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93482026 第3四半期グロースJGAAP

ispace(9348) 2026年度第3四半期決算 増収38%

2026年度第3四半期の売上高は27.4億円(前年同期比+37.9%)、営業損失は69.5億円。以下、セグメント別の増減要因とキャッシュフローを確認します。

株式会社ispace

情報通信・サービスその他/サービス業


クイックビュー

指標当期前年同期YoY
売上高¥27.4億¥19.9億+37.9%
営業利益−¥69.5億−¥64.3億−8.0%
経常利益−¥62.4億−¥67.8億+8.0%
純利益−¥62.5億−¥73.7億+15.2%
ROE(年換算)−49.4%−140.2%-

Executive Summary

月面開発事業の先行投資局面が継続し、増収ながら営業赤字が拡大した。売上高は27.4億円(前年比+37.9%)で、通期予想34.0億円に対し進捗率80.7%と順調に推移した。一方、営業利益は-69.5億円(前年-64.3億円から5.2億円悪化)となり、売上原価が110.5%増と売上成長を上回ったことで粗利率が前年の+18.5%から-24.3%へ悪化したことが主因である。経常利益は-62.4億円(前年-67.8億円から5.4億円改善)、純利益は-62.5億円(前年-73.7億円から11.2億円改善)となったが、これは為替差益20.9億円による営業外収支の改善によるもので、営業採算自体の構造的な黒字化を意味しない。

業績変動要因

【売上高】売上高は27.4億円と前年比+37.9%増加し、通期予想に対する進捗率は80.7%と標準的な75%を上回る。月面開発事業の単一セグメントであり、セグメント別の増減要因は開示されていない。

【損益】売上原価が34.1億円(前年比+110.5%)と売上増加を大きく上回り、売上総損失6.7億円を計上した(前年は売上総利益3.7億円)。販管費は62.8億円と前年比7.7%減少し費用抑制は進んだが、粗利悪化を吸収しきれず営業損失は69.5億円へ拡大した(前年-64.3億円)。営業外収益では為替差益20.9億円が計上され、経常損失は62.4億円と前年から縮小、純損失も62.5億円へ縮小した。以上より、増収減益(営業ベース)と整理でき、経常・純損益の改善は為替という一時的要因に依存している。

セグメント別分析

当社グループは月面開発事業の単一セグメントであり、セグメント別の業績開示は行われていない。

主要財務指標

【収益性】営業利益率は-253.3%(前年-323.5%から7,020bp改善)だが、粗利率は-24.3%(前年+18.5%から4,280bp悪化)と、原価管理面の課題が残る。純利益率は-227.7%であり、大幅な赤字構造が続く。【キャッシュ品質】包括利益は-85.0億円と純損失-62.5億円を22.5億円下回り、為替換算調整額-22.5億円が資本を圧迫している。【投資効率】ROE(年換算)は-49.4%、総資産回転率は0.072回にとどまり、資産規模に対して売上・利益の創出力は低い水準にある。【財務健全性】自己資本比率は33.1%、現金及び預金は342.7億円で流動比率は約799%と短期流動性は厚いが、長期借入金289.8億円を含む有利子負債が拡大し、D/Eレシオは約2.0倍、支払利息13.3億円を営業利益でカバーできない状況にある。

キャッシュフロー分析

キャッシュ・フロー計算書の直接開示はないが、貸借対照表の変動から資金動向を読み取ると、現金及び預金は342.7億円と前年の131.2億円から211.6億円(+161.3%)増加した。この増加は長期借入金が289.8億円と前年から128.8億円(+80.0%)拡大したことに支えられており、営業損失が継続する中で外部資金調達により手元流動性を厚くした構図が読み取れる。建設仮勘定は49.6億円(+9.5億円)、投資その他の資産は63.3億円(+31.6億円)とそれぞれ増加しており、月面開発関連の投資活動に資金が充当されているとみられる。手元現金は厚いものの、営業損失が継続する状況では、借入依存度と資金使途の推移を継続的に確認する必要がある。

収益の質

当期の経常損失・純損失縮小は、営業損益の改善ではなく、為替差益20.9億円という営業外の一時的な要因に大きく依存している点に注意が必要である。営業外収益合計21.9億円のほぼ全てが為替差益で構成される一方、営業外費用では支払利息13.3億円が計上され、借入拡大に伴う金利負担が増している。特別損益は固定資産除却損0.0億円のみで僅少であり、当期の損益への影響は限定的である。包括利益は-85.0億円と純損失-62.5億円を22.5億円下回っており、為替換算調整額の悪化が純資産にマイナスの影響を与えている。以上を踏まえると、営業利益率の改善(前年比7,020bp)は販管費削減と固定費吸収の進展による部分があるものの、経常・純損益の改善分は為替という変動要因に左右される点で、収益の質としては慎重な評価が必要である。

業績予想・ガイダンス

通期会社予想に対する進捗は、売上高が34.0億円に対し累計27.4億円で進捗率80.7%と、第3四半期時点の標準的な進捗率75%を上回る。一方、営業利益は通期予想-100.0億円に対し累計-69.5億円で進捗率69.5%であり、第4四半期に-30.5億円程度の追加損失が見込まれる計算となる。経常利益は通期予想-72.0億円に対し累計-62.4億円(進捗率86.7%)、純利益は前提となる会社予想(純利益-72.0億円)に対し累計-62.5億円(進捗率86.8%)で、第4四半期の損失を10億円程度に抑える前提となっている。営業損失予想と経常・純損失予想の乖離は、第4四半期の為替損益等の営業外要因が通期達成の鍵となることを示している。配当予想は0円で、無配予想が据え置かれている。

株主還元

第2四半期配当は1株当たり0円であり、無配を継続している。通期配当予想も0円で据え置かれている。当期純損失62.5億円、利益剰余金は231.7億円の欠損となっており、配当原資となる利益の蓄積は形成途上にある。自己株式は僅少で自社株買いの実績はなく、総還元性向を論じる段階にはない。資本配分は当面、月面開発関連の設備投資と運転資金の確保が優先される局面とみられる。

リスク要因

  1. 事業集中リスク: 月面開発事業の単一セグメントであり、案件遅延やミッションの技術的課題が発生した場合、売上計上時期と追加コストの両面で業績に影響し得る。粗利率は前年+18.5%から当期-24.3%へ4,280bp悪化しており、案件採算の不確実性を示している。

  2. 財務レバレッジ・金利負担リスク: 有利子負債は306.7億円(長期借入金289.8億円)に達し、D/Eレシオは約2.0倍、支払利息13.3億円を営業利益で賄えない状態(インタレストカバレッジはマイナス)にある。現金預金342.7億円が緩衝材となっているが、赤字継続時の資金調達条件が財務柔軟性を左右する。

  3. 資産効率・稼働化リスク: 建設仮勘定49.6億円は有形固定資産の85.2%を占め、仕掛品2.65億円は棚卸資産の全額を占める。これら開発中資産の稼働開始時期が遅延した場合、追加投資や評価損のリスクが顕在化する可能性がある。

業種ベンチマーク(参考・当社調べ)

収益性・リターン

指標自社中央値 (IQR)Delta
営業利益率−253.3%8.3% (3.6%–18.6%)−261.6pt
純利益率−227.7%6.1% (2.3%–12.8%)−233.9pt

収益性は業種中央値を大幅に下回り、先行投資段階にある事業特性を反映している。

成長性・資本効率

指標自社中央値 (IQR)Delta
売上高成長率(前年比)37.9%10.4% (-0.9%–19.9%)+27.5pt

売上成長率は業種中央値を上回り、IQR上限をも超える高い伸びを示している。

※出所: 当社調べ

決算上の注目ポイント

  1. 売上高は前年比+37.9%増加し、通期予想に対する進捗率も80.7%と順調に推移している一方、売上原価が+110.5%増と売上増を上回ったため、売上成長が利益改善に転化していない。

  2. 経常・純損失の縮小は為替差益20.9億円によるところが大きく、営業損益ベースでの改善とは切り離して評価する必要がある。営業利益率は前年から7,020bp改善したが、絶対水準は依然として大幅な赤字である。

  3. 現金預金342.7億円・流動比率約799%と短期流動性は厚いが、長期借入金の80.0%増加によりD/Eレシオは約2.0倍、支払利息を営業利益でカバーできない状態にある。建設仮勘定・仕掛品の稼働化進捗が今後の資本効率改善の鍵となる。

理論株価(参考値)

シナリオ理論株価
bear(弱気)6円
base(基準)9円
bull(強気)14円
算出前提
1株純資産(BPS)115円
調整後予想EPS−62.0円
株主資本コスト r10.87%(10年国債 2.87% + 株式リスクプレミアム 6.00% + 規模プレミアム 2.00%)
残余利益の持続係数 ω / 明示予測0.62 / 5年
想定配当性向30.0%
予想EPSの信頼度調整×1.000(同業種のガイダンス達成率実績に基づく)

感応度: 株主資本コスト±1%で 9円〜10円、ω±0.1で 9円〜10円。

注記:

  • 予想ROEが株主資本コストを下回るため、理論値は1株純資産を下回る水準になります。
  • 四半期末時点の純資産を使用しています(通期予想との間に期間のずれがあります)。
  • 純資産に非支配株主持分を含むため、理論値はやや高めに算出される可能性があります。

(算出モデル: 残余利益モデル(Ohlson型・明示5年フェード) / 金利基準月: 2026-08 / 公表データのみからの機械算出値であり、市場株価の予測や特定の投資行動の推奨ではなく、将来の株価を予測・保証するものではありません)


本レポートはXBRL決算短信データをAIが分析して自動生成した決算解析資料です。特定銘柄への投資を推奨するものではありません。業種ベンチマークは公開決算データを基に当社が集計した参考情報です。投資判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談の上、行ってください。