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40422027 第1四半期プライムJGAAP

東ソー(4042) 2027年度第1四半期決算 増収・営業益94%増

2027年度第1四半期の売上高は2,742億円(前年同期比+11.8%)、営業利益は311.8億円(同+93.9%)。以下、セグメント別の増減要因とキャッシュフローを確認します。

東ソー株式会社

素材・化学/化学


クイックビュー

指標当期前年同期YoY
売上高¥2741.7億¥2451.3億+11.8%
営業利益¥311.8億¥160.8億+93.9%
経常利益¥343.0億¥140.8億+143.6%
純利益¥219.8億¥88.5億+148.4%
ROE2.4%1.0%-

Executive Summary

東ソーの当第1四半期は増収増益で、化学品市況の回復と製品ミックス改善により営業利益率が大幅に拡大した。売上高は2,741.7億円(前年比+11.8%)、営業利益は311.8億円(同+93.9%)、経常利益は343.0億円(同+143.6%)、純利益(連結)は219.8億円(同+148.4%)となった。増収は基礎素材・付加価値素材・水処理を含む全セグメントの伸長によるもので、増益の主因は前年に営業損失だった基礎素材セグメントの利益転換と、高採算の付加価値素材・バイオサイエンスの拡大である。

業績変動要因

【売上高】全セグメントが増収となり、トップラインの伸びに広がりがある。外部顧客向け売上ベースでは基礎素材が1,248.3億円(構成比45.5%、前年比+13.4%)と最大で、付加価値素材428.6億円(同+13.9%)、水処理エンジニアリング419.8億円(同+9.5%)が続く。バイオサイエンスは154.4億円(同+0.2%)とほぼ横ばいで、他セグメントに比べ成長速度は鈍い。

【損益】営業利益は+93.9%増の311.8億円で、粗利率は27.2%(前年23.1%)へ+4.1pt、営業利益率は11.4%(前年6.6%)へ+4.8pt改善した。最大の押し上げ要因は基礎素材の営業損益転換で、前年の営業損失△33.9億円から当期56.6億円の利益に転じた。付加価値素材は営業利益82.0億円(同+109.1%)でセグメント利益の構成比26.3%を占め最大の利益寄与、バイオサイエンスは利益率36.6%と高採算を維持した。一方、水処理エンジニアリングは増収ながら営業利益65.5億円(同-8.7%)と減益で、利益率も18.7%から15.5%へ低下しており案件ミックスの影響がうかがえる。経常利益は営業外収益の為替差益16.6億円・受取配当8.9億円が加わり営業利益を上回る伸びとなった。純利益(連結)は特別損失11.5億円(主に固定資産除却損11.2億円)を吸収しつつ+148.4%増となり、増収増益で結論づけられる。

セグメント別分析

セグメント利益(合計311.8億円)の構成は、付加価値素材が82.0億円(構成比26.3%、YoY+109.1%)で最大、水処理エンジニアリング65.5億円(同21.0%、YoY-8.7%)、バイオサイエンス57.4億円(同18.4%、YoY+24.0%)、基礎素材56.6億円(同18.2%、前年は営業損失からの転換)、高機能材料31.7億円(同10.2%、YoY+29.1%)、その他18.6億円(同6.0%、YoY+45.2%)の順である。

基礎素材は増収+13.4%に加え採算改善で営業損益が黒字転換し、増益への寄与が最も大きい。付加価値素材とバイオサイエンスは利益率15.8%・36.6%と相対的に高採算な事業で、増益をけん引した。水処理エンジニアリングは唯一の減益セグメントで、増収下での利益率低下(18.7%→15.5%)が示唆する案件採算のばらつきは、今後のモニタリング対象となる。

主要財務指標

【収益性】営業利益率は11.4%で前年6.6%から+4.8pt改善、粗利率27.2%も前年23.1%から+4.1pt拡大し、純利益率(連結)は8.0%で前年3.6%から+4.4pt改善した。ROEは2.4%(四半期、非年率化)で前年0.96%を上回り、収益性回復がリターン指標に反映されている。【キャッシュ品質】営業CFは3.6億円にとどまり、純利益219.8億円に対する比率は0.02倍と著しく低く、利益の現金化に遅れがみられる。【投資効率】総資産回転率は0.187倍(前年0.174倍)とやや改善したものの低水準で、ROA(連結純利益ベース)は1.50%(前年0.63%)に上昇した。【財務健全性】自己資本比率は63.2%で前年65.2%から-2.0pt低下し、短期借入金は1,861.2億円(前年比+28.6%)へ増加した一方、流動比率は213%と短期流動性は厚い。

キャッシュフロー分析

営業活動によるキャッシュフローは3.6億円で、前年365.1億円から-99.0%の大幅減少となった。運転資本要因が主因で、棚卸資産の増加により107.2億円、売上債権の増加により131.4億円のキャッシュアウトが生じ、法人税等の支払167.6億円も負担となった。投資活動によるキャッシュフローは-199.6億円で、有形固定資産への投資が継続している。フリーキャッシュフローは-196.0億円(営業CF3.6億円+投資CF-199.6億円)となり、財務活動によるキャッシュフローは+315.6億円で、主に短期借入の積み増しにより資金需要を補填した。増収に伴う在庫・売掛金の積み上がりが一時的なものか構造的なものかは、今後の四半期での正常化度合いが判断材料となる。

収益の質

経常利益343.0億円と純利益(連結)219.8億円の乖離は、法人税等112.0億円と非支配株主帰属純利益25.2億円の反映によるもので、特別損益(特別利益0.2億円、特別損失11.5億円)の影響は限定的である。営業外収益46.8億円のうち為替差益16.6億円は市況変動に依存する性質を持ち、受取配当8.9億円は比較的安定的な収益である。包括利益276.8億円は純利益(連結)219.8億円を57.0億円上回り、この差は有価証券評価差額金+40.7億円、為替換算調整+14.7億円、持分法OCI+8.8億円が主因で、事業本体の収益力を超えた資産価値の変動を反映している。一方で営業CFは3.6億円と純利益に対し極めて低く、在庫・売掛金の増加というアクルーアル要因が利益の現金化を遅らせている点は、収益の質を評価する上で留意点となる。

業績予想・ガイダンス

通期会社予想(売上高11,700.0億円、営業利益1,050.0億円、経常利益1,070.0億円)に対する第1四半期の進捗率は、売上高23.4%、営業利益29.7%、経常利益32.1%であり、いずれも利益指標は単純進捗率25%を上回るペースにある。純利益(親会社株主帰属ベース、通期予想590.0億円)に対する進捗も33.0%と先行しており、Q1時点では利益面で計画を上回る進捗を示している。なお当四半期に業績予想の修正が行われており、配当予想の修正は行われていない。

株主還元

会社が示す年間配当予想は100円/株で、前年同期時点の年間配当予想50円から倍増している。予想EPS191.63円に対する配当性向は約52.2%で、利益成長を伴う増配計画となっている。一方、当第1四半期のフリーキャッシュフローは-196.0億円、配当支払実績は154.1億円であり、当期の配当は自己資金では完全に賄われず、短期借入の増加を通じた資金調達が実質的な原資となっている。通期での営業利益進捗が計画を上回っていることから、期末時点での配当原資確保の見通しは相対的に良好とみられる。

リスク要因

  1. キャッシュ転換リスク: 営業CFは3.6億円で、純利益219.8億円に対する比率は0.02倍と極めて低い。棚卸資産+107.2億円、売上債権+131.4億円の増加が主因であり、この状態が継続すればフリーキャッシュフローの赤字が常態化する可能性がある。

  2. セグメント採算のばらつき: 水処理エンジニアリングは増収(+10.5%)下で営業利益が-8.7%と減益となり、利益率は18.7%から15.5%へ低下した。基礎素材の利益率も3.9%と全社平均11.4%を下回り、ポートフォリオ内での収益格差がみられる。

  3. 短期資金調達への依存: 短期借入金は1,861.2億円(前年比+28.6%)に増加し、財務活動によるキャッシュフローは+315.6億円となった。短期負債の積み増しでフリーキャッシュフローの不足と配当支払を補っており、資金構造の短期化がみられる。

業種ベンチマーク(参考・当社調べ)

業種ベンチマーク(manufacturing)

収益性・リターン

指標自社中央値 (IQR)Delta
営業利益率11.4%8.7% (4.2%–14.2%)+2.7pt
純利益率8.0%7.0% (3.2%–10.6%)+1.0pt

業種中央値を上回る水準にあり、収益性は製造業内で相対的に上位に位置する。

成長性・資本効率

指標自社中央値 (IQR)Delta
売上高成長率(前年比)11.8%6.2% (-1.1%–14.6%)+5.6pt

売上成長率は業種中央値を大きく上回り、IQR上限に近い高成長域にある。

※出所: 当社集計

決算上の注目ポイント

  1. 基礎素材セグメントの営業損益転換が今回の増益の主因であり、前年の営業損失△33.9億円から当期56.6億円の利益へ転じた。この転換が一時的なコスト・市況要因によるものか構造的な採算改善かは、次四半期以降の同セグメントの利益率動向が判断材料となる。

  2. 付加価値素材(利益率15.8%)とバイオサイエンス(利益率36.6%)が高採算セグメントとして全社利益率を押し上げており、これら高付加価値領域の売上構成比の変化が今後のマージン水準を左右する構造となっている。

  3. 営業CFが純利益に対して著しく低い(0.02倍)状態は、在庫・売掛金の増加という運転資本要因に起因する。増収に伴う一時的な積み上がりか、構造的な資金効率の変化かは、今後の在庫・売上債権の回転指標の推移で確認できる。

理論株価(参考値)

残余利益モデル(Ohlson型・明示5年フェード)により公表データのみから機械算出した参考レンジです。市場株価の予測や特定の投資行動の推奨ではありません。

シナリオ理論株価
bear(弱気)2,774円
base(基準)2,823円
bull(強気)2,862円
算出前提
1株純資産(BPS)3,016円
調整後予想EPS206.0円
株主資本コスト r9.15%(10年国債 2.65% + 株式リスクプレミアム 6.00% + 規模プレミアム 0.50%)
残余利益の持続係数 ω / 明示予測0.62 / 5年
想定配当性向52.2%
予想EPSの信頼度調整×1.075(同業種のガイダンス達成率実績に基づく)
implied PBR / PER0.94倍 / 13.7倍

感応度: 株主資本コスト±1%で 2,746円〜2,903円、ω±0.1で 2,816円〜2,827円。

注記:

  • 予想ROEが株主資本コストを下回るため、理論値は1株純資産を下回る水準になります。
  • 四半期末時点の純資産を使用しています(通期予想との間に期間のずれがあります)。
  • 純資産に非支配株主持分を含むため、理論値はやや高めに算出される可能性があります。

(算出モデル: 残余利益モデル / 金利基準月: 2026-06 / 本値は将来の株価を予測・保証するものではありません)


本レポートはXBRL決算短信データをAIが分析して自動生成した決算解析資料です。特定銘柄への投資を推奨するものではありません。業種ベンチマークは公開決算データを基に当社が集計した参考情報です。投資判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談の上、行ってください。