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90062026 第3四半期プライムJGAAP

京浜急行電鉄(9006) 2026年度第3四半期決算 増収・営業益1%減

2026年度第3四半期の売上高は2,156億円(前年同期比+2.1%)、営業利益は271.4億円(同-0.8%)。以下、セグメント別の増減要因とキャッシュフローを確認します。

運輸・物流/陸運業


クイックビュー

指標当期前年同期YoY
売上高¥2155.6億¥2111.8億+2.1%
営業利益¥271.4億¥273.6億−0.8%
経常利益¥233.0億¥258.0億−9.7%
純利益¥187.6億¥188.1億−0.3%
ROE5.0%5.0%-

Executive Summary

2026年3月期第3四半期累計決算は、売上高2,155.6億円(前年比+43.8億円 +2.1%)、営業利益271.4億円(同-2.2億円 -0.8%)、経常利益233.0億円(同-25.0億円 -9.7%)、純利益187.6億円(同-0.5億円 -0.3%)となった。売上高は交通事業と流通事業の増収により緩やかな成長を確保したが、営業外費用の増加(支払利息40.1億円含む)により経常利益段階で減益となった。純利益は固定資産売却益56.8億円を含む特別利益68.1億円により前年並みを維持している。

業績変動要因

【売上高】外部顧客への営業収益は2,155.6億円(前年比+2.1%)で増収。交通事業は906.5億円(同+2.6%)で鉄道輸送需要の回復が寄与。流通事業は628.9億円(同+5.0%)で小売需要の増加が貢献。一方、不動産事業は234.3億円(同-14.3%)と大幅減収となり、不動産売却等の一時収益が前年比で減少したことが影響した。レジャー・サービス事業は226.5億円(同+6.5%)で堅調に推移。その他事業は159.4億円(同+11.1%)で増収となった。

【損益】営業利益は271.4億円(前年比-0.8%)とほぼ横ばい。販管費は336.9億円(販管費率15.6%)で前年から増加し、増収効果を相殺した。営業外費用は59.1億円で前年から拡大し、支払利息40.1億円が主因。金融負担の増加により経常利益は233.0億円(同-9.7%)と減益となった。税引前利益は267.1億円で、特別利益68.1億円(固定資産売却益56.8億円含む)の寄与により純利益は187.6億円と前年並みを確保した。一時的要因として固定資産売却益が純利益の約30%を占めており、継続的な収益力は営業段階の利益で評価する必要がある。経常利益と純利益の乖離は+34.1億円で、特別利益の寄与が大きい。結論として増収減益(経常段階)であり、一時収益により純利益を維持する構図となっている。

セグメント別分析

交通事業は売上高906.5億円(構成比42.1%)、営業利益166.7億円で最大の主力事業。営業利益率は18.4%と高水準。不動産事業は売上高234.3億円(同10.9%)、営業利益28.1億円で営業利益率12.0%。前年比で減収減益となり、利益額は前年39.3億円から大幅に減少した。レジャー・サービス事業は売上高226.5億円(同10.5%)、営業利益46.6億円で営業利益率20.6%と最も高い利益率を示す。前年比で増収増益。流通事業は売上高628.9億円(同29.2%)、営業利益18.7億円で営業利益率3.0%と低収益性。その他事業は売上高159.4億円、営業利益12.7億円。セグメント間では利益率に大きな差異があり、交通・レジャーが高収益事業、流通が薄利多売型の事業構造となっている。不動産事業の収益性低下が全体の営業利益を押し下げる要因となった。

主要財務指標

【収益性】ROE 5.0%(前年5.1%からほぼ横ばい)、営業利益率12.6%(前年13.0%から-0.4pt低下)、純利益率8.7%。ROICは2.9%と低位で資本効率に改善余地がある。【キャッシュ品質】現金及び預金889.6億円、短期負債1,978.5億円に対する現金カバレッジは0.45倍で流動性は限定的。現金同等物と短期負債の比率は0.73倍。【投資効率】総資産回転率0.200倍で資本集約型ビジネス構造。建設仮勘定1,581.5億円(総資産比22.8%)と大規模投資フェーズにある。【財務健全性】自己資本比率34.8%(前年35.8%から低下)、流動比率99.9%(前年106.8%から低下)で短期流動性がタイト、負債資本倍率1.88倍、有利子負債3,635.7億円でDebt/Capital比率49.2%と高水準。インタレストカバレッジは6.77倍で金利負担には耐えうる水準だが、支払利息の増加が経常利益を圧迫している。

キャッシュフロー分析

現金預金は前年比+26.0億円増の889.6億円へ積み上がり、営業増益と資産売却が資金積み上げに寄与。運転資本効率では買掛金が前年396.0億円から216.7億円へ-179.4億円減少し、サプライヤーへの支払増加による短期資金流出が発生。売掛金は16.9億円(前年18.6億円)と小幅減少で回収は安定的。棚卸資産は23.5億円(前年24.3億円)とほぼ横ばい。短期負債1,978.5億円に対する現金カバレッジは0.45倍で流動性は限定的だが、自己株式取得が前年17.4億円から115.2億円へ+97.8億円増加しており資本政策による現金流出も確認できる。固定負債5,055.6億円のうち長期借入金2,422.4億円、社債150.0億円と長期資金調達により投資を賄う構造。建設仮勘定1,581.5億円の大規模投資が継続しており、投資回収までの資金需要が続く見通し。

収益の質

経常利益233.0億円に対し営業利益271.4億円で、非営業純減は約38.4億円。内訳は営業外費用59.1億円(支払利息40.1億円が主)から営業外収益20.6億円を差し引いたもの。営業外収益が売上高の1.0%を占め、その構成は受取利息・配当金等の金融収益と推定される。税引前利益267.1億円に対し経常利益233.0億円の差34.1億円が特別損益であり、特別利益68.1億円(固定資産売却益56.8億円含む)から特別損失34.0億円を差し引いたもの。固定資産売却益が税引前利益の21.3%を占め、一時的項目が利益構造の重要部分を占めている。営業CFの開示がないため利益の現金裏付けは確認できないが、現金預金の増加と買掛金の減少パターンから、営業活動による現金創出と支払増加が並行していると推測される。収益の質は一時項目依存度が高く、継続的な収益力は営業利益ベースで評価する必要がある。

業績予想・ガイダンス

通期予想に対する進捗率は、売上高71.9%(2,155.6億円/3,000.0億円)、営業利益87.6%(271.4億円/310.0億円)で、営業利益の進捗率が標準(Q3=75%)を+12.6pt上回り順調に推移。経常利益の進捗率は89.6%(233.0億円/260.0億円)と高進捗であり、通期達成の蓋然性は高い。通期予想の営業利益310.0億円は前年比-13.0%減、経常利益260.0億円は同-25.7%減を織り込んでおり、第4四半期で減益を見込む保守的な計画となっている。通期EPS予想114.92円に対し、第3四半期累計の実績EPS69.23円で進捗率60.2%であり、第4四半期に相当の利益積み上げが必要。建設仮勘定1,581.5億円(総資産比22.8%)と大規模投資が継続中であり、受注残高データは開示されていないが、建設投資の進捗と完成後の収益化タイミングが第4四半期以降の業績に影響する。進捗率が標準を上回る背景は不動産売却益等の一時収益の前倒し計上と推察され、第4四半期の利益は営業段階での積み上げが鍵となる。

株主還元

年間配当予想は23.0円(第2四半期末9.0円、期末予想17.0円)で、前年の年間配当23.0円から据え置き。通期予想純利益310.0億円(EPS 114.92円)に対する配当性向は20.0%で保守的な水準。第3四半期累計の実績純利益187.6億円(EPS 69.23円)に対する配当支払額は年間62.0億円(270.8百万株×23円)となり、配当性向は33.0%程度と試算される。自社株買いは自己株式が前年17.4億円から115.2億円へ+97.8億円増加しており、第3四半期までに相当規模の自社株取得が実施されたことが確認できる。配当+自社株買いの総還元額は約160億円規模と推定され、総還元性向は約85%と高水準。配当性向20%は持続可能だが、自社株買いを含めた総還元は純利益の大半を還元する積極姿勢を示している。現金預金889.6億円と営業利益271.4億円の水準から配当支払能力は十分だが、建設投資フェーズが続く中で総還元性向85%の持続性は投資回収と営業CF創出力に依存する。

リスク要因

  1. 短期流動性リスク: 流動比率99.9%で流動資産1,977.0億円に対し流動負債1,978.5億円とほぼ均衡しており、短期債務の返済余力が限定的。現金/短期負債0.45倍と現金カバレッジも低く、買掛金の大幅減少(前年396.0億円→216.7億円)により支払増加が短期流動性を圧迫している。追加の短期借入や資産売却が必要となれば金利負担増や一時費用発生のリスクがある。定量評価: 流動比率1.0未満に近接、現金/短期負債0.45倍。

  2. 建設投資回収リスク: 建設仮勘定1,581.5億円(総資産比22.8%)と大規模な建設投資が進行中であり、投資完了後の収益化遅延や減損リスクが存在する。ROICが2.9%と低位であることは、投下資本に対する収益創出が不十分であることを示唆し、建設投資の回収が計画通り進まない場合は資本効率が一層低下する。定量評価: CIP比率22.8%(20%超で過大警告)、ROIC 2.9%(5%未満で低効率)。

  3. 一時収益依存リスク: 純利益187.6億円のうち固定資産売却益56.8億円が約30%を占め、特別利益全体では68.1億円と純利益の36%を占める。継続的な営業利益創出力は限定的であり、一時収益が剥落する局面では純利益が大幅に減少するリスクがある。定量評価: 特別利益/税引前利益25.5%、固定資産売却益/純利益30.3%。

業種ベンチマーク(参考・当社調べ)

【業種内ポジション】(参考情報・当社調べ)

同社は鉄道・不動産複合事業を営む鉄道セクターに属する。過去5期の自社推移では、営業利益率12.6%(2026年)で過去実績と概ね同水準を維持しており、事業の本業収益力は安定している。純利益率8.7%(2026年)も過去推移で良好域にあるが、一時項目の寄与が大きい点に注意が必要。売上成長率+2.1%(2026年)は緩やかな成長ペースで、鉄道・不動産の成熟市場における安定成長を示している。

鉄道セクター一般の特性として、資本集約度が高く(固定資産比率80%超)、安定した輸送需要を背景に営業利益率10-15%程度を確保する企業が多い。同社の営業利益率12.6%はセクター平均的な水準と評価される。自己資本比率34.8%は鉄道セクター内では標準的だが、インフラ投資により負債依存度が高い構造は業界共通の特徴である。ROE 5.0%は資本集約型ビジネスとしては低位であり、業界内でも資本効率改善が課題となっている企業に該当する。流動比率99.9%は鉄道セクター内でもタイトな水準であり、短期流動性管理の重要性が高い。

同社の相対的な位置づけとしては、交通事業を主力としつつ不動産・流通・レジャーの多角化により収益源を分散している点が特徴的である。建設仮勘定比率22.8%と大規模投資フェーズにあることは、将来の収益基盤拡大を狙う戦略の現れだが、短期的には資本効率と流動性の両面で監視が必要な段階にある。

(業種: 鉄道、比較対象: 自社過去5期推移、出所: 当社集計)

決算上の注目ポイント

  1. 一時収益に依存する利益構造の持続性: 純利益の約30%を固定資産売却益が占める構造であり、営業段階での継続的な収益創出力とのギャップが大きい。営業CF開示がないため利益の現金化状況は不明だが、第4四半期以降の営業利益積み上げと一時収益の剥落影響を注視する必要がある。通期予想では営業利益減少を織り込んでおり、収益基盤の安定性がポイントとなる。

  2. 短期流動性と投資回収のバランス: 流動比率99.9%、現金/短期負債0.45倍と短期流動性がタイトな中で、建設仮勘定1,581.5億円の大規模投資が継続している。買掛金の大幅減少による支払増加も短期資金を圧迫しており、投資完了と収益化のタイミング、および営業CFによる資金創出が資金繰りの鍵となる。建設投資の進捗と完成後の収益化スケジュールが今後の財務健全性を左右する。

  3. 資本効率改善の必要性: ROE 5.0%、ROIC 2.9%と資本効率が低位にあり、高額な有利子負債(3,635.7億円、Debt/Capital 49.2%)に対する投下資本の回収が弱い。金利負担(支払利息40.1億円)が経常利益を圧迫しており、建設投資からの収益化が進めばROIC改善の余地があるが、回収遅延や金利上昇リスクが資本効率を一層低下させる可能性がある。資本政策と投資優先順位の透明性が投資家評価の重要要素となる。


本レポートはXBRL決算短信データをAIが分析して自動生成した決算解析資料です。特定銘柄への投資を推奨するものではありません。業種ベンチマークは公開決算データを基に当社が集計した参考情報です。投資判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談の上、行ってください。


AI財務分析

総括

2026年度第3四半期累計は、営業収益が前年同期比2.1%増の2,155.58億円となる一方、営業利益は同0.8%減の271.43億円となり、増収減益で着地した。営業利益率は12.6%で、前年同期の13.0%から約36bp低下した。親会社株主に帰属する四半期純利益は同0.1%増の187.13億円で、営業段階の減益にもかかわらず前年並みを維持した。これは特別利益68.12億円が特別損失33.97億円を34.15億円上回ったことが主因である。特別利益の中心は固定資産売却益56.77億円であり、経常的な収益力とは区分して評価する必要がある。経常利益は同9.7%減の233.00億円となり、営業外費用59.06億円が営業外収益20.63億円を38.43億円上回った。支払利息は40.08億円で前年同期の30.58億円から31.1%増加しており、金利負担の増加が経常利益を圧迫した。純利益率は8.7%で前年同期の約8.9%から約18bp低下した。営業収益の増加は交通事業、レジャー・サービス事業、流通事業およびその他事業が牽引した。交通事業は外部顧客向け営業収益が2.6%増となったが、セグメント利益は1.6%減少した。不動産事業は外部顧客向け営業収益が14.3%減少し、セグメント利益も28.6%減少しており、連結利益の主な抑制要因である。一方、レジャー・サービス事業、流通事業、その他事業のセグメント利益はそれぞれ18.7%、12.5%、49.4%増加した。報告ROEは年換算6.6%、ROICは年換算3.9%であり、資本効率には改善余地が残る。流動比率は99.9%と100%をわずかに下回り、短期負債への依存度を継続監視する局面にある。通期営業利益予想310.00億円に対する進捗率は87.6%と第3四半期の標準進捗率75%を12.6ポイント上回る。もっとも、純利益の通期予想310.00億円に対する進捗率は60.4%にとどまり、第4四半期には税金、特別損益および費用の動向が通期達成の鍵となる。

収益性分析

デュポン分析では、年換算ROE 6.6%は純利益率8.7%×総資産回転率0.266回×財務レバレッジ2.87倍で構成される。ROEが8%未満にとどまる主因は、鉄道・不動産を中心に総資産1兆790.13億円、うち有形固定資産6,938.31億円を必要とする資本集約型の事業構造により、総資産回転率が低いことである。純利益率は良好レンジの水準にあるものの、前年同期比では約18bp低下した。営業利益率も約36bp低下しており、営業収益の伸びが営業利益の伸びに結び付いていない。販管費は336.92億円で前年同期の318.41億円から5.8%増加し、営業収益の2.1%増を上回ったため、営業レバレッジは悪化した。交通事業の利益減少と不動産事業の利益率低下が、増収効果を相殺したとみられる。財務レバレッジ2.87倍はROEを押し上げている一方、D/E 1.87倍および有利子負債3,635.69億円を伴うため、追加的なレバレッジ拡大による資本効率改善には制約がある。CFA5因子では税負担係数0.700、金利負担係数0.984、EBITマージン12.6%である。金利負担係数は現時点で高水準を維持するが、支払利息の増加ペースは将来の収益性を左右する。純利益は固定資産売却益を含む特別損益の純額34.15億円に支えられており、純利益率の一部は継続性が限定的である。

成長性評価

営業収益は2,155.58億円、前年同期比2.1%増であり、交通事業の増収、レジャー・サービス事業の6.5%増収、流通事業の5.0%増収、その他事業の11.1%増収が成長を支えた。主力事業は営業利益寄与が最大の交通事業で、セグメント利益は166.70億円、全セグメント利益合計272.77億円の61.1%を占める。交通事業の外部顧客向け営業収益は906.45億円、前年同期比2.6%増、セグメント利益は166.70億円、同1.6%減であり、利益率は18.2%から17.6%へ約140bp低下した。不動産事業は外部顧客向け営業収益234.28億円、同14.3%減、セグメント利益28.09億円、同28.6%減で、利益率も12.4%から10.1%へ約230bp低下した。レジャー・サービス事業は営業収益226.53億円、同6.5%増、セグメント利益46.63億円、同18.7%増で、利益率は17.7%から20.6%へ約290bp上昇した。流通事業は営業収益628.88億円、同5.0%増、セグメント利益18.67億円、同12.5%増で、利益率は3.0%であり、他セグメントより低い。その他事業は営業収益159.42億円、同11.1%増、セグメント利益12.67億円、同49.4%増で、利益率は7.9%となった。通期予想に対する営業収益進捗率は71.9%で標準進捗率を3.1ポイント下回る一方、営業利益進捗率は87.6%で標準を上回る。経常利益の進捗率は89.6%で標準を14.6ポイント上回るが、支払利息の増加は第4四半期の利益率の下振れ要因となる。親会社株主帰属純利益の進捗率60.4%は標準を14.6ポイント下回っており、固定資産売却益など一時的な損益が累計利益に含まれる点を踏まえると、通期純利益予想の達成には第4四半期の経常利益および税負担のコントロールが重要となる。

財務健全性

流動比率は99.9%、当座比率は98.7%であり、いずれも100%近辺にとどまる。流動比率が1.0をわずかに下回るため、短期の資金繰り余力には明示的な注意を要する。ただし、現金預金889.64億円は流動負債1,978.48億円の0.45倍、短期借入金1,213.28億円の0.73倍をカバーしている。運転資本はマイナス1.49億円であり、流動資産と流動負債はほぼ均衡している。短期負債比率は33.4%で、負債7,034.12億円のうち固定負債は5,055.64億円を占めるため、負債の中心は長期性である。有利子負債は3,635.69億円、D/Eは1.87倍、Debt/Capitalは49.2%であり、D/Eが2.0倍を下回る一方、資本集約型インフラ事業として一定の財務レバレッジを採用している。インタレストカバレッジは6.77倍で、現時点の利払い能力は強固と評価できる。もっとも、支払利息は前年同期比31.1%増であり、金利上昇局面ではカバレッジ低下の可能性を監視すべきである。自己株式は前年同期の17.39億円から115.22億円へ97.83億円増加しており、自己株式取得による株主還元・資本政策の実行を示す。買掛金は396.04億円から216.65億円へ179.39億円、45.3%減少した。買掛金の減少は仕入先・工事関連の決済進展を反映し、運転資本および資金需要を押し上げる方向に作用する。建設仮勘定は1,581.46億円で総資産の14.7%、有形固定資産の22.8%を占め、投資案件の完成・稼働時期と投資回収の進捗が重要である。

B/S変動のポイント

自己株式: 97.83億円増加(帳簿残高は△17.39億円から△115.22億円、562.6%拡大)- 自己株式取得による資本還元・資本政策の実行を示す。配当と合わせた還元水準、および投資・債務管理との資金配分を監視。買掛金: 179.39億円減少(△45.3%)- 仕入先・工事関連等の決済進展を反映し、流動負債を圧縮した。一方で運転資本はマイナス1.49億円、流動比率は99.9%であり、短期資金への影響を注視。建設仮勘定: 109.06億円増加(+7.4%)- 1,581.46億円まで積み上がり、有形固定資産の22.8%を占める。大型インフラ・開発投資の進行を示すため、完成時期、投資額および収益化を監視。投資有価証券: 151.75億円増加(+13.3%)- 1,295.31億円となり、総資産の12.0%を占める。包括利益の増加にも寄与した評価差額の変動を通じ、純資産の市場価格感応度が高まる。現金預金: 145.10億円増加(+19.5%)- 889.64億円へ増加し、短期流動性の緩衝材となる。ただし、短期借入金1,213.28億円に対する比率は0.73倍である。社債: 250.00億円増加(+20.0%)- 1,500.00億円となり、長期投資資金の調達を示す。支払利息の増加とともに、金利・借換え条件の推移が重要。

キャッシュフロー品質

配当持続性

第2四半期配当は1株当たり23.00円であり、累計配当金ベースの配当性向は33.9%である。これは配当金のみを親会社株主に帰属する四半期純利益で除した指標であり、自己株式取得を含む総還元性向とは区別される。通期配当予想は1株当たり46.00円、通期EPS予想114.92円に対する予想配当性向は約40.0%で、60%未満という持続可能性の目安の範囲内にある。自己株式は前年同期比97.83億円増加しており、これを当期の自己株式取得相当額とみなす場合、累計配当約63.4億円との合計還元額は約161.2億円、親会社株主帰属利益187.13億円に対する総還元性向は概算86.1%となる。したがって、配当単体の負担は抑制的である一方、自己株式取得を併用する資本政策は利益水準および投資資金需要との両面から評価する必要がある。

リスク評価

ビジネスリスクとして、優先度:高(発生可能性:中、影響度:高)。交通事業はセグメント利益の61.1%を占める主力事業であり、沿線需要、訪日客需要、景気変動、代替交通手段との競争が連結収益に大きく影響する。累計では増収にもかかわらず同事業利益が1.6%減少しており、コスト上昇への価格転嫁力が焦点となる。、優先度:高(発生可能性:中、影響度:高)。不動産事業は営業収益が14.3%減、セグメント利益が28.6%減であり、物件売却・引渡し時期、分譲・賃貸市況、金利上昇による需要変動が利益変動を増幅させる。、優先度:中(発生可能性:中、影響度:中)。鉄道事業では安全投資、設備更新、人件費、電力費および保守費用が固定費化しやすく、需要増を上回る費用増は交通事業の利益率を圧迫する。、優先度:中(発生可能性:中、影響度:中)。建設仮勘定が1,581.46億円と大きく、鉄道・沿線開発投資の工期遅延、建設コスト上振れ、稼働後の需要未達は投資回収期間を長期化させる。が挙げられます。

財務リスクとしては、優先度:高(発生可能性:中、影響度:高)。流動比率99.9%は警告水準であり、運転資本がマイナス1.49億円である。現金預金889.64億円に対して短期借入金は1,213.28億円であり、借換え環境や短期資金市場の変動に注意を要する。、優先度:高(発生可能性:中、影響度:中)。有利子負債3,635.69億円、D/E 1.87倍、Debt/Capital 49.2%の資本構成において、支払利息は40.08億円と前年同期比31.1%増加した。金利上昇が続けば経常利益およびインタレストカバレッジを圧迫する。、優先度:中(発生可能性:中、影響度:中)。ROICは年換算3.9%で5%を下回る。大型固定資産・建設仮勘定への投資が資本コストを上回る収益を生まない場合、資本効率の低位継続につながる。、優先度:中(発生可能性:中、影響度:中)。自己株式が97.83億円増加しており、配当と合わせた株主還元が投資資金・債務削減余力とのバランスを損なわないかを確認する必要がある。が挙げられます。

主な懸念事項としては、品質アラートの流動性警告については、流動比率99.9%が100%をわずかに下回ることが根本要因である。鉄道・不動産を含む資本集約型企業では長期調達を組み合わせる構造は一定程度一般的だが、買掛金の179.39億円減少もあり、短期流動性の管理は投資判断上の重要項目となる。、品質アラートの資本効率警告については、年換算ROIC 3.9%が5%未満であることが根本要因である。総資産回転率0.266回という低い資産回転が背景であり、建設仮勘定を含む投資資産の稼働・収益化が改善の前提となる。、品質アラートの一時的項目警告については、固定資産売却益56.77億円を含む特別利益68.12億円が利益を押し上げていることが根本要因である。アラート基準では純利益の46.4%が一時的項目と評価されており、営業利益・経常利益の減速に対して純利益が前年並みとなった持続性には留意を要する。、品質アラートの建設仮勘定過大警告については、建設仮勘定1,581.46億円が有形固定資産の22.8%を占めることが根本要因である。大型開発・インフラ投資の進行を示す一方、完成遅延、投資額増加、減価償却開始後の収益寄与不足が収益性と資本効率を悪化させる可能性がある。が挙げられます。

投資示唆

重要ポイントとして、営業収益は増加したが、営業利益率は約36bp低下し、販管費の5.8%増が営業収益の2.1%増を上回った。、交通事業が利益の61.1%を占める中核である一方、不動産事業の減収減益が連結利益の重石となった。、固定資産売却益を主因とする特別損益の純額34.15億円が純利益を支えており、経常利益ベースでは前年同期比9.7%減である。、通期営業利益・経常利益の進捗は標準を上回るが、通期純利益の進捗は60.4%であり、第4四半期の利益構成が重要である。、配当性向は累計33.9%、通期予想約40.0%と抑制的だが、自己株式取得を含めた資本還元と大型投資・負債管理のバランスを確認すべきである。が挙げられます。

注視すべき指標は、交通事業の営業収益成長率、セグメント利益率および費用上昇の吸収状況、不動産事業の物件売却・引渡し、営業収益およびセグメント利益の回復度合い、支払利息、インタレストカバレッジおよび有利子負債の推移、流動比率、現金預金対短期借入金比率、買掛金を含む運転資本の変動、建設仮勘定の完成・固定資産振替、投資案件の稼働時期および年換算ROIC、固定資産売却益を除いた経常的利益の伸びです。

セクター内ポジションについては、営業利益率12.6%および純利益率8.7%は提示された一般的な収益性ベンチマークでは良好レンジに位置するが、年換算ROE 6.6%と年換算ROIC 3.9%は資本効率面で要注意の水準である。インタレストカバレッジ6.77倍は強固である一方、流動比率99.9%とDebt/Capital 49.2%は、投資負担の大きい都市交通・沿線開発型企業として資金調達と投資回収の規律が相対的に重要となることを示す。