が確認できる。

理論株価(参考値)

残余利益モデル(Ohlson型・明示5年フェード)により公表データのみから機械算出した参考レンジです。市場株価の予測や特定の投資行動の推奨ではありません。

シナリオ理論株価
bear(弱気)1,065円
base(基準)1,105円
bull(強気)1,146円
算出前提
1株純資産(BPS)935円
調整後予想EPS141.3円
株主資本コスト r8.65%(10年国債 2.65% + 株式リスクプレミアム 6.00% + 規模プレミアム 0.00%)
残余利益の持続係数 ω / 明示予測0.62 / 5年
想定配当性向72.5%
予想EPSの信頼度調整×1.025(当社の過去のガイダンス達成率実績に基づく)
implied PBR / PER1.18倍 / 7.8倍

感応度: 株主資本コスト±1%で 1,075円〜1,136円、ω±0.1で 1,101円〜1,111円。

注記:

  • 四半期末時点の純資産を使用しています(通期予想との間に期間のずれがあります)。

(算出モデル: 残余利益モデル / 金利基準月: 2026-06 / 本値は将来の株価を予測・保証するものではありません)


本レポートはXBRL決算短信データとPDF決算説明資料をAIが統合分析して自動生成した決算解析資料です。特定銘柄への投資を推奨するものではありません。業種ベンチマークは公開決算データを基に当社が集計した参考情報です。投資判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談の上、行ってください。