- 売上高: 3,731.06億円
- 営業利益: 116.27億円
- 当期純利益: 1.58億円
- 1株当たり当期純利益: 63.16円
| 項目 | 当期 | 前期 | 増減率 |
|---|
| 売上高 | 3,731.06億円 | 3,433.34億円 | +8.7% |
| 売上原価 | 2,551.31億円 | - | - |
| 売上総利益 | 1,179.74億円 | - | - |
| 販管費 | 1,063.46億円 | - | - |
| 営業利益 | 116.27億円 | 108.54億円 | +7.1% |
| 営業外収益 | 38.14億円 | - | - |
| 営業外費用 | 40.60億円 | - | - |
| 持分法投資損益 | 75百万円 | -2百万円 | +3850.0% |
| 経常利益 | 113.81億円 | 104.51億円 | +8.9% |
| 税引前利益 | 70.67億円 | - | - |
| 法人税等 | 12.99億円 | - | - |
| 当期純利益 | 1.58億円 | 54.61億円 | -97.1% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 47.19億円 | 87.17億円 | -45.9% |
| 包括利益 | 46.12億円 | 120.62億円 | -61.8% |
| 減価償却費 | 113.29億円 | - | - |
| 支払利息 | 20.25億円 | - | - |
| 1株当たり当期純利益 | 63.16円 | 116.67円 | -45.9% |
| 潜在株式調整後1株当たり当期純利益 | 62.99円 | 109.79円 | -42.6% |
| 1株当たり配当金 | 20.00円 | 0.00円 | - |
| 年間配当総額 | 14.94億円 | - | - |
| 項目 | 当期末 | 前期末 | 増減 |
|---|
| 流動資産 | 1,803.88億円 | - | - |
| 現金預金 | 1,139.32億円 | - | - |
| 固定資産 | 2,058.93億円 | - | - |
| 有形固定資産 | 1,597.03億円 | - | - |
| 無形資産 | 144.51億円 | - | - |
|
| 項目 | 当期 | 前期 | 増減 |
|---|
| 営業活動によるキャッシュフロー | 212.19億円 | 292.47億円 | -80.28億円 |
| 投資活動によるキャッシュフロー | -110.13億円 | 456.06億円 | -566.19億円 |
| 財務活動によるキャッシュフロー | -364.57億円 | -551.58億円 | +187.01億円 |
| フリーキャッシュフロー | 102.06億円 | - | - |
| 項目 | 値 |
|---|
| 営業利益率 | 3.1% |
| 総資産経常利益率 | 2.9% |
| 配当性向 | 31.7% |
| 純資産配当率(DOE) | 2.8% |
| 1株当たり純資産 | 743.26円 |
| 純利益率 | 1.3% |
| 粗利益率 | 31.6% |
| 流動比率 | 74.4% |
| 当座比率 | 74.4% |
| 負債資本倍率 | 4.75倍 |
| 項目 | 前年同期比 |
|---|
| 売上高前年同期比 | +8.7% |
| 営業利益前年同期比 | +7.1% |
| 経常利益前年同期比 | +8.9% |
| 当期純利益前年同期比 | -97.1% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益前年同期比 | -45.9% |
| 包括利益前年同期比 | -61.8% |
| 項目 | 値 |
|---|
| 発行済株式数(自己株式含む) | 79.86百万株 |
| 自己株式数 | 5.12百万株 |
| 期中平均株式数 | 74.73百万株 |
| 1株当たり純資産 | 899.21円 |
| EBITDA | 229.56億円 |
| 項目 | 金額 |
|---|
| 第2四半期配当 | 0.00円 |
| 期末配当 | 0.00円 |
| セグメント | 売上高 | 営業利益 |
|---|
| Hotel | 5.09億円 | 36.18億円 |
| KyushuSankoGroup | 25百万円 | 8.06億円 |
| Travel | 11.63億円 | 96.36億円 |
| 項目 | 予想値 |
|---|
| 売上高予想 | 4,200.00億円 |
| 営業利益予想 | 140.00億円 |
| 経常利益予想 | 140.00億円 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益予想 | 90.00億円 |
| 1株当たり当期純利益予想 | 120.42円 |
| 1株当たり配当金予想 | 0.00円 |
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エイチ・アイ・エス(HIS、9603)の2025年度Q4(通期)連結決算は、売上高3,731.06億円(前年比+8.7%)、営業利益116.27億円(同+7.1%)と、トップラインの伸長に支えられた増収・営業増益となった。売上総利益は1,179.74億円で粗利益率は31.6%と、旅行取次主体のビジネスモデルとしては良好な水準を維持した。販管費は1,063.46億円で、売上対比の販管費率は28.5%(=1,063.46/3,731.06)と堅調なコストコントロールが示唆され、営業利益率は3.12%へと着地した。営業外収支は、営業外収益38.14億円(受取利息12.20億円、受取配当金5.70億円等)に対し営業外費用40.60億円で、ネットでは▲2.46億円の軽微なマイナスである。経常利益は113.81億円(+8.9%)と営業段階からの伸びを維持した一方、税引前利益は70.67億円、当期純利益は47.19億円(▲45.9%)と大幅減益となり、特別損失など非反復的要因の影響が大きいとみられる(経常→税前の差額43.14億円が発生)。実効税率は18.4%(=12.99/70.67)と低位で、税効果の寄与も確認できる。デュポン分析では、純利益率1.3%、総資産回転率0.966、財務レバレッジ5.75倍によりROEは7.0%と、アセットライトな高回転モデルにレバレッジが乗る形での自資本効率を示した。キャッシュフローは営業CF212.19億円、投資CF▲110.13億円、財務CF▲364.57億円で、フリーCFは102.06億円と黒字を確保し、利益の現金化は良好(営業CF/純利益4.50倍)である。貸借対照表は総資産3,863.30億円、純資産672.05億円、負債3,191.25億円(負債資本倍率4.75倍)と表面上のレバレッジは高いが、現金1,139.32億円に対し有利子負債(短期86.98億円、長期472.35億円)計559.33億円でネットキャッシュ約580億円を確保している。流動比率は74.4%と低いが、業態特性上、前受金等による負の運転資本(運転資本▲621.19億円)が構造的に存在する。EBITDAは229.56億円、EBITDAマージン6.2%、インタレストカバレッジは5.74倍(=営業利益/支払利息)と、金利負担耐性は妥当なレンジにある。EPSは63.16円、期中平均株式数は7,473万株で、純利益47.19億円との整合性は概ねとれている。配当情報はXBRL未記載で配当性向・総額は算出不可だが、DOE報告値0.0%とあり、少なくとも当期は慎重姿勢が示唆される。総じて、旅行需要回復基調のもと、売上・営業利益は堅調、FCFも黒字で財務耐性も改善している一方、純利益段階での特損計上により最終利益が圧迫された点が今期の特徴である。為替や地政学、航空供給制約など外部環境リスクへの感応度は引き続き高く、SG&A効率と粗利の維持、非反復費用の沈静化が次期の焦点となる。データ面では販管費や投資・配当の内訳が未開示項目を含むため、精緻なセグメント/コスト分析には限界がある点に注意が必要である。
ROE分解(デュポン):純利益率1.3% × 総資産回転率0.966 × 財務レバレッジ5.75倍 = ROE 7.0%。営業利益率は3.12%(=116.27/3,731.06)で、昨年比で小幅改善(営業利益+7.1%、売上+8.7%)とみられる。粗利益率31.6%に対し販管費率28.5%で、粗利の約90%が販管費に吸収される構造だが、取次型モデルとしては標準的。EBITDAマージン6.2%と、固定費吸収は進展。営業外はネット▲2.46億円で、支払利息20.25億円の負担が主要因。税前から純利益への落ち込みは実効税率18.4%に加え、特別損失とみられる約43億円のマイナスが大きく、最終利益の質は一時的に毀損。営業レバレッジは売上+8.7%に対し営業利益+7.1%とやや鈍化しており、販促・人件費等の再投入が示唆される。インタレストカバレッジは5.74倍で、金利上昇局面でも耐性は中程度。
売上は+8.7%と回復継続。旅行需要の正常化と価格上昇(運賃・宿泊単価)寄与が想定される。営業利益+7.1%は粗利拡大に対しコスト再投入の影響で若干の伸び鈍化。純利益▲45.9%は特損の影響が支配的で、コア成長の毀損とは言い難い。粗利益率31.6%は対前年で安定~やや改善の可能性が高く、商品ミックス改善が示唆。今後は為替(円安)の長期化が海外旅行の価格感応度を通じて需要に逆風、一方でインバウンド関連や法人出張の回復は下支え。供給側(国際線座席・宿泊)の制約緩和が進むほど販売ボリュームの追い風。見通しは外部環境依存度が高く、単価維持と手数料率の確保、デジタル販売比率上昇による販管費効率化が成長持続のカギ。
流動性:流動比率74.4%、当座比率74.4%、現金比率47.0%(=1,139.32/2,425.07)。業態特性として前受金起因の負の運転資本(▲621.19億円)が構造的に存在。支払能力:有利子負債559.33億円(短期86.98、長期472.35)に対し現金1,139.32億円でネットキャッシュ約580億円(総資産比15.0%、自己資本比86%)と厚い流動性クッション。インタレストカバレッジ5.74倍で金利負担はコントロール下。資本構成:負債資本倍率4.75倍(=3,191.25/672.05)と表面的には高レバレッジだが、前受金性負債の多さによるもので財務リスクはネットベースで緩和。のれん16.55億円、無形144.51億円と無形資産比率は総資産に対し軽量級。
利益の質:営業CF/純利益4.50倍と非常に良好で、収益の現金裏付けは強い。営業CF212.19億円、投資CF▲110.13億円、フリーCF102.06億円で自己資金による成長投資余力を確保。財務CF▲364.57億円は借入返済や負債削減が主因と推察。運転資本は構造的にマイナス(▲621.19億円)で、前受金増加局面ではCFOが押し上げられる一方、需要減速局面では逆回転リスク。減価償却費113.29億円とEBITDA229.56億円の差分は運転資本と実現利益の貢献を示唆。投資CFの内訳(設備投資・金融投資)は未記載のため、維持投資と新規投資の配分は不明。
配当情報はXBRL未記載で年間配当・総額・配当性向は算出不可(報告値DOE0.0%)。当期EPS63.16円に対し、FCF102.06億円があるためキャッシュ面での支払余力はあるが、特損発生および財務CFでの返済優先から、配当政策は保守的である可能性。FCFカバレッジは算出不可だが、仮に配当実施時もネットキャッシュ約580億円がバッファ。今後は安定配当再開/増配の可否よりも、非反復損失の解消とコア利益の積み上げが前提になる。
ビジネスリスク:
- 為替変動(円安)による海外旅行需要の価格感応度上昇
- 国際線供給制約・運賃高止まりによる取扱高の伸び鈍化
- 地政学リスク・感染症再拡大による渡航制限リスク
- 競争激化(オンライン専業・航空会社直販)による手数料率低下
- サプライヤー(航空・ホテル)価格交渉力の強化による粗利率圧迫
- IT/デジタル投資の遅れによる販管費効率化の遅延
財務リスク:
- 前受金依存型の負の運転資本構造に伴う需要反転時のCFO逆回転
- 特別損失等の非反復費用発生による最終利益のボラティリティ
- 金利上昇局面での支払利息増(現状カバレッジ5.74倍)
- 潜在的なリース負債・オフバランス項目の不確実性(未開示項目)
主な懸念事項:
- 経常→税前のギャップ約43億円の内容・再発可能性
- 販管費率の上昇圧力と営業レバレッジ鈍化
- 為替と航空供給に依存した売上見通しの不確実性
重要ポイント:
- 増収・営業増益、FCF黒字でキャッシュ創出力は改善
- ネットキャッシュ約580億円と流動性は厚いが、表面のレバレッジは高い
- 純利益は特損で大幅減、最終利益の回復には一過性要因の剥落が必要
- 営業利益率3.1%、EBITDAマージン6.2%と収益性は回復途上
- デュポンROE7.0%は高回転×レバレッジで説明可能
注視すべき指標:
- 予約高・取扱高の四半期トレンド(前年比・為替中立ベース)
- 粗利益率と手数料率(商品ミックス・仕入条件)
- 販管費率(特に人件費・広告宣伝費)
- 前受金・未収入金の動向と営業CFの逆回転リスク
- 特別損益の発生有無と内容(減損・訴訟・評価損)
- 金利負担(支払利息)とインタレストカバレッジ
- ネットキャッシュ水準と有利子負債の償還スケジュール
セクター内ポジション:
国内旅行代理店大手の中で、アセットライトで高回転のモデルを維持しつつ、ネットキャッシュを備える点は相対的に健全。一方で、外部環境(為替・供給制約)への感応度と最終利益のボラティリティは同業他社同様に高い。
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