| 指標 | 当期 | 前年同期 | YoY |
|---|---|---|---|
| 売上高 | ¥4310.4億 | ¥3999.6億 | +7.8% |
| 営業利益 | ¥288.4億 | ¥262.6億 | +9.8% |
| 経常利益 | ¥259.8億 | ¥212.8億 | +22.1% |
| 純利益 | ¥151.7億 | ¥140.3億 | +8.1% |
| ROE | 2.0% | 1.9% | - |
クラレの2026年度第2四半期は増収増益となったが、純利益の伸びは限定的で利益の質にばらつきが見られる。売上高は4310.4億円(前年比+7.8%)、営業利益は288.4億円(同+9.8%)、経常利益は259.8億円(同+22.1%)、純利益は151.7億円(同+8.1%)となった。増収は主力ビニルアセテートに加え機能材料・イソプレンの二桁成長が牽引し、経常利益の伸びが営業利益を上回ったのは営業外費用の圧縮によるもので、特別損失の計上が純利益の伸びを抑制した。
【売上高】売上高は4310.4億円で前年比+7.8%増となり、全セグメントが増収を記録した。機能材料+12.0%、イソプレン+14.9%、トレーディング+10.1%と成長率の高い事業が全体を押し上げ、主力のビニルアセテートも+7.0%増と底堅い。一方でその他区分は-27.3%と減収となっている。
【損益】営業利益は288.4億円(同+9.8%)で、粗利率29.9%(前年比改善)を背景に増益となったが、販管費率は23.2%とやや上昇し増収効果を一部相殺した。セグメント別では機能材料の営業利益が48.8億円(+184.9%)、繊維が42.0億円(前年低水準からの急回復)と大幅改善した一方、主力ビニルアセテートは253.8億円(-15.0%)とマージン11.7%へ低下し全社採算の重しとなった。経常利益は259.8億円(+22.1%)と営業外費用の縮小で営業利益以上に伸びたが、特別損失44.1億円の計上により純利益は151.7億円(+8.1%)にとどまった。増収増益。
セグメント別営業利益は、主力ビニルアセテートが253.8億円(前年比-15.0%、利益率11.7%)と全社利益の約6割を占めるが、マージンは前年から低下している。対照的に機能材料は48.8億円(+184.9%、利益率4.4%)、イソプレン17.9億円(+236.4%、利益率3.9%)、繊維42.0億円(利益率13.2%)と大幅な採算改善が確認できる。トレーディングは36.7億円(+20.7%)と安定成長を続けている。全社利益の集中度が高いビニルアセテートのマージン低下は、機能材料などの回復による分散効果で一定程度相殺されている。
【収益性】営業利益率は6.7%、粗利率は29.9%、販管費率は23.2%で、増収に対し販管費が相応に増加したため営業レバレッジは限定的である。ROEは2.0%と低水準にとどまる。【キャッシュ品質】営業CFは590.3億円で純利益151.7億円の約3.9倍と、利益に対するキャッシュ裏付けは良好である。【投資効率】自己資本比率は56.9%、EPS(基本)は46.98円(前年43.50円から+8.0%)。【財務健全性】流動資産6062.4億円に対し流動負債2306.8億円と短期の資金繰りに厚みがあり、長期借入金は1771.3億円、社債500.0億円と長期資金の活用が進んでいる。
営業CFは590.3億円で前年比+40.0%と大きく拡大し、減価償却費421.8億円を加味した利益のキャッシュ裏付けは良好である。投資CFは-560.3億円で、有形固定資産・無形資産への投資が中心とみられ、積極的な設備投資姿勢を反映している。この結果フリーCFは30.0億円と小幅にとどまり、投資が先行してキャッシュ創出余力を圧縮した形である。財務CFは138.1億円のプラスとなったが、自社株買いに100.0億円を投じており、外部調達を伴いながら株主還元を実施した点がうかがえる。運転資本面では仕入債務が59.3億円減少しており、キャッシュフローの一部下押し要因となっている。
経常的な収益の中心は営業利益288.4億円であり、事業活動から着実に生まれている。一方で特別利益29.4億円(うち投資有価証券売却益11.8億円)と特別損失44.1億円が計上され、ネットで純利益を押し下げる一時的要因となった。営業外収支は受取利息10.4億円・受取配当金4.2億円などの収益に対し支払利息18.7億円を含む費用62.9億円が上回り、ネットでマイナスとなっている。営業CFが純利益の約3.9倍に達しており、アクルーアル(会計上の見積り)に依存しない高品質な利益であることを示している。経常利益と純利益の乖離は、法人税等93.5億円の負担と特別損失の影響によるものである。
通期計画は売上高8800.0億円、営業利益700.0億円、経常利益640.0億円で、いずれも前年比二桁増を見込む。上期時点の進捗率は売上高49.0%、営業利益41.2%、経常利益40.6%となっており、売上高は概ね計画線上にあるが利益進捗はやや遅れている。利益進捗の遅れは主力ビニルアセテートのマージン低下が要因とみられ、下期にかけての採算改善の動向が計画達成の鍵となる。なお当四半期において業績予想の修正が行われている一方、配当予想の修正はない。
配当は中間32円(前年同期比+18.5%)で、通期配当予想は64円としている。純利益ベースの配当性向は、上期純利益151.7億円に対し中間配当32円分の配当総額約96.9億円を用いると約63.9%となる。加えて自社株買いを100.0億円実施しており、配当と自社株買いを合わせた総還元性向は上期純利益に対して約129.4%と高水準にある。フリーCF30.0億円に対して還元総額が上回っており、還元原資として内部留保・調達の活用が進んでいる点はモニタリングが必要である。
主力事業のマージン圧迫リスク: ビニルアセテートの営業利益は253.8億円で前年比-15.0%、利益率も11.7%へ低下しており、全社利益の集中度が高い中でこの事業の市況・原燃料価格変動が業績全体に与える影響が大きい。
投資先行によるキャッシュフロー圧縮リスク: 投資CFは-560.3億円と大きく、フリーCFは30.0億円にとどまる。設備投資を継続する中で、投資回収のペースが今後のキャッシュ創出力を左右する。
株主還元の持続性に関するリスク: 配当と自社株買いを合わせた還元総額がフリーCF30.0億円を大きく上回っており、現状の還元水準を続ける場合は営業CFの一段の拡大や資産効率の改善が前提となる。
収益性・リターン
| 指標 | 自社 | 中央値 (IQR) | Delta |
|---|---|---|---|
| 営業利益率 | 6.7% | 9.7% (5.4%–23.7%) | -3.0pt |
| 純利益率 | 3.5% | 5.4% (1.3%–20.1%) | -1.9pt |
自社の収益性は営業利益率・純利益率とも業種中央値を下回り、製造業平均に対して収益性面で見劣りする位置づけにある。
成長性・資本効率
| 指標 | 自社 | 中央値 (IQR) | Delta |
|---|---|---|---|
| 売上高成長率(前年比) | 7.8% | 10.6% (-3.4%–25.4%) | -2.8pt |
売上高成長率も業種中央値をやや下回り、増収率は業種内で中位以下の水準にある。
※出所: 当社調べ
主力ビニルアセテートのマージン低下(利益率11.7%、前年比-15.0%の営業利益)が全社採算の重しとなっており、機能材料・イソプレン・繊維の採算回復がこれを分散・相殺している構造が確認できる。
営業CFは590.3億円と前年比+40.0%で利益の裏付けは強いが、投資CFが-560.3億円に達しフリーCFは30.0億円と薄く、配当・自社株買いを合わせた還元総額がフリーCFを上回っている点は資金配分の構造として注目される。
通期計画に対する上期進捗は売上高49.0%に対し営業利益41.2%、経常利益40.6%と利益進捗がやや遅れており、下期における主力事業の採算改善度合いが計画達成を左右する構造となっている。
残余利益モデル(Ohlson型・明示5年フェード)により公表データのみから機械算出した参考レンジです。市場株価の予測や特定の投資行動の推奨ではありません。
| シナリオ | 理論株価 |
|---|---|
| bear(弱気) | 2,260円 |
| base(基準) | 2,293円 |
| bull(強気) | 2,320円 |
| 算出前提 | 値 |
|---|---|
| 1株純資産(BPS) | 2,550円 |
| 調整後予想EPS | 142.7円 |
| 株主資本コスト r | 9.27%(10年国債 2.77% + 株式リスクプレミアム 6.00% + 規模プレミアム 0.50%) |
| 残余利益の持続係数 ω / 明示予測 | 0.62 / 5年 |
| 想定配当性向 | 48.2% |
| 予想EPSの信頼度調整 | ×1.075(同業種のガイダンス達成率実績に基づく) |
| implied PBR / PER | 0.90倍 / 16.1倍 |
感応度: 株主資本コスト±1%で 2,230円〜2,359円、ω±0.1で 2,285円〜2,299円。
注記:
(算出モデル: 残余利益モデル / 金利基準月: 2026-07 / 本値は将来の株価を予測・保証するものではありません)
本レポートはXBRL決算短信データをAIが分析して自動生成した決算解析資料です。特定銘柄への投資を推奨するものではありません。業種ベンチマークは公開決算データを基に当社が集計した参考情報です。投資判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談の上、行ってください。
残余利益モデルによる機械的な算出値です。市場株価の予測や特定の投資行動の推奨ではなく、将来の株価を予測・保証するものではありません。 過去分は現行のガイダンス達成率統計を用いて遡及算出しています。