| 指標 | 当期 | 前年同期 | YoY |
|---|---|---|---|
| 売上高 | ¥107153.4億 | ¥101348.8億 | +5.7% |
| 営業利益 | ¥2704.6億 | ¥2377.5億 | +13.8% |
| 経常利益 | ¥2430.3億 | ¥2242.2億 | +8.4% |
| 純利益 | ¥249.7億 | ¥402.2億 | -37.9% |
| ROE | 1.1% | 1.9% | - |
2026年2月期のイオン決算は、売上高107,153.42億円(前年比+5,804.65億円 +5.7%)、営業利益2,704.59億円(同+327.12億円 +13.8%)、経常利益2,430.31億円(同+188.09億円 +8.4%)、親会社株主帰属当期純利益726.77億円(同+454.85億円 +167.5%)と5期連続増収、2期ぶりの増益を達成した。営業利益は3年連続増益でCAGR11.6%と過去最高益を更新、営業収益の成長率(CAGR5.3%)を大きく上回る収益性改善が継続している。PB「トップバリュ」が全セグメントで前期比110%と好調で粗利改善に寄与、ディベロッパー事業(営業利益709.16億円、+33.7%)とヘルス&ウエルネス事業(同523.68億円、+45.4%)が過去最高益を記録した。一方でスーパーマーケット(-8.2%)とディスカウント(-9.5%)は人件費増・価格競争で減益、小売本体の収益力改善が課題として残る。特別損益は減損損失974.86億円計上の一方でツルハHD段階取得益690.86億円を計上、親会社純利益は+167.5%と大幅増益となったが一時的要因の寄与が大きい。営業CFは11,265.89億円(前年比+99.0%)と過去最高水準だが、買掛金増2,163.81億円等の運転資本押し上げ効果が大きく、翌期の持続性には注意が必要である。
【売上高】トップラインは+5.7%増の107,153.42億円で、5期連続増収を達成した。主要因はヘルス&ウエルネス事業の+23.5%(ツルハHD12月連結化の寄与含む)、GMS事業+4.2%、SC開発+5.4%、サービス・専門店+2.1%、国際事業+3.6%と幅広いセグメントの成長。PB「トップバリュ」が全セグメントで前期比110%、価格訴求型「ベストプライス」は113%と好調で既存店売上を下支えした。地域別では国内+5.8%、アセアン+9.3%、中国-4.3%で、ベトナム専門店売上117.6%が国際事業を牽引した一方、中国は消費低迷と暖冬で季節商品が苦戦し減収に転じた。
【損益】営業段階では粗利率24.7%(前年約25.1%)と約-40bp悪化したが、販管費率33.97%(前年34.69%)と-72bp改善し、営業利益率は2.52%(前年2.35%)へ+17bp向上した。セグメントミックス改善が奏功し、高マージンのSC開発(利益率16.4%)・総合金融(同12.5%)・ヘルス&ウエルネス(同3.2%)の利益寄与が拡大、全社営業利益は+13.8%と売上成長率を大きく上回った。営業外費用は支払利息513.76億円(前年比+82.54億円)と金利負担が増加、営業利益+327.12億円に対し経常利益は+188.09億円に留まった。特別損益は減損損失974.86億円、段階取得益690.86億円、固定資産除売却損47.07億円等が混在し、純額で-355.74億円の損失。税引前利益2,074.57億円から法人税等829.21億円、非支配株主分518.58億円を控除し、親会社株主帰属純利益は726.77億円(+167.5%)となった。経常利益と純利益の乖離率は-70.1%と大きく、主因は減損等の一時損失と段階取得益の相殺、税金・非支配株主損益の影響である。小売本体(SM・DS)は減益だが、SC開発・H&Wの増益が全体を牽引する増収増益構造となった。
全社営業利益2,704.59億円のうち、構成比最大の主力事業はディベロッパー事業(SC開発)で営業利益709.16億円(構成比26.2%)、利益率16.4%と最も高く、前年比+33.7%の大幅増益。次いで総合金融608.71億円(構成比22.5%、利益率12.5%、-0.5%)、ヘルス&ウエルネス523.68億円(19.4%、利益率3.2%、+45.4%)が高収益セグメントとして牽引した。小売本体ではスーパーマーケット298.70億円(11.0%、利益率1.0%、-8.2%)、GMS214.30億円(7.9%、利益率0.6%、+31.0%)、ディスカウント72.33億円(2.7%、利益率1.7%、-9.5%)と明暗が分かれた。国際102.28億円(3.8%、利益率1.8%、+7.7%)、サービス・専門店270.02億円(10.0%、利益率5.1%、+15.7%)は増益基調を継続。その他事業は-141.34億円の赤字だが売上規模は小さい。増収増益の主要因は、ディベロッパー事業で国内既存専門店売上105.7%、体験型コンテンツ強化・クールシェア提案による入館者増と高い契約稼働率の維持、ヘルス&ウエルネスではツルハHD連結化(12月)と既存のウエルシア調剤併設強化・食品強化が寄与した。減益要因は、SM事業でU.S.M.Hの人件費・設備費増、DS事業で成長投資に伴う一過性コスト発生、総合金融で前期あった債権流動化益の剥落が影響した。セグメント間の利益率格差はSC開発16.4%と小売本体(SM1.0%、DS1.7%、GMS0.6%)の間で約10〜15pt存在し、高収益セグメントのウェイト拡大が全社マージン改善の鍵となっている。
収益性: ROE 3.3%(前年1.1%)、営業利益率2.5%(前年2.3%)、EBITDA利益率5.9%(前年5.4%)、純利益率0.7%(前年0.3%)。ROEは純利益率0.7%、総資産回転率0.697倍、財務レバレッジ6.97倍の合成。過去3年のROE推移は2024年2.2%、2025年1.1%、2026年3.3%と改善傾向にあるが、業種内では低位。営業利益率は+17bp改善し、セグメントミックス変化が寄与。 キャッシュ品質: 営業CF/純利益15.5倍、フリーCF379.24億円(前年-478.81億円)と大幅改善。営業CF/EBITDA 1.78倍と現金創出力は強いが、買掛金+2,163.81億円等の運転資本押し上げ寄与が大きく、アクルーアル比率-6.9%は健全だが翌期の持続性に留意。 投資効率: 設備投資/減価償却1.46倍(有形無形取得5,285.36億円/減価償却3,629.45億円)と成長投資局面。ROIC 3.3%(前年約2.5%)と改善傾向。 財務健全性: 自己資本比率14.3%(前年15.4%)と低下、流動比率104.2%(前年103.0%)でギリギリの水準。D/E 5.97倍(前年5.47倍)とレバレッジが高まり、Debt/EBITDA 3.50倍で投資適格レンジ外側、EBITDAインタレストカバレッジ12.33倍で利払い耐性は当面確保。 効率性: 総資産回転率0.697倍、棚卸資産回転日数28日、売掛金回転日数64日、買掛金回転日数50日、CCC 42日。総資産回転率は小売・不動産の複合モデルとして標準的、DSOは64日で前年の66日から改善したが業種中央値21日を大きく上回り、債権管理強化の余地がある。
営業CF: 11,265.89億円(前年比+99.0%)、純利益比15.5倍で現金裏付けは極めて強い。内訳は営業CF小計12,636.08億円、運転資本変動として売上債権の減少1,075.62億円、仕入債務の増加2,163.81億円、棚卸資産の増加-192.61億円で運転資本が資金源となった。法人税等支払-1,022.54億円、利息受取135.72億円、利息支払-483.36億円を含む。営業CF/EBITDA 1.78倍と高水準だが、買掛金・預り金増等の一過性押し上げ要因を除くと実力値は下方へ修正される可能性あり。 投資CF: -10,886.65億円で、有形無形固定資産取得-5,285.36億円、投資有価証券取得-49.52億円、売却収入140.71億円、連結範囲変動に伴う支出-268.20億円、売却収入70百万円、短期投資有価証券純増減-773.10億円等。成長投資継続で年間投資額5,285.36億円は減価償却費3,629.45億円を大きく上回る。 財務CF: 400.89億円で、長期借入7,831.95億円、返済-4,581.42億円、社債発行3,089.80億円、償還-1,918.71億円、配当-356.83億円、自社株買い-8.44億円、子会社持分変動による支出-1,067.54億円・収入44.37億円等。調達・返済の大きな出入りの中で正のネットとなり、手元流動性を確保。 FCF: 379.24億円(営業CF11,265.89億円-有形無形取得5,285.36億円等の簡便計算)で、前年-478.81億円から黒字化。配当356.83億円に対しFCFカバレッジ1.06倍で、ほぼカバーできたが、運転資本要因を除けば余裕は限定的。現金創出評価: 営業CF高水準で「強い」が、運転資本の持続性を注視し「要モニタリング」の側面もある。
経常利益2,430.31億円に対し純利益249.72億円と大きく乖離(-89.7%)、主因は特別損益の純額-355.74億円(減損損失974.86億円、段階取得益690.86億円、固定資産除売却損47.07億円等)と非支配株主帰属518.58億円である。経常段階までは経常的な事業収益だが、最終利益は段階取得益という一時的プラス要因と減損損失という一時的マイナス要因が混在し、ボラティリティが高い。営業外収益375.77億円(売上高の0.35%)で、受取利息54.51億円、受取配当金35.13億円、持分法投資利益91.43億円、投資事業組合運用益28.68億円等で構成され、5%超ではないため質は標準的。営業外費用650.05億円は支払利息513.76億円(前年比+82.54億円)が大半で、金利負担増が営業利益から経常利益への振替を圧迫している。アクルーアル品質: 営業CF11,265.89億円が純利益249.72億円を大きく上回り、アクルーアル比率-6.9%で収益の現金裏付けは高いが、運転資本増要因が大きいため持続性には留意。経常利益と純利益の乖離要因は一時損益と非支配損益で、経常収益力に対し純利益の質は一時的要因に左右される構造。
通期予想に対する進捗率: 当期は通期実績で評価。2027年2月期計画は売上高12.0兆円(前期比+12.0%)、営業利益3,400億円(+25.7%)、経常利益2,900億円(+19.3%)、親会社純利益730億円(+0.4%)。当期実績からの営業利益増分+695.41億円、経常利益増分+469.69億円、純利益増分+3.23億円を見込む。営業利益は売上増12.0%に対し+25.7%の増益で、利益率改善を前提とした計画。売上12.0兆円の達成には、H&W事業拡大(ツルハPMI・ウエルシア食品強化)、まいばすけっと出店拡大、ベトナム事業高成長継続、国内小売の既存店活性化が必要。営業利益3,400億円には、SC開発の高稼働維持と新規開発、H&Wのシナジー創出、SM・DS事業の収益構造改革(PB比率引き上げ・共同調達・プロセスセンター活用・DX推進)が前提となる。進捗リスクとして、小売本体の人件費・価格競争圧力の継続、金利上昇による支払利息増、中国事業の消費低迷長期化、一過性コストの再発が挙げられる。グループ通算制度導入(2026年度より)で税務最適化効果を見込み、将来の純利益押し上げに寄与する計画だが、営業・経常段階の実力値改善が最優先課題。受注残高データの開示はないが、SC開発のテナント契約稼働率が高位安定しており、短期の売上可視性は一定程度確保されている。
当期配当は中間20円(普通18円+記念2円)、期末7円(株式分割後、分割前ベース21円相当)の計27円(分割前ベース換算で年41円)。配当性向(配当金のみ/親会社純利益)は103.4%と純利益水準を上回るが、段階取得益による一時的純利益押し上げを考慮すると実力ベースでは高め。自社株買いは-8.44億円と小規模で、総還元性向は約103.8%と配当中心の還元。2027年2月期配当予想は年15円(分割後、中間7.5円+期末7.5円、うち記念配当各0.5円、分割考慮前ベース約45円)で、前期分割前基準比+4円相当の増配計画。フリーCF379.24億円に対し配当356.83億円でカバレッジは1.06倍とギリギリだが、営業CFの厚みにより支払能力は確保。ただし運転資本要因を除くとFCFは圧縮されるため、中期的には小売本体の収益力改善と金利負担抑制による実力FCF拡大が配当持続性の条件となる。現預金13,500.37億円と短期有価証券12,891.02億円で流動性は潤沢、配当継続は可能だが配当性向>100%の状態は持続性に課題を残す。
【短期(1年以内)】ツルハ・ウエルシアのPMI早期進捗とシナジー創出(調達統合・店舗間連携・システム統一)、まいばすけっと1,323店から更なる出店拡大とプロセスセンター活用による利益改善、イオンリテール店舗DX拡大(レジゴー294店→更なる拡大、電子棚札288店、AIオーダー・AIカカク導入)、PB「トップバリュ」構成比引き上げ継続(全体110%成長)と荒利率改善、国内SC既存専門店売上105.7%の維持と体験型コンテンツ強化、ベトナム専門店売上117.6%成長の継続とSC新規開発、グループ通算制度による税務最適化効果の発現。 【長期(2年超)】SM・DS事業の収益構造改革(共同調達・プロセスセンター全面導入・人時生産性向上)による利益率改善、ベトナム事業の大幅拡大と都市化進展に伴う持続的高成長、国内SC開発の既存アセット活用とリニューアル投資のROI向上、総合金融のリテールメディア事業拡大とAEON Pay利用浸透(会員1,208万人から更なる拡大)、海外(アセアン)での事業基盤確立と地域別利益貢献の拡大、人件費・設備費上昇を吸収する価格転嫁とDX効果の定着。
【業種内ポジション】(参考情報・当社調べ) 収益性: ROE 3.3%(業種中央値5.9%、2025-FY、retail n=47)を下回り、業種内では低位。営業利益率2.5%(業種中央値4.6%)も下回るが、過去3年で+17bp改善と向上傾向。純利益率0.7%(業種中央値3.3%)は大きく劣後、一時損益依存が主因。 効率性: 総資産回転率0.697倍(業種中央値1.17倍)を下回るが、複合小売・金融・不動産モデルの資産集約性を反映。棚卸資産回転日数28日(業種中央値65.68日)は優秀、売掛金回転日数64日(業種中央値21.05日)は劣後。買掛金回転日数50日(業種中央値39.35日)で調達力は高い。 健全性: 自己資本比率14.3%(業種中央値50.2%)、流動比率104.2%(業種中央値184%)と大きく劣後、財務レバレッジ6.97倍(業種中央値1.88倍)は業種内最高水準で金利感応度高い。ネットデット/EBITDA 3.50倍(業種中央値-0.59倍)と負債依存が顕著。 成長性: 売上高成長率+5.7%(業種中央値4.3%)と上位、EPS成長率+154.2%(業種中央値6%)は段階取得益の一時押し上げで参考値。 キャッシュ: FCF利回り(時価総額データなし)、キャッシュコンバージョン率1.78倍(営業CF/EBITDA、業種中央値1.57倍)で上位、運転資本要因を除いても標準以上の創出力。 投資: 設備投資/減価償却1.46倍(業種中央値1.16倍)で成長投資局面、将来の売上拡大に寄与する見込み。 比較総評: 成長性・キャッシュ創出力で業種上位だが、資本効率・財務健全性で大きく劣後。セグメントミックス改善と小売本体の利益率向上が業種内ポジション改善の鍵。 ※業種: retail(小売業、47社)、比較対象: 2025-FY決算期、出所: 当社集計データに基づく参考情報
本レポートはXBRL決算短信データとPDF決算説明資料をAIが統合分析して自動生成した決算解析資料です。特定銘柄への投資を推奨するものではありません。業種ベンチマークは公開決算データを基に当社が集計した参考情報です。投資判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談の上、行ってください。