- 売上高: 1,547.52億円
- 営業利益: 127.67億円
- 当期純利益: 89.32億円
- 1株当たり当期純利益: 135.48円
| 項目 | 当期 | 前期 | 増減率 |
|---|
| 売上高 | 1,547.52億円 | 1,584.76億円 | -2.3% |
| 売上原価 | 1,140.97億円 | 1,173.06億円 | -2.7% |
| 売上総利益 | 406.54億円 | 411.69億円 | -1.3% |
| 販管費 | 278.86億円 | 274.82億円 | +1.5% |
| 営業利益 | 127.67億円 | 136.87億円 | -6.7% |
| 営業外収益 | 6.84億円 | 9.18億円 | -25.5% |
| 営業外費用 | 9.64億円 | 3.38億円 | +185.2% |
| 経常利益 | 124.87億円 | 142.66億円 | -12.5% |
| 税引前利益 | 126.86億円 | 145.50億円 | -12.8% |
| 法人税等 | 37.54億円 | 37.33億円 | +0.6% |
| 当期純利益 | 89.32億円 | 108.17億円 | -17.4% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 89.28億円 | 108.14億円 | -17.4% |
| 包括利益 | 22.65億円 | 216.54億円 | -89.5% |
| 支払利息 | 1.71億円 | 2.17億円 | -21.2% |
| 1株当たり当期純利益 | 135.48円 | 158.07円 | -14.3% |
| 潜在株式調整後1株当たり当期純利益 | 135.43円 | 158.00円 | -14.3% |
| 1株当たり配当金 | 50.00円 | 50.00円 | +0.0% |
| 項目 | 当期末 | 前期末 | 増減 |
|---|
| 流動資産 | 1,853.80億円 | 1,927.67億円 | -73.87億円 |
| 現金預金 | 498.93億円 | 555.11億円 | -56.18億円 |
| 売掛金 | 670.90億円 | 647.01億円 | +23.89億円 |
| 棚卸資産 | 613.48億円 | 640.54億円 | -27.06億円 |
| 固定資産 | 1,416.93億円 | 1,477.03億円 | -60.10億円 |
| 項目 | 値 |
|---|
| 純利益率 | 5.8% |
| 粗利益率 | 26.3% |
| 流動比率 | 285.2% |
| 当座比率 | 190.8% |
| 負債資本倍率 | 0.36倍 |
| インタレストカバレッジ | 74.66倍 |
| 実効税率 | 29.6% |
| 項目 | 前年同期比 |
|---|
| 売上高前年同期比 | -2.4% |
| 営業利益前年同期比 | -6.7% |
| 経常利益前年同期比 | -12.5% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益前年同期比 | -17.4% |
| 包括利益前年同期比 | -89.5% |
| 項目 | 値 |
|---|
| 発行済株式数(自己株式含む) | 72.49百万株 |
| 自己株式数 | 7.01百万株 |
| 期中平均株式数 | 65.90百万株 |
| 1株当たり純資産 | 3,663.86円 |
| 項目 | 金額 |
|---|
| 第2四半期配当 | 50.00円 |
| 期末配当 | 50.00円 |
| セグメント | 売上高 | 営業利益 |
|---|
| ElectronicAndOpticsRelated | 29百万円 | 104.56億円 |
| PaperAndWorkTimber | 73.96億円 | 5.92億円 |
| PublishingMaterialAndIndustrialMaterial | 35百万円 | 16.73億円 |
| 項目 | 予想値 |
|---|
| 売上高予想 | 3,170.00億円 |
| 営業利益予想 | 240.00億円 |
| 経常利益予想 | 240.00億円 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益予想 | 180.00億円 |
| 1株当たり当期純利益予想 | 267.28円 |
| 1株当たり配当金予想 | 55.00円 |
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2026年度Q2のリンテックは、売上・利益ともに前年同期比で減収減益となり、営業段階から最終利益まで収益性の鈍化が確認される四半期だった。売上高は1,547.52億円で前年比-2.4%、営業利益は127.67億円で-6.7%、経常利益は124.87億円で-12.5%、当期純利益は89.28億円で-17.4%と落ち込みが加速した。粗利益率は26.3%(406.54/1,547.52)で、販管費率は18.0%(278.86/1,547.52)、営業利益率は8.25%(127.67/1,547.52)となった。営業利益率は前年同期比で縮小した可能性が高いが、bpの正確な変化幅は開示不足により算定不可である。経常段階では営業外収益6.84億円に対し営業外費用9.64億円が上回り、営業外でのマイナス寄与が経常利益の減益率拡大(-12.5%)につながった。最終利益は実効税率29.6%が適用され、税負担と営業外費用の影響で落ち込みが大きくなっている。資産効率面では総資産回転率0.473倍にとどまり、財務レバレッジ1.36倍と合わせたデュポン分解の結果、ROEは3.7%と低位に甘んじる。ROICも4.7%と、一般的な資本コストの水準(7-8%目安)を下回り、資本効率の弱さが明確である。流動性は流動比率285.2%、当座比率190.8%と極めて厚く、短期の支払能力に懸念は見当たらない。インタレストカバレッジは74.66倍と財務費用負担は極小で、実質無借金に近い状況(有利子負債31.06億円)も確認できる。他方、包括利益は22.65億円と純利益(89.28億円)を大幅に下回り、その他包括損失が発生している点は株主資本の増勢を鈍らせる要因である。キャッシュフロー計算書や営業CFは未開示のため、利益の質(営業CF/純利益)やFCFの健全性は判定不能であり、慎重な見極めが必要だ。配当性向は計算値で81.2%と高く、FCF不明のなかでは持続性にやや慎重姿勢が必要と考える。B/Sでは売掛金670.90億円、棚卸613.48億円と運転資本が厚く、需要減速局面では在庫適正化の遅れがキャッシュの逆風となり得る。非営業収益比率7.7%は本業以外の寄与が一定程度あることを示すが、今期は営業外費用が上回り純減となっている。総じて、売上鈍化、営業外の逆風、税負担の影響で純利益が想定以上に縮小し、ROIC/ROE両面で資本効率が課題化した四半期である。今後は需要回復に加え、販管費の抑制、在庫・与信の引き締めを通じた資産回転改善と、投下資本効率の引上げが中期テーマになる。
ROE分解(デュポン):ROE 3.7% = 純利益率5.8% × 総資産回転率0.473 × 財務レバレッジ1.36倍。最も弱いのは総資産回転率(0.473倍)で、次いで純利益率(5.8%)がROEの抑制要因となっている。売上が-2.4%減の一方、B/Sは総資産3,270.73億円と厚く、運転資本(1,203.76億円)の積み上がりが回転低下の一因とみられる。営業利益率8.25%に対し純利益率は5.8%まで低下しており、営業外費用(9.64億円)超過と29.6%の税率がスプレッドを圧縮している。これらの変化のビジネス上の理由としては、需要減速下での価格・ミックス悪化と、固定費の吸収率低下、加えて非営業コスト(為替差損・評価損等の可能性)の顕在化が考えられる。持続性の評価として、需要環境が改善すれば営業レバレッジにより営業利益率は回復余地がある一方、総資産回転率の改善には在庫・売掛の削減といった運転資本改革が不可欠で、短期に急回復するとは限らない。懸念されるトレンドは、売上成長率(-2.4%)に対して販管費が名目上横ばい〜高止まりと推測され(販管費率18.0%)、営業レバレッジが逆回転している点である。
売上は-2.4%減で、外部需要の弱含みまたは製品ミックスの悪化が示唆される。営業利益は-6.7%と減少幅が売上以上に拡大しており、固定費負担や価格競争の影響がうかがえる。営業外収支は純支出(-2.80億円)で経常利益の減益率を拡大させた。純利益は-17.4%と最も弱く、税負担と営業外費用の影響が重なっている。利益の質は、営業CFデータ未開示により判定不能だが、包括利益が純利益を大幅に下回る点はエクイティ価値の成長に逆風。短期見通しは、コストコントロールと在庫最適化の進捗が鍵で、価格改定や高付加価値品のミックス改善が実現すれば営業利益率の下支えが期待できる。中期的には、ROIC改善(4.7%→>7%)に向けた投下資本の絞り込みと、資産回転率の改善が成長の質を高める条件となる。
流動比率285.2%、当座比率190.8%と短期流動性は非常に良好で、流動比率<1.0の警告条件には該当しない。負債資本倍率0.36倍、有利子負債合計31.06億円とレバレッジは極めて低く、D/E>2.0の警告条件にも該当しない。満期ミスマッチについては、流動資産1,853.80億円に対し流動負債650.04億円と、短期債務を大幅に上回るためリスクは軽微。買掛金407.00億円・棚卸613.48億円・売掛金670.90億円と運転資本が厚く、需要鈍化局面では在庫回転の低下が資金繰りに影響し得る。オフバランス債務は開示なしのため不明。のれん87.39億円、無形固定資産116.55億円は自己資本に対し相対的に小さく、減損リスクのバッファは一定程度ある。
営業CF、投資CF、FCFの開示がないため、営業CF/純利益比率やFCFの持続性評価は現時点で不可能。一般論として、売掛金・在庫が厚い局面では営業CFが利益を下回りやすく、営業CF/純利益<0.8となるリスクがあるため、次四半期での運転資本の変化(特に在庫の縮小と回収サイトの短縮)を注視すべき。配当と設備投資のFCFカバレッジも算定不能であり、配当継続性の判断材料として営業CFの回復確認が必要。運転資本操作(売掛金・棚卸の増減)による利益平準化の兆候はデータ不足で判断できないが、在庫水準の高さは来期に向けて減損・値引きリスクを内包する可能性がある。
配当性向(計算値)は81.2%と当社ベンチマーク(<60%)を上回り、利益・CF変動に対して耐性が低下しやすい水準。FCFカバレッジは非開示のため判定できないが、営業CFが弱含む場合は持続性に注意が必要。実質的なネットキャッシュ基調と低レバレッジは短期的な配当支払い能力の支えになる一方、ROICが4.7%と資本コストを下回るなかで高配当を継続する場合、将来の成長投資余力とのトレードオフが生じ得る。次期の方針は、業績モメンタムと営業CFの回復度合いに連動した柔軟な配当設計(連結配当性向レンジや機動的自己株買い併用)が望ましい。
ビジネスリスク:
- 需要減速による稼働率低下と固定費の吸収悪化(営業レバレッジの逆回転)
- 製品ミックス悪化・価格競争による粗利率の圧迫
- 在庫水準の高止まりに伴う値引き・減損リスク
- グローバル経済減速・エレクトロニクス市況の変動による出荷影響
財務リスク:
- 運転資本の膨張に伴う営業CFの毀損リスク(売掛・棚卸が厚い)
- その他包括損失の拡大による自己資本の伸び鈍化
- 高い配当性向(81.2%)によるキャッシュアウト増加と柔軟性低下
- 非営業費用(評価損・為替差損等)の増加による経常利益圧迫
主な懸念事項:
- ROIC 4.7%と資本コストを下回る資本効率の低さ
- 総資産回転率0.473倍と資産効率の弱さ(運転資本偏重)
- 営業CF非開示により利益の質の検証ができないデータ制約
- 包括利益が純利益を大幅に下回る構図(OCI悪化)
重要ポイント:
- 減収・減益で営業から最終まで利益率が圧縮、営業外費用と税負担が純利益を下押し
- ROE 3.7%、ROIC 4.7%と資本効率は目標水準を下回る
- 流動性と財務安全性は極めて強固(実質無借金、ICR 74.7倍)
- 包括利益は低水準で、OCI悪化が自己資本成長を抑制
- 運転資本の厚さが総資産回転率とCFの潜在的な重荷
- 配当性向81.2%は持続性に注意が必要(FCF情報待ち)
注視すべき指標:
- 営業CF/純利益比率(>1.0の回復可否)
- 在庫回転日数・売掛回転日数(運転資本圧縮の進捗)
- 粗利益率と価格改定の浸透、製品ミックス(高付加価値比率)
- 販管費率の低減(固定費コントロール)
- ROIC(>7%に向けた投下資本効率の改善)
- 営業外収支(為替・評価損益)の安定度
- OCIの内訳(有価証券評価・為替換算調整)
セクター内ポジション:
同業国内材料メーカー群の中では、財務安全性は最上位水準だが、足元の資本効率(ROIC/ROE)は中位を下回る。需要底打ち局面での回復弾性はあるが、運転資本の圧縮とコスト最適化の実行度が相対的評価の鍵となる。
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