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23712027 第1四半期プライムIFRS

カカクコム(2371) 2027年度第1四半期決算 増収・営業益6%減

2027年度第1四半期の売上高は257億円(前年同期比+17.0%)、営業利益は68.8億円(同-5.6%)。以下、セグメント別の増減要因とキャッシュフローを確認します。

情報通信・サービスその他/サービス業


クイックビュー

指標当期前年同期YoY
売上高¥257.0億¥219.6億+17.0%
営業利益¥68.8億¥72.9億−5.6%
税引前利益¥69.2億¥72.6億−4.7%
純利益¥46.9億¥50.0億−6.4%
ROE7.2%7.7%-

Executive Summary

カカクコムの2027年3月期第1四半期は、増収ながら全社費用の増加とHR事業の採算悪化により減益となった。売上収益は257.0億円(前年219.6億円、YoY+17.0%)と拡大した一方、営業利益は68.8億円(前年72.9億円、YoY-5.6%)、税引前利益は69.2億円(前年72.6億円、YoY-4.7%)、親会社株主に帰属する四半期純利益は46.9億円(前年50.1億円、YoY-6.3%)といずれも減益となった。増収の主因は食べログ(+17.9%)とHR(+44.5%)の伸長で、減益の主因はセグメントに配分されない全社費用が18.2億円から30.3億円へ拡大したこととHR事業のマージン低下である。

業績変動要因

【売上高】売上収益は257.0億円で前年比+17.0%。食べログが109.2億円(+17.9%)と最大セグメントに成長し、HRが67.4億円(+44.5%)と急伸した一方、価格.comは55.2億円(-5.4%)と減収、インキュベーションは25.2億円(+14.7%)で増収した。増収の主因は食べログの送客・予約機能の深耕とHRの新規連結効果を含む規模拡大である。

【損益】4セグメント合計の営業利益は99.2億円で前年91.1億円から増加したが、各セグメントに配分されない全社費用が18.2億円から30.3億円へ拡大した結果、連結営業利益は68.8億円(前年72.9億円、-5.6%)に減少した。税引前利益は69.2億円(-4.7%)、親会社株主に帰属する四半期純利益は46.9億円(-6.3%)で、税引前利益からの下振れ幅は法人税等22.3億円(実効税率32.3%、前年31.0%)の負担がやや増したことによる。営業利益とほぼ同水準の税引前利益に大きな一時的損益は見当たらず、結論としては増収減益である。

セグメント別分析

食べログが営業利益62.8億円(利益率57.5%、前年比+20.1%)で連結利益の中核を担い、マージンも前年から上昇した。価格.comは売上減収(-5.4%)ながら営業利益28.5億円・利益率51.6%と高採算を維持している。HRは売上67.4億円(+44.5%)と規模を拡大したが営業利益は2.3億円(-36.0%)、利益率3.4%に低下し、成長投資が先行する局面にある。インキュベーションは売上25.2億円(+14.7%)・営業利益5.7億円(+44.5%)と増収増益で、利益率も22.4%へ改善した。セグメント合計利益は前年比+8.9%増加している一方、全社費用の伸び(+66.6%)が連結営業利益を押し下げており、増収セグメントの収益貢献が全社費用増を相殺しきれていない点が今期の特徴である。

主要財務指標

【収益性】営業利益率は26.8%で前年33.2%から6.4pt低下し、純利益率も18.2%と前年22.8%から4.6pt低下した。この低下は全社費用の増加とHRの低マージンが主因であり、食べログ・価格.comの高い個別マージン(57.5%、51.6%)を全社レベルで押し下げる形となっている。【キャッシュ品質】営業CFは35.6億円で四半期純利益46.9億円に対し0.76倍にとどまり、営業債権の増加(-16.2億円)と法人税等の支払(-42.3億円)がキャッシュ創出を圧迫した。【投資効率】ROEは7.2%(四半期ベース)で、純利益率の低下が主因となって前年から悪化しているが、総資産回転率は0.26倍へ改善し増収効果が資産効率を下支えしている。【財務健全性】自己資本比率は64.7%で前年70.3%から低下したものの、流動資産657.4億円が流動負債317.8億円を大きく上回り、短期借入金45.0億円に対する金融費用は0.3億円と利払い負担は軽微である。

キャッシュフロー分析

営業CFは35.6億円で前年49.3億円から27.7%減少し、運転資本の変動前小計77.7億円に対し、営業債権の増加(-16.2億円)、仕入債務の減少(-11.4億円)、法人税等の支払(-42.3億円)がキャッシュ創出を圧迫した。投資CFは子会社取得49.4億円の支出があったものの、定期預金の払戻50.0億円により差引-11.8億円にとどまった。財務CFは短期借入金45.0億円の調達がある一方、配当支払49.3億円などにより-8.5億円となった。フリーCF(営業CF+投資CF)は23.8億円で、当四半期の配当支払49.3億円を下回っており、この期の配当は前期末配当に対応するものであるため単純比較には留意が必要だが、現金及び現金同等物は期中1.5億円増加し480.1億円の水準を維持している。

収益の質

四半期包括利益は46.7億円で、四半期純利益46.9億円とほぼ同水準にあり、両者の乖離は0.2億円程度と小さい。その他の包括利益はその他有価証券評価差額△0.2億円と為替換算調整+0.05億円で構成され、いずれも軽微であり収益の質を大きく歪める要因ではない。一方でアクルーアルの観点では、営業CF小計77.7億円に対し実際の営業CF35.6億円と乖離があり、売上債権の増加や税金支払など運転資本要因が利益とキャッシュのタイミングずれを生んでいる。特別損益的な一時項目は確認されず、営業利益・税引前利益・純利益の変動は本業の収益構造(セグメント別マージン変化と全社費用増)に起因するものである。

業績予想・ガイダンス

通期会社予想に対する進捗率は、売上収益が22.4%(257.0億円/1145.0億円)、営業利益が22.4%(68.8億円/308.0億円)、親会社株主に帰属する純利益が22.7%(46.9億円/207.0億円)といずれもQ1として想定される概ね25%の水準をやや下回る。通期営業利益予想は前期比+13.1%の増益を見込んでいるが、当第1四半期は前年比-5.6%の減益であり、通期計画達成には第2四半期以降での全社費用の伸び鈍化やHR事業の採算改善による巻き返しが必要となる局面にある。会社側は当四半期時点で業績予想の修正は行っていない。

株主還元

当第1四半期の配当支払額は49.3億円(前年109.4億円)で、これは前期(2026年3月期)の期末配当に対応するものである。今期(2027年3月期)の1株当たり配当予想は0円と開示されており、当四半期時点で配当予想の修正は行われていない。前年同期の実績1株当たり配当は25円であったが、今期の配当額については本資料時点で確定額の開示がなく、期末に向けた開示動向の確認が必要である。自社株買いに関する新規実施の記載は確認されない。

リスク要因

  1. HR事業の採算性: HRセグメントは売上が前年比+44.5%と急伸する一方、営業利益は同-36.0%減少し利益率は3.4%(前年8.5%相当から低下)にとどまる。規模拡大が収益性に十分転化していない状況で、今後のマージン改善ペースが連結利益率に与える影響が大きい。

  2. キャッシュ創出力の一時的低下: 営業CFは35.6億円で四半期純利益46.9億円に対し0.76倍にとどまり、営業債権の増加(-16.2億円)や法人税等の支払(-42.3億円)が要因となっている。運転資本の巻き戻し状況が次四半期以降の資金創出力を左右する。

  3. のれん・無形資産の増加: 子会社取得(投資CF -49.4億円)を反映し、のれん及び無形資産は189.0億円(総資産比18.9%)に達し、前期末比+65.7%増加した。今後の事業計画未達時には減損リスクへの感応度が高まる水準にある。

業種ベンチマーク(参考・当社調べ)

業種ベンチマーク(it_telecom)

収益性・リターン

指標自社中央値 (IQR)Delta
営業利益率26.8%8.1% (2.3%–15.9%)+18.7pt
純利益率18.2%5.9% (1.6%–10.7%)+12.4pt

業種中央値対比で営業利益率・純利益率とも大幅に上回っており、収益性は業種内で上位水準にある。

成長性・資本効率

指標自社中央値 (IQR)Delta
売上高成長率(前年比)17.0%9.3% (0.4%–16.9%)+7.7pt

売上高成長率は業種中央値およびIQR上限をも上回っており、業種内でも高い成長率を維持している。

※出所: 当社集計

決算上の注目ポイント

  1. 増収を牽引した食べログ・HRのうち、食べログは利益率57.5%(前年比+1.1pt程度)と収益性を伴う成長を継続している一方、HRは規模拡大が先行し利益率が3.4%に低下している。事業ごとの収益貢献度の非対称性が連結営業利益率6.4pt低下の主因であり、セグメント別のマージン推移は今後の注目点となる。

  2. 全社費用(セグメント間調整額)が18.2億円から30.3億円へ拡大しており、増収効果を一部相殺している。この費用増加が一過性か構造的かにより、通期の営業レバレッジの回復度合いが左右される。

  3. 営業CFが四半期純利益に対し0.76倍にとどまり、売上債権増加と法人税支払が要因となっている。通期進捗率も売上・利益とも22%台とQ1標準をやや下回っており、下期にかけての運転資本正常化とHRの採算改善が業績動向の質を判断する材料となる。

理論株価(参考値)

残余利益モデル(Ohlson型・明示5年フェード)により公表データのみから機械算出した参考レンジです。市場株価の予測や特定の投資行動の推奨ではありません。

シナリオ理論株価
bear(弱気)603円
base(基準)641円
bull(強気)689円
算出前提
1株純資産(BPS)328円
調整後予想EPS109.7円
株主資本コスト r9.27%(10年国債 2.77% + 株式リスクプレミアム 6.00% + 規模プレミアム 0.50%)
残余利益の持続係数 ω / 明示予測0.62 / 5年
想定配当性向0.0%
予想EPSの信頼度調整×1.049(同業種のガイダンス達成率実績に基づく)
implied PBR / PER1.96倍 / 5.8倍

感応度: 株主資本コスト±1%で 620円〜662円、ω±0.1で 630円〜657円。

注記:

  • 四半期末時点の純資産を使用しています(通期予想との間に期間のずれがあります)。

(算出モデル: 残余利益モデル / 金利基準月: 2026-07 / 本値は将来の株価を予測・保証するものではありません)


本レポートはXBRL決算短信データをAIが分析して自動生成した決算解析資料です。特定銘柄への投資を推奨するものではありません。業種ベンチマークは公開決算データを基に当社が集計した参考情報です。投資判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談の上、行ってください。