記事一覧に戻る
42182027 第1四半期プライムJGAAP

ニチバン(4218) 2027年度第1四半期決算 増収・営業益5%減

2027年度第1四半期の売上高は122.6億円(前年同期比+2.9%)、営業利益は6.2億円(同-4.7%)。以下、セグメント別の増減要因とキャッシュフローを確認します。

ニチバン株式会社

素材・化学/化学


クイックビュー

指標当期前年同期YoY
売上高¥122.6億¥119.2億+2.9%
営業利益¥6.2億¥6.5億−4.7%
経常利益¥6.7億¥6.8億−1.2%
純利益¥3.9億¥3.9億+0.0%
ROE0.9%0.9%-

Executive Summary

2027年度Q1は増収減益となり、売上成長が利益成長に結び付いていない点が最大のポイントである。売上高は122.6億円(前年比+2.9%)、営業利益は6.2億円(同△4.7%)、経常利益は6.7億円(同△1.2%)、純利益は3.9億円(同+0.0%)となった。増収の主因はテープ事業の工業品フィールド拡大だが、メディカル事業の採算悪化と全社費用の増加が営業利益を押し下げた。

業績変動要因

【売上高】売上高は122.6億円で前年比+2.9%増収。テープ事業は62.8億円(同+4.3%)、メディカル事業は60.3億円(同+1.4%)とともに増収。テープ事業では工業品フィールドが33.0億円から36.1億円へ+9.2%増加し牽引役となった。一方、医療材フィールドは14.1億円から12.7億円へ△9.7%減少、海外グローバルフィールドもメディカルで△1.8%、テープで△24.2%と両事業で弱含んだ。

【損益】営業利益は6.2億円で前年比△4.7%減益。メディカル事業のセグメント利益は14.0億円と同△9.9%減少し、利益率も26.2%から23.2%へ約300bp低下した。対照的にテープ事業は4.1億円(同+65.1%)と大幅増益で、利益率は4.1%から6.5%へ約241bp改善した。ただし全社費用が11.5億円と同+3.1%増加し、セグメント段階の改善を連結利益に十分転化できていない。経常利益は6.7億円(同△1.2%)、純利益は3.9億円(同+0.0%)とほぼ横ばい。特別損失0.4億円(純利益の9.4%相当)が一時的な下押し要因となった。結論として増収減益。

セグメント別分析

テープ事業は売上62.8億円(前年比+4.3%)、セグメント利益4.1億円(同+65.1%)と増収増益で、利益率は4.1%から6.5%へ改善した。工業品フィールドの9.2%増収が主因である。メディカル事業は売上60.3億円(同+1.4%)と増収したが、セグメント利益は14.0億円(同△9.9%)と減益し、利益率は26.2%から23.2%へ低下した。医療材フィールドの9.7%減収が収益性低下に寄与した。両事業合計のセグメント利益は18.1億円だが、配分不能な全社費用11.5億円(前年比+3.1%)が控除され、連結営業利益は6.2億円にとどまる。全社費用の増加ペースが利益改善の抑制要因となっている。

主要財務指標

【収益性】営業利益率は5.1%で前年同期の約5.5%から約41bp低下、純利益率は3.2%で前年同期の約3.3%から約9bp低下した。売上総利益率は30.6%、販管費率は25.6%であり、増収を上回る販管費の増加が利益率を圧迫した。【キャッシュ品質】税引前利益から純利益への転換率は62.3%で実効税率は約37.6%、特別損失0.4億円は純利益の9.4%に相当し一時的な下押し要因となった。【投資効率】年換算ベースのROEは約3.6%、自己資本比率は67.1%である。ROEは開示指標の0.9%(単純四半期値)に対し、年換算では約3.6%となる。【財務健全性】現金及び預金132.1億円、有利子負債(長期借入金)10.0億円、流動資産376.9億円に対し流動負債147.1億円と、短期債務への備えは厚い。自己資本比率67.1%は前年同期の65.9%から改善している。

キャッシュフロー分析

キャッシュフロー計算書の開示はないが、貸借対照表の推移から資金動向を読み取ると、現金及び預金は132.1億円で前年同期の137.3億円から減少している。売掛金は78.4億円と前年同期の90.2億円から減少した一方、棚卸資産は56.1億円と前年同期の54.6億円からやや増加しており、在庫の資金固定化が進んでいる。買掛金は39.2億円、電子記録債務は48.9億円と前年同期から減少しており、仕入債務の圧縮も現金水準に影響している。純資産は439.5億円で前年同期の443.3億円からわずかに減少しており、利益の積み上げに対し在庫増加や仕入債務の減少による運転資本の変動が、現金水準を下押ししている可能性がある。

収益の質

当期の営業利益6.2億円は本業のセグメント利益(メディカル14.0億円、テープ4.1億円、合計18.1億円)から全社費用11.5億円を控除して形成されており、収益源泉は事業セグメントの実力に基づく経常的なものである。営業外損益は0.5億円の純益で、受取配当金0.2億円などが含まれるが売上高比では0.4%と小さく、本業の代替とはなっていない。特別損失0.4億円(固定資産除却損0.01億円を含む)は純利益の9.4%に相当し、一時的な下押し要因として区別すべきである。包括利益は4.3億円と純利益3.9億円を上回っており、有価証券評価差額金0.9億円の増加が主因で、退職給付に係る調整額△0.3億円がこれを一部相殺している。純利益と包括利益の乖離は主に有価証券評価という非経常的な項目に起因し、本業の収益力そのものを歪めるものではない。

業績予想・ガイダンス

通期計画は売上高520.0億円(前年比+3.0%)、営業利益36.0億円(同+58.5%)、経常利益37.0億円(同+51.5%)であり、業績予想の修正はなかった。Q1進捗率は売上高23.6%、営業利益17.3%、経常利益18.1%、純利益17.1%と、いずれも四半期均等進捗の25%を下回っている。特に営業利益計画は前年比+58.5%増という大幅な反転を前提としており、Q1の減益基調からの回復にはメディカル事業の採算改善、工業品フィールドの増収継続、全社費用の抑制が必要となる。

株主還元

通期配当予想は1株当たり40.00円で、修正はなかった。通期予想EPS113.06円に基づく予想配当性向は35.4%であり、保守的な水準にとどまる。現金及び預金132.1億円、有利子負債10.0億円という財務構造は配当の支払い余力を支えているが、通期純利益計画23.0億円に対するQ1進捗率は17.1%にとどまり、配当原資の安定性は通期利益計画の達成度に依存する。

リスク要因

  1. 主力事業の採算低下: メディカル事業は売上60.3億円と増収ながら、セグメント利益は14.0億円と前年比△9.9%減少し、利益率も約300bp低下した。同事業への依存度が高く、採算回復の遅れは連結利益に大きく影響する。

  2. 海外需要の弱含み: 海外グローバルフィールドはメディカルで△1.8%、テープで△24.2%と両事業で減収した。海外市場の回復遅延は成長ドライバーの一つである工業品輸出等の制約要因となり得る。

  3. 全社費用の増加: 各セグメントに配分されない全社費用は11.5億円と前年比+3.1%増加し、事業セグメント段階の増益(テープ事業+65.1%)を連結営業利益(△4.7%)へ十分転化できていない。費用構造の最適化が今後の焦点となる。

業種ベンチマーク(参考・当社調べ)

業種ベンチマーク(manufacturing)

収益性・リターン

指標自社中央値 (IQR)Delta
営業利益率5.1%8.7% (4.2%–14.3%)−3.6pt
純利益率3.2%7.1% (3.2%–10.6%)−3.9pt

自社の収益性は業種中央値を下回り、純利益率は業種IQRの下限付近に位置する。

成長性・資本効率

指標自社中央値 (IQR)Delta
売上高成長率(前年比)2.9%6.2% (-1.1%–14.6%)−3.3pt

売上高成長率は業種中央値を下回るが、業種IQRのレンジ内にはとどまっている。

※出所: 当社集計

決算上の注目ポイント

  1. Q1は売上高が2.9%増加した一方で営業利益は4.7%減少し、売上成長を利益成長に転換できていない点が決算データから読み取れる。メディカル事業の利益率低下(約300bp)とテープ事業の利益率改善(約241bp)が対照的な構図を形成している。

  2. 通期計画は営業利益が前年比+58.5%増という大幅な反転を前提としているが、Q1進捗率は17.3%と均等進捗の25%を下回っており、Q2以降の実績推移が計画達成の可否を左右する構造となっている。

  3. 自己資本比率67.1%、流動比率が高い水準にあるなど財務基盤は保守的であり、収益改善に向けた施策を実行する財務的な余力は確保されている。

理論株価(参考値)

シナリオ理論株価
bear(弱気)1,899円
base(基準)1,927円
bull(強気)1,950円
算出前提
1株純資産(BPS)2,178円
調整後予想EPS121.5円
株主資本コスト r9.77%(10年国債 2.77% + 株式リスクプレミアム 6.00% + 規模プレミアム 1.00%)
残余利益の持続係数 ω / 明示予測0.62 / 5年
想定配当性向35.4%
予想EPSの信頼度調整×1.075(同業種のガイダンス達成率実績に基づく)
implied PBR / PER0.89倍 / 15.9倍

感応度: 株主資本コスト±1%で 1,874円〜1,983円、ω±0.1で 1,919円〜1,933円。

注記:

  • 予想ROEが株主資本コストを下回るため、理論値は1株純資産を下回る水準になります。
  • 四半期末時点の純資産を使用しています(通期予想との間に期間のずれがあります)。
  • 純資産に非支配株主持分を含むため、理論値はやや高めに算出される可能性があります。

(算出モデル: 残余利益モデル(Ohlson型・明示5年フェード) / 金利基準月: 2026-07 / 公表データのみからの機械算出値であり、市場株価の予測や特定の投資行動の推奨ではなく、将来の株価を予測・保証するものではありません)


本レポートはXBRL決算短信データをAIが分析して自動生成した決算解析資料です。特定銘柄への投資を推奨するものではありません。業種ベンチマークは公開決算データを基に当社が集計した参考情報です。投資判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談の上、行ってください。