投資の基礎知識入門
JGAAP・IFRS・US-GAAPの違い
日本基準(JGAAP)、国際会計基準(IFRS)、米国基準(US-GAAP)の要点をやさしく比較し、決算分析にどう影響するかを具体例で解説します。
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会計基準入門
目次
日本のJGAAPは、日本の商習慣になじむ「きっちり積み上げ型」。IFRSは、世界での比較や実態反映を重視する「原則ベース」。US-GAAPは詳細ルールが多い「細則ベース」。どれが良い悪いではなく、物差しの目盛りが違うイメージです。投資家は「どの物差しで測られた数字か」を意識して読む必要があります。
例:5年間で1,000ののれんを持つ会社(毎年同じ利益を想定)
JGAAPの営業利益 = 基礎の営業利益 - のれん償却(1,000/5=200) IFRS/US-GAAPの営業利益 = 基礎の営業利益(償却なし。必要に応じて減損を一括計上)同じ事業でも、JGAAPでは毎年200だけ利益が小さく見えます。IFRSやUS-GAAPでは平時は利益が大きめ、ただし悪化時にドンと減損が出やすい、という違いが生じます。
固定資産の評価
リース(長期レンタル)
研究開発費
棚卸資産(在庫)の評価方法
横比較のコツ 同業他社を比べるときは、まず基準を確認。のれん償却の有無、開発費の資産計上の有無、リースの扱いで、営業利益率やROEが見た目以上に違って見えます。可能なら「調整後」の指標を自分で計算しましょう。
簡易的な調整例(のれん) JGAAP企業の営業利益に、のれん償却費を足し戻して、IFRS的な見え方に寄せる方法。
逆にIFRS企業で大きな減損が出た年は、平時水準を知るために、一過性の減損を除いた利益も併記すると比較しやすくなります。
ROE/ROAの読み方 IFRSで資産の再評価やリース計上が進むと、分母が増えてROEやROAが下がることがあります。業績悪化ではなく「基準の影響」の場合があるので、注記や説明資料の補足を確認しましょう。
キャッシュフローで裏取り 利益は基準でブレますが、現金の出入りは比較的ブレにくいです。営業キャッシュフローやフリーキャッシュフローで、実力を裏取りしましょう。
JGAAP: 日本の会計基準。伝統的な実務に沿った積み上げ型の考え方が強い。
IFRS: 国際会計基準。原則ベースで実態反映と国際比較性を重視する。
US-GAAP: 米国会計基準。詳細なルールが多い細則ベースの枠組み。
のれん: 企業買収時に支払額が純資産より多いときの差額。将来利益の期待分。
減損: 資産価値が落ちたと判断したときに、帳簿価額を切り下げて費用にすること。
公正価値: 市場などで妥当と考えられる時価に近い価値。
リース: 資産を買わずに長期で借りて使う取引。多くは資産・負債計上される。
研究開発費: 新技術や新製品のための費用。IFRSは開発段階を資産計上できる場合がある。
その他包括利益: 純利益に含めない評価差額などを合算した指標。評価益・評価損の累積を示す。