| 指標 | 当期 | 前年同期 | YoY |
|---|---|---|---|
| 売上高 | ¥1853.3億 | ¥1799.2億 | +3.0% |
| 営業利益 | ¥361.0億 | ¥351.6億 | +2.7% |
| 経常利益 | ¥435.4億 | ¥399.9億 | +8.9% |
| 純利益 | ¥81.2億 | ¥42.2億 | +92.4% |
| ROE | 2.1% | 1.2% | - |
2026年3月期決算は、売上高1,853.3億円(前年比+54.1億円 +3.0%)、営業利益361.0億円(同+9.4億円 +2.7%)、経常利益435.4億円(同+35.5億円 +8.9%)、親会社株主に帰属する当期純利益81.2億円(同+39.0億円 +92.4%)となった。映像関連事業の減収を興行関連(+33.0%)、建築内装(+35.5%)、催事関連(+15.3%)が補完し、全社ベースで増収増益を達成。営業利益率は19.5%で前年と同水準を維持し、粗利率43.4%の高収益構造が継続した。経常利益は持分法投資利益42.9億円と受取配当・利息計22.8億円の寄与で営業段階から74.4億円上振れ、純利益は特別利益80.9億円(固定資産売却益74.1億円等)が大幅増益に寄与した。一時的利益が純利益の約3割に相当するため、来期の再現性には留意が必要である。
【売上高】売上高は1,853.3億円(前年比+3.0%)となり、興行関連と建築内装の大幅増収が映像関連の減収(-4.2%)を補完した。セグメント別では、興行関連が255.1億円(+33.0%)と大幅増収、劇場入場者数の回復と番組ラインナップ強化が寄与した。建築内装は134.3億円(+35.5%)で大型案件の受注と採算改善が進行、催事関連は136.0億円(+15.3%)でイベント企画とIP連動施策の拡大が奏功した。観光不動産は80.6億円(+5.1%)と安定成長を維持した。主力の映像関連は1,305.5億円(-4.2%)と減収となり、配信・権利収入のタイトルサイクルの波が影響したが、全社売上の68.3%を占める事業の粗利率は24.9%と高水準を維持している。売上原価率は56.6%と前年(58.2%)から改善し、粗利率は43.4%(前年41.8%)へ1.6pt上昇した。
【損益】営業利益は361.0億円(前年比+2.7%)、営業利益率は19.5%(前年19.5%)と高水準を維持した。販管費は443.6億円(前年401.4億円)と10.5%増加し、広告宣伝費43.9億円(+1.9%)、賃借料42.8億円(+26.7%)、退職給付費用1.8億円(-23.8%)等の増減があったが、売上総利益の拡大により吸収した。セグメント別では、映像関連の営業利益324.5億円(-3.6%)が全社利益の約90%を創出し高収益性を維持、興行関連24.0億円(+207.3%)、建築内装13.9億円(+180.2%)、催事関連16.2億円(+27.3%)、観光不動産27.6億円(+8.5%)がいずれも大幅増益となり、事業ポートフォリオの分散効果が発現した。経常利益は435.4億円(前年比+8.9%)で、営業外収益77.8億円(受取配当金12.5億円、持分法投資利益42.9億円等)が営業段階から74.4億円押し上げた。税引前利益は511.3億円で、特別利益80.9億円(固定資産売却益74.1億円、投資有価証券売却益5.9億円)が上乗せされた。法人税等137.5億円(実効税率26.9%)を控除後、非支配株主に帰属する純利益140.6億円を差し引き、親会社株主に帰属する当期純利益は81.2億円(前年比+92.4%)となった。一時的要因である固定資産売却益が純利益の約32.5%に相当し、来期は剥落が見込まれるため、経常的な収益力は営業・経常段階での評価が適切である。結論として増収増益を達成した。
主力の映像関連(売上1,305.5億円、営業利益324.5億円)は全社営業利益の約90%を創出し、利益率24.9%と高収益性を維持したが、配信・権利収入のタイトルサイクルにより前年比-4.2%/-3.6%と減収減益となった。興行関連(売上255.1億円、営業利益24.0億円)は前年比+33.0%/+207.3%と大幅増収増益、利益率は9.4%へ改善し、直営劇場閉館の影響を他館での番組強化と入場者数回復で吸収した。催事関連(売上136.0億円、営業利益16.2億円)は前年比+15.3%/+27.3%、利益率11.9%で、イベント企画とIP連動施策の拡大が奏功した。建築内装(売上134.3億円、営業利益13.9億円)は前年比+35.5%/+180.2%と利益率10.3%へ急伸、大型案件の採算改善が寄与した。観光不動産(売上80.6億円、営業利益27.6億円)は前年比+5.1%/+8.5%、利益率34.2%と全セグメント中最高水準の収益性を維持し、商業施設賃貸とホテル経営の稼働安定が下支えした。映像関連の売上構成比68.3%と集中度は高いが、他セグメントの急成長により分散効果が顕在化している。
【収益性】営業利益率19.5%、売上高経常利益率23.5%、売上高純利益率4.4%(親会社株主帰属ベース)で、営業段階での高収益構造が継続した。ROEは2.1%(自己資本2,289.4億円ベース)と低位だが、総資産回転率0.371倍(総資産4,991.3億円)の低さが主因であり、潤沢な現金・投資有価証券の保有と不動産等の資産厚みが資産効率を希薄化している。粗利率43.4%は前年比+1.6pt改善し、高付加価値事業の構成が支えた。営業利益率は前年と同水準を維持し、販管費率23.9%(前年22.3%)の上昇を粗利改善で吸収した。【キャッシュ品質】営業CF267.2億円は純利益(連結)81.2億円の3.3倍、営業CF/EBITDA比率は0.59倍と低位で、固定資産売却益等の非現金益控除、税金支払64.1億円、利息支払12.1億円、前受金減少14.1億円、DSO84日の長期化が現金転換を圧迫した。アクルーアル比率は-0.7%で良好だが、OCF創出力の改善余地が大きい。【投資効率】総資産回転率0.371倍は資産余力の厚みを示すが効率面では低位、設備投資430.6億円は減価償却費90.4億円の4.77倍と大型投資局面にあり、将来の収益基盤拡大に向けた布石となる。ROA(経常利益ベース)は9.0%で、営業外収益の寄与が表れた。【財務健全性】自己資本比率77.3%(純資産3,857.2億円/総資産4,991.3億円)、流動比率325.3%(流動資産1,954.3億円/流動負債600.7億円)、Debt/EBITDA0.45倍(有利子負債204.2億円/EBITDA451.4億円)と極めて保守的で、現金預金1,266.1億円と投資有価証券1,502.2億円の合計が総資産の55.5%を占め、財務余力は極めて厚い。
営業CFは267.2億円(前年336.5億円、前年比-20.6%)で、営業CF小計577.0億円から棚卸資産の増加251.2億円、売上債権の増加18.5億円、仕入債務の減少2.6億円、法人税等の支払64.1億円を差し引いた結果となった。営業CF/純利益比率は3.3倍(連結純利益81.2億円ベース)と定義上は良好だが、OCF/EBITDA比率0.59倍(EBITDA451.4億円)と低位で、固定資産売却益74.1億円等の非現金益控除、利息及び配当金の受取7.4億円の反映、利息の支払12.1億円、前受金の減少14.1億円が影響した。棚卸資産は仕掛品中心に期中で大きく変動し、プロジェクトの収益化タイミングに依存する構造が現金転換を圧迫している。投資CFは-46.6億円(前年-174.7億円)で、設備投資430.6億円の大型支出があったが、定期預金の純減395.1億円(預入399.0億円、払戻395.1億円)と投資有価証券の売却7.7億円が一部相殺した。フリーCFは220.6億円(営業CF267.2億円+投資CF-46.6億円)で配当支払37.0億円と財務CF-18.9億円を十分に賄い、現金預金は211.7億円増加した。財務CFは-18.9億円で、長期借入金の調達194.7億円を返済145.2億円と短期借入金返済46.8億円が上回り、非支配株主への配当47.3億円の支払も実施した。総じて、利益の現金化は及第点だが、来期は一時益剥落と税負担平準化、運転資本効率の改善が現金転換率向上の鍵となる。
経常的収益は営業利益361.0億円と持分法投資利益42.9億円が中心で、営業外収益77.8億円(売上高比4.2%)は過度な依存ではなく、受取配当金12.5億円と受取利息10.3億円の安定性は市場環境と投資先動向に依存する。一時的項目として特別利益80.9億円(固定資産売却益74.1億円、投資有価証券売却益5.9億円等)が純利益の約32.5%に相当し、来期の剥落により最終利益の正常化が見込まれる。営業CF/純利益比率3.3倍、アクルーアル比率-0.7%と定義上は高品質だが、OCF/EBITDA比率0.59倍とキャッシュコンバージョンは弱く、非現金益控除、税金・利息支出、前受金減少、DSO84日の長期化が影響している。経常利益435.4億円と純利益233.2億円(連結ベース、非支配株主分を含む)の乖離は特別利益の上乗せと法人税等137.5億円の控除によるもので、持続性は限定的である。営業段階での収益性と経常段階での持分法・配当収益は安定しており、一時益を除いた経常的利益の質は高い。
通期業績予想(売上高1,890.0億円、営業利益287.0億円、経常利益334.0億円、親会社株主に帰属する当期純利益126.0億円)に対し、実績は売上高1,853.3億円(達成率98.1%)、営業利益361.0億円(125.8%)、経常利益435.4億円(130.4%)、純利益81.2億円(64.4%、ただし会社計画は非支配株主分を含む前提の可能性あり、親会社帰属分ベースでは185.0%の上振れ)となった。売上高は計画比-36.7億円と微減だが、営業利益は+74.0億円、経常利益は+101.4億円と大幅超過した。特別利益80.9億円の寄与と興行・建築内装の採算改善、持分法投資利益の上振れが主因である。進捗率は営業・経常段階で125〜130%と標準を大きく上回り、保守的な前提を超える収益性改善が実現した。配当予想は年間6円に対し実績36円(うち特別配当24円、期末配当30円中に含む)と大幅上振れし、特別利益の還元姿勢が顕在化した。来期ガイダンスは未開示だが、一時益剥落と映像関連のタイトルサイクル、設備投資の減価償却負担増を織り込んだ保守的な前提が想定される。
年間配当は36円(中間配当6円、期末配当30円、うち特別配当24円)で、配当性向は7.1%(親会社株主帰属純利益81.2億円、総配当金11.6億円ベース)と保守的水準にとどまった。フリーCF220.6億円に対し配当支払37.0億円(非支配株主分47.3億円を含む)でFCFカバレッジは8.3倍と極めて高く、平時配当の持続可能性は極めて高い。自己株式は1,135.8万株(発行済株式数7,384.5万株の15.4%)を保有し、資本政策の柔軟性を確保している。期末配当30円には特別配当24円が含まれ、固定資産売却益等の一時的利益の還元姿勢を示した。来期は一時益剥落に伴い特別配当の再現性は限定的だが、営業CFの安定性と現金預金1,266.1億円の余力を背景に、基礎配当の持続と追加株主還元(自社株買い等)の余地が大きい。配当のみを評価したため、自社株買いは含まない配当性向評価である。
映像関連事業の集中度リスク: 売上構成比68.3%、営業利益構成比90%と主力事業への依存度が高く、ヒットタイトルの有無、配信プラットフォームとの契約条件、劇場興行市況の変動が業績に直結する。前年比-4.2%の減収が示すように、タイトルサイクルの波により収益が大きく変動し、IPライフサイクル管理とパイプライン多様化が持続成長の鍵となる。
運転資本管理と現金転換効率の脆弱性: DSO84日と売掛金回収の長期化、棚卸資産(仕掛品中心)251.2億円の期中増加、前受金の減少14.1億円により、OCF/EBITDA比率0.59倍と現金転換率が低位にとどまる。プロジェクトの収益化タイミングに依存する構造が運転資本を圧迫し、与信管理と収益認識の運用高度化が急務である。
一時的利益への依存と利益質の変動: 特別利益80.9億円(固定資産売却益74.1億円等)が純利益の約32.5%を占め、来期は剥落により最終利益が大幅減少するリスクがある。実効税率26.9%の上振れも加わり、税負担の平準化と経常段階での収益力維持が利益質の安定に不可欠である。
収益性・リターン
| 指標 | 自社 | 中央値 (IQR) | Delta |
|---|---|---|---|
| 営業利益率 | 19.5% | 8.1% (3.6%–16.0%) | +11.4pt |
| 純利益率 | 4.4% | 5.8% (1.2%–11.6%) | -1.5pt |
営業利益率は業種中央値8.1%を+11.4pt上回り、映像権利収入と不動産賃貸の高粗利構造が顕著である。純利益率は中央値5.8%を-1.5pt下回り、非支配株主帰属分140.6億円の控除と法人税等の負担が影響した。
成長性・資本効率
| 指標 | 自社 | 中央値 (IQR) | Delta |
|---|---|---|---|
| 売上高成長率(前年比) | 3.0% | 10.1% (1.7%–20.2%) | -7.1pt |
売上高成長率は業種中央値10.1%を-7.1pt下回り、映像関連の減収が全社成長率を圧迫した。興行・建築内装の急伸があったものの、主力事業の減収により相対的に低成長となった。
※出所: 当社集計
営業利益率19.5%、粗利率43.4%と業種トップクラスの収益性を維持し、通期業績は会社計画を営業利益で25.8%、経常利益で30.4%上回る大幅超過達成となった。興行関連・建築内装・催事関連の急伸により事業ポートフォリオの分散効果が顕在化し、映像関連の減収をカバーする構造が確立されつつある。財務体質は極めて強固で、Debt/EBITDA0.45倍、流動比率325.3%、現金預金1,266.1億円と投資有価証券1,502.2億円の合計が総資産の55.5%を占め、追加投資と株主還元の余力が極めて大きい。
一時的利益(固定資産売却益74.1億円等)が純利益の約32.5%を占め、来期は剥落により最終利益の正常化が見込まれる。OCF/EBITDA比率0.59倍と現金転換率が低位にとどまり、DSO84日の長期化、棚卸資産(仕掛品)の期中増加251.2億円、前受金の減少14.1億円が運転資本を圧迫している。設備投資430.6億円は減価償却の4.77倍と大型投資局面にあり、今後の減価償却負担増と資産回転率改善の進捗が、ROE向上とキャッシュ創出力の鍵となる。
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