基本の指標入門
業績予想の見方|会社予想と実績
会社が出す業績予想と、実際の結果(実績)をどう比べて判断するかを、達成率や進捗率の計算方法と具体例でやさしく解説します。
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決算予想ガイダンス
目次
家計の年間予算を立てるのと同じで、企業も「今年は売上や利益をどれくらい見込むか」を前もって発表します。これが業績予想です。企業自身が公表するものを会社予想と呼びます。
一方、実績はその後に発表される本当の結果です。家庭でいうと、年末に振り返った「実際に使った金額・貯められた金額」のようなものです。投資では、予想と実績を比べることで、その会社が計画どおりに進んでいるかを確認します。
また、証券会社のアナリストたちが独自に予想した数値を集めた平均をコンセンサスと呼びます。会社予想が控えめでも、アナリストはやや強気に見ることがあるため、会社予想とコンセンサスが違う場合も珍しくありません。
比べ方にはコツがあります。年の途中で四半期ごとに確認する時は進捗率、通期の結果が出た後に振り返る時は達成率を見ます。さらに、途中で会社が予想を上に見直す上方修正、下に見直す下方修正が起きることがあり、これが株価の大きな材料になります。
株価は「期待」で動きやすいものです。良い結果そのものよりも、「予想より良かったか」が注目されます。たとえばテストで80点を取っても、先生が70点だと思っていたならプラス評価、90点だと思っていたならマイナス評価、というイメージです。
企業の説明は時に控えめだったり安全運転だったりします。会社予想は「最低限の約束」に近く、保守的になりがちです。一方、投資家はコンセンサスも意識しており、実績が会社予想を上回っても、コンセンサスに届かなければ失望されることがあります。
また、期中の修正は将来の見通しが変わったサインです。上方修正は業績が強い方向へ、下方修正は注意が必要な方向へ舵が切られた合図で、短期的な株価変動だけでなく、中期の成長ストーリーの再評価にもつながります。
ここでは売上高や営業利益など、数字の種類にかかわらず使える共通の考え方を示します。
具体的な手順
前提:とある小売企業Aの期初会社予想(通期)
第1四半期の実績
進捗率の計算
見方:売上は順調(季節要因がなければ25%前後が目安)だが、利益はやや遅れ気味。仕入れコスト上昇やセール増などの要因を確認したいところです。
第2四半期累計(上期)
進捗率の更新
ここで会社が通期の営業利益予想を80億円から88億円に上方修正したとします。
修正率の計算
88 ÷ 80 - 1 = 0.1 → +10%見方:利益率の改善が続く前提ならポジティブ。修正の理由(価格転嫁の進展、固定費の見直しなど)を確認します。
通期実績の発表
達成率の計算(期初の会社予想に対して)
さらに、通期のコンセンサスが営業利益90億円だった場合のサプライズ
(92 - 90) ÷ 90 × 100 = 2.22%見方:会社予想の達成は大きく、コンセンサスに対しても小幅ながら上振れ。株価反応は「織り込み具合」により変わるため、決算前の株価の動きを合わせて確認します。
業績予想: 企業が先々の売上や利益をどれくらい見込むかを事前に示した数字のこと。
会社予想: 企業自身が公式に公表する業績予想。保守的になることがある。
コンセンサス: 複数のアナリスト予想の平均値。市場が期待している水準の目安。
実績: 決算で発表される実際の結果の数字。
達成率: 通期の実績が期初の会社予想に対してどれだけ達したかを示す割合。
進捗率: 期中に累計実績が通期会社予想のどれだけ進んだかを示す割合。
上方修正: 会社が期中に業績予想を上に見直すこと。ポジティブ材料になりやすい。
下方修正: 会社が期中に業績予想を下に見直すこと。注意が必要なサイン。
サプライズ: 実績が市場の予想(コンセンサス)と比べてどれだけ上振れ・下振れしたか。