本日公表された2026年2月末営業毎旬報告データによると、日本銀行の総資産は683.8兆円となり、前月比0.9兆円増加した。国債保有残高は546.7兆円で前月比1.1兆円(10,972億円)の増加となったが、12ヶ月累計では41.8兆円の減少を記録し、パッシブQTのペースが前月(40.0兆円減)から加速している。当座預金残高は461.1兆円で前月比7.0兆円減少し、当座預金/総資産比率は67.4%まで低下した。本稿では、バランスシート構造の変化に焦点を当て、QTフローとストック効果の両面から分析を行う。
2026年2月末の国債保有残高は546.7兆円となり、前月比1.1兆円(10,972億円)増加した。この月次増加は、2026年1月の前月比1.2兆円(11,876億円)増加とほぼ同水準であり、2ヶ月連続で1兆円台の小幅増加が続いている。
過去12ヶ月の国債前月比推移を見ると、四半期末月(3月、6月、9月、12月)に大幅な減少が集中する季節性が明確に確認される。具体的には、2025年3月に12.6兆円減、6月に13.2兆円減、9月に14.9兆円減、12月に15.4兆円減と、四半期末ごとに減少幅が拡大する傾向が観察される。一方、四半期末以外の月は1~3兆円程度の小幅な増減にとどまっている。
国債前月比の直近12ヶ月移動合計は、2026年2月末時点でマイナス41.8兆円となり、前月(マイナス40.0兆円)から1.8兆円の加速を示した。この12ヶ月累計は、パッシブQTの年間ペースを示す重要な指標であり、日銀が国債償還に対して再投資を行わない方針の下で、自然体での国債残高縮小がどの程度進行しているかを定量化するものである。
過去推移を見ると、2026年1月末時点で初めて12ヶ月累計がマイナス40.0兆円に達し、2月末にはさらにマイナス41.8兆円へと拡大した。この加速は、2025年2月の前月比2.9兆円増が12ヶ月累計の計算から外れ、2026年2月の前月比1.1兆円増が新たに加わったことによる算術的な効果である。
総資産は683.8兆円となり、前月比0.9兆円(9,025億円)の小幅増加にとどまった。過去12ヶ月で見ると、2025年1月末の744.3兆円から60.5兆円(8.1%)減少しており、バランスシート全体の縮小トレンドが継続している。
月次変動を見ると、四半期末月に大幅な減少が集中する点は国債保有と同様のパターンである。2025年3月に17.3兆円減、6月に16.1兆円減、9月に28.2兆円減、12月に20.2兆円減と、四半期末ごとに総資産が大きく縮小している。
国債保有残高の総資産に対する比率は、2026年2月末時点で80.0%となった。この水準は、過去12ヶ月の推移の中で高位にあり、2025年1月末の78.7%から1.3ポイント上昇している。
月次推移を詳細に見ると、国債比率は2025年1月の78.7%から緩やかに上昇し、2025年9月に80.0%に達した後、2025年12月に80.3%でピークを記録した。その後、2026年1月に79.9%へわずかに低下したが、2月には再び80.0%に戻している。
この国債比率の趨勢的上昇は、国債残高の減少ペース(年間41.8兆円減)が総資産の減少ペース(年間60.5兆円減)を下回っていることを反映している。つまり、国債以外の資産項目(主に貸付金)がより速いペースで縮小しているため、相対的に国債のウェイトが高まる構造となっている。
ETF、J-REIT、社債の合計である政策資産の総資産に対する比率は、2026年2月末時点で5.9%となった。この水準は過去12ヶ月を通じてほぼ安定しており、5.7%から6.0%のレンジ内で推移している。
個別に見ると、ETF保有残高は37.2兆円(比率5.4%)で、2026年1月に53億円、2月に256億円の小幅な減少があったものの、ほぼ横ばいで推移している。J-REITは0.7兆円、社債は2.4兆円で、いずれも大きな変動は見られない。
政策資産比率が安定している一方で国債比率が上昇していることは、バランスシート縮小の主要な調整弁が貸付金であることを示唆している。
貸付金残高は83.5兆円(比率12.2%)となり、前月から横ばいで推移した。しかし、過去12ヶ月で見ると、2025年1月末の101.6兆円から18.1兆円(17.8%)減少しており、総資産縮小の主要な要因となっている。
月次推移を見ると、貸付金は四半期末月に大きく減少する傾向がある。2025年3月に4.8兆円減、6月に2.2兆円減、9月に12.9兆円減、12月に3.9兆円減と、四半期末ごとに調整が行われている。これは、金融機関の資金需要が四半期末に変動することを反映していると考えられる。
12ヶ月累計でマイナス41.8兆円という年間QTペースは、日銀が2024年7月に示した「月間約3兆円の減額ペース」(年間約36兆円に相当)を上回る水準である。実際の国債償還額が想定を上回っているか、あるいは再投資の調整が行われている可能性が示唆される。
四半期末月の大幅減少パターンは、国債償還のタイミングが四半期末に集中していることを反映している。2025年12月の15.4兆円減が過去12ヶ月で最大の減少幅であり、四半期末ごとに減少幅が拡大する傾向は、償還額の増加を示している。
当座預金残高は461.1兆円となり、前月比7.0兆円(70,222億円)減少した。当座預金/総資産比率は67.4%まで低下し、過去12ヶ月で最低水準を記録した。2025年1月末の71.0%から3.6ポイントの低下は、負債側の流動性構造が大きく変化していることを示している。
月次推移を見ると、当座預金比率は2025年4月に74.3%でピークを記録した後、趨勢的に低下している。特に2025年9月以降の低下ペースが加速しており、9月に21.6兆円減、12月に16.1兆円減と、四半期末月に大幅な減少が集中している。
当座預金比率の低下は、金融機関が日銀当座預金から資金を引き出していることを意味する。これは、金融機関の資金運用行動の変化や、日銀の付利政策の影響を反映している可能性がある。
発行銀行券は116.9兆円となり、過去12ヶ月でほぼ横ばいで推移している。現金需要は安定しており、経済活動の現金決済ニーズに大きな変化は見られない。
日銀短観の業況判断DIを見ると、大企業製造業は2025年第1四半期の12から2025年第4四半期には15へと改善傾向にある。大企業非製造業は34前後で安定推移し、中堅製造業も11から16へと改善している。中小製造業も2から6へと改善が見られる。
QT環境下においても企業センチメントが改善傾向にあることは、バランスシート縮小が実体経済に対して過度な引き締め効果を及ぼしていない可能性を示唆している。ただし、当座預金比率の低下が継続する中で、金融機関の貸出行動や市場流動性への影響については、引き続き注視が必要である。
今後の注目点として、以下の3点が挙げられる。
第一に、3月末の四半期末における国債残高の変動である。過去のパターンから、3月末には15兆円前後の大幅な減少が予想される。この減少幅が過去のトレンドを上回るか否かが、年間QTペースのさらなる加速を判断する上で重要となる。
第二に、当座預金比率の低下トレンドの持続性である。67.4%という水準は過去12ヶ月で最低であり、今後さらに低下が続く場合、金融市場の流動性環境に質的な変化が生じる可能性がある。月内に公表される金融市場統計や資金循環統計において、金融機関の資金運用行動の変化を確認することが重要である。
第三に、貸付金残高の動向である。貸付金は総資産縮小の主要な調整弁として機能しているが、金融機関の資金需要が変化した場合、バランスシート縮小のペースや構成比率に影響を及ぼす可能性がある。
日銀のパッシブQTは、年間41.8兆円ペースで着実に進行している。国債比率の趨勢的上昇と当座預金比率の低下という構造変化が同時に進行する中で、ストック効果とフロー効果の両面から、金融市場と実体経済への影響を継続的に評価していく必要がある。
パッシブQT: 日本銀行が保有国債の償還に対して再投資を行わず、自然体でバランスシートを縮小させる政策。Quantitative Tightening(量的引き締め)の一形態で、積極的な資産売却を伴わない点が特徴。
フロー効果: 中央銀行による国債の月次購入または減少量が、市場の需給バランスと価格形成に与える影響。QTにおいては、月次の国債減少ペースが市場金利の上昇圧力として作用する。
ストック効果: 中央銀行が保有する資産の累積残高が、長期金利の水準やタームプレミアムに与える持続的な影響。保有残高が大きいほど、長期金利を抑制する効果が強く働く。
当座預金比率: 日本銀行のバランスシートにおいて、当座預金残高が総資産に占める割合。金融機関が日銀に預けている準備預金の規模を示し、金融システムの流動性環境を評価する指標。
政策資産: 日本銀行が金融緩和政策の一環として購入したETF、J-REIT、社債の合計。国債以外の非伝統的な資産購入プログラムによる保有資産を指す。
営業毎旬報告: 日本銀行が毎月3回(10日、20日、月末)公表するバランスシートの速報値。資産・負債の主要項目の残高を億円単位で開示し、金融政策の実施状況を把握する基礎データとなる。
12ヶ月累計: 直近12ヶ月間の国債前月比変化額を合計した値。年間ベースでのQTペースを評価する指標として用いられ、季節性の影響を平準化する効果がある。
国債比率: 日本銀行が保有する国債残高が総資産に占める割合。バランスシートの資産構成における国債のウェイトを示し、金融政策の正常化プロセスを評価する指標。
本コラムは日本銀行公表の営業毎旬報告データ、FRED(FRBバランスシート)、ECB統計データ等をAIが統合分析して自動生成した日銀バランスシート分析記事です。特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談の上、行ってください。