| 指標 | 当期 | 前年同期 | YoY |
|---|---|---|---|
| 売上高 | ¥10042.5億 | ¥8806.5億 | +14.0% |
| 営業利益 | ¥1184.0億 | ¥609.1億 | +94.4% |
| 税引前利益 | ¥1118.1億 | ¥501.6億 | +122.9% |
| 純利益 | ¥833.1億 | ¥359.7億 | +131.6% |
| ROE | 3.3% | 1.5% | - |
2027年3月期第1四半期は、産業ガス・スペシャリティマテリアルズを中心とした構造的な収益力改善に、原料市況上昇に伴う在庫評価益や固定資産売却益といった一時的要因が加わり、大幅増収増益となった。売上高は1兆42.5億円(前年比+14.0%)、営業利益は1184.0億円(同+94.4%)、営業利益率は11.8%と前年6.9%から+4.9pt改善した。純利益は連結(非支配株主分含む)で833.1億円(同+131.6%)、このうち親会社株主に帰属する四半期利益は577.1億円(同+194.0%、前年196.3億円)、EPSは42.47円(前年13.96円)。増益の主因は産業ガス・スペシャリティマテリアルズの価格政策効果と半導体需要の回復に加え、ベーシックマテリアルズにおける在庫評価益485億円(PDF開示)で、後者は市況要因が大きく持続性の評価には留意が必要である。
【売上高】売上高は1兆42.5億円で前年比+14.0%増収。産業ガス(+15.0%)、スペシャリティマテリアルズ(+16.3%)、ベーシックマテリアルズ(+11.8%)、MMA&デリバティブズ(+11.5%)と主要セグメントが揃って伸長し、半導体関連需要の回復と価格政策効果が寄与した。一方、その他セグメントは+0.4%と伸びが限定的で、事業間の成長速度に差が見られる。
【損益】営業利益は118.0億円増の118.4億円へ+94.4%増、営業利益率は11.8%(前年6.9%)へ拡大した。増益の中心はベーシックマテリアルズ(+215.1億円)とスペシャリティマテリアルズ(+209.6億円)で、前者は原料価格上昇局面での在庫評価益485億円(一時的要因)、後者は半導体関連製品の価格・売買差改善が主因。営業利益には固定資産売却益128.2億円(本社移転関連、一時的要因)と減損損失39.3億円(本社建物、一時的要因)も含まれ、ネットでは限定的な押し上げにとどまる。税引前利益は111.8億円、親会社株主に帰属する四半期利益は577.1億円(前年196.3億円)で、非支配株主帰属分256.1億円を除いた後の伸び率は+194.0%と連結ベース(+131.6%)を上回る。結論として増収増益であり、収益性の改善は主力事業の構造要因と市況要因の両方に支えられている。
産業ガスは売上高3599.9億円(全体構成比35.8%)で最大となり、当期の主力事業である。営業利益は540.8億円(利益率15.0%)でセグメント別最大、連結営業利益の45.7%を占め、買収による事業拡大とDX活用による生産性向上が寄与した。
増益額で見ると、最大の寄与はベーシックマテリアルズ(営業利益148.1億円、前年比+215.1億円)で、原料価格上昇局面の在庫評価益485億円が中心要因であり一時的性質が強い。次いでスペシャリティマテリアルズ(383.4億円、+209.6億円)が半導体関連の価格・ミックス改善により構造的な伸びを示した。利益率は産業ガス15.0%が最も高く、その他セグメント1.2%との差が大きい。MMA&デリバティブズは利益率8.0%で、中東情勢による減販の影響を受けつつも市況上昇で増益(+43.5億円)となった。
収益性: ROE 3.3%(前年1.1%)、営業利益率11.8%(前年6.9%) キャッシュ品質: 営業CF/純利益(親会社株主帰属)0.61倍、FCF 87.2億円 投資効率: 設備投資/減価償却 0.93倍(設備投資650.8億円、減価償却700.6億円) 財務健全性: 自己資本比率31.0%(前年30.0%)、流動比率1.57倍
営業CFは350.7億円で前年比-41.8%となり、純利益(親会社株主帰属577.1億円)比では0.61倍にとどまった。棚卸資産の増加381億円(在庫評価益に伴う積み上がりを含む)やその他運転資本の流出464億円が現金創出を圧迫している。投資CFは-263.5億円で、設備投資650.8億円を有形固定資産売却収入158.4億円等で一部相殺した。財務CFは-933.9億円で、配当支払217.4億円と有利子負債の圧縮(社債償還300億円等)が主因。FCFは87.2億円で、四半期の配当支払217.4億円を単独ではカバーできていない。現金創出評価は要モニタリングで、下期の運転資本正常化がキャッシュ創出回復の鍵となる。
税引前利益111.8億円から法人税等28.5億円(実効税率25.5%)を引いた連結四半期利益は83.3億円で、うち非支配株主帰属分25.6億円を除いた親会社株主帰属分は57.7億円である。営業利益には固定資産売却益12.8億円(本社移転関連土地譲渡)と減損損失3.9億円(本社建物)が同時に含まれ、ネットの一時的要因は限定的だが、ベーシックマテリアルズのコア営業利益には原料市況に伴う在庫評価益48.5億円が反映されており、これは市況反転時に反動減となり得る点で収益の質を評価する上で留意が必要。包括利益は117.0億円(親会社株主分81.4億円)で純利益(親会社株主帰属57.7億円)を23.7億円上回り、主因は在外営業活動体の換算差額(為替)の増加である。
通期予想(売上高3800億円、営業利益300億円、純利益(連結)200億円)に対する進捗率は、売上高26.4%、営業利益39.5%と、標準進捗(Q1=25%)を大きく上回る。会社は第1四半期実績を受けて上期予想を上方修正(コア営業利益1,390億円→1,940億円)したが、通期については原料価格・中東情勢の先行き不透明感から従来予想を維持した。進捗率の上振れは在庫評価益等の一時的要因を含むため、通期据え置きの判断と整合的である。
年間配当予想は1株32円で、当四半期の配当予想修正は無し。親会社株主帰属純利益予想127.0億円(billion換算で1270億円)と期中平均株式数約13.59億株から想定配当総額は約434.8億円、配当性向は約34.2%と算出される。自社株買いは0.1億円と僅少で、株主還元は配当中心。総還元性向も配当性向とほぼ同水準の34%台にとどまる。
【短期】2026年度第2四半期以降の原料市況(ナフサ、為替)の動向、および中東情勢に伴うEV・食品包装材需要の軟化度合いが業績のブリッジを規定する。半導体(AI等最先端プロセス向け)需要の継続性も注目点。
【長期】中期経営計画2029・KAITEKI Vision 35に基づく事業ポートフォリオ再編、産業ガス事業における買収を通じた拡大、次世代・成長ドライバー領域への経営資源集中の進捗が中長期の収益構造を左右する。
収益性・リターン
| 指標 | 自社 | 中央値 (IQR) | Delta |
|---|---|---|---|
| 営業利益率 | 11.8% | 8.8% (4.3%–14.4%) | +3.0pt |
| 純利益率 | 8.3% | 7.3% (3.3%–10.6%) | +1.0pt |
営業利益率・純利益率ともに業種中央値を上回り、収益性は業種内で上位に位置する。
成長性・資本効率
| 指標 | 自社 | 中央値 (IQR) | Delta |
|---|---|---|---|
| 売上高成長率(前年比) | 14.0% | 6.6% (-0.5%–14.7%) | +7.4pt |
売上高成長率は業種中央値を大きく上回り、業種IQRの上限に近い水準にある。
※出所: 当社集計
原料市況・在庫評価リスク: ベーシックマテリアルズの増益215.1億円の主因である在庫評価益485億円(PDF開示)は原料価格上昇局面に依存し、中東情勢が緩和し市況が反転した場合は評価損として反動減が生じ得る。
キャッシュフローの質: 営業CFは350.7億円で前年比-41.8%、純利益(親会社株主帰属577.1億円)比0.61倍にとどまる。棚卸資産+381億円を中心とする運転資本の増加が現金創出を圧迫している。
のれん水準: のれんは9007.6億円で純資産2兆5008.8億円の36.0%を占める。前年から+97.3億円増加しており、事業環境変化時の減損テスト感応度は相応に維持される。
当期の増益574.9億円のうち、ベーシックマテリアルズの在庫評価益485億円やスペシャリティマテリアルズの構造的な価格・ミックス改善が主要因で、両者の性質(一時的か構造的か)を分けて捉えることが業績の持続性理解のポイントとなる。
通期予想に対する進捗率は営業利益39.5%と標準進捗(25%)を大きく上回るが、会社は上期予想のみ上方修正し通期は据え置いた。原料市況・為替前提の不確実性を保守的に評価している姿勢が読み取れる。
営業CFが純利益(親会社株主帰属)の0.61倍にとどまり、在庫・運転資本の増加が現金創出を遅らせている。損益面の改善とキャッシュ創出のタイミングにギャップが生じている点は、収益の質を見る上で構造的な観察点である。
残余利益モデル(Ohlson型・明示5年フェード)により公表データのみから機械算出した参考レンジです。市場株価の予測や特定の投資行動の推奨ではありません。
| シナリオ | 理論株価 |
|---|---|
| bear(弱気) | 1,225円 |
| base(基準) | 1,303円 |
| bull(強気) | 1,303円 |
| 算出前提 | 値 |
|---|---|
| 1株純資産(BPS) | 1,341円 |
| 調整後予想EPS | 102.8円 |
| 株主資本コスト r | 8.65%(10年国債 2.65% + 株式リスクプレミアム 6.00% + 規模プレミアム 0.00%) |
| 残余利益の持続係数 ω / 明示予測 | 0.62 / 5年 |
| 想定配当性向 | 34.2% |
| 予想EPSの信頼度調整 | ×1.100(通期予想に対する進捗の先行に基づく) |
| implied PBR / PER | 0.97倍 / 12.7倍 |
感応度: 株主資本コスト±1%で 1,266円〜1,341円、ω±0.1で 1,302円〜1,304円。
注記:
(算出モデル: 残余利益モデル / 金利基準月: 2026-06 / 本値は将来の株価を予測・保証するものではありません)
本レポートはXBRL決算短信データとPDF決算説明資料をAIが統合分析して自動生成した決算解析資料です。特定銘柄への投資を推奨するものではありません。業種ベンチマークは公開決算データを基に当社が集計した参考情報です。投資判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談の上、行ってください。
残余利益モデルによる機械的な算出値です。市場株価の予測や特定の投資行動の推奨ではなく、将来の株価を予測・保証するものではありません。 過去分は現行のガイダンス達成率統計を用いて遡及算出しています。