クイックビュー
| 指標 | 当期 | 前年同期 | YoY |
|---|---|---|---|
| 売上高 | ¥961.3億 | ¥890.9億 | +7.9% |
| 営業利益 | ¥69.2億 | ¥74.7億 | −7.3% |
| 経常利益 | ¥70.2億 | ¥77.7億 | −9.6% |
| 純利益 | ¥44.3億 | ¥65.0億 | −36.0% |
| ROE | 6.4% | 10.3% | - |
Executive Summary
2026年3月期第3四半期決算は、売上高961.3億円(前年同期比+70.4億円 +7.9%)、営業利益69.2億円(同-5.5億円 -7.3%)、経常利益70.2億円(同-7.5億円 -9.6%)、親会社株主帰属四半期純利益44.3億円(同-20.7億円 -31.8%)となった。自動車販売事業が54億円増収と増収を牽引した一方、旅客自動車事業での設備投資拡大に伴う減価償却費増加(+6.6億円)および従業員待遇改善による人件費増加が営業利益を圧迫し、増収減益の構造となった。純利益の大幅減は前期の繰延税金資産再計上(一時的利益)の反動が主因で、特別損失8.1億円(固定資産除却損4.8億円等)も影響した。
業績変動要因
【売上高】自動車販売事業が331.8億円(+19.7%)と大幅増収を牽引し、商用車販売台数増(トラック+286台、バス+28台)および輸入車販売拡大、車両整備収入増が寄与した。旅客自動車事業は441.9億円(+0.6%)と微増で、乗合バス輸送人員は1.57億人(+0.7%)と堅調推移も定期外旅客は-3.7%と減少傾向にある。不動産事業は50.4億円(+6.8%)で戸建分譲販売戸数増が増収要因だが、一部テナント解約により賃貸事業は減収となった。その他の事業は221.3億円(-3.7%)で、前期のバス運賃箱販売の反動減が影響した。
【損益】営業利益率は7.2%で前年同期から1.2pt低下した。主因は旅客自動車事業での減価償却費増加(+6.6億円、設備投資拡大に伴う前年比+16.4%)と人件費増加(従業員待遇改善)であり、同事業の営業利益は26.3億円(-30.1%)と大幅減益となった。粗利率は18.3%と低めに推移し、売上原価率の高さが収益性を圧迫している。経常利益は営業外収益として受取配当金6.0億円等が寄与するも、支払利息が5.2億円(前年2.9億円から+78.6%)と増加し、経常段階でも減益となった。
【一時的要因】特別損失8.1億円(固定資産除却損4.8億円、解体費用等)が税引前利益を圧迫した。税負担も前期繰延税金資産再計上の反動により実効税率が上昇し(税負担係数0.59)、純利益段階での減益幅が拡大した。包括利益は74.0億円と増加しており、その他包括利益(有価証券評価差額金等)が改善している。
結論: 増収減益。自動車販売事業の大幅増収が全体売上を牽引したが、主力の旅客自動車事業における投資拡大に伴うコスト増および前期一時的税効果の反動により、営業利益・純利益ともに減益となった。
セグメント別分析
主力事業は旅客自動車事業で、売上高441.9億円(全体構成比45.9%)、営業利益26.3億円(同38.1%)を占める。同事業は売上高微増(+0.6%)も、減価償却費増加と人件費増により営業利益は-30.1%と大幅減益となり、全社減益の主要因となった。営業利益率は6.0%(前年8.8%から2.8pt悪化)と収益性が低下している。
自動車販売事業は売上高331.8億円(構成比34.5%)、営業利益13.9億円(同20.1%)で、増収増益を達成し全社業績を下支えした。営業利益率は4.2%(前年4.0%から0.2pt改善)と効率性が向上している。
不動産事業は売上高50.4億円(構成比5.2%)、営業利益18.9億円(同27.3%)で高収益セグメントである。営業利益率は37.4%(前年37.3%とほぼ横ばい)と高水準を維持しているが、増収幅に対し増益幅が限定的(+0.8%)だった点は賃貸事業の減収減益影響が背景にある。
その他の事業は売上高221.3億円(構成比23.0%)、営業利益12.3億円(同17.7%)で、減収も増益(+29.7%)となった。営業利益率は5.5%(前年4.2%から1.3pt改善)と、商用車架装事業の受注増および飲食事業の新規出店効果が寄与した。
セグメント間の利益率差異は大きく、不動産事業37.4%に対し自動車販売事業4.2%と約9倍の開きがあり、主力の旅客自動車事業6.0%は設備投資局面で利益率が圧迫されている状況である。
主要財務指標
収益性: ROE 5.6%(前年6.3%から0.7pt低下)、営業利益率7.2%(前年8.4%から1.2pt低下)、純利益率4.1%(前年6.1%から2.0pt低下)。デュポン分解では純利益率低下が最大要因で、税負担増と特別損失が純利益率を圧迫している。ROIC 4.2%と資本効率は低水準で、有形固定資産比率66.7%と資産集約型事業構造を反映している。
キャッシュ品質: 営業CF/純利益、FCFのデータは開示されていないため本項目からは省略する。支払利息5.2億円に対する営業利益からのインタレストカバレッジは13.4倍と表面的には余裕があるが、短期借入依存度の高さから流動性管理は重要課題である。
投資効率: 減価償却費は47.1億円で前年40.5億円から+16.4%増加しており、設備投資拡大局面にある。EBITDA(営業利益+減価償却費)は116.3億円(前年115.2億円から微増)で、投資に対する収益回収は緩やかなペースとなっている。在庫回転日数は72日で、在庫滞留の兆候が見られる。
財務健全性: 自己資本比率39.2%(前年38.3%から0.9pt改善)、流動比率64.1%(前年68.5%から低下)、当座比率34.9%(前年43.8%から低下)。流動性指標の低下が顕著で、短期支払能力に注意が必要。現金預金37.0億円に対し短期借入金219.6億円と現金/短期負債比率は0.17倍と低水準である。有利子負債442.9億円、負債資本倍率1.55倍で、短期負債比率49.6%と短期資金依存度が高い。
キャッシュフロー分析
営業CF、投資CF、財務CFの詳細開示がないため直接的な評価は限定的となる。支払利息の増加(前年2.9億円→当期5.2億円、+78.6%)は短期借入および長期借入の増加を反映しており、設備投資資金調達に伴う利払い負担が上昇している。長期借入金は223.3億円(前年173.7億円から+49.7億円、+28.6%)と大幅増加しており、設備投資向け資金調達が実施されたことが窺える。現金預金残高は37.0億円と短期借入金219.6億円に対するカバレッジは限定的で、運転資本は-190.4億円と負の状態にある。在庫回転日数72日と棚卸資産比率8.7%から、在庫効率改善の余地がある。特別損失(固定資産除却損等8.1億円)は一時的なキャッシュアウト要因となる可能性があり、資金繰り管理が重要となる。
現金創出評価: 流動性の低さと短期借入依存度の高さから、要モニタリング。設備投資拡大局面でのキャッシュフロー余力確保が課題である。
収益の質
経常利益 vs 純利益: 経常利益70.2億円に対し税引前利益66.1億円で、特別損失8.1億円(固定資産除却損4.8億円等)が差異の主因である。一時的要因として認識され、経常段階での収益力が本業の実力を示している。純利益44.3億円は前期の繰延税金資産再計上の反動により税負担が増加(税負担係数0.59、実効税率33.0%)しており、税負担の正常化により減益幅が拡大した。
営業外収益: 受取配当金6.0億円等で計6.8億円(売上高比0.7%)と限定的であり、営業外収益依存度は低い。支払利息5.2億円を差し引いた純額でも営業外収支はプラスを維持している。
アクルーアル: 営業CFのデータがないため直接評価は不可だが、包括利益74.0億円と純利益44.3億円の差異29.7億円はその他包括利益(有価証券評価差額金等)の改善を示しており、含み益の増加が資本の質を高めている。運転資本-190.4億円と短期負債依存が高く、利益の現金化余力は引き続き注視が必要である。
業績予想・ガイダンス
通期予想に対する進捗率: 売上高76.9%(1,249.0億円予想に対し961.3億円実績)、営業利益123.4%(56.1億円予想に対し69.2億円実績)、経常利益128.8%(54.5億円予想に対し70.2億円実績)、純利益154.9%(28.6億円予想に対し44.3億円実績)。
営業利益以下の進捗率が通期予想を既に上回っているが、これは前期繰延税金資産再計上の反動および特別損失計上の影響を会社予想が織り込んでいるためである。2025年10月時点の予想から修正はなく、第4四半期は前期一時的要因の反動により減益見通しとなっている。売上高進捗率76.9%は標準進捗75%をやや上回り概ね順調だが、営業利益以下の超過進捗は第4四半期での利益調整を示唆しており、通期減益予想(営業利益-24.1%、純利益-43.7%)は据え置かれている。
予想修正なし。経営陣は旅客需要堅調推移を前提とするも、設備投資および待遇改善コスト継続により利益率低下を織り込んでおり、概ね計画通りとの判断である。
株主還元
通期配当予想は年間90円(中間40円、期末50円)で据え置き。第3四半期累計当期純利益44.3億円から算出した簡易年換算純利益ベースでの配当性向は約29.1%となるが、通期予想純利益28.6億円に対する配当性向は約47.4%と上昇する見込み。前期配当実績年間94円から減配予想となっており、配当金総額は約13.9億円(発行済株式数約3,090万株として試算)となる。自社株買いの開示はなく、配当のみの株主還元策である。
通期予想ベースでの配当性向47.4%は一時的な減益局面においてやや高めだが、現預金37.0億円および有利子負債の返済負担を考慮すると、配当維持は営業CF確保が前提となる。短期流動性リスクが高い状況で配当政策の持続性は資金繰り改善次第となる。配当利回りや総還元性向は株価データがないため算出不可。
カタリスト
【短期】2025年4月実施の神奈川中央交通東・西吸収合併および横浜ビルシステムによる東光株式の全株取得(連結子会社化)の統合効果発現。第4四半期における旅客需要動向(定期外旅客の回復有無)および設備投資効果の発現。自動車販売事業における商用車販売台数の継続的拡大可能性。
【長期】旅客自動車事業への積極的設備投資による輸送力強化と収益性回復の実現時期。従業員待遇改善によるドライバー確保と運行安定性向上効果。不動産事業における戸建分譲推進(湘南エリア中心)および賃貸事業の効率化進展。自動車販売事業での整備収入拡大とストック収益基盤の強化。在庫効率改善および運転資本の正常化による財務健全性向上。
業種ベンチマーク(参考・当社調べ)
【業種内ポジション】(参考情報・当社調べ)
陸運業(鉄道・バス等)との比較では、営業利益率7.2%は業種中央値と比較して標準的な水準にある。ROE 5.6%は業種内でやや低めで、資本効率改善の余地が示唆される。自己資本比率39.2%は業種中央値と概ね同水準で、財務健全性は標準的である。流動比率64.1%は業種内でも低めの水準であり、短期流動性管理が課題となる。粗利率18.3%は業種特性(運輸業の原価構造)を反映し中庸な水準だが、設備投資拡大局面での利益率低下が顕著である。
業種: 陸運業(バス事業主体)、比較対象: 過去決算期公開データ、出所: 当社集計による参考情報。
リスク要因
旅客需要変動リスク: 乗合バス輸送人員は+0.7%と微増も定期外旅客は-3.7%と減少傾向にあり、レジャー・観光需要の回復遅れや人口動態変化が収益に影響する。定期外旅客の減少が継続すれば売上高成長率の鈍化要因となる。
短期流動性リスク: 流動比率64.1%、現金/短期負債比率0.17倍と短期支払余力が限定的であり、短期借入金219.6億円のリファイナンス環境に敏感である。金利上昇局面では利払い負担増(前年比+78.6%)が継続し、資金繰り逼迫リスクが高まる。運転資本-190.4億円と負の状態が継続すれば、営業CF確保が困難となる可能性がある。
資本効率リスク: ROIC 4.2%と低く、有形固定資産比率66.7%の資産集約型構造において設備投資の回収が遅延するリスクがある。減価償却費+16.4%増と投資拡大ペースに対し営業利益-7.3%と、投資対効果が短期的にマイナスとなっており、中長期での収益回復が実現しない場合は株主資本コストを下回る状態が継続する。
決算上の注目ポイント
決算上の注目ポイント:
第一に、増収基調の持続性と主力旅客自動車事業の収益性回復シナリオである。売上高+7.9%増は自動車販売事業が牽引したが、旅客自動車事業の売上微増(+0.6%)と営業利益大幅減(-30.1%)の構造が継続すれば、全社利益率の低迷が長期化する。設備投資効果(輸送力強化・サービス品質向上)が顕在化し、定期外旅客の回復および営業利益率改善に転じる時期が重要な判断材料となる。
第二に、短期流動性指標の改善と有利子負債管理の進展である。流動比率64.1%、現金/短期負債0.17倍という低水準は財務リスクを高めており、運転資本の正常化(在庫回転日数72日の改善等)および営業CF創出力の強化が不可欠である。長期借入増加(+28.6%)によるリファイナンスが進んでいるが、支払利息増加(+78.6%)が利益を圧迫しており、借入依存度の抑制と現金創出力強化が持続的成長の前提となる。
第三に、自動車販売事業および不動産事業の収益貢献拡大余地である。自動車販売事業は営業利益+20.8%と好調で、商用車販売台数増および整備収入拡大が寄与している。不動産事業は営業利益率37.4%と高収益で、戸建分譲推進が増収要因となっており、両事業の更なる拡大が全社収益性下支えに重要な役割を果たす。一方、賃貸事業のテナント解約リスクおよび自動車販売の市況変動リスクは注視が必要である。
本レポートはXBRL決算短信データとPDF決算説明資料をAIが統合分析して自動生成した決算解析資料です。特定銘柄への投資を推奨するものではありません。業種ベンチマークは公開決算データを基に当社が集計した参考情報です。投資判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談の上、行ってください。
AI財務分析
総括
2026年度Q3累計は、売上高が前年同期比7.9%増の961.28億円へ拡大した一方、原価上昇により営業利益は同7.3%減の69.22億円となった。売上成長は70.34億円の増収を示すが、売上原価は71.72億円増加し、増収分を上回った。売上総利益は176.39億円と前年同期の178.11億円から1.72億円減少した。粗利益率は前年同期の20.0%から18.3%へ164bp低下しており、利益圧迫の主因である。販管費は3.75億円増加したが、販管費率は11.6%から11.1%へ46bp低下しており、販管費の増加自体は売上成長を下回った。営業利益率は8.4%から7.2%へ118bp縮小した。営業外では受取配当金6.04億円が寄与したものの、支払利息は5.17億円で前年同期の2.90億円から増加した。経常利益は70.22億円で前年同期比9.6%減となった。親会社株主に帰属する当期純利益は38.99億円、同36.0%減であり、純利益率は6.8%から4.1%へ278bp低下した。税引前利益は66.14億円で同11.7%減にとどまる一方、法人税等は21.83億円と前年同期の9.90億円から大きく増加し、純利益の減益幅を拡大させた。特別損益は4.08億円の純損失であり、固定資産除却損4.81億円が中心である。包括利益は73.97億円と前年同期比44.0%増で、その他有価証券評価差額金29.76億円が主な押上げ要因となった。これは期間損益ではなく評価差額の変動を含むため、当期純利益の減少とは区別して評価する必要がある。通期会社予想に対するQ3累計進捗率は売上高77.0%、営業利益123.4%、経常利益128.8%、親会社株主に帰属する当期純利益136.3%である。営業利益以下は標準的なQ3進捗率75%を大きく超えており、会社予想はQ4の営業赤字を織り込む計算となる。収益性改善の持続性、Q4のコスト上昇、ならびに借入金の借換え条件が今後の焦点となる。
収益性分析
年換算ROEは7.5%であり、純利益率4.1%×総資産回転率0.723回×財務レバレッジ2.55倍に分解される。ROEを支える最大の要素は2.55倍の財務レバレッジであり、資産効率と純利益率は相対的に低い。最も大きく悪化した収益ドライバーは粗利益率で、前年同期比164bpの低下が営業利益率118bpの縮小に直結した。一方、販管費率は46bp低下しており、営業レバレッジの悪化は販管費ではなく、主に売上原価の増加によるものである。営業利益率7.2%は一般的な収益性ベンチマークの「良好」水準の下限をやや下回るが、年換算ROE7.5%は8%未満の要注意域に位置する。5因子分解では、税負担係数は0.590、金利負担係数は0.956、EBITマージンは7.2%である。金利負担係数は0.90超であり、営業利益から税引前利益への利息による毀損は現時点では限定的である。ただし、支払利息は前年同期比78.3%増であり、有利子負債の増加と金利上昇が継続すれば金利負担係数の低下要因となる。営業外収益のうち受取配当金は6.04億円で、経常利益の8.6%を占める。営業外収益は売上高の0.8%にとどまり、営業外収益への過度な依存とはいえないが、経常利益の一部は投資収益に支えられている。特別損益の純損失4.08億円は固定資産除却損4.81億円が中心であり、当期純利益の押下げ要因である。収益性の回復には、売上拡大を上回る原価増を抑え、粗利益率を安定化させることが必要である。
成長性評価
売上高は前年同期比7.9%増と堅調であり、通期売上予想の5.7%増を上回るペースで推移している。しかし、売上原価は同10.1%増となり、売上成長率を上回ったため、増収が利益成長に転化していない。営業利益は同7.3%減、経常利益は同9.6%減であり、足元の成長の質は利益率面で弱い。親会社株主に帰属する当期純利益の36.0%減には、税金費用の増加と特別損失の影響が加わっている。通期計画に対してQ3累計の営業利益が既に13.12億円、経常利益が15.72億円、親会社株主に帰属する当期純利益が10.39億円上回っている。計画達成の前提となるQ4の売上高は287.72億円である一方、営業利益は13.12億円の赤字、経常利益は15.72億円の赤字、親会社株主に帰属する当期純利益は10.39億円の赤字となる計算である。したがって、季節性や期末費用の集中を織り込んだ計画でなければ、利益予想の保守性または将来コスト上昇の可能性を注視すべきである。
財務健全性
流動比率は64.1%、当座比率は34.9%であり、流動比率が1.0を下回るため流動性には明確な警戒を要する。運転資本はマイナス190.36億円で、流動負債530.02億円に対して流動資産339.66億円が不足している。現金預金は37.02億円で、短期借入金219.61億円に対する現金/短期負債は0.17倍にとどまり、短期資金の借換えおよび営業キャッシュ創出への依存度が高い。品質アラートのリファイナンスリスクは、短期負債比率49.6%という満期構成に起因する。固定資産が総資産の80.8%を占める資本集約型の資産構成であり、流動性の不足を固定資産の売却で短期的に補うことは容易ではない。負債資本倍率は1.55倍であり、2.0倍超の明示的な高レバレッジ警戒水準には達していない。有利子負債442.93億円に対してDebt/Capital比率は38.9%で、40%未満にとどまる。インタレストカバレッジは13.39倍と5倍を大きく上回り、現時点の利益水準における利払い能力は良好である。長期借入金は前年同期比49.66億円増、28.6%増の223.32億円となった。長期借入金の増加は資金調達余力を補完する一方、将来の支払利息増加と借換え条件への感応度を高める。投資有価証券は44.66億円増、25.0%増の223.30億円であり、総資産の12.6%を占める。その他有価証券評価差額金は88.95億円へ増加しており、純資産の増加には保有有価証券の時価上昇が寄与している。品質アラートの高税負担について、親会社株主帰属利益を用いる税負担係数0.590は非支配株主帰属利益を含む税引前利益との比較で低く表示される。連結ベースの法人税等21.83億円を税引前利益66.14億円で除した実効税率は33.0%であり、40%超の税率ではない。したがって、当期の注目点は法定税率を大きく超える税負担よりも、前年同期の税金費用9.90億円からの増加が純利益を圧迫した点にある。オフバランス債務に関する定量情報は本分析の対象数値には含まれない。
B/S変動のポイント
長期借入金: +49.66億円(+28.6%)- 223.32億円へ増加。長期資金の確保は短期資金需要を補完する一方、支払利息増加と将来の借換え負担を伴う。投資有価証券: +44.66億円(+25.0%)- 223.30億円へ増加し、総資産の12.6%を占める。市場価格変動が純資産と包括利益に及ぼす影響が拡大している。その他有価証券評価差額金: +28.99億円(+48.4%)- 88.95億円へ増加。包括利益の増加に寄与したが、未実現の評価変動であり、当期の営業収益力とは区別して監視すべきである。純資産: +60.95億円(+9.6%)- 694.97億円へ増加。親会社株主に帰属する当期純利益に加え、有価証券評価差額の改善が資本増加を支えた。
キャッシュフロー品質
配当持続性
第2四半期配当は1株当たり45円である。通期会社予想の年間配当90円に対し、中間配当は50%を実施済みである。通期予想EPS233.07円を基準とする予想配当性向は38.6%であり、配当のみの還元としては60%未満の持続可能性ベンチマークの範囲内にある。Q3累計の親会社株主に帰属する当期純利益38.99億円に対する年間配当予定額約11.04億円の比率は28.3%である。配当の持続性は、利益水準に加え、短期負債への依存度が高い資金構成の下での資金繰り管理にも左右される。
リスク評価
ビジネスリスクとして、優先度:高。公共交通・運輸事業では燃料費、人件費、整備費などの原価上昇を運賃へ速やかに転嫁しにくい。売上高が7.9%増加する一方で売上原価が10.1%増加し、粗利益率が164bp低下していることがこのリスクの顕在化を示す。、優先度:高。運転士を含む人材不足、賃金上昇、安全・運行維持に係るコスト増は、地域交通事業に固有の収益圧迫要因である。、優先度:中。旅客需要は地域の人口動態、景気、観光・移動需要に影響を受けるため、需要回復が鈍化する局面では固定的な設備・運行コストが利益を圧迫しうる。、優先度:中。保有する投資有価証券は223.30億円、総資産の12.6%であり、市場価格の変動はその他有価証券評価差額金および純資産に影響する。が挙げられます。
財務リスクとしては、優先度:高。流動比率64.1%、当座比率34.9%、運転資本マイナス190.36億円であり、短期債務の返済・借換えへの依存が大きい。、優先度:高。現金預金37.02億円は短期借入金219.61億円に対して0.17倍であり、品質アラートが示す流動性ストレスは短期資金市場および金融機関の与信環境への感応度を高める。、優先度:中。長期借入金は前年同期比28.6%増、支払利息は78.3%増であり、追加調達または金利上昇が継続すれば利益への負担が増す。、優先度:中。有利子負債442.93億円、Debt/Capital比率38.9%は直ちに過大ではないが、低流動性と組み合わさることで資金調達の柔軟性を制約しうる。が挙げられます。
主な懸念事項としては、粗利益率18.3%は20%未満であるという品質アラートに該当する。前年同期からの164bp低下は、コスト管理と価格転嫁の成否が最優先の確認項目であることを示す。、営業利益率の縮小にもかかわらず、通期営業利益予想に対するQ3累計進捗率は123.4%である。Q4に想定される大幅な期末費用、季節性、または予想の見直し可能性を確認する必要がある。、親会社株主に帰属する当期純利益は36.0%減であり、営業段階の減益以上に税金費用および特別損失の影響を受けている。、受取配当金6.04億円は経常利益の8.6%を占めるため、営業外の投資収益の変動も経常利益の振れ要因となる。が挙げられます。
投資示唆
重要ポイントとして、増収基調は維持されているが、原価上昇が増収を上回り、粗利益率・営業利益率は前年同期から悪化した。、年換算ROE7.5%は、財務レバレッジ2.55倍に支えられており、純利益率と資産効率の改善余地が大きい。、インタレストカバレッジ13.39倍とDebt/Capital比率38.9%は支払能力を支える一方、低い流動比率と現金/短期負債0.17倍は資金繰り上の重要な監視点である。、通期利益予想に対するQ3累計の超過進捗は、Q4の収益変動と会社計画の前提を見極める必要性を高めている。、年間配当予想90円に基づく予想配当性向38.6%は利益面では抑制的な水準である。が挙げられます。
注視すべき指標は、粗利益率および営業利益率、売上原価の前年同期比と売上高成長率の差、短期借入金、現金預金、流動比率、現金/短期負債、支払利息とインタレストカバレッジ、長期借入金の増減および借換え条件、投資有価証券とその他有価証券評価差額金の変動、通期営業利益・経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益予想の修正有無です。
セクター内ポジションについては、収益性は営業利益率7.2%、年換算ROE7.5%で高収益企業の水準には届かず、資本集約的な事業構造の中で原価上昇への耐性が課題である。一方、インタレストカバレッジは強固で、Debt/Capital比率も40%未満に収まる。ただし、流動比率64.1%と現金/短期負債0.17倍は、一般的な流動性ベンチマークを大きく下回る。