投資の基礎知識入門
決算短信の読み方入門
上場企業が四半期ごとに公表する「決算短信」の基本構成と、初心者でも迷わず見るべき数値やチェック順序を、やさしい言葉と具体例で解説します。
InvestTracker
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決算入門
目次
主なパートは次の三つです。ひとつ目はハイライトと業績の概要。ここに売上高、営業利益、当期純利益などの要点がまとまっています。ふたつ目は詳細な表、具体的には損益計算書や貸借対照表などの数表。三つ目は今後の見通し、つまり会社が自ら出す通期の業績予想です。まずはハイライトで全体の方向をつかみ、次に表で裏取りし、最後に予想と合わせて考える流れが効率的です。
用語をかんたんに言い換えると、売上高はお店のレジに入ったお金の合計、営業利益は本業で稼いだもうけ、当期純利益は税金なども差し引いた最終的に手元に残るもうけです。家庭で例えると、売上高は世帯収入、営業利益は仕事だけで得た手取り、純利益は税金や各種支払いを済ませた後の貯金に回せる額に近い感覚です。
差額は1,000 - 900 = 100億円。100 ÷ 900 ≒ 0.111...、つまり約11.1%増。
差額は80 - 60 = 20億円。20 ÷ 60 = 0.333...、つまり約33.3%増。売上より利益の伸びが大きいなら、コスト管理が改善した可能性が考えられます。
営業利益率は80 ÷ 1,000 = 0.08、つまり8%。純利益率は50 ÷ 1,000 = 0.05、つまり5%。利益率は会社の稼ぐ力をざっくり測る定規です。
この場合は90 ÷ 160 = 0.5625、つまり56.25%。季節要因がある業界では、上期低め・下期偏重などのパターンもあるため、過去の季節性とセットで見ます。
「なぜ」を一つだけ掘る 売上は横ばいなのに営業利益が伸びているなどギャップを見つけたら、原価や販管費の増減、価格改定、為替の影響などを注記で確かめます。家計で言えば、給料が同じでも支出を抑えて貯金が増えたのか、臨時収入があったのかを見分けるイメージです。
予想修正のインパクト 会社が通期予想を上方修正した場合は、進捗率と合わせて妥当性を確認します。上期で既に高い進捗なのに予想が据え置きなら、保守的な見積もりの可能性。逆に進捗が低いのに強気予想なら、下期に偏る根拠を注記や事業環境で確認します。
比較は同業と同時期で 一社だけで良し悪しを決めず、同業他社の伸び率や利益率と並べて見ると、業界全体の追い風なのか、その会社の努力によるものかが分かりやすくなります。
決算短信: 上場企業が四半期や通期の業績を速報形式で公表する資料。ハイライト、詳細な数表、業績予想などで構成される。
NetSales(売上高): 商品やサービスの販売で得た合計金額。会社の規模や市場での存在感を示す。
OperatingIncome(営業利益): 本業の収益から本業の費用を引いたもうけ。事業の稼ぐ力を示す中核の指標。
NetIncome(当期純利益): 税金や金融収支、特別要因も反映した最終的なもうけ。株主に帰属する利益に近い。
営業利益率: 営業利益を売上高で割った比率。事業の収益性を測る基本のものさし。
進捗率: 期中の累計実績を通期予想で割った比率。計画に対する達成度を示す。
通期予想: 会社が公表するその年度の見込み業績。修正の有無は重要なシグナルとなる。