投資のはじめの一歩高校生向け
リスクとリターンの関係|高リターンには理由がある
投資の土台となるリスクとリターンの関係を、高校生にもわかる言葉と身近な例で学びます。アルバイト収入や奨学金、新NISAなど将来の選択にもつながる内容です。
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リスクリターン高校生
目次
投資では「リスク」と「リターン」という言葉がよく出てきます。リスクは「危険」だけでなく、結果が予想より上下にぶれる可能性、つまり「不確実さ」を意味します。例えば、模試の点数が毎回大きく上下するなら、その科目は点数のリスクが大きいと言えます。投資でも、値動きが大きく上下するほどリスクが高いと考えます。
「リターン」は、投資で得られる成果のことです。株の値上がり益や配当、債券の利息などが含まれます。お年玉を定期預金に入れて年に0.1%増えるのもリターンですし、株式で年に5%増えるのもリターンです。違いは、その増え方がどれだけ安定しているかです。
基本的に、世の中は「リスクが高いほど、期待できるリターンも高い」関係があります。これは、挑戦に伴うごほうびが大きくなるイメージです。例えば、新しいビジネスに挑戦する起業家は失敗するかもしれませんが、成功すれば大きな収益を得られます。その可能性があるからこそ、投資家はリスクの高い投資先に対して、より高い見返りを求めるのです。
この関係は、経済の授業で学ぶ「機会費用」や「希少性」ともつながります。安定した収入が期待できる国債は誰でも欲しがるため利回りは低く、値動きが激しい株式は敬遠する人がいるため、買ってくれる人を増やすには高い見返りが必要になります。これがリスクとリターンの交換条件の根っこです。
高校生でも、すでにお金の選択は始まっています。アルバイトで毎月1万円を貯金するか、一部を投資に回すか。奨学金を借りる場合は、将来の返済計画をどう立てるか。大学進学や一人暮らしの初期費用など、数十万円から百万円単位の支出が視野に入るからです。
こうした将来設計では、単に「増えるかも」ではなく「どれくらいのぶれがあり得るか」を理解する必要があります。リターンだけを見て選ぶと、必要なときにお金が足りない事態になりかねません。逆に、リスクを過度に恐れて超低金利に置いておくと、物価上昇に負けて実質的な購買力が下がることもあります。
「大人になる前に知っておくべき」なのは、目標と期間に合わせてリスクを選ぶ力です。例えば、1年後に使う入学金は値動きの小さい手段で守る。一方で、5年以上先の留学費用は、分散した投資で増やす可能性を取りにいく。新NISAなどの制度を上手に使うと、この設計がしやすくなります。
ここでは、期待リターンとリスクの基本的な考え方を、簡単な数字で確認します。
例1: ある投資Aは、50%で+10%、50%で0%になるとします。
期待リターン = 0.5 × 10% + 0.5 × 0% = 5%例2: 投資Bは、40%で+15%、40%で+2%、20%で-10%になるとします。
期待リターン = 0.4 × 15% + 0.4 × 2% + 0.2 × (-10%) = 6%リスクの大きさは、結果が平均からどれだけ散らばるかで測ります。統計では標準偏差を使いますが、ここでは「上下の振れ幅が大きいほどリスクが大きい」と理解してください。
分散投資の基本は、動きが違うものを組み合わせることです。片方が下がったときにもう片方が支えることで、全体のぶれを小さくできます。
ポートフォリオの期待リターンは、配分比率の重み付き平均で求められます。
ポートフォリオ期待リターン = 配分A × リターンA + 配分B × リターンB例3: 株式の期待リターンが年5%、債券の期待リターンが年1%。株式60%、債券40%で組むと、
0.6 × 5% + 0.4 × 1% = 3.4%ケース1: 1年後に使う入学金 入学金30万円を来年の春までに確実に用意したい。値動きが大きい資産は、使う直前に下がる可能性があります。ここは普通預金や定期預金など、値動きがほぼない手段が適します。リターンは小さいですが、目的と期間に合っています。
ケース2: 3年後の一人暮らし準備 アルバイトで毎月1万円を積み立て、3年で36万円。ここでは、値動きの小さい債券ファンドや、価格が大きくぶれにくい資産を中心に、少しの株式を混ぜて分散する選択が考えられます。短期では大きな下落が回復する時間が足りないため、リスクを抑えるのが基本です。
ケース3: 5〜10年先の留学費用・自己投資 5年以上の期間があるなら、株式インデックスファンドを中心に分散することで、平均するとプラスを狙いやすくなります。例えば、毎月1万円を年3.4%で10年積み立てた場合の将来価値は、
月利を年3.4%の12分の1とすると、概算で約140〜150万円程度。値動きはありますが、時間がぶれをならす効果も期待できます。
目標と期限を先に決める 「いつ、いくら必要か」を先に決め、期間に合わせてリスクの大きさを選ぶのが基本です。短期の目標なら値動きの小さい手段、長期の目標なら分散した成長資産を組み合わせます。
分散投資を徹底する 1つの会社や1つの国に偏らず、インデックスファンドなどで広く分散します。動きが違う資産を混ぜることで、全体の上下を小さくできます。
積立と時間分散 毎月同じ金額を買う「積立」は、価格が高いときは少なく、安いときは多く買うことになり、平均購入単価をならす効果があります。長い時間を味方にすることが、リスクと付き合う王道です。
新NISAの活用(18歳から) 新NISAは、投資で得た利益が非課税になる制度です。18歳から口座を開けます。長期の資産形成に向く投資信託をコツコツ積み立てるのに適しており、リスクとリターンの関係を理解したうえで、目標に沿って使うと効果的です。
リスク管理のルールを作る 「必要資金は安全資産で確保」「価格が大きく下がっても生活や学業に支障が出ない金額で」など、事前にルールを決めて守ることが大切です。
リスク: 投資結果が予想より上下にぶれる可能性のこと。危険だけでなく不確実さ全体を指す。
リターン: 投資で得られる成果。値上がり益や配当、利息などを含む。
期待リターン: 起こり得る結果に確率を掛けて平均した値。長期の平均的な見込みを表す。
分散投資: 異なる値動きをする資産を組み合わせ、全体のぶれを小さくする方法。
リスクプレミアム: リスクを取る投資家が追加で求める見返り。安全資産の利回りに上乗せされる部分。
複利: 利息や運用益が元本に再投資され、利息が利息を生む増え方。
インフレ: 物価が上昇し、お金の購買力が下がる現象。
新NISA: 投資の利益が非課税になる日本の制度。18歳から口座開設でき、長期の資産形成に向く。