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94322026 通期プライムIFRS

NTT(9432) 2026年度通期決算 増収・営業益3%増

2026年度通期の売上高は14兆4,091億円(前年同期比+5.1%)、営業利益は1兆7,062億円(同+3.4%)。以下、セグメント別の増減要因とキャッシュフローを確認します。

NTT株式会社

情報通信・サービスその他/情報・通信業


クイックビュー

指標当期前年同期YoY
売上高¥144091.2億¥137047.3億+5.1%
営業利益¥17062.2億¥16495.7億+3.4%
税引前利益¥15819.2億¥15647.0億+1.1%
純利益¥10826.4億¥10824.4億+0.0%
ROE10.6%9.5%-

Executive Summary

増収増益を維持したが、資産・負債の急拡大と金融費用増加により利益の質に注目すべき年度となった。営業収益は14兆4,091億円(前年比+5.1%)、営業利益は1兆7,062億円(同+3.4%)、税引前利益は1兆5,819億円(同+1.1%)、連結当期利益は1兆826億円(同+0.0%、ほぼ横ばい)となった。親会社株主に帰属する当期利益は1兆370億円で前年比+3.7%増加しており、非支配持分帰属利益の減少(同△36,813百万円)が連結当期利益と親会社帰属利益の伸び率の乖離要因である。増益はグローバル・ソリューション事業の大幅増益が牽引した一方、金融費用の増加や利益率の小幅低下が見られる。

業績変動要因

【売上高】営業収益は14兆4,091億円、前年比+5.1%で全セグメント増収となった。総合ICT事業(構成比42.6%)は+4.0%、グローバル・ソリューション事業(同33.0%)は+7.4%、地域通信事業(同17.7%)は+4.2%、その他事業(同6.6%)は+3.9%増収である。グローバル・ソリューション事業の伸びが全体成長率を上回り、増収の主因となった。

【損益】営業利益は1兆7,062億円、前年比+3.4%増加したが、営業利益率は11.8%で前期の12.0%から低下した。総合ICT事業の営業利益は9,421億円で前年比△7.7%と減益、利益率は15.3%へ低下した一方、グローバル・ソリューション事業は4,882億円、同+50.7%と大幅増益し、全社増益の主因となった。営業外では金融費用が2,401億円と前年比+706億円増加し、営業利益の増加額566億円を上回った。税引前利益の増加は+172億円にとどまり、金融費用増加が実質的な下押し要因である。固定資産売却益741億円、関係会社株式売却益1,336億円は一時的要因として税引前利益を補完しており、翌期比較では除外して評価する必要がある。のれん減損575億円を含む減損損失802億円も計上された。総じて増収増益だが、主力の総合ICT事業の採算低下をグローバル・ソリューション事業の増益が補う構図であり、利益の質は一様ではない。

セグメント別分析

総合ICT事業は売上6兆1,462億円(+4.0%)に対し営業利益9,421億円(△7.7%)、利益率15.3%と全社最高水準ながら悪化傾向にある。グローバル・ソリューション事業は売上4兆7,547億円(+7.4%)、営業利益4,882億円(+50.7%)と大幅増益し、利益率も10.3%へ改善した。地域通信事業は売上2兆5,552億円(+4.2%)、営業利益3,074億円(+4.0%)と安定的な増収増益を維持している。その他(不動産・エネルギー等)事業は売上9,530億円(+3.9%)に対し営業損失16億円(前年+558億円から赤字転落)となり、唯一の減益セグメントである。セグメント資産では総合ICT事業が銀行業関連資産の計上等により前期比2.3倍に急増しており、資産構成の変化が大きい。

主要財務指標

【収益性】ROEは10.4%、営業利益率は11.8%、親会社帰属純利益率は約7.2%であり、いずれも前期(ROE10.0%、営業利益率12.0%、純利益率7.3%)からわずかに低下または横ばいで推移している。【キャッシュ品質】営業CFは親会社帰属利益の約1.43倍であり利益の現金裏付けは良好だが、OCF/EBITDAは0.42倍にとどまり、営業債権の増加(+6,347億円)や銀行業貸出金の増加(+1兆99億円)が営業現金を圧迫している。【投資効率】設備投資は2兆3,260億円で減価償却費1兆7,910億円の1.30倍にあたり、ネットワーク・IT基盤への継続投資を反映している。EPSは12.61円(前年11.96円、+5.4%)、BPSは119.47円(前年123.54円、△3.3%)である。【財務健全性】自己資本比率は20.8%で前期の34.0%から大きく低下し、総資産は16兆6,588億円増加した一方、親会社株主資本は4,940億円減少した。資産・負債の急拡大は銀行業関連資産・預金の連結取込みが主因であり、財務レバレッジの上昇が確認できる。

キャッシュフロー分析

営業CFは1兆4,852億円で前年比△37.2%減少した一方、フリーキャッシュフロー(営業CF+投資CF)は4,618億円である。営業CFの減少は、売上債権の増加6,347億円、棚卸資産の増加1,367億円、銀行業の貸出金増加1兆99億円が資金を吸収したことが主因で、法人税等の支払も4,953億円と前年比増加している。投資CFは△1兆234億円で、設備投資2兆3,260億円が営業CFを上回る一方、子会社の支配獲得による収入1兆4,389億円等の一時的な資金流入が投資CFの赤字幅を縮小させている。財務CFは+4,413億円と前年の△3,430億円から転換し、長期借入債務の増加による収入5兆7,974億円が非支配持分からの子会社持分取得2兆3,957億円や配当支払4,340億円、自社株買い2,049億円を上回った結果である。設備投資控除後の営業現金はマイナスであり、当期の株主還元と投資の一部は資金調達に支えられている点に留意が必要である。

収益の質

当期利益は経常的な事業損益に加え、複数の一時的要因を含んでいる。固定資産売却益741億円、関係会社株式売却益1,336億円は税引前利益を押し上げた非経常項目であり、翌期比較では控除して評価する必要がある。他方、のれん減損575億円を含む減損損失802億円は前年(201億円)から大幅に増加しており、利益の下押し要因として計上されている。営業外では金融費用が前年比+706億円増加し、金融収益+154億円の増加を大きく上回っており、経常的な資金調達コストの上昇が確認できる。包括利益は1兆7,677億円で親会社帰属当期利益1兆370億円を大きく上回り、その差異は確定給付制度の再測定+2,027億円、外貨換算調整額+2,494億円などその他の包括利益の増加による。純利益と包括利益の乖離が前期より拡大しており、為替・金利変動等の非経常的な資本変動が当期の総合的な収益認識に影響している。

業績予想・ガイダンス

FY2027会社予想は営業収益15兆600億円(前年比+4.5%)、営業利益1兆7,100億円(同+0.2%)、EPS12.10円である。当期実績(営業収益+5.1%、営業利益+3.4%、EPS12.61円)と比較すると、来期は増収を継続する一方、営業利益はほぼ横ばいの見通しであり、マージン拡大を前提としない慎重な予想となっている。予想配当は5.40円で、予想EPS12.10円に対する配当性向は約44.6%となり、当期実績の42.0%からやや上昇する計画である。

株主還元

年間配当は1株当たり5.30円(中間2.65円、期末2.65円)で、親会社帰属利益ベースの配当性向は42.0%である。配当支払総額は4,340億円で、フリーキャッシュフロー4,618億円に対するカバー率は約1.06倍とほぼ同水準にとどまる。自社株買いは2,049億円実施しており、配当と自社株買いを合算した総還元性向は約61.6%となる。配当・自社株買いの合計6,388億円はフリーキャッシュフローを上回っており、総還元の持続性については営業CFの回復動向を踏まえたモニタリングが必要である。FY2027の予想配当は5.40円と増配計画であり、連続的な株主還元姿勢が確認できる。

リスク要因

  1. 運転資本・資金効率の悪化: 売上債権は5兆5,512億円で前年比+6,347億円増加し、営業CFは前年比△37.2%減少した。OCF/EBITDAは0.42倍にとどまり、銀行業貸出金増加も営業現金を圧迫しており、キャッシュ転換効率の低下が確認できる。

  2. 財務レバレッジの上昇と金融費用増加: 自己資本比率は20.8%で前期34.0%から大幅低下し、短期借入債務は+1兆5,731億円、長期借入債務は+4兆1,285億円それぞれ増加した。金融費用は前年比+706億円増加し、営業利益の増加額566億円を上回っており、金利感応度の高まりが確認できる。

  3. セグメント間の採算格差: 主力の総合ICT事業は営業利益が前年比△7.7%減少し利益率15.3%へ低下した一方、グローバル・ソリューション事業(利益率10.3%)の大幅増益が全社増益を支えている。総合ICTの採算改善とグローバル・ソリューションの増益持続性が今後の焦点となる。

業種ベンチマーク(参考・当社調べ)

収益性・リターン

指標自社中央値 (IQR)Delta
自己資本利益率10.4%11.1% (4.5%–18.2%)−0.7pt
営業利益率11.8%8.1% (3.7%–16.1%)+3.7pt
純利益率7.5%5.9% (2.2%–11.8%)+1.6pt

営業利益率・純利益率は業種中央値を上回るが、ROEは資産効率の低さを反映しやや下回る水準にある。

成長性・資本効率

指標自社中央値 (IQR)Delta
売上高成長率(前年比)5.1%10.1% (1.8%–20.2%)−5.0pt

売上高成長率は業種中央値を下回り、成熟した通信事業を中心とする事業構成の特性が表れている。

※出所: 当社調べ

決算上の注目ポイント

  1. 主力の総合ICT事業が減益(前年比△7.7%)となる一方、グローバル・ソリューション事業が+50.7%増益と全社増益を牽引しており、事業ポートフォリオの利益構成が大きく変化している点が読み取れる。

  2. 総資産は前期末比+16兆6,588億円増加し、自己資本比率は34.0%から20.8%へ低下した。銀行業関連資産・預金の連結取込みが資産・負債拡大の主因であり、財務構成の変化が財務指標の解釈に影響する。

  3. 営業CFは前年比△37.2%減少し、OCF/EBITDAは0.42倍にとどまる。設備投資2兆3,260億円は営業CFを上回っており、株主還元(配当・自社株買い計6,388億円)はフリーキャッシュフローを上回る水準で実施されている。

理論株価(参考値)

シナリオ理論株価
bear(弱気)122円
base(基準)126円
bull(強気)129円
算出前提
1株純資産(BPS)119円
調整後予想EPS12.7円
株主資本コスト r8.77%(10年国債 2.77% + 株式リスクプレミアム 6.00% + 規模プレミアム 0.00%)
残余利益の持続係数 ω / 明示予測0.62 / 5年
想定配当性向44.6%
予想EPSの信頼度調整×1.047(当社の過去のガイダンス達成率実績に基づく)
implied PBR / PER1.05倍 / 9.9倍

感応度: 株主資本コスト±1%で 122円〜129円、ω±0.1で 126円〜126円。

(算出モデル: 残余利益モデル(Ohlson型・明示5年フェード) / 金利基準月: 2026-07 / 公表データのみからの機械算出値であり、市場株価の予測や特定の投資行動の推奨ではなく、将来の株価を予測・保証するものではありません)


本レポートはXBRL決算短信データをAIが分析して自動生成した決算解析資料です。特定銘柄への投資を推奨するものではありません。業種ベンチマークは公開決算データを基に当社が集計した参考情報です。投資判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談の上、行ってください。