| 指標 | 当期 | 前年同期 | YoY |
|---|---|---|---|
| 売上高 | ¥6234.3億 | ¥5237.6億 | +19.0% |
| 営業利益 | ¥327.0億 | ¥158.0億 | +107.0% |
| 経常利益 | ¥364.7億 | ¥184.0億 | +98.2% |
| 純利益 | ¥401.4億 | ¥185.8億 | +116.1% |
| ROE | 3.1% | 1.4% | - |
大林組の2027年3月期第1四半期は、国内建築を中心とした採算改善と投資有価証券売却益により、増収増益かつ純利益が大幅拡大した決算となった。売上高は6,234.3億円(前年比+19.0%)、営業利益は327.0億円(同+107.0%)、経常利益は364.7億円(同+98.2%)、親会社株主に帰属する純利益は390.9億円(同+116.3%)となった。増収は国内建築・不動産・海外土木の伸長が牽引し、利益面では国内建築のマージン改善と不動産の高採算案件、加えて投資有価証券売却益201.1億円を含む特別利益が押し上げに寄与した。
【売上高】売上高は6,234.3億円で前年比+19.0%の増収。セグメント別では国内建築が2,714.1億円(+16.9%)で最大の構成比を占め、不動産が307.0億円(+188.2%)と大きく伸長、海外土木も795.9億円(+24.5%)と拡大した。海外建築は1,310.2億円(+14.1%)と増収したものの、他セグメントに比べ伸びは緩やかだった。完成工事の粗利率は11.1%(前年9.8%)へ改善し、開発事業等の粗利率も28.9%(前年21.0%)へ上昇しており、案件採算の底上げが増収を伴う形で進んでいる。
【損益】営業利益は327.0億円(+107.0%)、営業利益率は5.2%で前年3.0%から約2.2pt改善した。国内建築の営業利益132.9億円(+156.7%、マージン4.9%)と不動産の95.3億円(+565.4%、マージン31.0%)が改善の主因である一方、海外建築は営業利益14.2億円(-44.1%、マージン1.1%)と採算が悪化し、全社の伸びを一部相殺した。経常利益は364.7億円(+98.2%)、純利益は投資有価証券売却益200.6億円を含む特別利益201.1億円の押し上げにより390.9億円(+116.3%)となった。経常利益から純利益への上振れは特別損益に依存する部分が大きく、増収増益ではあるものの利益の質は一部一時的要因を含む。
セグメント利益の内訳では国内建築が132.9億円と全社最大の寄与を示し、マージンも4.9%へ改善した。不動産は売上307.0億円・営業利益95.3億円でマージン31.0%と全セグメント中で最も高い採算性を示し、全社利益の押し上げに大きく貢献した。国内土木(47.1億円、マージン4.4%)、海外土木(34.1億円、マージン4.3%)はいずれも増益・マージン改善が進んだ。一方、海外建築は営業利益14.2億円・マージン1.1%と前年から悪化しており、セグメント間の採算差が拡大している。不動産の高採算は計上タイミングに依存する性質があり、四半期業績の平準化という観点でモニタリングの余地がある。
【収益性】営業利益率5.2%、純利益率6.3%(純利益390.9億円/売上高6,234.3億円)はいずれも前年から改善しており、粗利率12.4%(前年10.4%)の上昇と販管費の吸収が背景にある。ただし純利益率の上昇には特別利益の寄与が含まれ、本業のみの改善効果とは区別する必要がある。【キャッシュ品質】現金及び預金は4,575.4億円と期初から+246.6億円増加し、未成工事受入金(前受金)は3,191.6億円(+6.4%)へ拡大しており、案件進行に伴う資金の先行流入が続いている。【投資効率】ROE3.1%、自己資本比率42.4%であり、資本規模に対する利益創出力は限定的な水準にとどまる。【財務健全性】流動資産17,265.2億円に対し流動負債14,044.3億円で流動比率は約123%、有利子負債は長期借入金1,406.9億円・社債400.1億円・1年内償還社債200.7億円などで構成され、現金及び預金がこれらを上回るネットキャッシュに近い状態にある。
キャッシュフロー計算書は開示データに含まれないため、バランスシートの変動から資金動向を捉える。完成工事未収入金は9,763.7億円(前年10,832.2億円)へ減少しており、代金回収が進展したことが資金創出に寄与したと考えられる。一方で未成工事支出金は567.1億円(+14.0%)へ増加し、着工前倒しや仕掛工事の増加が一時的に資金を吸収した可能性がある。未成工事受入金は3,191.6億円(+6.4%)へ拡大しており、前受金の増加は運転資金面での資金余力を支えている。現金及び預金は4,575.4億円へ増加し、期中を通じて資金基盤は厚みを増した。投資有価証券は3,016.9億円(前年3,393.2億円)へ減少しており、売却により資金化が進んだ一方、この資金流入は営業活動由来ではなく反復性の低い要因である点に留意が必要である。
営業外収益は54.0億円で売上高比約0.9%と小さく、受取配当金26.1億円を中心とした構成であり、本業の収益性を大きく歪める規模ではない。一方、特別利益は201.1億円に達し、その大半は投資有価証券売却益200.6億円であり、当期純利益390.9億円の押し上げに大きく寄与している。特別損失は3.0億円と小規模である。経常利益364.7億円から純利益への上振れは主にこの特別利益によるものであり、営業段階の改善(営業利益+107.0%)が増益の中心である一方、純利益の伸び(+116.3%)にはこの一時的要因の寄与が加わっている。したがって当期の増益幅は本業改善と一時的要因の双方から構成され、純利益ベースでの反復性はやや限定的と捉えられる。
通期計画に対する進捗は、売上高が6,234.3億円/29,450.0億円で21.2%、営業利益が327.0億円/1,800.0億円で18.2%、経常利益が364.7億円/1,830.0億円で19.9%、純利益が390.9億円/1,570.0億円で24.9%となっている。四半期の標準進捗(25%)と比較すると、純利益はほぼ整合する一方、営業利益・経常利益の進捗はやや遅れている。純利益の進捗が相対的に高い背景には特別利益の押し上げがあり、通期の営業利益予想は前年比-7.5%と減益計画であることから、下期にかけての採算動向が計画達成の焦点となる。
会社の年間配当予想は94円であり、前期の年間配当(前年同期の中間実績41円を含む)から増額計画となっている。会社計画の通期EPS228.39円を基準とすると、配当性向は約41.2%となる。現金及び預金4,575.4億円が有利子負債合計を上回るネットキャッシュに近い財務状態にあり、配当の原資となる資金基盤は比較的安定している。
海外建築事業の採算低下: 海外建築の営業利益は14.2億円(前年比-44.1%)、マージンは1.1%まで低下しており、全社の利益率改善の持続性を阻害する要因となっている。
工事損失引当金とコスト変動: 工事損失引当金は78.8億円(前年85.8億円)とやや減少したものの、資材価格や労務費の変動により、案件別の採算悪化が再び引当金増加につながる可能性がある。
特別利益依存による利益の一時性: 純利益390.9億円のうち投資有価証券売却益200.6億円が大きな押し上げ要因となっており、同規模の売却益が今後も継続する保証はない。
収益性・リターン
| 指標 | 自社 | 中央値 (IQR) | Delta |
|---|---|---|---|
| 営業利益率 | 5.2% | 4.5% (2.7%–6.6%) | +0.8pt |
| 純利益率 | 6.4% | 3.8% (-1.1%–4.4%) | +2.7pt |
営業利益率・純利益率ともに業種中央値を上回り、収益性は業種内で相対的に高い水準にある。
成長性・資本効率
| 指標 | 自社 | 中央値 (IQR) | Delta |
|---|---|---|---|
| 売上高成長率(前年比) | 19.0% | 4.8% (3.4%–10.1%) | +14.2pt |
売上高成長率は業種中央値を大きく上回り、業種内でトップクラスの伸びとなっている。
※出所: 当社集計
国内建築・不動産の採算改善が営業利益を倍増させており、コア事業のマージン改善が進展していることが決算データから確認できる。
純利益の伸長には投資有価証券売却益200.6億円を含む特別利益201.1億円の寄与が大きく、通期進捗24.9%は一時的要因を含む点を踏まえて解釈する必要がある。
海外建築のマージンは1.1%まで低下しており、地域・事業別の採算差が全社収益の変動要因として継続的に注目される。
残余利益モデル(Ohlson型・明示5年フェード)により公表データのみから機械算出した参考レンジです。市場株価の予測や特定の投資行動の推奨ではありません。
| シナリオ | 理論株価 |
|---|---|
| bear(弱気) | 2,044円 |
| base(基準) | 2,124円 |
| bull(強気) | 2,180円 |
| 算出前提 | 値 |
|---|---|
| 1株純資産(BPS) | 1,891円 |
| 調整後予想EPS | 255.3円 |
| 株主資本コスト r | 9.27%(10年国債 2.77% + 株式リスクプレミアム 6.00% + 規模プレミアム 0.50%) |
| 残余利益の持続係数 ω / 明示予測 | 0.62 / 5年 |
| 想定配当性向 | 41.2% |
| 予想EPSの信頼度調整 | ×1.118(当社の過去のガイダンス達成率実績に基づく) |
| implied PBR / PER | 1.12倍 / 8.3倍 |
感応度: 株主資本コスト±1%で 2,065円〜2,185円、ω±0.1で 2,118円〜2,132円。
注記:
(算出モデル: 残余利益モデル / 金利基準月: 2026-07 / 本値は将来の株価を予測・保証するものではありません)
本レポートはXBRL決算短信データをAIが分析して自動生成した決算解析資料です。特定銘柄への投資を推奨するものではありません。業種ベンチマークは公開決算データを基に当社が集計した参考情報です。投資判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談の上、行ってください。
残余利益モデルによる機械的な算出値です。市場株価の予測や特定の投資行動の推奨ではなく、将来の株価を予測・保証するものではありません。 過去分は現行のガイダンス達成率統計を用いて遡及算出しています。