- 売上高: 4,128.87億円
- 営業利益: 140.49億円
- 当期純利益: 124.41億円
- 1株当たり当期純利益: 222.15円
| 項目 | 当期 | 前期 | 増減率 |
|---|
| 売上高 | 4,128.87億円 | 4,216.11億円 | -2.1% |
| 売上原価 | 3,712.20億円 | 3,815.65億円 | -2.7% |
| 売上総利益 | 416.66億円 | 400.45億円 | +4.0% |
| 販管費 | 276.17億円 | 261.82億円 | +5.5% |
| 営業利益 | 140.49億円 | 138.63億円 | +1.3% |
| 営業外収益 | 19.08億円 | 17.06億円 | +11.8% |
| 営業外費用 | 11.48億円 | 15.90億円 | -27.8% |
| 経常利益 | 148.09億円 | 139.79億円 | +5.9% |
| 税引前利益 | 170.05億円 | 165.93億円 | +2.5% |
| 法人税等 | 45.64億円 | 42.71億円 | +6.9% |
| 当期純利益 | 124.41億円 | 123.22億円 | +1.0% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 119.53億円 | 115.78億円 | +3.2% |
| 包括利益 | 173.81億円 | 78.94億円 | +120.2% |
| 減価償却費 | 21.79億円 | 20.17億円 | +8.0% |
| 支払利息 | 7.52億円 | 7.39億円 | +1.8% |
| 1株当たり当期純利益 | 222.15円 | 212.04円 | +4.8% |
| 1株当たり配当金 | 60.00円 | 60.00円 | +0.0% |
| 項目 | 当期末 | 前期末 | 増減 |
|---|
| 流動資産 | 3,706.98億円 | 3,599.77億円 | +107.21億円 |
| 現金預金 | 661.88億円 | 598.39億円 | +63.49億円 |
| 売掛金 | 1,769.25億円 | 1,738.13億円 | +31.12億円 |
| 棚卸資産 | 834.05億円 | 797.82億円 | +36.23億円 |
| 固定資産 | 923.67億円 | 819.94億円 | +103.73億円 |
| 項目 | 当期 | 前期 | 増減 |
|---|
| 営業活動によるキャッシュフロー | 127.82億円 | 125.93億円 | +1.89億円 |
| 財務活動によるキャッシュフロー | -29.59億円 | -3.58億円 | -26.01億円 |
| 項目 | 値 |
|---|
| 純利益率 | 2.9% |
| 粗利益率 | 10.1% |
| 流動比率 | 216.3% |
| 当座比率 | 167.6% |
| 負債資本倍率 | 1.03倍 |
| インタレストカバレッジ | 18.68倍 |
| EBITDAマージン | 3.9% |
| 実効税率 | 26.8% |
| 項目 | 前年同期比 |
|---|
| 売上高前年同期比 | -2.1% |
| 営業利益前年同期比 | +1.3% |
| 経常利益前年同期比 | +5.9% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益前年同期比 | +3.2% |
| 包括利益前年同期比 | +120.2% |
| 項目 | 値 |
|---|
| 発行済株式数(自己株式含む) | 53.71百万株 |
| 自己株式数 | 332千株 |
| 期中平均株式数 | 53.81百万株 |
| 1株当たり純資産 | 4,265.91円 |
| EBITDA | 162.28億円 |
| 項目 | 金額 |
|---|
| 第2四半期配当 | 60.00円 |
| 期末配当 | 65.00円 |
| セグメント | 売上高 | 営業利益 |
|---|
| Chemicals | 607.04億円 | 17.21億円 |
| InformationTechnology | 1,214.06億円 | 40.17億円 |
| LifeIndustry | 294.80億円 | 12.38億円 |
| Plastics | 2,012.04億円 | 70.04億円 |
| 項目 | 予想値 |
|---|
| 売上高予想 | 8,700.00億円 |
| 営業利益予想 | 255.00億円 |
| 経常利益予想 | 255.00億円 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益予想 | 195.00億円 |
| 1株当たり当期純利益予想 | 365.86円 |
| 1株当たり配当金予想 | 65.00円 |
このデータはXBRLファイルから自動抽出されたものです。正確性については開示資料の原本をご確認ください。
2026年度第2四半期の稲畑産業は、売上減少下でも営業利益を微増させるディフェンシブな決算で、収益性とキャッシュ創出は堅調と評価する。売上高は4,128.87億円で前年比-2.1%と減収だが、営業利益は140.49億円で+1.3%の増益、経常利益は148.09億円で+5.9%と伸びは加速した。営業利益率は3.40%(=140.49/4,128.87)で、前年の約3.29%から約+11bp改善したと推定される。粗利益率は10.1%と、商社としては安定的な水準を維持し、販管費率は6.69%(=276.17/4,128.87)に抑制された。非営業損益は純増で、営業外収益19.08億円(うち受取配当6.89億円、受取利息4.63億円)と営業外費用11.48億円により経常段階を押し上げた。最終利益は119.53億円(+3.2%)で、純利益率は2.9%と増収局面に比べると見劣りするが、安定性は確保されている。営業キャッシュフローは127.82億円で、純利益比1.07倍と利益のキャッシュ化は良好である。財務体質は強固で、流動比率216.3%、当座比率167.6%、負債資本倍率1.03倍、インタレストカバレッジ18.68倍と、短期・長期の支払能力に大きな懸念はない。手元資金661.88億円に対し、有利子負債は短期273.08億円・長期257.42億円で、実質的にほぼネットキャッシュに近い保守的な構造である。商社KPIのROICは4.8%と目標レンジ(7–8%以上)を下回り、資本効率は課題が残る。営業外収入比率は16.0%と一定の寄与が見られ、金利収入や配当などの金融収益が経常段階を補完している。売上が減少する中での利益確保は、粗利管理と販管費コントロールが奏功した一方、持分法投資利益の開示がなく、資源・非資源の寄与度の把握に不確実性が残る。減価償却費21.79億円、EBITDAは162.28億円(マージン3.9%)で、不可逆コスト負担は軽く、景気後退耐性は相対的に高い。配当性向は計算値で56.2%と上限近辺だが、営業CFが純利益を上回るため当面の分配余力は維持可能とみる。総じて、収益性はわずかに改善、キャッシュ創出は健全、財務は保守的だが、ROICの低さと非営業依存度の上昇が中期的な課題である。今後は、投下資本効率の改善(在庫・売掛の回転向上、選択的投資)、および持分法寄与の開示強化が投資家の安心感に繋がるだろう。
デュポン分解の観点では、ROE 5.2% = 純利益率2.9% × 総資産回転率0.892 × 財務レバレッジ2.03で説明できる。3要素の中で最も改善が示唆されるのは利益率で、営業利益の微増(+1.3%)により営業利益率は約+11bp拡大し、経常段階も非営業収益の純増で押し上げられた。一方、総資産回転率は0.892と商社としては妥当だが、売上減少と高水準の運転資本(売掛1,769億円、在庫834億円)が回転低下圧力となりやすい。財務レバレッジは2.03倍と抑制され、ROEを過度に押し上げていない点は健全だが、レバレッジに頼らずにROEを高めるにはROIC改善(粗利ミックス・回転率向上)が不可欠である。利益率の改善要因は、粗利維持と販管費率の抑制に加え、金利上昇局面での受取利息増および受取配当の安定寄与による。これらのうち販管費コントロールは持続可能性がある一方、非営業収益の一部(利息・配当)は金利水準や投資ポートフォリオに依存し、循環的である。販管費の成長率は開示不足だが、当期の販管費率6.69%は売上減少下でも上振れていないため、コスト規律は保たれている。懸念点として、ROICが4.8%と資本コスト想定を下回り、投下資本の回転(在庫・与信)改善なしにROEの上方シフトは限定的になりやすい。
売上は-2.1%と縮小し、数量または価格のいずれかの逆風が示唆されるが、粗利率10.1%の維持からはミックス改善や値差管理の徹底がうかがえる。営業利益は+1.3%増で、コスト効率改善による営業レバレッジの正の寄与が確認できる。経常利益+5.9%は非営業収益の押し上げによるもので、営業起点の成長質は中立~ややプラスと評価する。EBITDAは162.28億円で、資本集約度は低く、オーガニック成長に必要な投資負担は相対的に軽い。ROIC 4.8%は警戒ライン(<5%)に位置し、今後の成長は投下資本の選別と回転向上が鍵。短期的には在庫圧縮と売掛回収強化によりキャッシュ創出を伴う成長が可能。中期的には、非営業収益への依存を抑え、営業利益源泉(高付加価値商材・ソリューション型収益)の拡大が望ましい。持分法投資利益の未開示により、関連会社の貢献・セグメント別の成長ドライバー把握は限定的で、見通し評価の確度を下げている。
流動比率216.3%、当座比率167.6%と高水準で、短期支払能力は非常に良好。総資産4,630.66億円に対し純資産2,277.25億円で、財務レバレッジは2.03倍、負債資本倍率1.03倍と保守的である。短期借入金273.08億円に対し手元流動性(現金661.88億円、売掛1,769.25億円、在庫834.05億円)が十分で、満期ミスマッチのリスクは限定的。長期借入金257.42億円も手元資金で相当程度カバー可能。インタレストカバレッジ18.68倍と金利負担耐性は高い。オフバランスのリース債務・保証については開示情報不足で定量評価は不可。自己資本比率は未開示だが、純資産/総資産から概算約49%と推定でき、資本基盤は厚い。
営業CF127.82億円は純利益119.53億円の1.07倍で、キャッシュ化は健全域(>1.0倍)。運転資本(売掛1,769億円、在庫834億円、買掛1,234億円)が大きく、期中の在庫・与信変動が営業CFに与える影響は大きいが、当期は純利益を上回る現金創出を確保。投資CF全体は未開示だが、設備投資は-43.44億円で、営業CFから控除した近似FCFは約+84億円(前提:その他投資キャッシュフロー中立)と推計される。財務CFは-29.59億円で、自社株買い-32.21億円を実施しつつも、純流出は自社株買い額と概ね整合的。営業CF/売上は3.1%と薄利だが、商社モデルとしては許容範囲。営業CF/純利益<0.8の品質懸念は該当せず、運転資本操作の強い兆候も現時点では認めにくい(ただし投資CF未開示のため完全な判断は不可)。
配当金総額は未開示だが、配当性向は計算値で56.2%と上限目安に接近しつつ許容範囲。営業CFが純利益を上回り、近似FCF(約+84億円)もプラスと推計されるため、通常投資と平常時の配当は自己資金で賄える公算が高い。自社株買い-32.21億円を加えた株主還元合計の持続可能性は、投資CF全体(有価証券取得・M&Aなど)の実態次第で変動。ネットキャッシュ基調と高い流動性を踏まえると、短期的な減配リスクは低いが、ROICが資本コストを下回る現状では、配当の引き上げ余地よりも投下資本効率改善への優先配分が合理的。FCFカバレッジは投資CF未開示のため厳密評価不可である。
ビジネスリスク:
- 売上減少環境下での数量・価格下落継続リスク(粗利率の下押し)
- 非営業収益(利息・配当)への相対的依存度上昇による利益ボラティリティ
- 在庫・売掛金の高水準に伴う需給変動・与信悪化リスク
- セグメント別/持分法投資の不透明性に起因する予想外の関連会社損益変動
- 資源・化学系商材価格のサイクル変動によるマージン圧迫
財務リスク:
- 運転資本の膨張による営業CFの変動性上昇
- 金利上昇局面での支払利息増(ただし現状のカバレッジは高い)
- 投資CF未開示に伴う大型投資・有価証券ポジションの評価損リスクの把握困難
- 為替変動による換算差・在庫評価への影響
主な懸念事項:
- ROIC 4.8%と資本効率の不足(資本コスト割れ)
- 売上-2.1%のなかでの成長鈍化シグナル
- 持分法投資利益と資源/非資源の利益構成の未開示による分析不確実性
- 営業外収入比率16.0%と非営業寄与の高まり
重要ポイント:
- 減収下でも営業・経常段階は増益、営業利益率は約+11bp改善とコスト規律は良好
- 営業CF/純利益=1.07倍で利益のキャッシュ化は健全、流動性も厚い
- ROIC 4.8%は警戒域で、回転率改善と収益ミックス高度化が急務
- 非営業収益の寄与が経常を底上げ、ただし持続性は外部環境に依存
- ネットキャッシュ基調と高い金利耐性で下方耐性は高い
注視すべき指標:
- ROIC(目標>7–8%):在庫回転・売掛回収の改善度合い
- 総資産回転率と運転資本日数(AR/在庫/APの回転)
- 営業外収益比率と内訳(受取利息・配当・有価証券評価/売却)
- 持分法投資利益の開示と資源/非資源の寄与
- EBITDAマージンと販管費率のトレンド
- 為替・資源価格感応度(ヘッジ方針含む)
セクター内ポジション:
専門商社として財務は保守的で流動性・金利耐性は同業上位だが、ROICと利益率は中位〜中下位で、トヨタ通商など大手総合商社に比べ資本効率と事業ポートフォリオの分散度で見劣り。ナガセ等の同規模化学系商社と比較しても、当期の収益性は妥当だが、投下資本効率の改善余地が大きい。
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