記事一覧に戻る
92022026 第3四半期プライムJGAAP

ANAホールディングス(9202) 2026年度第3四半期決算

2026年度第3四半期の売上高は1兆8,774億円(前年同期比+10.3%)、営業利益は1,807億円(同+5.6%)。以下、セグメント別の増減要因とキャッシュフローを確認します。

運輸・物流/空運業


クイックビュー

指標当期前年同期YoY
売上高¥18773.8億¥17027.8億+10.3%
営業利益¥1807.1億¥1711.6億+5.6%
経常利益¥1826.2億¥1815.9億+0.6%
純利益¥1410.5億¥1347.3億+4.7%
ROE(年換算)13.0%15.8%-

Executive Summary

増収は確保したものの、費用増加により利益率がやや低下し増収増益ながら伸び鈍化を伴う決算となった。売上高は1兆8,773.8億円(前年比+10.3%)、営業利益は1,807.1億円(同+5.6%)、経常利益は1,826.2億円(同+0.6%)、純利益は1,410.5億円となった。増収率10.3%に対して営業利益の伸びは5.6%にとどまり、売上原価の伸びが売上成長を上回ったことで粗利率が低下した。経常利益の伸びが0.6%と小幅にとどまったのは、営業外収支の黒字幅縮小と支払利息の増加が要因である。

業績変動要因

【売上高】売上高は1兆8,773.8億円で前年比+10.3%の増収。セグメント別では主力のAirTransportationが売上1兆7,076.8億円(構成比91.0%)、営業利益1,738.9億円(利益率10.2%)と全体を牽引した。AirlineRelatedは売上2,657.4億円・利益率3.5%、TradeAndRetailは売上1,174.2億円・利益率5.3%、TravelServicesは売上499.6億円・利益率1.3%にとどまり、航空運送事業への収益依存度が高い構造が確認できる。

【損益】営業利益は1,807.1億円(同+5.6%)、経常利益は1,826.2億円(同+0.6%)、純利益は1,410.5億円(親会社株主帰属分1,392.4億円、同+3.9%)。売上原価は同+11.1%と増収率を上回り、粗利率は前年の19.5%から18.9%へ低下した。一方、販管費の伸び+8.3%は売上成長を下回り、間接費管理は維持された。営業外収益249.2億円に対し営業外費用230.1億円が計上され、支払利息180.4億円(同+4.1%)の増加が経常利益の伸び鈍化に寄与した。特別損益は投資有価証券売却益47.3億円等により純額108.7億円のプラスとなり、税引前利益1,934.9億円を押し上げた。総じて増収増益だが、コスト増を背景に増益率は逓減している。

セグメント別分析

AirTransportationが売上構成比91.0%、営業利益構成比の大半を占め、利益率10.2%とセグメント中最高水準にある。AirlineRelated(利益率3.5%)、TradeAndRetail(利益率5.3%)、TravelServices(利益率1.3%)は相対的に収益性が低く、全社利益率9.6%は主力の航空運送事業の収益力に支えられている構図である。

主要財務指標

【収益性】営業利益率9.6%(前年10.1%)、純利益率7.4%(前年7.9%)、粗利率18.9%(前年19.5%)はいずれも小幅に低下し、売上原価上昇の影響が利益率面に表れている。【キャッシュ品質】特別利益119.0億円のうち投資有価証券売却益47.3億円は反復性が限定的であり、営業外収益249.2億円は売上高比1.3%と過大ではない。【投資効率】年換算ROEは13.0%、EPS(基本)296.41円(前年285.16円、+3.9%)、BPS2,669.89円。純資産が前年比+27.2%と大きく拡大したことで財務レバレッジが低下し、ROE押し下げ要因となっている。【財務健全性】自己資本比率37.9%(前年31.2%から改善)、現金及び預金5,415.7億円は短期借入金690.1億円を大きく上回り、短期流動性は良好である。

キャッシュフロー分析

CF計算書の明示データはないが、BS推移から資金動向を読み取ると、現金及び預金は前年比+19.1%の5,415.7億円へ増加し、手元流動性は拡充している。長期借入金は同+9.6%の7,583.5億円へ増加しており、航空機を中心とする有形固定資産(前年比+7.4%)の取得を主に長期資金で賄う構図がうかがえる。流動負債は同-11.8%に減少した一方、流動資産は増加しており、運転資本は改善している。利益剰余金は同+42.3%増加し内部留保を通じた自己資本の積み上がりも進んでおり、投資と財務の両面で資金基盤は強化されている。

収益の質

経常的な収益力は営業利益ベースで前年比+5.6%の伸びを示す一方、経常利益は+0.6%にとどまり、営業外収支の黒字縮小(営業外収益249.2億円に対し営業外費用230.1億円)が影響している。特別損益は投資有価証券売却益47.3億円、負ののれん発生益71.7億円を含む特別利益119.0億円と、減損損失10.3億円の特別損失により純額108.7億円のプラスとなっており、税引前利益1,934.9億円の一部は一時的要因に支えられている。包括利益は1,545.7億円(親会社株主分1,528.5億円)で純利益1,410.5億円を上回り、有価証券評価差額金や繰延ヘッジ損益等のその他包括利益がプラスに寄与している。継続的な収益力を評価する上では、営業利益・経常利益の推移を重視し、特別損益の反復性が低い点に留意する必要がある。

業績予想・ガイダンス

通期会社予想は売上高2兆4,800.0億円(前年比+9.6%)、営業利益2,000.0億円(同+1.7%)、経常利益1,940.0億円(同-3.0%)である。Q3累計時点での進捗率は売上高が75.7%、営業利益が90.4%、経常利益が94.1%と、標準的な進捗率75%を上回る水準にある。特に利益面の進捗が高いのは、Q3累計までの増益効果に加え、会社側が下期の利益成長を保守的に見込んでいることを示唆する。第4四半期にコスト増が顕在化した場合の計画達成度が今後の焦点となる。

株主還元

通期予想の年間配当金は1株当たり60円で、前年実績の60円から据え置きの計画である。通期予想純利益(親会社株主帰属)1,450.0億円を基にした予想配当性向は約19.9%となり、利益水準に対して配当負担は相対的に軽い。自社株買いに関するデータは示されておらず、本レポートでは配当性向のみを評価対象とする。

リスク要因

  1. 収益性低下リスク: 粗利率は前年19.5%から18.9%へ低下し、売上原価の伸び+11.1%が売上成長率+10.3%を上回っている。燃料費・整備費等の運航コスト上昇を運賃に十分転嫁できていない可能性がある。

  2. 金利上昇リスク: 支払利息は180.4億円(前年比+4.1%)に増加し、長期借入金7,583.5億円を中心とする有利子負債構成のもと、金利上昇局面では経常利益への圧迫要因となり得る。

  3. 利益の質に関するリスク: 税引前利益には投資有価証券売却益47.3億円等を含む特別損益純額108.7億円が寄与しており、一時的要因を除いた経常的収益力の伸び(経常利益+0.6%)は営業利益の伸び(+5.6%)を下回っている。

業種ベンチマーク(参考・当社調べ)

業種ベンチマーク(transport)

収益性・リターン

指標自社中央値 (IQR)Delta
営業利益率9.6%6.9% (4.4%–9.1%)+2.7pt
純利益率7.5%11.6% (2.9%–22.2%)−4.1pt

営業利益率は業種中央値を上回るが、純利益率は業種中央値を下回っており、営業外・税負担面で業種内の他社に劣後する可能性がある。

成長性・資本効率

指標自社中央値 (IQR)Delta
売上高成長率(前年比)10.3%9.2% (5.5%–10.3%)+1.1pt

売上高成長率は業種中央値をわずかに上回り、業種内でも高い成長水準に位置する。

※出所: 当社調べ

決算上の注目ポイント

  1. 売上高は前年比+10.3%の増収を確保したが、粗利率は18.9%へ低下し、コスト吸収力が課題として浮上している。運賃改定や運航効率化による利益率回復が今後の焦点である。

  2. 通期会社計画に対する進捗率は営業利益90.4%、経常利益94.1%と高水準にあり、Q3累計時点では計画超過ペースにある。第4四半期のコスト動向が通期着地を左右する。

  3. 純資産は前年比+27.2%増加し自己資本比率は37.9%へ改善した。財務レバレッジの低下はROEの押し下げ要因となる一方、財務基盤の強化という側面も持つ。

理論株価(参考値)

シナリオ理論株価
bear(弱気)2,888円
base(基準)2,984円
bull(強気)3,007円
算出前提
1株純資産(BPS)2,670円
調整後予想EPS337.7円
株主資本コスト r8.77%(10年国債 2.77% + 株式リスクプレミアム 6.00% + 規模プレミアム 0.00%)
残余利益の持続係数 ω / 明示予測0.62 / 5年
想定配当性向19.6%
予想EPSの信頼度調整×1.100(通期予想に対する進捗の先行に基づく)
implied PBR / PER1.12倍 / 8.8倍

感応度: 株主資本コスト±1%で 2,898円〜3,074円、ω±0.1で 2,976円〜2,996円。

注記:

  • 通期予想に対する純利益の進捗(96%)が標準(75%)を上回るため、予想EPSを上限+10%の範囲で上方調整しています(進捗が先行する企業は予想を上回る傾向があるため。季節性の強い事業では調整が過大になる場合があります)。
  • 四半期末時点の純資産を使用しています(通期予想との間に期間のずれがあります)。

(算出モデル: 残余利益モデル(Ohlson型・明示5年フェード) / 金利基準月: 2026-07 / 公表データのみからの機械算出値であり、市場株価の予測や特定の投資行動の推奨ではなく、将来の株価を予測・保証するものではありません)


本レポートはXBRL決算短信データをAIが分析して自動生成した決算解析資料です。特定銘柄への投資を推奨するものではありません。業種ベンチマークは公開決算データを基に当社が集計した参考情報です。投資判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談の上、行ってください。