| 指標 | 当期 | 前年同期 | YoY |
|---|---|---|---|
| 売上高 | ¥693.3億 | ¥670.8億 | +3.3% |
| 営業利益 | ¥92.1億 | ¥88.1億 | +4.5% |
| 経常利益 | ¥94.7億 | ¥89.5億 | +5.8% |
| 純利益 | ¥59.5億 | ¥64.9億 | -8.4% |
| ROE | 12.0% | 15.2% | - |
2026年3月期決算は、売上高693.3億円(前年比+22.4億円 +3.3%)、営業利益92.1億円(同+4.0億円 +4.5%)、経常利益94.7億円(同+5.2億円 +5.8%)、純利益59.5億円(同-5.5億円 -8.4%)。営業・経常段階では増収増益で粗利率45.4%(+0.4pt)、営業利益率13.3%(+0.2pt)とマージン改善が進むが、特別損失8.1億円の計上により当期純利益は減益。セグメントでは医療・ヘルスケア機器が売上471.8億円・営業利益40.1億円で最大の稼ぎ頭となる一方、半導体関連は売上111.2億円(-9.5%)と減収も営業利益率32.6%の高水準を維持。地域別では日本計測(売上239.4億円 +7.9%、営業利益30.6億円 +47.5%)と欧州医療(売上106.0億円 +20.2%)が成長を牽引した。営業CFは64.7億円(前年比-1.7%)、フリーCFは26.8億円で配当原資を確保。ROE12.0%と収益性は良好だが、売掛金増・買掛金減による運転資本の逆回転でキャッシュ転換効率に課題が残る。
【売上高】売上高693.3億円は前年比+3.3%の増収。事業別では計量計測機器が387.8億円(+2.0%)、医療・ヘルスケア機器が471.8億円(+4.4%)と両セグメントで拡大。半導体関連は111.2億円(-9.5%)と減収だが、営業利益率32.6%の高収益体質を維持。地域別では日本計測239.4億円(+7.9%)、欧州医療106.0億円(+20.2%)が好調。一方で米州計測は50.9億円(-16.6%)と大幅減収、アジア・オセアニア医療も83.9億円(-3.1%)と後退。売上原価は378.8億円で原価率54.6%(前年55.0%)と0.4pt改善し、粗利は314.5億円、粗利率45.4%へ向上。価格改定と製品ミックス改善(高マージンセグメントの維持)が主因。
【損益】販管費は222.4億円で売上比32.1%(前年31.9%)と0.2pt上昇したが、粗利率改善で吸収し営業利益92.1億円(+4.5%)、営業利益率13.3%(+0.2pt)を実現。営業外では受取利息5.5億円、為替差益1.5億円の寄与が支払利息3.0億円を上回り、営業外収支は+2.6億円。経常利益94.7億円(+5.8%)、経常利益率13.7%(+0.3pt)へ改善。特別損益は減損損失0.7億円を含む特別損失8.1億円の計上により-7.5億円の悪化で、税引前利益86.7億円は前年比-4.7%。法人税等27.2億円を控除し、非支配株主帰属利益0.2億円を差し引いた当期純利益は59.5億円(-8.4%)、純利益率8.6%(-1.1pt)となった。結果、増収増益(営業・経常段階)だが、一時的要因により最終減益となった。
計量計測機器は売上387.8億円(+2.0%)、営業利益33.9億円(+25.3%)で利益率8.7%へ改善。日本計測が売上239.4億円(+7.9%)、営業利益30.6億円(+47.5%、利益率12.8%)と大きく増益し、セグメント全体を牽引。欧州計測は売上6.2億円(-4.9%)も利益0.4億円(+246.4%)と急回復。一方、米州計測は売上50.9億円(-16.6%)、営業損失3.5億円(前年-0.5億円)とマイナス拡大、アジア・オセアニア計測は売上91.3億円(+0.6%)で微増。医療・ヘルスケア機器は売上471.8億円(+4.4%)、営業利益40.1億円(-2.4%)で利益率8.5%。日本医療が売上170.5億円(-3.7%)も営業利益32.4億円(+0.9%)と堅調、欧州医療は売上106.0億円(+20.2%)、営業利益4.5億円(+135.2%)と大幅増益。米州医療は売上111.4億円(+11.3%)と増収ながら営業利益1.7億円(-64.4%)、利益率1.5%へ低下。アジア・オセアニア医療は売上83.9億円(-3.1%)、営業利益1.4億円(-37.1%)と減益。半導体関連は売上111.2億円(-9.5%)、営業利益36.3億円(-12.0%)だが利益率32.6%の高水準を維持し、全社営業利益の約4割を占める。
【収益性】ROE12.0%、営業利益率13.3%(前年13.1%)、経常利益率13.7%(前年13.3%)、純利益率8.6%(前年9.7%)。粗利率45.4%と改善し、販管費率32.1%と微増ながらも営業段階でマージン拡大。経常段階では金融収益(受取利息5.5億円、為替差益1.5億円)が金融費用(支払利息3.0億円)を上回り、非営業でも利益を創出。一時的な特別損失(8.1億円)により純利益率は低下したが、経常利益ベースでは収益性の向上トレンドが継続。【キャッシュ品質】営業CF64.7億円は純利益59.5億円の1.09倍で利益の現金化は概ね良好だが、EBITDA(営業利益92.1億円+減価償却19.1億円=約111.2億円)対比では0.58倍と転換効率は弱い。売掛金増182.8億円と買掛金減112.2億円による運転資本の逆回転が主因。フリーCF26.8億円はプラスで、設備投資30.5億円(減価償却の1.6倍)を実施しながらも配当原資を確保。運転資本効率はDSO約100日、DIO約107日、DPO約34日でCCC約173日と長く、債権・在庫管理の改善余地が大きい。【投資効率】EPS216.33円(前年235.63円)、BPS1,806.70円(前年1,560.29円)。総資産回転率0.92回(売上693.3億円÷総資産752.8億円)と製造業として標準的。設備投資は減価償却を上回る水準で能力増強を継続。【財務健全性】自己資本比率65.9%(前年62.0%)と上昇、Debt/EBITDA0.96倍、インタレストカバレッジ30.8倍と財務安定性は高い。流動比率239%、当座比率191%で流動性は厚い。一方、有利子負債は短期借入金104.5億円が大半(短期負債比率98%)で満期集中リスクは要監視だが、現金137.6億円で短期負債の1.32倍を確保。長期借入金は1.7億円へ大幅圧縮。のれん1.5億円、無形資産比率2.0%とオフバランス・減損リスクは軽微。
営業CFは64.7億円で前年比-1.7%とほぼ横ばい。小計(税金等調整前CF)89.5億円から、法人税等支払25.2億円を控除した後の水準。売掛金増加-182.8億円、買掛金減少-112.2億円が主な運転資本のマイナス要因で、在庫減少+28.7億円、引当金増加+3.7億円が一部相殺。利息配当受取5.9億円と支払利息-3.0億円は営業CFに含まれ、ネットでプラス寄与。投資CFは-37.9億円で、うち設備投資-30.5億円(前年-15.3億円)と倍増し、ソフトウェア等無形資産-5.8億円、事業譲渡-1.4億円を含む。財務CFは-29.1億円で、短期借入金純減-4.8億円、長期借入返済-7.3億円、リース債務返済-5.6億円、配当支払-12.5億円が主要項目。為替影響+5.9億円を加え、期末現金136.2億円へ+3.6億円増加。フリーCF26.8億円は配当12.5億円の2.1倍で、設備投資後も株主還元を十分に賄える水準だが、運転資本の膨張(売掛増・買掛減)がキャッシュ創出力を圧迫しており、与信管理と在庫回転の改善が今後の課題。
経常利益94.7億円のうち、営業利益92.1億円が約97%を占め、本業収益が主体。営業外収益8.7億円(受取利息5.5億円、為替差益1.5億円、その他0.7億円)のうち、受取利息は金融資産運用に基づく経常的収益だが、為替差益は為替変動に左右される一時的要因を含む。営業外費用6.1億円は支払利息3.0億円が中心で経常的。特別損益は特別損失8.1億円(減損損失0.7億円、固定資産除却損0.1億円等)が中心で一時的。包括利益80.3億円は純利益59.5億円を大きく上回り、その他包括利益20.8億円(為替換算調整15.6億円、退職給付調整5.0億円、有価証券評価差額0.3億円)が寄与。為替換算調整の拡大は海外子会社の評価増を反映し、資産側では純資産の押し上げ要因。アクルーアルの観点では、営業CF64.7億円と純利益59.5億円の差+5.2億円は小幅で、減価償却19.1億円等の非現金費用を調整後の運転資本変動が-28.2億円のマイナス(売掛増・買掛減)。この運転資本悪化は一時的な事業拡大に伴う債権・在庫増と見られるが、持続すればキャッシュ創出力の構造的な課題となる。全体として、経常段階の収益の質は本業主導で高く、最終利益の減少は特別損失という一時要因が主因であり、キャッシュ転換効率の改善が今後の焦点。
通期業績予想は売上高680.0億円(前年比-1.9%)、営業利益70.0億円(-24.0%)、経常利益69.0億円(-27.1%)、純利益45.0億円。第3四半期累計実績(売上693.3億円、営業益92.1億円、経常益94.7億円、純利益59.5億円)に対し、売上で102%、営業利益で132%、経常利益で137%、純利益で132%と大幅に上振れ。進捗率は売上102%、営業益132%、経常益137%で、会社計画を既に上回る。この乖離は主に日本計測の大幅増益(営業利益+47.5%)と欧州医療の増収増益(売上+20.2%、営業利益+135.2%)の想定超過、および為替・金融収益の上振れに起因すると見られる。一方で半導体関連の減収(-9.5%)は予想に織り込まれていたと推察されるが、高マージン維持により影響を最小化。米州計測の営業赤字拡大と米州医療の利益率低下はリスク要因として顕在化しており、第4四半期以降の立て直しが会社計画達成のカギ。純利益は特別損失8.1億円の一時的計上により通期予想の132%に達しているが、第4四半期で追加の特損発生がなければ予想を大きく上回る着地が見込まれる。
年間配当55円(中間25円、期末予想30円)、配当性向は純利益59.5億円に対して約25.9%と保守的。総配当支払12.5億円はフリーCF26.8億円の約47%で、配当カバレッジは2.1倍と持続可能性が高い。前年配当20円から+35円の大幅増配(配当性向17.0%)で、純利益減少にもかかわらず増配を実施した点は株主還元強化の姿勢を示す。自己株買いは期中実施なし(前年-2.99億円)で、還元は配当のみ。配当性向26%と余裕があり、現預金137.6億円、自己資本比率65.9%と財務健全性も高いため、今後の増配余地は大きい。ただし運転資本の膨張(CCC約173日)が続く場合はキャッシュ創出力が制約される可能性があり、運転資本効率の改善が増配継続の前提条件。なお、前年の自己株買い実施を今期は見送った点は、成長投資(設備投資30.5億円)と配当を優先した資本配分方針の表れ。
半導体関連需要の変動リスク: 売上111.2億円(-9.5%)、営業利益36.3億円(-12.0%)と減収減益ながら、営業利益率32.6%の高水準を維持し全社営業利益の約4割を占める。半導体市況の低迷が継続する場合、高収益セグメントの縮小により全社利益率の下押し圧力が強まる。一方で需要回復時には大幅な利益押し上げ要因となるため、サイクル性を含めたモニタリングが必要。
米州事業の収益性悪化リスク: 米州計測は売上50.9億円(-16.6%)で営業損失3.5億円、米州医療は売上111.4億円(+11.3%)ながら営業利益1.7億円(-64.4%)、利益率1.5%まで低下。米州全体の採算悪化が顕著で、地域ミックスの悪化により全社営業利益を圧迫。原価管理・販管費コントロールの遅れや競争環境の厳しさが背景にあると見られ、立て直しが遅延する場合は業績予想の下方修正リスクが顕在化。
運転資本管理の硬直化リスク: 売掛金190.9億円(前年165.7億円、+25.2億円増)、在庫111.5億円(前年97.6億円、+13.9億円増)に対し買掛金35.0億円(前年39.7億円、-4.7億円減)で、運転資本は大幅に悪化。DSO約100日、CCC約173日と長期化し、営業CFの圧迫要因。与信管理の緩み、在庫回転の鈍化、サプライヤー条件の悪化が複合的に作用している可能性があり、改善が進まない場合は追加の運転資本資金需要が発生し、株主還元や成長投資の制約となるリスク。
収益性・リターン
| 指標 | 自社 | 中央値 (IQR) | Delta |
|---|---|---|---|
| 営業利益率 | 13.3% | 7.8% (4.6%–12.3%) | +5.5pt |
| 純利益率 | 8.6% | 5.2% (2.3%–8.2%) | +3.4pt |
営業利益率・純利益率ともに業種中央値を大きく上回り、収益性では製造業上位グループに位置する。
成長性・資本効率
| 指標 | 自社 | 中央値 (IQR) | Delta |
|---|---|---|---|
| 売上高成長率(前年比) | 3.3% | 3.7% (-0.4%–9.3%) | -0.4pt |
売上成長率は業種中央値と同水準で、平均的な成長ペース。
※出所: 当社集計
営業・経常段階の増益とマージン改善が継続しており、日本計測(営業利益+47.5%)、欧州医療(営業利益+135.2%)の好調が収益基盤を強化。半導体関連は減収も高マージン32.6%を維持し、需要回復時の利益押し上げ余地が大きい。一方、米州事業(計測・医療)の採算悪化は全社利益の下押し要因で、立て直しの進捗が今後の収益トレンドの分岐点となる。
運転資本の膨張(売掛+25.2億円、在庫+13.9億円、買掛-4.7億円)により営業CF/EBITDA0.58倍とキャッシュ転換効率が低下。CCC約173日と長期化しており、債権回収・在庫回転の改善余地が大きい。運転資本の正常化が進めば、キャッシュ創出力が大幅に向上し、株主還元や成長投資の余力が拡大する。
財務健全性(自己資本比率65.9%、Debt/EBITDA0.96倍)と配当持続性(配当性向26%、FCFカバレッジ2.1倍)は高水準。通期業績予想を第3四半期で大幅に上振れしており、増配余地・追加株主還元の可能性が高まる。ただし短期借入偏重(短期負債比率98%)は満期集中リスクとして留意すべき点で、借入の長期化や返済進捗が財務柔軟性の維持に寄与する。
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