コラム一覧に戻る

投資の税金|利益にかかる20%の仕組み

株式投資で得た利益にかかる税金の基本を、平易な言葉と具体例で解説。20%の内訳、計算方法、NISAの活用、損益通算や確定申告の考え方まで初心者向けにまとめます。

IRTracker
9 分で読了
入門税金利益

  1. この記事で学べること
  • 株の利益と配当にかかる約20%の税金の正体と内訳
  • 税金がかかる利益の範囲と、手数料の扱い
  • 口座区分ごとの違い 特定口座 源泉徴収あり なし と一般口座 の基本
  • NISAを使うと税金がどう変わるか
  • 税額の計算手順と実際の数値例
  • 損益通算や繰越控除で税負担を軽くする考え方
  • 初心者が誤解しやすいポイントと注意点
  1. 概念の説明 株式投資で得たもうけには税金がかかります。もうけとは、安く買って高く売った差額や、企業から受け取る配当のことです。日本では、これらの利益にはおおむね20%ちょっとの税金がかかります。日常で例えると、アルバイト代から自動的に税金が天引きされるのと似ていて、証券会社の設定によっては利益が出た時点で自動で税金が差し引かれます。

この約20%は、国に納める税金と住んでいる地域に納める税金を合わせたものです。正確には20.315%で、国の税金15%に上乗せ分 いわゆる復興特別所得税 を含み、さらに住民税5%が加わります。配当金にも同じ税率が基本的に適用されます。

税金がかかる対象は、売って得た利益 譲渡益 と、保有中にもらう配当金の2つが中心です。さらに、売買の手数料や売買時にかかる費用は利益から差し引けます。つまり、実際に手元に残る利益に対して税金が計算されます。

証券口座には、特定口座 源泉徴収あり と特定口座 源泉徴収なし、そして一般口座があります。源泉徴収ありを選ぶと、証券会社が税金を自動で計算し、引き落としてくれるため、多くの場合は確定申告が不要です。一方、源泉徴収なしや一般口座では、ご自身で計算して申告が必要になることがあります。

  1. なぜ重要なのか 投資の成果は、税引前より税引後の数字が本当の実力です。例えば、10万円の利益が出ても、税金で約2万円が差し引かれ、残るのは約8万円です。雪だるま式に資産を増やすには、税金がどれだけ持っていくかを知り、税優遇の制度を上手に使うことが大切です。

また、配当金を受け取り続ける投資では、毎回20%程度引かれると受取額が目減りします。再投資で複利効果を高めたいなら、税金の差し引き後の金額でどれほど増えるかを意識する必要があります。

さらに、年間で損した取引と得した取引が混ざるのが普通です。合計で損が出た年は、うまく手続きをすれば、すでに引かれた税金が戻ってくることがあります。税金の仕組みを知ることは、手取りを守るための大事な一歩です。

  1. 計算方法
    税率は一般に20.315%です。内訳は所得税 15% 復興特別所得税 15%の2.1%分 と住民税 5% です。
  • 売買益の基本式
課税対象の利益 = 売却代金 − 購入代金 − 売買手数料などの費用 税額 = 課税対象の利益 × 20.315%
  • 具体例1 単純な売買 株を50万円で購入し、手数料は買い100円。後日60万円で売却、売りの手数料は100円とします。
利益 = 600,000円 − 500,000円 − 100円 − 100円 = 99,800円 税額 = 99,800円 × 20.315% = 約20,270円

手取りの利益は、99,800円 − 約20,270円 = 約79,530円です。

  • 具体例2 配当金 配当金が10,000円の場合、多くの証券会社では受け取り時に税金が差し引かれ、手取りは次の通りです。
税額 = 10,000円 × 20.315% = 約2,032円 手取り = 約7,968円
  • 具体例3 損益通算 A株で10万円の利益、B株で6万円の損失が出たとします。年間合計の利益は次の通りです。
合計利益 = 100,000円 − 60,000円 = 40,000円 税額 = 40,000円 × 20.315% = 約8,126円

損を利益と相殺できるため、税金は小さくなります。

  • 具体例4 繰越控除 その年の合計が損失 例えば50,000円のマイナス の場合、確定申告をしておけば、最長3年間、翌年以降の利益と相殺できます。翌年に12万円の利益が出たら、まず5万円を差し引いて7万円に税金がかかります。
翌年の課税利益 = 120,000円 − 50,000円 = 70,000円 税額 = 70,000円 × 20.315% = 約14,221円
  1. 具体例・ケーススタディ
  • ケース1 特定口座 源泉徴収あり 1年で3回取引し、利益合計8万円、損失合計3万円。証券会社が自動で損益を合算し、5万円に対して税金が引かれます。すでに税額が差し引かれているため、多くの場合は申告不要です。

  • ケース2 源泉徴収ありでも申告で戻ることがある 年の途中で利益に税金が源泉徴収されたが、最終的に年間合計は損失になった場合、確定申告をすると引かれすぎた税金の一部や全部が戻ります。たとえば前半で利益10万円 徴収約2万円、後半で損失12万円なら、トータルはマイナス2万円。申告すれば、前半で引かれた税金が還付されます。

  • ケース3 NISAの活用 NISAの枠内で買った株の売買益や配当は、原則として税金がかかりません。例えば、NISAで5万円の利益が出ても、20%分は引かれません。税金の心配を減らせるため、長期の積立や配当受け取りに向いています。

  • ケース4 外国株の配当 米国株の配当は、現地で一部が先に引かれた上で、日本でも課税されます。確定申告で外国税額控除という仕組みを使うと、二重に課税された分の一部を差し引けることがあります。初心者はまず、どれだけ差し引かれているか 明細で税率や金額 を確認するところから始めましょう。

  1. 実践的な活用法
  • 口座区分の選び方 まずは特定口座 源泉徴収あり を選ぶと、税計算や納付が自動で、手間が少なく安心です。確定申告をして還付や控除を活用したい年だけ申告を検討しましょう。

  • NISAを優先 長期でコツコツ増やすなら、先にNISAの枠を使うのが基本。売買益も配当も原則非課税なので、複利の力を損なわずに増やせます。枠は毎年の上限があるため、計画的に使いましょう。

  • 年末の損失活用 損出し 年の終わりに含み損の銘柄を一度売って損失を確定させ、他の利益と相殺して税額を減らす方法があります。いわば、出費の割引券を作るイメージです。ただし、売り直しのタイミングや手数料、価格変動のリスクには注意が必要です。

  • 記録を残す 取引ごとの約定代金、手数料、受け取った配当、既に引かれた税金の額を、証券会社の年間取引報告書や明細で確認し、保存しておきましょう。確定申告や見直しに役立ちます。

  • 税金で行動を振らされない 税金を減らすためだけの売買は、本来の投資判断を歪めることがあります。税金は大切な要素ですが、企業の価値や投資計画が主役で、税金は脇役と考えるのが健全です。

  1. よくある誤解
よくある誤解
- 税率はきっちり20%だと思っている 実際は20.315%です。わずかな差ですが、計算で微妙なズレが出ます。 - NISAなら何でも一生非課税だと思う 制度には年間の投資上限や枠の管理ルールがあり、対象外の商品もあります。 - 損失は無駄だから放置でよいと思う 損益通算や繰越控除で将来の税金を減らせる可能性があります。申告が必要です。 - 手数料は経費にできないと思い込む 売買益の計算では手数料は利益から差し引けます。明細を必ず確認しましょう。 - 源泉徴収ありなら絶対に申告不要と考える 還付や控除を受けられるケースがあり、申告した方が有利な年もあります。
  1. まとめ
まとめ
- 株の売買益と配当には、原則として合計20.315%の税金がかかります。 - 課税対象の利益は、売却代金から購入代金や手数料などを差し引いた実質のもうけです。 - 特定口座 源泉徴収あり を選ぶと、多くの場合は自動で納税され、手間が少ないです。 - NISA枠を活用すると、売買益や配当が原則非課税となり、複利効果を高められます。 - 年間の損益は通算でき、損失は最長3年繰り越して将来の利益と相殺できます 申告が必要。 - 申告を活用すると、源泉徴収済みの税金の一部が戻ることや、外国株の二重課税を調整できることがあります。 - 税金は投資の成績に直結するため、仕組みを理解し、制度を上手に使うことが重要です。
本記事は2026年時点の一般的な税制に基づく初心者向けの解説です。税率や制度は変更されることがあります。具体的な申告や適用可否は、最新の公的情報や証券会社の案内、税務署・税理士に確認してください。

用語集

特定口座: 証券会社が年間の損益や税額を計算してくれる口座。源泉徴収ありを選ぶと自動で納税される。

源泉徴収: 利益や配当からあらかじめ税金を差し引く仕組み。あとで確定申告で精算する場合もある。

一般口座: 投資家自身が損益や税額を計算し、必要に応じて確定申告を行う口座。

譲渡益: 株を売って得た利益。売却代金から購入代金や手数料などを引いた金額。

配当金: 会社が利益の一部を株主に分配するお金。原則として約20%の税金が差し引かれる。

損益通算: 同じ年の利益と損失を合算して、税金をかける利益を小さくすること。

繰越控除: その年に出た損失を最長3年間、翌年以降の利益から差し引ける制度。適用には確定申告が必要。

NISA: 一定額までの投資の売買益や配当が原則非課税になる制度。長期の資産形成を目的に設計されている。

復興特別所得税: 所得税に上乗せされる税。投資の利益にかかる所得税にも加算され、合計税率を20.315%に押し上げる要因の一つ。

関連コラム