- 売上高: 11,821.01億円
- 営業利益: 680.46億円
- 当期純利益: 1,055.37億円
- 1株当たり当期純利益: 239.34円
| 項目 | 当期 | 前期 | 増減率 |
|---|
| 売上高 | 11,821.01億円 | 13,168.16億円 | -10.2% |
| 売上原価 | 9,756.17億円 | 10,746.40億円 | -9.2% |
| 売上総利益 | 2,064.84億円 | 2,421.76億円 | -14.7% |
| 販管費 | 1,384.38億円 | 1,265.47億円 | +9.4% |
| 営業利益 | 680.46億円 | 1,156.28億円 | -41.2% |
| 営業外収益 | 751.98億円 | 1,998.01億円 | -62.4% |
| 営業外費用 | 164.11億円 | 261.89億円 | -37.3% |
| 経常利益 | 1,268.33億円 | 2,892.39億円 | -56.1% |
| 税引前利益 | 1,288.95億円 | 2,991.98億円 | -56.9% |
| 法人税等 | 233.58億円 | 309.17億円 | -24.4% |
| 当期純利益 | 1,055.37億円 | 2,682.81億円 | -60.7% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 1,022.52億円 | 2,658.92億円 | -61.5% |
| 包括利益 | 724.55億円 | 2,193.26億円 | -67.0% |
| 減価償却費 | 760.48億円 | 755.36億円 | +0.7% |
| 支払利息 | 94.98億円 | 118.99億円 | -20.2% |
| 1株当たり当期純利益 | 239.34円 | 585.60円 | -59.1% |
| 1株当たり配当金 | 130.00円 | 130.00円 | +0.0% |
| 項目 | 当期末 | 前期末 | 増減 |
|---|
| 流動資産 | 8,172.70億円 | 6,963.34億円 | +1,209.36億円 |
| 現金預金 | 2,835.02億円 | 1,560.12億円 | +1,274.90億円 |
| 棚卸資産 | 560.02億円 | 646.41億円 | -86.39億円 |
| 固定資産 | 35,628.66億円 | 36,236.40億円 | -607.74億円 |
| 有形固定資産 | 12,946.51億円 | 12,953.56億円 | -7.05億円 |
| 項目 | 当期 | 前期 | 増減 |
|---|
| 営業活動によるキャッシュフロー | 2,922.42億円 | 2,307.95億円 | +614.47億円 |
| 財務活動によるキャッシュフロー | -848.16億円 | -2,563.31億円 | +1,715.15億円 |
| 項目 | 値 |
|---|
| 純利益率 | 8.7% |
| 粗利益率 | 17.5% |
| 流動比率 | 150.8% |
| 当座比率 | 140.5% |
| 負債資本倍率 | 0.51倍 |
| インタレストカバレッジ | 7.16倍 |
| EBITDAマージン | 12.2% |
| 実効税率 | 18.1% |
| 項目 | 前年同期比 |
|---|
| 売上高前年同期比 | -10.2% |
| 営業利益前年同期比 | -41.2% |
| 経常利益前年同期比 | -56.1% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益前年同期比 | -61.5% |
| 包括利益前年同期比 | -67.0% |
| 項目 | 値 |
|---|
| 発行済株式数(自己株式含む) | 434.10百万株 |
| 自己株式数 | 13.47百万株 |
| 期中平均株式数 | 427.23百万株 |
| 1株当たり純資産 | 6,878.25円 |
| EBITDA | 1,440.94億円 |
| 項目 | 金額 |
|---|
| 第2四半期配当 | 130.00円 |
| 期末配当 | 195.00円 |
| セグメント | 売上高 |
|---|
| AirCargoTransportation | 14.85億円 |
| Automotive | 3.26億円 |
| DryBulk | 39.84億円 |
| Energy | 2.21億円 |
| LinerTrade | 29.65億円 |
| Logistics | 15.74億円 |
| 項目 | 予想値 |
|---|
| 売上高予想 | 23,500.00億円 |
| 営業利益予想 | 1,200.00億円 |
| 経常利益予想 | 1,900.00億円 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益予想 | 2,100.00億円 |
| 1株当たり当期純利益予想 | 495.07円 |
| 1株当たり配当金予想 | 110.00円 |
このデータはXBRLファイルから自動抽出されたものです。正確性については開示資料の原本をご確認ください。
2026年度Q2の日本郵船は減収減益で、営業段階・経常段階・最終利益のいずれも前年から大きく縮小した一方、営業キャッシュフローは純利益を大幅に上回りキャッシュ面の耐性を示した四半期となった。売上高は11,821.01億円で前年同期比-10.2%、営業利益は680.46億円で-41.2%、経常利益は1,268.33億円で-56.1%、当期純利益は1,022.52億円で-61.5%と大幅減益となった。営業利益率は約5.8%(=680.46/11,821.01)で、前年推計約8.8%から約300bp悪化した。経常利益率は約10.7%(=1,268.33/11,821.01)で、前年推計約22.0%から約1,130bp縮小した。純利益率は8.7%で、非オペ比率の高まり(営業外収入比率73.5%)が利益構造に与える影響が拡大している。粗利は2,064.84億円、粗利率は17.5%と販管費率11.7%(=1,384.38/11,821.01)を賄う構図だが、粗利から販管費を差し引いた営業利益の減少が顕著で、営業レバレッジは逆風となった。営業外収益は751.98億円(受取配当金67.68億円、受取利息32.87億円を含む)と大きく、営業外費用164.11億円との差し引きで約588億円の寄与があり、経常段階を下支えした。EPSは239.34円、ROEは3.5%と低位で資本効率は鈍化、ROICも1.7%と目標レンジ(7–8%)を大きく下回る。営業CFは2,922.42億円で純利益の2.86倍と高く、利益のキャッシュ化は良好だが、FCF・投資CFが未開示のため投資負担や維持更新CAPEXの全体像は読み切れない。財務CFは-848.16億円で、自社株買い-667.30億円を実行しつつ、バランスシートに十分な余力(流動比率150.8%、当座比率140.5%、負債資本倍率0.51倍)を維持している。インタレスト・カバレッジは7.16倍と安全圏。総資産4.38兆円に対し投資有価証券1.86兆円、のれん・無形計約0.21兆円を保有しており、投資ポートフォリオの評価変動が純資産・包括利益に与える影響は無視できない。営業外依存の高まりとROIC低下は構造課題であり、海運市況や為替に対する感応度の高い利益構造が示唆される。短期的には市況と持分・投資リターンの揺らぎがEPSとROEの変動要因となりやすく、中期的には資本効率改善(不採算資産の圧縮、選択的投資、配当と自己株買いの最適化)が焦点。営業CFが強い現状はディフェンシブだが、配当性向(計算値)138%は持続性に懸念が残るため、今後の配当方針とCAPEX計画の整合性が重要となる。総じて、利益水準の落ち込みに対しキャッシュ創出力とバランスシートの健全性が下支えするが、ROICとコア収益力の復元が次の評価軸となる。
ROEは3.5%で、純利益率8.7%×総資産回転率0.270×財務レバレッジ1.51倍の積に整合する。三要素のうち、今期は純利益率の低下が最も大きく、売上減少(-10.2%)に対して営業利益が-41.2%、経常利益が-56.1%、純利益が-61.5%と減益幅が拡大したことが主要因である。推計ベースで営業利益率は約8.8%→約5.8%(-300bp)に低下し、粗利率17.5%に対して販管費率11.7%が高止まりする中で営業レバレッジが逆回転した。加えて、営業外収益の寄与(受取配当・受取利息を含む)が経常段階を押し上げた一方、これはコア事業の収益性改善とは異質で、持続性は市況や金融環境に依存する。総資産回転率0.270は大型資産(船隊・投資有価証券等)を抱えるビジネスモデル特性から構造的に低位で、短期改善余地は限定的。財務レバレッジ1.51倍は保守的で、ROEテコは小さい。販管費の伸びは売上の減少に対して相対的に粘着的で、コスト吸収力の低下が営業利益率を圧迫している。以上より、ROE低下は主に利益率低下(営業段階の悪化と非オペ依存)に起因し、持続性は海運市況と投資評価環境次第で不確実性が高い。
売上は-10.2%減で、市況(運賃・荷動き)とミックスの悪化が示唆される。営業利益は-41.2%と大幅減、粗利率17.5%に対し販管費率11.7%が硬直的で、実効的な営業レバレッジはマイナス。経常利益は-56.1%で非オペ比率の上昇が見られるが、本源的な稼ぐ力は弱含み。EPSは239.34円、自己株買い-667.30億円が期中平均株式数の圧縮を通じて下支えした可能性はあるが、利益減の影響が勝る。足元の実効税率は18.1%と低位で純利益への寄与はあるが、構造的改善要因ではない。今後の成長はコンテナ・ドライバルク・自動車船・エネルギー輸送(LNG等)の市況、為替(USD/JPY)、燃料油価、港湾・物流のボトルネックに左右される。非連続的な成長は大型投資・持分法投資の成果に依存しやすいが、持分法利益の内訳が未記載で可視性は限定的。中期的には資産回転の改善(低収益資産の圧縮、老朽船の入替による効率化)とコスト弾力性の向上が利益回復の鍵。
流動比率150.8%、当座比率140.5%と短期流動性は健全。運転資本は2,753.77億円のプラスで、短期借入金482.00億円に対し現金預金2,835.02億円が大きく上回る。負債資本倍率0.51倍、長期借入金5,519.75億円とレバレッジは抑制的で、インタレスト・カバレッジ7.16倍と利払い余力も十分。総資産4.38兆円に対し純資産2.89兆円で自己資本比率は約66%と強固。満期ミスマッチについては、流動負債5,418.93億円に対し流動資産8,172.70億円が上回り、短期の資金繰りは安定。オフバランス項目として、海運業特有の長期チャーター契約や保証・コミットメントの存在が想定されるが、当期XBRLでは詳細未記載。
営業CFは2,922.42億円で純利益1,022.52億円の2.86倍と高品質。減価償却費760.48億円を背景にキャッシュ創出力は堅調で、会計利益との乖離はむしろキャッシュ面での上振れ。投資CF・設備投資額が未記載のためFCFは算出不可だが、船隊投資・ドック・環境対応(代替燃料船等)の資本需要を鑑みれば、中期的なCAPEXは大きい公算。財務CF-848.16億円のうち自己株買い-667.30億円を実行しており、営業CFで十分賄える規模。運転資本の操作については、BSの明細(売掛金・買掛金)が未記載で評価困難だが、営業CFの強さから積極的な水準調整が主因とは考えにくい。
配当は未記載だが、配当性向(計算値)138.0%は当期利益水準に対して高すぎ、単年度の持続性に懸念がある。FCFカバレッジは算出不可のため、営業CFからCAPEX・配当・自己株買いを総合判断できないが、営業CFの規模から短期的な株主還元はキャッシュで耐えうる。一方でROIC1.7%と収益性が低下している局面での高配当方針は、投資余力や将来の再投資回収とのトレードオフを生む可能性。今後は市況回復とコア利益の再拡大、CAPEXの平準化を前提に、配当性向の正常化(<60%目安)と自社株買いの機動的運用が望ましい。
ビジネスリスク:
- 海運市況(コンテナ運賃、ドライバルク、自動車船、エネルギー輸送)の悪化による収益ボラティリティ
- 燃料油価格上昇およびスクラバー・代替燃料対応のコスト上振れ
- 為替(USD/JPY)変動による売上・費用・評価差額への影響
- サプライチェーン混乱や港湾混雑による運航効率低下
- 環境規制強化(EEXI/CII等)に伴う追加投資・運航制約
財務リスク:
- ROIC1.7%と低水準が続く場合の資本効率悪化
- 投資有価証券1.86兆円の評価変動が包括利益・自己資本に与える影響
- 配当性向138%と株主還元の持続性に関するキャッシュアウト増加リスク
- 金利上昇局面での調達コスト増加(長短借入合計約6,002億円)
主な懸念事項:
- 営業外収入比率の上昇により、コア事業の収益性が希薄化している点
- 営業利益率の約300bp悪化と販管費の粘着性による営業レバレッジの逆回転
- 持分法投資利益の内訳未記載により、収益源泉の可視性が不足
- 投資CF・CAPEX未記載でFCF持続性の評価が不十分
重要ポイント:
- 減収・大幅減益でROE3.5%、ROIC1.7%と資本効率が低下
- 営業外収益(配当・利息等)が経常段階を下支えし、利益構造の外部要因依存が高まる
- 営業CFは純利益の2.86倍と強く、短期の株主還元はキャッシュで吸収可能
- 流動性・レバレッジは健全で財務耐性は高いが、成長投資と高還元の両立は難易度が上昇
- 配当性向138%は高く、利益回復または方針見直しが必要
注視すべき指標:
- コンテナ・バルク・自動車船の運賃指数(SCFI、BDI等)と稼働率
- 為替(USD/JPY)と燃料価格(VLSFO)
- 持分法投資利益の金額・資源/非資源別内訳
- CAPEX・投資CF・発注船の進捗(代替燃料船比率)
- 営業外収入比率とコア営業利益率の改善度
- ROIC・ROEのトレンドと資産回転率の改善
セクター内ポジション:
同業国内大手の中でもバランスシートは強固だが、今期は収益面でのコア劣化と非オペ依存が目立つ。市況回復局面では感応度が高い一方、資本効率面での遅れを取り戻すためのポートフォリオ最適化とコスト弾力性の改善が相対評価の鍵となる。
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