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79512026 通期プライムIFRS

ヤマハ(7951) 2026年度通期決算 増収・営業益42%増

2026年度通期の売上高は4,653億円(前年同期比+0.7%)、営業利益は292.7億円(同+41.5%)。以下、セグメント別の増減要因とキャッシュフローを確認します。

ヤマハ株式会社

情報通信・サービスその他/その他製品


クイックビュー

指標当期前年同期YoY
売上高¥4653.3億¥4620.8億+0.7%
営業利益¥292.7億¥206.9億+41.5%
税引前利益¥352.9億¥224.6億+57.1%
純利益¥238.1億¥134.7億+76.8%
ROE5.0%3.0%-

Executive Summary

当期は前期に計上した多額の減損損失・その他費用の反動により大幅増益となったが、事業の基礎的な収益力は低下しており、増益の質には留意が必要である。売上高は4653.3億円(前年比+0.7%)、営業利益は292.7億円(同+41.5%)、純利益(親会社株主帰属)は237.2億円(同+77.7%)となった。営業利益率は6.3%と前期4.5%から改善したが、事業利益(セグメント合計ベース)は318.8億円で前期比13.3%減少しており、増益の主因は前期の減損損失128.1億円が当期2.9億円へ縮小したことによる一時的要因である。

業績変動要因

【売上高】売上高は4653.3億円で前年比+0.7%の微増収。主力の楽器事業(構成比65.5%)が+3.0%増収し牽引した一方、音響機器事業(同30.6%)は-3.6%減収、その他事業も-1.4%減収となった。

【損益】売上総利益率は37.6%と前期38.1%から低下し、販管費率も30.8%へ上昇したことで、事業利益(日本基準の営業利益相当)は318.8億円と前期比13.3%減少した。連結営業利益292.7億円(+41.5%)への押し上げは、その他費用が182.9億円から52.4億円へ130.6億円減少したことが中心で、うち減損損失が128.1億円から2.9億円へ縮小した影響が大きい。金融収支も純額60.1億円と前期17.7億円から改善し、税引前利益352.9億円(同+57.1%)、純利益237.2億円(同+77.7%)に寄与した。増収増益ではあるが、増益の主因は一時的な費用縮小であり、基礎収益力(事業利益)は減益基調にある。

セグメント別分析

楽器事業は売上3049.2億円(前年比+3.0%)、事業利益212.2億円(同-3.9%)で事業利益率は7.5%から7.0%へ低下した。音響機器事業は売上1424.4億円(同-3.6%)、事業利益107.7億円(同-25.0%)、利益率は9.7%から7.6%へ約216bp低下し、全社利益率悪化の主因となった。その他事業は売上179.6億円(同-1.4%)で、前期の事業利益2.9億円から当期は1.1億円の損失に転じた。増収を主導した楽器の利益率低下と、音響機器の減収・利益率悪化が、全社事業利益の13.3%減少に直結している。

主要財務指標

【収益性】営業利益率6.3%(前期4.5%)、純利益率5.1%(前期2.9%)といずれも改善したが、売上総利益率は37.6%(前期38.1%)、販管費率30.8%(前期30.2%)と基礎的な採算はやや悪化している。【キャッシュ品質】営業CFは457.8億円で純利益237.2億円の1.93倍と現金化は良好だが、前年比では-17.2%減少しており法人税支払額の増加(174.2億円、前期147.7億円)が影響した。【投資効率】ROEは5.1%(前期2.8%)、EPSは¥52.70(同+91.1%)。棚卸資産は1522.7億円で総資産の24.7%を占め、資産回転率を抑制している。【財務健全性】自己資本比率は77.5%(前期75.9%)、現金及び現金同等物は1089.5億円に達し、財務基盤は保守的である。

キャッシュフロー分析

営業CFは457.8億円で、純利益237.2億円を十分に上回る現金創出力を示した一方、前期552.8億円から17.2%減少しており、法人税等の支払額が174.2億円(前期147.7億円)へ増加したことが主因である。棚卸資産の減少102.6億円がキャッシュ流入に寄与したが、仕入債務の減少45.5億円は流出要因となった。投資CFは設備投資141.3億円を中心に-79.1億円、フリーキャッシュフローは378.7億円となり、財務CFでは配当支払117.8億円と自己株式取得150.0億円を含め-377.8億円の流出となった。この結果、現金及び現金同等物は期末1089.5億円へ、為替換算差額89.2億円の押し上げも加わり増加した。フリーCFは配当・自己株式取得の合計267.8億円を十分にカバーしており、資本還元の資金余力は確保されている。

収益の質

当期の営業利益増加(+41.5%)は、前期に計上した減損損失128.1億円が当期2.9億円へ縮小したことなど、その他費用の減少(182.9億円→52.4億円)による一時的要因が中心であり、経常的な事業活動による収益力改善とは区別して評価する必要がある。実際、売上総利益から販管費を控除した事業利益は318.8億円で前年比13.3%減少しており、基礎的な採算はむしろ悪化している。金融収益67.3億円・金融費用7.2億円による純額60.1億円の金融収支改善も純利益押し上げに寄与した。一方、営業CFは純利益の1.93倍でアクルーアル(会計発生高)は小さく、利益の裏付けとなる現金創出力自体は良好である。包括利益は563.0億円と純利益238.1億円を大きく上回るが、これは在外営業活動体の換算差額244.0億円という為替要因によるもので、事業実態を反映した収益とは性質が異なる。

業績予想・ガイダンス

会社は次期予想として売上高4900.0億円(前年比+5.3%)、営業利益380.0億円(同+29.8%)、純利益予想280.0億円(同+18.0%)、EPS予想¥63.65を公表している。次期の営業利益380.0億円は当期の事業利益318.8億円を大きく上回る水準であり、達成には楽器事業の利益率回復と音響機器事業の減収・マージン低下の反転、および販管費の伸びを売上成長率以下に抑える運営が必要となる。当期の増益が一時的な費用縮小に依存していたことを踏まえると、次期予想の進捗はセグメント別の事業利益率の推移で確認する必要がある。

株主還元

年間配当は1株当たり26円(配当性向49.3%)で、配当支払総額は117.8億円である。これに加え自社株買いを150.0億円実施しており、配当と自社株買いを合計した総還元額は267.8億円、純利益238.1億円に対する総還元性向は約112.5%となる。配当のみのキャッシュフローに対するカバーは十分である一方、自社株買いを含む総還元は当期純利益を上回る水準であり、フリーキャッシュフロー378.7億円の範囲内で実施されている。次期の配当予想も26円で据え置かれている。

リスク要因

  1. 運転資本の滞留: 棚卸資産1522.7億円は総資産の24.7%を占め、売掛金877.3億円と合わせ在庫・債権回転の長期化がみられる。需要変動時の在庫評価損や資金拘束リスクの観点でモニタリングが必要である。

  2. セグメント別採算悪化: 音響機器事業は売上-3.6%、事業利益-25.0%と減収減益で、利益率も9.7%から7.6%へ低下した。主力楽器事業も増収ながら事業利益は-3.9%であり、価格競争や製品ミックス変化への感応度が高い。

  3. 増益の持続性: 当期の営業増益は前期減損損失(128.1億円)の反動によるところが大きく、その他費用を除いた事業利益は前年比-13.3%である。次期予想達成には一時的要因に頼らない基礎収益力の回復が求められる。

業種ベンチマーク(参考・当社調べ)

業種ベンチマーク(manufacturing)

収益性・リターン

指標自社中央値 (IQR)Delta
自己資本利益率5.1%6.9% (4.3%–10.7%)−1.8pt
営業利益率6.3%7.6% (4.8%–12.0%)−1.3pt
純利益率5.1%5.9% (2.9%–9.2%)−0.8pt

収益性指標はいずれも業種中央値を下回り、資本効率・採算面で相対的に見劣りする水準にある。

成長性・資本効率

指標自社中央値 (IQR)Delta
売上高成長率(前年比)0.7%3.4% (-0.8%–8.8%)−2.7pt

売上成長率も業種中央値を下回り、増収ペースは業界内で緩やかな部類に位置する。

※出所: 当社調べ

決算上の注目ポイント

  1. 営業利益は41.5%増益だが、事業利益(セグメント合計)は13.3%減益であり、前期の減損損失反動を除いた基礎収益力の動向が今後の焦点となる。

  2. 自己資本比率77.5%、流動比率約372%と財務基盤は保守的である一方、ROE5.1%・ROIC水準は業種中央値を下回り、棚卸資産・売掛金を含む資産効率の改善余地が示唆される。

  3. 配当性向49.3%は健全水準だが、自社株買いを含む総還元性向は112%超と純利益を上回る還元であり、次期以降の還元継続性はFCF創出力とセグメント収益力の回復に依存する。

理論株価(参考値)

シナリオ理論株価
bear(弱気)980円
base(基準)993円
bull(強気)1,008円
算出前提
1株純資産(BPS)1,087円
調整後予想EPS66.7円
株主資本コスト r9.27%(10年国債 2.77% + 株式リスクプレミアム 6.00% + 規模プレミアム 0.50%)
残余利益の持続係数 ω / 明示予測0.62 / 5年
想定配当性向40.8%
予想EPSの信頼度調整×1.049(同業種のガイダンス達成率実績に基づく)
implied PBR / PER0.91倍 / 14.9倍

感応度: 株主資本コスト±1%で 966円〜1,022円、ω±0.1で 990円〜995円。

注記:

  • 予想ROEが株主資本コストを下回るため、理論値は1株純資産を下回る水準になります。

(算出モデル: 残余利益モデル(Ohlson型・明示5年フェード) / 金利基準月: 2026-07 / 公表データのみからの機械算出値であり、市場株価の予測や特定の投資行動の推奨ではなく、将来の株価を予測・保証するものではありません)


本レポートはXBRL決算短信データをAIが分析して自動生成した決算解析資料です。特定銘柄への投資を推奨するものではありません。業種ベンチマークは公開決算データを基に当社が集計した参考情報です。投資判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談の上、行ってください。