お金の基本高校生向け
年金制度の仕組み|自分の老後を考える
日本の年金制度を高校生にも分かる言葉で解説。20歳から始まる加入、学生の支払い猶予、将来の備え方、新NISAとの合わせ技までを丁寧に紹介します。
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年金老後高校生
目次
構造は二階建てとよく言われます。1階は「国民年金(基礎年金)」で、20歳以上60歳未満のすべての人が原則加入します。2階は「厚生年金」で、会社員や公務員など給与で働く人が対象です。厚生年金は給料に応じて保険料や将来の受け取り額が増えます。
年金は老後だけのものではありません。病気やケガで重い障害が残ったときの「障害年金」、家族が亡くなったときに残された人を支える「遺族年金」も含む、生活を守る総合的な保険です。
高校生に関係あるのは、20歳になったら原則として国民年金に加入し、保険料を納めること。大学生や専門学校生も対象です。ただし経済的に難しいときは「学生納付特例」という、支払いを先送りにできる制度があります。
また、年金は老後の「土台資金」です。部屋でいう床のような存在で、これがあるからこそ貯金や投資という「家具」を安心して置けます。将来、就職するか進学するか、正社員かアルバイト中心かといった進路選択は、年金の種類や受け取り額にも影響します。
さらに、18歳からは新NISAが使えます。年金は基本の生活費を支える土台、新NISAなどの投資は上乗せの余裕資金を育てる役割、と役割分担を理解しておくと、無理のない計画を立てられます。
老齢基礎年金(国民年金1階部分)の考え方 満額を受け取るには、原則40年(480か月)分の保険料納付が必要です。実際の受給額は「満額×納付月数÷480」で求めます。
老齢基礎年金額 = 満額 × (納付月数 ÷ 480)例:納付が360か月なら、満額の
受給割合 = 360 ÷ 480 = 0.75(=75%)国民年金の保険料 定額で、年度ごとに決まっています。2024年度は月額およそ1万7千円弱です(実際の額は年度で確認)。 1年間で支払う目安は、
年間保険料 = 月額保険料 × 12厚生年金の保険料 給与に比例し、会社と本人で折半します。おおまかなイメージは、
本人負担の保険料 ≈ 標準報酬月額 × 保険料率 ÷ 2例:標準報酬月額が20万円、保険料率が18.3%の場合、
本人負担 ≈ 200,000 × 0.183 ÷ 2 = 約18,300円給料が上がると将来の年金も増える「掛けた分に応じて戻る」仕組みです。
ケース1:大学進学、学生納付特例を使う 高3の春に18歳、翌々年に20歳で大学2年生だとします。アルバイト収入は月5万円。国民年金は20歳から対象ですが、収入が少なくて払えないときは「学生納付特例」を申請すると、その年の保険料は今は払わなくてOKになります(未納とは違い、将来の障害・遺族年金の保障にカウントされる利点があります)。 ただし将来の老齢基礎年金額を増やすには、就職後に「追納」して埋め戻す方法があります。例えば2年間分を追納するなら、
追納総額 ≈ その年の追納月額 × 24か月追納には加算金が付くことがあるため、早めの追納ほど負担が軽くなります。
ケース2:高校卒業後すぐ就職(正社員) 会社員は厚生年金に加入。保険料は会社と折半なので、国民年金より毎月の負担感はあるものの、将来は基礎年金に厚生年金が上乗せされます。給与が毎月20万円なら前述の例のように本人負担は約1万8千円ほど。将来は「1階+2階」で受け取る構造です。
ケース3:専門学校生+アルバイト 学生の短時間アルバイトは多くの場合、厚生年金の短時間適用の対象外です(週20時間程度でも学生は原則除外)。この場合は20歳から国民年金が基本。収入や家計状況を見て、納付・納付特例・一部追納の計画を立てましょう。
ケース4:新NISAを18歳から使う 毎月アルバイトから1万円を積み立て、年利3%で長期運用できたとします。大学1年(18歳)から社会人5年目(23歳)まで6年間で、
将来価値 ≈ 10,000円 × ((1+0.03)^{72} - 1) ÷ 0.03(毎月積立・72か月)概算で約77万円ほどになります(相場次第で増減)。年金の土台とは別に、上乗せの余裕資金づくりが進みます。
20歳の年金デビュー準備 19歳のうちに、学生納付特例を使うか、家計で納付するかを家族と話し合いましょう。特例を使うなら、将来の追納用に「追納貯金」を新NISAのつみたて枠と現金の併用で作る手もあります(期限や加算金を意識)。
進路選択で福利厚生を比較 就職先を選ぶときは、厚生年金に加え、企業型DC(企業型確定拠出年金)や退職金の有無もチェック。年金の2階に、さらに上乗せの3階があると、将来の受け取りの見通しが安定します。
アルバイトの時間と加入可否の確認 学生の短時間適用は原則除外ですが、フルタイムに近い働き方や条件次第で加入の可能性もあります。雇用契約書と勤務時間、学校の区分を確認し、分からなければ会社の総務や年金事務所に相談を。
家計の3つの箱を作る 1)生活費・学費、2)年金納付や追納のための積立、3)新NISAでの長期投資。目的ごとに分けると混乱が減ります。奨学金の返済予定がある人は、返済開始時期と金額をカレンダーに入れ、2)と3)の配分を調整しましょう。
卒業前のチェックリスト 住民票の移動、年金手帳(基礎年金番号)の把握、就職なら社会保険の加入日、進学なら学生納付特例の更新手続き。忘れがちな手続きを前倒しで準備。
公的年金: 国が運営する年金制度の総称。国民年金と厚生年金から成り、老後・障害・遺族の給付を行う。
国民年金(基礎年金): 20歳以上60歳未満のすべての人が原則加入する年金。定額の保険料で、老齢基礎年金が支給される。
厚生年金: 会社員や公務員などが加入する年金。給与に比例して保険料と将来の年金額が決まる。
学生納付特例: 学生が経済的理由で国民年金保険料の納付を先送りできる制度。将来の追納により老齢基礎年金額を増やせる。
追納: 学生納付特例や免除期間の保険料を、後から遡って納めること。老齢基礎年金額の増額につながる。
老齢基礎年金: 国民年金から受け取る老後の年金。満額受給には原則40年の納付が必要で、納付月数に応じて額が決まる。
標準報酬月額: 厚生年金や健康保険で、保険料や給付の計算に使う給与の区分化された金額。
賦課方式: 現役世代が払う保険料で、その時点の受給者の年金を支える方式。
新NISA: 値上げされた非課税投資枠を持つ制度。18歳から利用でき、長期の資産形成に向く。
企業型DC: 企業が用意する確定拠出年金。会社や本人の掛金を運用し、将来の受取額が運用成績で決まる。