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88302026 第3四半期プライムJGAAP

住友不動産(8830) 2026年度第3四半期決算 減収・営業益11%増

2026年度第3四半期の売上高は7,791億円(前年同期比-0.5%)、営業利益は2,384億円(同+10.5%)。以下、セグメント別の増減要因とキャッシュフローを確認します。

不動産/不動産業


クイックビュー

指標当期前年同期YoY
売上高¥7791.4億¥7828.6億−0.5%
営業利益¥2383.8億¥2158.0億+10.5%
経常利益¥2358.9億¥2187.4億+7.8%
純利益¥1748.8億¥1467.0億+19.2%
ROE7.2%6.8%-

Executive Summary

2026年度第3四半期累計決算は、売上高7,791億円(前年同期比-37億円 -0.5%)、営業利益2,384億円(同+226億円 +10.5%)、経常利益2,359億円(同+172億円 +7.8%)、純利益1,749億円(同+282億円 +19.2%)。売上微減も利益体質改善で営業増益率10.5%、純増益率19.2%を達成した。営業利益率は30.6%と前年27.6%から3.0pt改善し、純利益率は22.4%と高収益体質が顕著となった。ただし総資産7兆933億円に対し投資有価証券が前年比+2,294億円増の1兆715億円へ急増し、OCIは1,457億円拡大して包括利益3,206億円に達した。不動産賃貸セグメントで減損損失181億円を計上しており、資産価値評価の一部調整が損益に影響している。

業績変動要因

【売上高】前年同期比-37億円(-0.5%)と横ばい。セグメント別では不動産賃貸が3,438億円(前年3,197億円から+241億円 +7.5%)と主力事業が堅調に拡大した一方、不動産販売は2,407億円(前年2,643億円から-236億円 -8.9%)と縮小し、ハウジングも1,325億円(前年1,365億円から-40億円 -2.9%)と減少した。ステップは554億円(前年544億円から+10億円 +1.8%)、その他96億円(前年84億円から+12億円 +14.3%)と小幅増加。全体としては不動産賃貸の成長と販売事業の縮小が相殺され、トップラインは微減にとどまった。【損益】営業利益は2,384億円(+226億円 +10.5%)と大幅改善。不動産賃貸の営業利益は1,594億円(前年1,424億円から+170億円 +11.9%)、不動産販売は687億円(前年631億円から+56億円 +8.9%)と両主要セグメントで増益を実現した。ハウジングは89億円(前年126億円から-37億円 -29.4%)と減益、ステップは188億円(前年140億円から+48億円 +34.3%)と大幅増益、その他26億円(前年13億円から+13億円 +100.0%)と改善した。粗利益率は38.5%(前年比で改善)、販管費は620億円で売上横ばいに対し費用コントロールが利益率改善に寄与した。営業外収支では受取利息配当金62億円、支払利息200億円、持分法投資利益24億円、投資有価証券売却益216億円が計上され、経常利益は2,359億円となった。特別利益は278億円(固定資産売却益等)、特別損失は128億円(減損損失181億円を含む)により、税引前利益2,509億円、実効税率30.3%で当期純利益1,749億円に達した。経常利益と純利益の差(150億円)は特別損益と税負担によるもの。減損181億円は不動産賃貸セグメントにおける資産評価の見直しで、一時的要因として損益に影響している。包括利益3,206億円は純利益1,749億円に加えてOCI1,457億円(投資有価証券評価差額等)が寄与し、財務体質の評価増が反映された。結論として、減収増益(売上微減・営業利益大幅増・純利益大幅増)を達成した。

セグメント別分析

不動産賃貸が売上高3,438億円(構成比44.1%)、営業利益1,594億円(セグメント利益の61.7%)と規模・収益両面で主力事業である。不動産販売は売上高2,407億円(構成比30.9%)、営業利益687億円(セグメント利益の26.6%)。不動産賃貸の営業利益率は46.4%と極めて高く、不動産販売の28.6%を大きく上回り、賃貸ストックビジネスの高収益構造が明確である。ハウジングは売上高1,325億円(構成比17.0%)、営業利益89億円(利益率6.7%)と利益率が低く前年比減益となった。ステップは売上高554億円(構成比7.1%)、営業利益188億円(利益率33.9%)と高収益率かつ前年比大幅増益を記録し、商号変更と体制刷新の効果が示された。その他は売上高96億円、営業利益26億円で周辺事業の寄与は限定的。セグメント間調整後の営業利益は2,384億円で、全社費用201億円が配賦されている。主力の不動産賃貸が収益を牽引し、販売・ステップも寄与する一方、ハウジングの低収益性が課題として残る。

主要財務指標

【収益性】ROE 7.2%(前年推定値から改善も業種中央値11.4%を下回る)、営業利益率30.6%(前年27.6%から+3.0pt改善、業種中央値8.0%を大きく上回る)、純利益率22.4%(業種中央値4.4%の5倍超で突出)、ROIC 3.1%(目標7-8%を下回り改善余地あり)、粗利益率38.5%。【キャッシュ品質】現金預金806億円(前年990億円から-184億円減)、短期負債カバレッジ3.25倍(現金/短期負債)で流動性は確保。インタレストカバレッジ11.92倍で利払い余力は十分。【投資効率】総資産回転率0.110倍(業種中央値0.68倍を大幅に下回り、資産効率の低さを示す)。【財務健全性】自己資本比率34.1%(業種中央値31.0%を若干上回る)、流動比率127.3%(業種中央値215%を下回るが短期支払能力は確保)、負債資本倍率1.94倍、Debt/Capital 55.5%(負債依存度は高め)、有利子負債3兆133億円。

キャッシュフロー分析

CF計算書の詳細開示がないため、BS推移から資金動向を分析する。現金預金は前年990億円から806億円へ-184億円減少した。資産側では投資有価証券が+2,294億円増の1兆715億円へ積み上がり、戦略的株式保有または金融資産運用の強化が推測される。固定資産の土地は3兆2,561億円、建物は2兆975億円で前年比微増にとどまり、大型投資は抑制気味と見られる。負債側では有利子負債は前年比で増加し、資金調達による資産形成が継続している。短期借入金248億円、長期借入金2兆9,886億円で長期性資金が中心であり、流動負債9,173億円に対する現金カバレッジ3.25倍は短期流動性を裏付ける。純資産は前年2兆1,681億円から2兆4,157億円へ+2,476億円増加し、純利益1,749億円とOCI1,457億円が寄与した。配当支払は約700億円規模(年間70円×発行済株式数で推計)で、利益の一部は株主還元に充当されたと見られる。投資有価証券の大幅増加は積極的な資産配分を示すが、資産効率(総資産回転率0.110倍)の低さとROIC 3.1%の水準から、資本配分の効率性向上が課題である。

収益の質

経常利益2,359億円に対し営業利益2,384億円で、営業外収支は-25億円の純減である。内訳は受取利息配当金62億円、持分法投資利益24億円、投資有価証券売却益216億円の計302億円の営業外収益に対し、支払利息200億円、営業外費用計127億円で、金融収支は営業利益を若干減少させる構造となった。特別損益では固定資産売却益等の特別利益278億円と減損損失181億円等の特別損失128億円で差引+150億円が加算され、税引前利益2,509億円となった。営業外収益のうち投資有価証券売却益216億円(売上高の2.8%)は一時的要因であり、継続性には注意を要する。減損損失181億円(不動産賃貸セグメント)は資産評価の調整で、営業利益にはすでに反映済みであるが、将来の追加減損リスクをモニタリングする必要がある。包括利益3,206億円は純利益1,749億円にOCI1,457億円を加えたもので、投資有価証券評価差額等の未実現利益が資本を大きく押し上げている。これらOCIは市場変動により逆転しうるため、継続的な収益力は営業利益ベースで評価すべきである。営業CFの明細がないため利益とキャッシュの整合性は定量評価できないが、営業利益の高水準と粗利益率の改善から、本業のキャッシュ創出力は相応と推察される。

業績予想・ガイダンス

通期予想は売上高1兆500億円、営業利益2,950億円、経常利益2,850億円、純利益2,100億円。第3四半期累計実績の進捗率は、売上高74.2%(標準75%対-0.8pt)、営業利益80.8%(標準75%対+5.8pt)、経常利益82.8%(標準75%対+7.8pt)、純利益83.3%(標準75%対+8.3pt)。利益ベースでは標準進捗を上回り、通期予想達成の蓋然性は高い。売上高進捗がやや遅れているのは不動産販売・ハウジングの引渡しタイミングによるもので、第4四半期に前倒し効果が期待される。通期前提では売上高前年比+3.5%、営業利益+8.6%、経常利益+6.2%と増収増益を見込んでおり、第4四半期に売上約2,709億円、営業利益約566億円の積み増しが必要となる。過去実績から第4四半期は販売引渡しの集中により売上が増加する傾向があり、予想達成は合理的と評価できる。予想修正は開示されていないが、第3四半期時点の進捗から据え置き方針と見られる。年間配当予想は通期開示で22円とされているが、中間配当35円が既に実施されており、期末も35円予定(合計70円)と想定される。この点、通期予想書類の配当22円と実際の中間配当35円に齟齬があるため、投資家は最新開示を確認する必要がある。

株主還元

年間配当は中間35円、期末35円の合計70円(前年実績と同水準と推定)。当期純利益1,749億円、発行済株式数から1株純利益を推算すると約186円となり、配当性向は約37.6%(配当のみ)で持続可能な水準である。通期純利益予想2,100億円に対する配当70円の配当性向も約37.7%と一貫している。自社株買いの開示はなく、総還元は配当のみとなる。現金預金806億円、営業利益2,384億円の水準から配当原資は十分確保されており、配当の持続性は高いと評価できる。ただしCF計算書の明細がないため、営業CFと配当支払額の対比による厳密な持続性評価はできない。配当利回りは株価次第だが、配当性向37.6%は成長余力を残しつつ株主還元を行う適正水準である。

リスク要因

不動産市況変動リスク: 土地3兆2,561億円、建物2兆975億円を保有する資産集約型ビジネスモデルのため、地価・不動産価格の下落や賃貸需要減少が資産評価と収益に直接影響する。不動産賃貸セグメントで既に減損181億円を計上しており、テナント稼働率低下や市況悪化時の追加減損リスクは中程度だが影響は大きい。資本効率低迷リスク: ROIC 3.1%は目標7-8%を大きく下回り、総資産回転率0.110倍も業種中央値0.68倍の1/6と極端に低い。投資有価証券の急増(前年比+27.2%)は資産ベースを膨張させるが資本効率改善に寄与しないため、中長期の資本配分の適切性が問われる。このリスクは確実性が高く、株主価値創出の観点から重大である。投資有価証券評価リスク: 投資有価証券1兆715億円の市場価格変動がOCIと自己資本に影響を与える。当期はOCI+1,457億円と評価増となったが、市場環境悪化時には逆回転し自己資本比率を圧迫する可能性がある。定量的には評価損益が±10%変動すると自己資本への影響は約1,072億円で自己資本比率を約1.5pt変動させうる。

業種ベンチマーク(参考・当社調べ)

【業種内ポジション】(参考情報・当社調べ)不動産業(2025年Q3基準、N=13社)において、住友不動産は収益性で突出する一方、資産効率に課題を抱える構造が明確である。収益性: 営業利益率30.6%は業種中央値8.0%を大きく上回り、純利益率22.4%も業種中央値4.4%の5倍超で業界トップクラスである。賃貸ストックビジネスの高収益体質が反映されている。ROE 7.2%は業種中央値11.4%を下回り、資本効率の低さが課題である。財務健全性: 自己資本比率34.1%は業種中央値31.0%をやや上回り、流動比率127.3%は業種中央値215%を下回るが短期支払能力は確保されている。財務レバレッジ2.94倍は業種中央値3.07倍と同水準で、不動産業の特性である高レバレッジ構造を持つ。資産効率: 総資産回転率0.110倍は業種中央値0.68倍を大幅に下回り、業種内で最も低い水準と推測される。大型不動産ストックと投資有価証券保有が資産ベースを押し上げる一方、売上規模は相対的に小さい構造である。成長性: 売上高成長率-0.5%は業種中央値+18.5%を大きく下回り、トップライン拡大力では後れを取る。ただし利益率改善による増益体質は維持している。ネットデット/EBITDA倍率は業種中央値3.44倍前後と想定され、負債償還力は業種標準的と見られる。総合評価として、住友不動産は利益率・利益創出力で業界トップクラスだが、成長性と資本効率(ROIC・総資産回転率)で業種平均を下回り、資産配分の最適化が今後の競争力向上の鍵となる。

決算上の注目ポイント

決算上の注目ポイントは以下の通りである。第一に、売上微減でも営業利益率を30.6%(前年比+3.0pt)へ改善させた高収益体質であり、不動産賃貸の営業利益率46.4%が全体利益を牽引している。第二に、投資有価証券が前年比+2,294億円(+27.2%)と急増し、OCIが+1,457億円拡大して包括利益3,206億円に達した点で、保有資産の評価増が財務体質を強化した一方、市場変動に対するエクスポージャーが拡大している。第三に、不動産賃貸セグメントで減損181億円を計上し、保有資産の一部評価見直しが行われたことで、将来の追加減損リスクと資産ポートフォリオの健全性がモニタリング対象となる。第四に、ROIC 3.1%と総資産回転率0.110倍は業種平均を大幅に下回り、資本効率改善余地が大きく、資産入替やポートフォリオ最適化による株主価値向上の可能性が今後の焦点である。第五に、通期予想に対する進捗率が利益ベースで80%超と順調であり、予想達成の蓋然性は高いが、第4四半期の不動産販売引渡しスケジュールが最終着地を左右する。


本レポートはXBRL決算短信データをAIが分析して自動生成した決算解析資料です。特定銘柄への投資を推奨するものではありません。業種ベンチマークは公開決算データを基に当社が集計した参考情報です。投資判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談の上、行ってください。


AI財務分析

総括

2026年度Q3累計は、売上高が前年同期比0.5%減の7,791.39億円となる一方、営業利益は同10.5%増の2,383.79億円へ伸長した。営業利益率は30.6%となり、前年同期の27.6%から303bp拡大した。粗利益率も38.5%と前年同期の34.9%から361bp改善しており、売上原価の抑制が増益の主因である。販管費は619.72億円と前年同期比7.3%増加したが、売上高販管費率は8.0%にとどまり、粗利率上昇を相殺していない。経常利益は2,358.86億円で同7.8%増となった。支払利息は199.96億円と前年同期の148.04億円から35.1%増加しており、営業増益率を下回る経常増益率の一因となった。当期純利益は1,748.75億円で同19.2%増となった。純利益率は22.4%で前年同期の18.7%から371bp上昇した。もっとも、投資有価証券売却益216.21億円を主因とする特別利益216.83億円が計上されており、純利益の増加には非経常要因が含まれる。特別損益は150.04億円の黒字であり、前年同期の83.27億円の赤字から233.31億円改善した。したがって、収益力の改善は営業利益および経常利益の増益で確認できる一方、純利益率の大幅な上昇は有価証券売却益にも押し上げられている。主力の不動産賃貸事業は売上高3,418.81億円、セグメント利益1,593.72億円と、安定収益基盤の拡大を示した。不動産販売事業も売上高は減少したものの、セグメント利益率の改善により利益を伸ばした。通期会社予想に対する営業利益進捗率は80.8%で、Q3の標準進捗率75%を5.8pt上回る。経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益の進捗率もそれぞれ82.8%、83.3%であり、利益面では通期計画に対して余裕を残す。資本効率では年換算ROEが9.7%まで改善しているが、年換算ROIC 4.1%は5%未満であり、大規模な不動産・投資資産に対する収益性の引上げが引き続き課題である。

収益性分析

年換算ROE 9.7%は、純利益率22.4%×総資産回転率0.146回×財務レバレッジ2.94倍に分解される。高い純利益率がROEを支える一方、資産集約型の賃貸不動産・土地保有を反映して総資産回転率は低く、ROEの制約要因となっている。前年比で最も顕著な改善は営業利益率で、27.6%から30.6%へ303bp上昇した点である。売上高が0.5%減少する中で粗利益率が361bp改善しており、単なる売上拡大ではなく、案件・物件ミックスおよび原価率の改善による営業レバレッジが確認できる。販管費は前年同期比7.3%増で売上高の伸びを上回ったが、売上高販管費率の上昇は57bpにとどまり、粗利改善がこれを大きく上回った。不動産賃貸のセグメント利益率は46.6%と前年同期の44.4%から改善し、全社利益率の上昇に最も大きく寄与した。不動産販売のセグメント利益率も28.6%と前年同期の23.9%から469bp上昇している。対照的にハウジング事業のセグメント利益率は6.7%と前年同期の9.2%から低下しており、同事業の収益性は注視を要する。ステップ事業は利益率33.5%と前年同期の25.8%から改善した。金利負担係数は1.052、インタレストカバレッジは11.92倍で、現時点で支払利息は営業利益を大きく毀損する水準ではない。ただし支払利息の35.1%増は、長期借入金2兆9,886.07億円を中心とする資金調達構造の下で、今後の金利上昇局面における利益率圧迫要因となる。年換算ROIC 4.1%は品質アラートの基準である5%を下回る。これは賃貸不動産、土地および投資有価証券を含む大きな投下資本に対し、営業収益の回収効率がなお十分でないことを示す。資産価格上昇や含み益ではなく、賃料増額、稼働資産の収益性向上、販売事業の資本回転改善によってROICを高められるかが資本効率改善の焦点となる。

成長性評価

売上高は前年同期比0.5%減であり、全社売上の成長は限定的である。もっとも、収益構成では不動産賃貸事業が同7.1%増収の3,418.81億円となり、ストック型事業の拡大が確認できる。不動産販売事業は同9.3%減収の2,397.70億円であったが、セグメント利益は同8.9%増の687.41億円となり、採算改善が売上減少を補った。ハウジング事業は売上高1,325.46億円で同2.9%減、セグメント利益89.42億円で同29.0%減となり、全社内で最も弱い利益トレンドである。ステップ事業は売上高553.57億円で同1.8%増、セグメント利益187.54億円で同33.6%増となった。その他事業も売上高95.82億円で同13.8%増、セグメント利益26.24億円で同101.4%増となった。営業利益の増益は賃貸事業の増収・増益と、不動産販売事業の採算改善に支えられており、営業段階の利益成長は一定の持続性を有する。一方、当期純利益の19.2%増には投資有価証券売却益216.21億円が寄与しているため、純利益の伸びをそのまま経常的な成長率として評価することは適切ではない。会社通期予想は売上高1兆500億円、営業利益2,950億円、経常利益2,850億円、親会社株主に帰属する当期純利益2,100億円である。Q3累計の進捗率は売上高74.2%、営業利益80.8%、経常利益82.8%、純利益83.3%である。売上高は標準進捗率75%と概ね整合する一方、各利益は標準を5.8~8.3pt上回っており、採算改善が通期達成力を支えている。

財務健全性

流動資産1兆1,679.47億円は流動負債9,172.61億円を上回り、運転資本は2,506.86億円である。流動比率および当座比率はともに127.3%で、短期債務に対する流動性は確保されている。短期負債比率は0.8%、現金・短期負債倍率は3.25倍であり、借入金の満期構成は長期中心である。有利子負債は3兆133.64億円で、うち長期借入金は2兆9,886.07億円を占める。負債資本倍率は1.94倍で警戒水準の2.0倍をわずかに下回るが、資産集約型デベロッパーとしてもレバレッジ余地は限定的である。Debt/Capital比率は55.5%で、60%の注意水準は下回るものの、資本構成は負債依存度が相応に高い。総資産に占める長期借入金の比率は42.1%であり、金利上昇時には借換えコストと収益性への感応度が高い。インタレストカバレッジ11.92倍は十分な利払い余力を示す。純資産は前年同期比11.4%増の2兆4,157.18億円となり、資本充実が負債資本倍率の抑制に寄与した。投資有価証券は前年同期比2,293.57億円、27.2%増の1兆714.82億円となった。増加額は総資産増加額3,704.28億円の約62%に相当し、資産拡大の中心である。評価・換算差額等は4,007.92億円、うちその他有価証券評価差額金は3,602.44億円であり、投資有価証券の時価変動は純資産および包括利益の変動要因となる。包括利益は3,206.12億円と純利益を1,457.37億円上回っており、有価証券評価差額金を中心としたOCIの増加が背景である。

B/S変動のポイント

投資有価証券: +2,293.57億円(+27.2%)- 1兆714.82億円へ増加。総資産増加額の約62%を占め、その他有価証券評価差額金3,602.44億円を通じた純資産・包括利益の市場価格感応度を高めている。純資産: +2,476.11億円(+11.4%)- 2兆4,157.18億円へ増加。利益剰余金の積上がりに加え、評価・換算差額等が4,007.92億円へ増加したことが資本充実に寄与した。販売用不動産: +463.12億円(+11.5%)- 4,482.58億円へ増加。開発・販売活動に伴う資金需要と、市況変動時の在庫回転リスクを継続的に確認する必要がある。

キャッシュフロー品質

配当持続性

第2四半期配当は1株当たり42.00円である。提示された計算値による配当性向は22.5%であり、Q3累計の親会社株主に帰属する当期純利益1,748.75億円に対して低い水準にある。これは配当金のみを分子とする配当性向であり、自社株買いを含む総還元性向ではない。利益ベースでは内部留保を確保しながら配当を実施できる水準である。投資有価証券売却益を含む当期純利益は一時的要因によって押し上げられているため、配当の持続性は賃貸事業を中心とする経常利益の積上がりと、金利負担の推移が重要となる。

リスク評価

ビジネスリスクとして、高優先度:不動産市況サイクルの反転、住宅需要の変動および販売価格の調整は、売上高が前年同期比9.3%減少した不動産販売事業の収益変動を拡大させ得る。、高優先度:金利上昇は住宅購入者の負担増を通じた販売需要への影響に加え、有利子負債3兆133.64億円の調達コスト上昇を招く。、中優先度:建設コスト、人件費および外注費の上昇は、ハウジング事業のセグメント利益が前年同期比29.0%減少している状況では採算悪化を増幅させ得る。、中優先度:賃貸不動産におけるテナント需要、空室率および賃料改定の変動は、主力の不動産賃貸事業の安定収益性に影響する。、中優先度:投資有価証券1兆714.82億円の市場価格変動は、その他有価証券評価差額金3,602.44億円を通じて純資産と包括利益を変動させる。が挙げられます。

財務リスクとしては、高優先度:負債資本倍率1.94倍、Debt/Capital比率55.5%であり、資金調達環境の悪化や金利上昇に対する財務感応度がある。、中優先度:支払利息は前年同期比35.1%増の199.96億円であり、営業利益の伸びを上回る金利費用増が継続する場合、経常利益率の圧迫要因となる。、中優先度:投資有価証券の前年比27.2%増は資産の市場価格感応度を高めており、OCIの逆回転時には自己資本の変動が大きくなり得る。が挙げられます。

主な懸念事項としては、年換算ROIC 4.1%が5%未満という品質アラートは、大規模な土地・賃貸不動産・投資資産に対する投下資本の収益性が低いことを示す。資産集約型の不動産業では一定の低回転は業態上の特性であるものの、現状のROICは資本コストを意識した資産入替え、賃料成長および開発投資の選別を重要にする。投資判断上は、会計利益の伸びだけでなく、資産増加を上回るNOPATの拡大が実現するかを確認する必要がある。、投資有価証券売却益216.21億円により特別損益が150.04億円の黒字となっており、純利益の前年同期比19.2%増には一過性の寄与がある。、ハウジング事業の利益率低下と、売上高を上回る販管費増加は、全社的な粗利改善が鈍化した場合の利益率リスクである。が挙げられます。

投資示唆

重要ポイントとして、営業利益率30.6%と前年同期比303bpの改善は、Q3累計における最も重要なポジティブな収益性変化である。、不動産賃貸事業は売上高3,418.81億円、セグメント利益1,593.72億円、利益率46.6%であり、最大の利益貢献事業である。、不動産販売事業は減収ながら利益率が469bp改善し、採算重視の案件構成が全社利益を支えた。、純利益の増益率は営業利益の増益率を上回るが、投資有価証券売却益216.21億円を含むため、経常利益2,358.86億円の伸びを基礎収益力の指標として重視する必要がある。、年換算ROE 9.7%に対して年換算ROICは4.1%であり、レバレッジに依存しない投下資本収益性の改善が中長期の焦点である。が挙げられます。

注視すべき指標は、不動産賃貸事業の売上成長率、セグメント利益率および賃料改定の浸透、不動産販売事業の売上回復とセグメント利益率28.6%の維持、ハウジング事業のセグメント利益率(Q3累計6.7%)の回復、支払利息の増加率、インタレストカバレッジ、および負債資本倍率、年換算ROIC 4.1%の改善度合い、投資有価証券1兆714.82億円およびその他有価証券評価差額金の変動、通期営業利益予想2,950億円に対する最終進捗です。

セクター内ポジションについては、営業利益率30.6%、純利益率22.4%、インタレストカバレッジ11.92倍は高収益性と十分な利払い余力を示す。一方、資産集約型の事業構造と負債資本倍率1.94倍を背景に、年換算ROIC 4.1%は資本効率面で相対的な改善余地を残す。