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40912026 第3四半期プライムIFRS

日本酸素ホールディングス(4091) 2026年度第3四半期決算

2026年度第3四半期の売上高は9,977億円(前年同期比+2.7%)、営業利益は1,461億円(同+13.5%)。以下、セグメント別の増減要因とキャッシュフローを確認します。

素材・化学/化学


クイックビュー

指標当期前年同期YoY
売上高¥9977.2億¥9712.6億+2.7%
営業利益¥1461.1億¥1287.7億+13.5%
税引前利益¥1300.2億¥1129.1億+15.2%
純利益¥959.6億¥797.3億+20.4%
ROE(年換算)10.6%10.4%-

Executive Summary

増収増益に加え利益率改善が同時進行しており、収益構造の質的向上を示す決算である。売上高は9,977.2億円(前年比+2.7%)、営業利益は1,461.1億円(同+13.5%)、親会社株主に帰属する当期純利益は931.4億円(同+20.2%)となった。増益率が増収率を大きく上回っており、粗利率改善と販管費の伸び抑制が主因とみられる。通期会社予想(売上高1兆3,300億円、営業利益1,943.0億円)に対する進捗は概ね計画線上にある。

業績変動要因

【売上高】売上高は9,977.2億円で前年比+2.7%の緩やかな増収となった。セグメント別開示はないため、全社ベースでの分析にとどまるが、通期予想も増収を前提としており、Q3累計の進捗は計画に沿った推移といえる。

【損益】売上総利益は4,245.1億円、粗利率は42.5%で前年同期の41.7%(405.5/971.3億円)から改善した。販管費は282.7億円増加したものの、売上比では28.3%と対売上高の伸びを抑制した結果、営業利益は1,461.1億円(同+13.5%)、営業利益率は14.6%と前年同期の13.3%から約1.3pt改善した。税引前利益は1,300.2億円、純利益は959.6億円(同+20.4%)で、増益率が売上高の伸びを大きく上回った。増収増益であり、増益の主因は原価・費用コントロールによる利益率改善にある。

主要財務指標

【収益性】営業利益率は14.6%で前年同期13.3%から改善し、純利益率も9.6%(前年同期8.2%)へ上昇した。ROE(年換算)は10.6%である。デュポン分解では純利益率9.3%、総資産回転率0.374回、財務レバレッジ2.20倍となり、資産回転率よりも利益率改善がROE向上を牽引している。【キャッシュ品質】営業CFは1,812.8億円で純利益959.6億円に対する比率は約1.89倍と高く、利益が現金として裏付けられていることを示す。【投資効率】設備投資は784.8億円、フリーCFは312.6億円で、投資負担は大きいものの自己資金でカバーできる水準にある。【財務健全性】自己資本比率は43.8%で前年同期40.5%から改善した。一方でのれんは6,697.2億円と純資産の55.3%を占め、M&Aによる拡大に伴う減損リスクが構造的な監視点となる。

キャッシュフロー分析

営業CFは1,812.8億円で前年比+16.5%と増加し、純利益の伸び以上に現金創出力が拡大した。投資CFは-1,500.2億円で、うち設備投資が784.8億円、M&A関連の支出も含まれ、成長投資を積極化している局面にある。財務CFは-532.6億円で、配当支払242.4億円のほか借入金の返済が中心となっている。この結果フリーCFは312.6億円となり、配当支払を上回る水準を確保しているが、投資規模の大きさに対しては投資効率のモニタリングが必要である。現金及び現金同等物は1,329.2億円で、前年から減少しているが、これは投資活動の拡大を反映したものと解釈できる。

収益の質

営業CFが純利益の約1.9倍に達しており、利益の現金裏付けは良好で会計上の見かけの利益と実際のキャッシュフローの乖離は小さい。営業外損益では金融費用184.2億円が金融収益23.2億円を上回り、純額でのマイナス寄与となっているが、持分法損益はプラス34.5億円を計上し利益を下支えしている。一時的な特別損益の明示的な計上はなく、当期の増益は本業の収益性改善によるものと判断できる。一方で売上債権は2,799.8億円、棚卸資産は1,141.1億円と規模が大きく、運転資本の増減が今後の営業CFの変動要因となりうる点は留意される。

業績予想・ガイダンス

会社は通期予想として売上高1兆3,300億円、営業利益1,943.0億円(前年比+17.1%)、純利益1,270.0億円(同+25.0%)を据え置いている。Q3累計の売上高9,977.2億円は通期予想の約75.0%、営業利益1,461.1億円は通期予想の約75.2%に達しており、進捗率は概ね計画線に沿った水準にある。通期の増益率見通し(+17.1%)はQ3累計実績(+13.5%)をやや上回っており、下期にかけて利益成長が加速する計画であることを示す。

株主還元

配当は中間24円、通期予想58円(期末見合いを含む)とされ、増配基調にある。配当支払額は242.4億円で、フリーCF312.6億円で十分にカバーされる水準にある。自社株買いは0.1億円と限定的であり、株主還元は現時点で配当が中心となっている。配当性向は通期予想EPS285.31円に対し配当58円から算出すると約20.3%であり、利益成長を優先しつつ安定配当を維持する方針がうかがえる。

リスク要因

  1. のれん減損リスク: のれんは6,697.2億円で純資産12,113.7億円の55.3%を占める。M&Aによる規模拡大の裏返しとして、買収先事業の業績下振れが生じた場合、減損計上による純資産毀損リスクがある。

  2. 運転資本効率の低下: 売上債権2,799.8億円、棚卸資産1,141.1億円と資産規模が大きく、回収・在庫回転の長期化が生じた場合、営業CFの下押し要因となりうる。

  3. 金利負担・長期債務: 長期借入金は7,031.2億円(前年比-7.2%)と減少傾向にあるが、金融費用は184.2億円計上されており、金利環境次第では収益への影響が拡大する可能性がある。

業種ベンチマーク(参考・当社調べ)

収益性・リターン

指標自社中央値 (IQR)Delta
営業利益率14.6%8.6% (4.3%–12.7%)+6.1pt
純利益率9.6%6.4% (2.8%–10.3%)+3.2pt

自社の収益性は業種中央値を大きく上回り、上位グループに位置する。

成長性・資本効率

指標自社中央値 (IQR)Delta
売上高成長率(前年比)2.7%3.3% (-2.1%–8.9%)−0.6pt

売上成長率は業種中央値をわずかに下回り、増収ペースは平均的な水準にとどまる。

※出所: 当社集計

決算上の注目ポイント

  1. 増収率+2.7%に対し営業利益+13.5%、純利益+20.4%と増益率が上回っており、利益率改善による収益構造の質的向上が読み取れる。

  2. のれんが純資産比55.3%と高水準にあり、M&Aを通じた拡大戦略の裏側でのれん減損の発生有無が今後の財務指標に影響を与えうる構造的な観察点である。

  3. 営業CFは純利益の約1.9倍と利益の現金裏付けは良好である一方、設備投資は784.8億円と積極的であり、投資効果(資産回転率・ROIC)の推移が中期的な収益性維持の鍵となる。

理論株価(参考値)

シナリオ理論株価
bear(弱気)2,786円
base(基準)2,866円
bull(強気)2,931円
算出前提
1株純資産(BPS)2,699円
調整後予想EPS306.7円
株主資本コスト r9.27%(10年国債 2.77% + 株式リスクプレミアム 6.00% + 規模プレミアム 0.50%)
残余利益の持続係数 ω / 明示予測0.62 / 5年
想定配当性向20.3%
予想EPSの信頼度調整×1.075(同業種のガイダンス達成率実績に基づく)
implied PBR / PER1.06倍 / 9.3倍

感応度: 株主資本コスト±1%で 2,784円〜2,952円、ω±0.1で 2,862円〜2,872円。

注記:

  • 純資産に対するのれんの比率が高く、減損が発生した場合は前提が大きく変わります。
  • 四半期末時点の純資産を使用しています(通期予想との間に期間のずれがあります)。

(算出モデル: 残余利益モデル(Ohlson型・明示5年フェード) / 金利基準月: 2026-07 / 公表データのみからの機械算出値であり、市場株価の予測や特定の投資行動の推奨ではなく、将来の株価を予測・保証するものではありません)


本レポートはXBRL決算短信データをAIが分析して自動生成した決算解析資料です。特定銘柄への投資を推奨するものではありません。業種ベンチマークは公開決算データを基に当社が集計した参考情報です。投資判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談の上、行ってください。