クイックビュー
| 指標 | 当期 | 前年同期 | YoY |
|---|---|---|---|
| 売上高 | ¥11293.4億 | ¥11499.9億 | −1.8% |
| 営業利益 | ¥1025.4億 | ¥1034.6億 | −0.9% |
| 税引前利益 | ¥1189.7億 | ¥1146.2億 | +3.8% |
| 純利益 | ¥881.7億 | ¥798.5億 | +10.4% |
| ROE(年換算) | 19.9% | 20.9% | - |
Executive Summary
2026年3月期第3四半期累計は、売上減少下でも一時的な収益で営業利益を下支えする一方、純利益は増益となった決算である。売上高は1兆1,293億円(前年比-1.8%)、営業利益は1,025億円(同-0.9%)となったが、親会社株主に帰属する四半期純利益は850億円(同+10.7%)と増益を確保した。売上減少は資源・エネルギー・環境、産業システム・汎用機械の減収が航空・宇宙・防衛の増収を上回ったことが主因。純利益の増加は、金融収益や持分法投資損益(前年56億円→119億円)の押し上げ効果による。
業績変動要因
【売上高】売上高は1兆1,293億円で前年同期比1.8%減。航空・宇宙・防衛(構成比37.3%)は前年比12.3%増の4,212億円と全社を牽引したが、資源・エネルギー・環境(同22.5%減の2,541億円)、産業システム・汎用機械(同6.9%減の3,213億円)が減収し、全体を押し下げた。社会基盤は948億円で微増。
【損益】営業利益は1,025億円で前年比0.9%減にとどまったが、内訳をみると粗利率は23.1%と前年の23.5%から低下し、販管費は6.1%増加している。この本業面の悪化を補ったのが「その他の収益」250億円(前年46億円)であり、営業利益率9.1%(前年9.0%)の維持は一時的要因の寄与が大きい。セグメント別では産業システム・汎用機械の利益が30億円から287億円へ急改善した一方、資源・エネルギー・環境は110億円から26億円へ76.3%減、航空・宇宙・防衛も会計区分変更(37億円の押し下げ)等により947億円から707億円へ25.3%減となった。税引前利益は持分法投資損益の増加により1,190億円(同+3.8%)、純利益は882億円(同+10.4%)、親会社帰属純利益は850億円(同+10.7%)となった。結論として、売上・本業利益は減収減益的な弱含みだが、金融・持分法等の営業外要因により最終増益となった構図であり、減収ながら純利益は増益という内容である。
セグメント別分析
4事業領域のうち、航空・宇宙・防衛は売上4,212億円(前年比+12.3%)と最大の増収要因だが、セグメント利益は707億円(同-25.3%)で利益率は25.2%から16.8%へ低下した。管理部門費の計上区分変更(-37億円)とPW1100G-JMエンジン検査プログラムに関する為替影響(-36億円)が押し下げ要因。産業システム・汎用機械は売上3,213億円(同-6.9%)と減収ながら、利益は30億円から287億円へ大幅改善し、利益率は0.9%から8.9%に向上、全社利益の下支え役となった。資源・エネルギー・環境は売上2,541億円(同-15.9%)、利益26億円(同-76.3%)と採算が大きく悪化し、利益率は3.7%から1.0%に低下している。社会基盤は売上970億円(同+1.4%)だがセグメント損失7億円(前年は損失31億円)で赤字が継続。全体として増収の航空・宇宙・防衛が減益、減収の産業システム・汎用機械が増益という対照的な構図であり、セグメント間の収益構造変化が顕著である。
主要財務指標
【収益性】営業利益率は9.1%で前年同期の9.0%から小幅改善したが、粗利率は23.1%と前年23.5%から低下しており、改善はその他収益等の営業外的要因に依存する面がある。純利益率は7.8%(純利益ベース)で、前年から改善している。【キャッシュ品質】営業CFはマイナス732億円で、親会社帰属純利益850億円に対し明確なマイナス乖離があり、利益の現金裏付けは弱い。棚卸資産・営業債権・契約資産の増加が運転資本を大きく吸収している。【投資効率】ROE(年換算)は19.9%と高水準だが、自己資本比率23.0%という相対的に低い水準の裏返しとして、財務レバレッジの寄与が大きい点に留意が必要である。【財務健全性】自己資本比率は23.0%で前年21.5%から改善したものの、流動負債に社債・借入金2,555億円を含み、有利子負債への依存度は高い。現金及び現金同等物は1,051億円で前年同期末の1,368億円から減少している。
キャッシュフロー分析
営業CFはマイナス732億円で、前年同期のマイナス523億円から赤字幅が拡大した。棚卸資産の増加1,348億円、営業債権の増加639億円、契約資産の増加274億円が主な資金流出要因であり、仕入債務の増加664億円、契約負債の増加476億円が一部を相殺している。法人税等の支払555億円も営業CFを押し下げた。投資CFはマイナス477億円で、有形固定資産等の取得678億円が主因である一方、子会社持分売却による収入94億円などの回収も一部あった。この結果フリーキャッシュフローはマイナス1,210億円となり、配当支払209億円と自己株買い14億円を内部資金で賄えていない。財務CFはプラス815億円で、コマーシャル・ペーパーの純増1,500億円と短期借入金の純増350億円が中心であり、営業・投資両面の資金不足を短期調達で補っている構図である。現金及び現金同等物は期末1,051億円で、期首から370億円減少した。
収益の質
当期の増益は営業外・非経常的な要因への依存度が相対的に高い点が特徴である。営業利益段階では粗利率の低下と販管費増を、その他の収益250億円(前年46億円)の増加が補っており、本業のコスト構造改善だけによる利益維持ではない。税引前利益から純利益にかけては、持分法投資損益が前年56億円から119億円へ倍増し、増益に寄与している。包括利益は1,064億円で親会社株主帰属分1,021億円となり、純利益850億円との乖離は主に在外営業活動体の換算差額134億円の増加によるもので、為替変動による評価性の要素が大きい。営業CFがマイナス732億円である一方で会計上の利益は増加しており、アクルーアル(発生主義と現金主義の乖離)が大きい状態であることから、利益の質という観点では現金裏付けの弱さに留意が必要である。
業績予想・ガイダンス
通期予想(売上高1兆6,400億円、営業利益1,600億円、営業利益YoY+11.5%、EPS117.49円)に対する第3四半期累計の進捗率は、売上高68.9%、営業利益64.1%となる。営業利益の進捗は9カ月経過時点の目安である75%を下回っており、第4四半期には単独で売上5,107億円、営業利益575億円(利益率11.3%)が必要となる計算である。これは累計の営業利益率9.1%を上回る水準であり、第4四半期の案件採算や検収時期に業績が左右されやすい。業績予想・配当予想の修正は本開示時点で行われていない。
株主還元
中間配当は1株70円であり、通期配当予想は株式分割の影響を反映しない場合140円とされている(分割後の期末配当は換算後の数値で開示)。配当支払額は209億円、自己株式取得は14億円で、資本還元総額は223億円である。当第3四半期累計の親会社帰属純利益850億円に対する配当性向は、配当金209億円ベースで算出すると約24.6%となる。フリーキャッシュフローはマイナス1,210億円であり、当期の配当・自社株買いは営業CFやFCFではなく、CPや短期借入等の資金調達で実質的に裏付けられている点は留意点である。
リスク要因
-
資源・エネルギー・環境セグメントの採算悪化: セグメント利益が前年110億円から26億円へ76.3%減少し、利益率は3.7%から1.0%に低下した。大型案件の進捗・原材料コストの変動が全社利益を下押しするリスクとなっている。
-
運転資本の拡大と営業CFの悪化: 棚卸資産が前期末比+1,099億円(+24.7%)、営業債権が+668億円(+13.2%)増加し、営業CFはマイナス732億円となった。長期案件の進捗管理と検収・回収時期が今後のキャッシュ創出力を左右する。
-
航空・宇宙・防衛の増収減益構造: 売上は12.3%増加した一方、セグメント利益は25.3%減少した。管理部門費の会計区分変更やPW1100G-JMエンジン関連の為替影響が要因であり、増収が利益に直結しない構造となっている。
業種ベンチマーク(参考・当社調べ)
業種ベンチマーク(manufacturing)
収益性・リターン
| 指標 | 自社 | 中央値 (IQR) | Delta |
|---|---|---|---|
| 営業利益率 | 9.1% | 8.6% (4.3%–12.7%) | +0.5pt |
| 純利益率 | 7.8% | 6.4% (2.8%–10.3%) | +1.4pt |
自社の収益性は業種中央値をいずれも上回っており、製造業内で相対的に高い水準にある。
成長性・資本効率
| 指標 | 自社 | 中央値 (IQR) | Delta |
|---|---|---|---|
| 売上高成長率(前年比) | −1.8% | 3.3% (-2.1%–8.9%) | −5.1pt |
売上成長率は業種中央値を5.1pt下回っており、製造業内では減収組に位置づけられる。
※出所: 当社集計
決算上の注目ポイント
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当期の増益(親会社帰属純利益+10.7%)は、営業利益段階の「その他の収益」の増加や持分法投資損益の拡大といった営業外要因に支えられており、粗利率の低下・販管費増という本業面の圧迫が並存している点は決算の質を評価する上でのポイントである。
-
通期営業利益計画に対する進捗率は64.1%にとどまり、第4四半期には単四半期として累計を上回る利益率が必要となる。事業構成上、四半期ごとの案件計上時期の影響を受けやすい点は、進捗の解釈において考慮すべき事実である。
-
セグメント間で明暗が分かれており、産業システム・汎用機械は減収ながら利益が急改善した一方、資源・エネルギー・環境は大幅減益となっている。全社収益は特定セグメントの回復力に依存する構造変化が観察される。
理論株価(参考値)
| シナリオ | 理論株価 |
|---|---|
| bear(弱気) | 749円 |
| base(基準) | 812円 |
| bull(強気) | 834円 |
| 算出前提 | 値 |
|---|---|
| 1株純資産(BPS) | 532円 |
| 調整後予想EPS | 135.1円 |
| 株主資本コスト r | 9.27%(10年国債 2.77% + 株式リスクプレミアム 6.00% + 規模プレミアム 0.50%) |
| 残余利益の持続係数 ω / 明示予測 | 0.62 / 5年 |
| 想定配当性向 | 30.0% |
| 予想EPSの信頼度調整 | ×1.150(当社の過去のガイダンス達成率実績に基づく) |
| implied PBR / PER | 1.53倍 / 6.0倍 |
感応度: 株主資本コスト±1%で 789円〜837円、ω±0.1で 805円〜824円。
注記:
- 四半期末時点の純資産を使用しています(通期予想との間に期間のずれがあります)。
(算出モデル: 残余利益モデル(Ohlson型・明示5年フェード) / 金利基準月: 2026-07 / 公表データのみからの機械算出値であり、市場株価の予測や特定の投資行動の推奨ではなく、将来の株価を予測・保証するものではありません)
本レポートはXBRL決算短信データをAIが分析して自動生成した決算解析資料です。特定銘柄への投資を推奨するものではありません。業種ベンチマークは公開決算データを基に当社が集計した参考情報です。投資判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談の上、行ってください。