- 売上高: 1,991.19億円
- 営業利益: 82.37億円
- 当期純利益: 25.23億円
- 1株当たり当期純利益: 86.02円
| 項目 | 当期 | 前期 | 増減率 |
|---|
| 売上高 | 1,991.19億円 | 1,855.66億円 | +7.3% |
| 売上原価 | 1,441.66億円 | 1,356.68億円 | +6.3% |
| 売上総利益 | 549.53億円 | 498.97億円 | +10.1% |
| 販管費 | 467.15億円 | 430.17億円 | +8.6% |
| 営業利益 | 82.37億円 | 68.80億円 | +19.7% |
| 営業外収益 | 5.82億円 | 7.24億円 | -19.6% |
| 営業外費用 | 10.09億円 | 7.02億円 | +43.7% |
| 持分法投資損益 | -1.04億円 | 1.71億円 | -160.8% |
| 経常利益 | 78.10億円 | 69.03億円 | +13.1% |
| 税引前利益 | 87.84億円 | 56.34億円 | +55.9% |
| 法人税等 | 40.47億円 | 29.28億円 | +38.2% |
| 当期純利益 | 25.23億円 | 19.89億円 | +26.8% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 35.78億円 | 22.60億円 | +58.3% |
| 包括利益 | 33.28億円 | 23.79億円 | +39.9% |
| 減価償却費 | 35.08億円 | 30.73億円 | +14.2% |
| 支払利息 | 5.17億円 | 3.26億円 | +58.6% |
| 1株当たり当期純利益 | 86.02円 | 52.99円 | +62.3% |
| 潜在株式調整後1株当たり当期純利益 | 85.49円 | 52.60円 | +62.5% |
| 1株当たり配当金 | 26.00円 | 12.50円 | +108.0% |
| 年間配当総額 | 10.55億円 | 10.55億円 | +0.0% |
| 項目 | 当期末 | 前期末 | 増減 |
|---|
| 流動資産 | 700.38億円 | 631.12億円 | +69.26億円 |
| 現金預金 | 229.16億円 | 203.85億円 | +25.31億円 |
| 売掛金 | 257.36億円 | 228.89億円 | +28.47億円 |
| 棚卸資産 | 103.55億円 | 92.45億円 | +11.10億円 |
| 固定資産 | 691.55億円 | 676.02億円 | +15.53億円 |
| 項目 | 当期 | 前期 | 増減 |
|---|
| 営業活動によるキャッシュフロー | 78.17億円 | 71.58億円 | +6.59億円 |
| 投資活動によるキャッシュフロー | 3.92億円 | 18.42億円 | -14.50億円 |
| 財務活動によるキャッシュフロー | -56.04億円 | -93.75億円 | +37.71億円 |
| フリーキャッシュフロー | 82.09億円 | - | - |
| 項目 | 値 |
|---|
| 営業利益率 | 4.1% |
| 総資産経常利益率 | 5.8% |
| 配当性向 | 47.2% |
| 純資産配当率(DOE) | 2.1% |
| 1株当たり純資産 | 1,241.65円 |
| 純利益率 | 1.8% |
| 粗利益率 | 27.6% |
| 流動比率 | 173.4% |
| 当座比率 | 147.8% |
| 負債資本倍率 | 1.34倍 |
| 項目 | 前年同期比 |
|---|
| 売上高前年同期比 | +7.3% |
| 営業利益前年同期比 | +19.7% |
| 経常利益前年同期比 | +13.1% |
| 当期純利益前年同期比 | +26.8% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益前年同期比 | +58.3% |
| 包括利益前年同期比 | +39.9% |
| 項目 | 値 |
|---|
| 発行済株式数(自己株式含む) | 44.63百万株 |
| 自己株式数 | 3.22百万株 |
| 期中平均株式数 | 41.60百万株 |
| 1株当たり純資産 | 1,435.94円 |
| EBITDA | 117.45億円 |
| 項目 | 金額 |
|---|
| 第2四半期配当 | 12.50円 |
| 期末配当 | 12.50円 |
| 項目 | 予想値 |
|---|
| 売上高予想 | 2,050.00億円 |
| 営業利益予想 | 85.00億円 |
| 経常利益予想 | 83.00億円 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益予想 | 40.00億円 |
| 1株当たり当期純利益予想 | 96.77円 |
| 1株当たり配当金予想 | 14.50円 |
このデータはXBRLファイルから自動抽出されたものです。正確性については開示資料の原本をご確認ください。
2025年度Q4の学研ホールディングスは、売上・利益ともに増加し、営業段階での改善が明確な堅調決算でした。売上高は1,991.19億円で前年比+7.3%、営業利益は82.37億円で同+19.7%と、トップライン・ボトムライン双方が拡大しました。営業利益率は4.14%(前年約3.71%)へ約43bp改善し、販管費の吸収と粗利確保により営業レバレッジが効いています。経常利益は78.10億円(同+13.1%)と金融費用・持分法の影響を織り込みつつも増益を確保しました。当期純利益は35.78億円で同+58.3%と大幅増益ながら、純利益率は1.80%に留まり、税負担・非支配株主損益の影響が重石です。粗利益は549.53億円、粗利益率は27.6%と堅調で、教育・医療福祉領域のミックス改善がうかがえます。販管費は467.15億円(売上比23.5%)で、売上伸長(+7.3%)に対し販管費の伸びが相対的に抑制され、営業利益率の改善に寄与しました。営業外では受取利息1.24億円、受取配当金2.55億円が寄与する一方、支払利息5.17億円やその他費用計10.09億円が利益を圧迫しました。持分法投資利益は-1.04億円と小幅赤字で、連結純利益への寄与は限定的かつマイナスです。営業キャッシュフローは78.17億円と純利益の2.18倍で、キャッシュ創出力は利益を上回り品質は良好です。投資CFは+3.92億円と資産売却等の流入があり、フリーCFは82.09億円と潤沢でした。財務CFは-56.04億円で、負債削減や株主還元(自己株買い10.06億円)が示唆され、資本効率意識がうかがえます。貸借対照表は総資産1,391.94億円、純資産594.71億円、負債合計797.22億円で、流動比率173.4%、当座比率147.8%と流動性は健全です。のれん96.28億円・無形資産197.38億円と無形比率が高く、将来的な減損リスクのモニタリングが必要です。ROEは6.0%、ROICは7.6%と、資本コスト水準に接近する改善基調ながら、さらなる収益性向上余地があります。なお実効税率46.1%と高位で、税前利益87.84億円に対し税負担40.47億円、さらに非支配株主利益の影響で純利益が圧縮されています。総じて、営業面の改善とキャッシュ創出はポジティブで、税・非支配・無形資産リスクの管理が今後のROE/ROIC押し上げの鍵と評価します。
デュポン分解では、ROE 6.0% = 純利益率1.8% × 総資産回転率1.431 × 財務レバレッジ2.34倍となります。3要素のうち、期中で最も改善寄与が大きいのは(推定)利益率で、営業利益が+19.7%と売上+7.3%を上回り、営業利益率が約43bp拡大した点が主要ドライバーです。利益率改善の背景は、粗利確保(粗利率27.6%)と販管費の相対的抑制(売上比23.5%)による営業レバレッジ効果、および金融環境安定による費用面のコントロールです。一方、純利益段階では実効税率46.1%と非支配株主帰属の影響で改善幅が目減りしています。総資産回転率1.431は、在庫103.55億円・売掛金257.36億円を抱えつつも教育・医療福祉事業の回転が維持されていることを示唆し、前年比でも大きな悪化は見られない水準と評価します。財務レバレッジ2.34倍は保守的レンジで、負債資本倍率1.34倍と併せて過度なレバレッジは確認されません。持分法投資利益は-1.04億円と小幅マイナスで、利益率の押し下げ要因ですが感応度は限定的です。持続性の観点では、販管費コントロールと事業ミックス改善は継続可能性が高い一方、税率と非支配の影響は構造的に残る可能性があります。懸念トレンドとしては、純利益率が1.8%と低く、税・非支配の恒常的な圧縮によりROEの伸長が制限されやすい点を指摘します。営業レバレッジは機能しているものの、追加の原価低減や高付加価値コンテンツへのシフトが次の段階で必要です。なお、報告ベースの営業利益率・ROA等の一部指標はXBRL表記上N/Aがあるため、ここでは提示の実数から算出した指標を重視しています。
売上成長率+7.3%は、コア事業の堅調と価格・ミックス効果の寄与が示唆される水準です。営業利益+19.7%と営業利益率+43bpの改善から、成長と同時に収益性も向上しています。経常利益+13.1%は営業改善に対し金融費用や持分法損益の逆風が一部相殺した形です。純利益+58.3%は前年の低基準と非経常影響の剥落の可能性を含むため、持続性評価では営業利益の増勢を重視します。営業外収益5.82億円のうち受取利息・配当が主で、平常水準とみられます。持分法は-1.04億円で、連結業績のボラティリティ源泉とはなっていません。将来見通しでは、デジタル学習・医療福祉関連の伸長が総資産回転率を維持しつつマージンにプラスに働く一方、少子化や競争激化による価格圧力は成長率を漸減させるリスクです。構造的な税率高止まり・非支配比率の高さは純利益成長のレバーを弱めます。M&A/提携による外延成長は無形資産・のれんの積み上がりを伴うため、ROICハードル(7–8%以上)での取捨選択が鍵です。今期のROIC 7.6%は目標レンジ内で、今後は8%超の持続達成が評価軸になります。
流動比率173.4%、当座比率147.8%と短期流動性は十分です。現金預金229.16億円に対し短期借入金27.50億円で、満期ミスマッチは限定的です。運転資本は296.54億円で、売掛金257.36億円・棚卸103.55億円の管理が資金効率の鍵です。総負債797.22億円、純資産594.71億円で負債資本倍率1.34倍と健全レンジに収まります。有利子負債は短期27.50億円・長期190.50億円(合計約218億円)とみられ、Debt/EBITDA 1.86倍、インタレストカバレッジ15.93倍は保守的です。固定負債393.38億円は長期安定資金で、長期資産(無形・有形)とのマッチングは概ね適正です。オフバランスの大口コミットメントは開示からは把握できず、重要なリース・与信保証の有無は追加確認が必要です。のれん96.28億円・無形資産197.38億円と無形比率が高く、将来的な減損が自己資本に与える影響には留意が必要です。自己株式3,217,142株の保有は資本効率改善余地を示す一方、還元余地にもなります。警戒水準に該当する流動比率<1.0やD/E>2.0の兆候は現時点でありません。
営業CF78.17億円は純利益35.78億円の2.18倍で、利益のキャッシュ化は高品質です。投資CF+3.92億円は資産売却等の流入を示唆し、FCF82.09億円と潤沢です。営業CF/純利益>1.0倍のため、収益認識とキャッシュ創出の乖離は小さいと評価します。運転資本では売掛金・棚卸の規模が大きく期ずれの影響を受けやすいため、回収・在庫回転の継続モニタリングが必要です。インタレストカバレッジ15.93倍から、利払い負担はキャッシュフローで十分賄えています。投資CFが正の期は持続性に乏しい場合があるため、次期以降の通常投資(設備・無形投資)の水準がFCFを一時的に押し下げる可能性には留意が必要です。自社株買い10.06億円を実施しつつ財務CFは-56.04億円と、内部創出CFで還元と負債対応を実施した形です。総じて今期のキャッシュフロー品質は良好ですが、資産売却の一過性要因が来期も続くとは限りません。
配当金総額は未記載ながら、計算上の配当性向は31.2%で健全レンジ(<60%)にあります。FCFカバレッジは7.36倍と高く、今期水準の配当維持余力は十分です。自己株買い10.06億円を同時に実施できており、株主還元のバランスは良好と評価します。今後はROIC>8%の維持と純利益の安定成長が配当原資の持続性に資するため、税率正常化や非支配利益の構造見直しが実効策となります。未記載の年間配当・配当方針の詳細は追加開示待ちですが、キャッシュ創出力とレバレッジ水準からは減配リスクは現時点で高くありません。
ビジネスリスク:
- 国内少子化進行による学習関連需要の構造的縮小
- デジタル学習・競合プラットフォームとの競争激化による価格圧力・顧客獲得コスト上昇
- カリキュラム改訂や制度変更に伴う需要変動リスク(教科書・教材領域)
- 医療福祉関連事業の人件費・採用難による収益圧迫
- 無形資産・のれんの高比率に伴う減損リスク
財務リスク:
- 実効税率の高止まり(46.1%)による純利益率の伸び悩み
- 非支配株主利益の負担増による親会社純利益の希薄化
- 金利上昇局面での利払い増加(支払利息5.17億円)
- 運転資本季節性による営業CFの変動(売掛金・棚卸の規模依存)
主な懸念事項:
- 純利益率1.8%の低水準とROE 6.0%に留まる資本効率
- 投資CFが正の期であることから、資産売却等の一過性要因に依存したFCFの可能性
- 持分法投資利益が-1.04億円と小幅ながらマイナスである点
- 無形資産197.38億円・のれん96.28億円の高水準による将来の減損リスク
重要ポイント:
- 売上+7.3%、営業利益+19.7%、営業利益率+43bpで営業面の改善が鮮明
- 純利益+58.3%ながら純利益率1.8%と低位、税・非支配の影響大
- 営業CF/純利益2.18倍、FCF82.09億円でキャッシュ創出は高品質
- 流動性・レバレッジは保守的(流動比率173%、Debt/EBITDA1.86倍)
- ROIC 7.6%は目標レンジ内、8%超の持続達成が次の評価軸
- 持分法投資利益-1.04億円で外部投資の寄与は限定的
- 無形資産・のれんの高比率に伴う減損リスク管理が重要
注視すべき指標:
- 営業利益率と粗利率の継続的な改善トレンド
- 実効税率の推移と税効果会計の影響
- 非支配株主利益比率の動向(事業ミックスと子会社構造)
- 運転資本回転(日数ベースの売掛・在庫回転)
- ROIC>8%の達成と維持
- デジタル学習領域の成長率・ARPU
- 無形資産・のれんの減損テスト結果
- 持分法投資利益の改善(赤字案件のテコ入れ)
セクター内ポジション:
国内教育・学習サービス/出版セクター内で、成長率とキャッシュ創出は上位、レバレッジは保守的。一方で純利益率とROEは中位、税・非支配の構造的圧縮が課題。外部投資依存度は低く、本業ドリブンの収益体質。
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