- 売上高: 7,136.51億円
- 営業利益: 694.49億円
- 当期純利益: 570.47億円
- 1株当たり当期純利益: 52.76円
| 項目 | 当期 | 前期 | 増減率 |
|---|
| 売上高 | 7,136.51億円 | 7,574.88億円 | -5.8% |
| 売上原価 | 5,448.28億円 | 5,737.14億円 | -5.0% |
| 売上総利益 | 1,688.23億円 | 1,837.74億円 | -8.1% |
| 販管費 | 1,142.31億円 | 1,029.87億円 | +10.9% |
| 営業利益 | 694.49億円 | 772.63億円 | -10.1% |
| 持分法投資損益 | 88.99億円 | 44.33億円 | +100.7% |
| 税引前利益 | 747.09億円 | 626.60億円 | +19.2% |
| 法人税等 | 176.62億円 | 217.16億円 | -18.7% |
| 当期純利益 | 570.47億円 | 409.44億円 | +39.3% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 559.12億円 | 393.09億円 | +42.2% |
| 包括利益 | 695.73億円 | 391.82億円 | +77.6% |
| 1株当たり当期純利益 | 52.76円 | 37.10円 | +42.2% |
| 潜在株式調整後1株当たり当期純利益 | 52.75円 | 37.10円 | +42.2% |
| 1株当たり配当金 | 50.00円 | 50.00円 | +0.0% |
| 項目 | 当期末 | 前期末 | 増減 |
|---|
| 流動資産 | 13,962.14億円 | 13,022.63億円 | +939.51億円 |
| 売掛金 | 5,284.62億円 | 5,067.18億円 | +217.44億円 |
| 棚卸資産 | 5,245.89億円 | 4,440.66億円 | +805.23億円 |
| 固定資産 | 9,403.35億円 | 9,381.29億円 | +22.06億円 |
| 有形固定資産 | 2,384.30億円 | 2,419.70億円 | -35.40億円 |
| 項目 | 当期 | 前期 | 増減 |
|---|
| 営業活動によるキャッシュフロー | -571.30億円 | -74.41億円 | -496.89億円 |
| 投資活動によるキャッシュフロー | -229.81億円 | -252.89億円 | +23.08億円 |
| 財務活動によるキャッシュフロー | 400.26億円 | -146.60億円 | +546.86億円 |
| 現金及び現金同等物 | 1,019.56億円 | 1,368.09億円 | -348.53億円 |
| フリーキャッシュフロー | -801.11億円 | - | - |
| 項目 | 値 |
|---|
| 純利益率 | 7.8% |
| 粗利益率 | 23.7% |
| 負債資本倍率 | 3.13倍 |
| 実効税率 | 23.6% |
| 項目 | 前年同期比 |
|---|
| 売上高前年同期比 | -5.8% |
| 営業利益前年同期比 | -10.1% |
| 税引前利益前年同期比 | +19.2% |
| 当期純利益前年同期比 | +39.3% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益前年同期比 | +42.2% |
| 包括利益前年同期比 | +77.6% |
| 項目 | 値 |
|---|
| 発行済株式数(自己株式含む) | 1.08十億株 |
| 自己株式数 | 22.61百万株 |
| 期中平均株式数 | 1.06十億株 |
| 1株当たり純資産 | 533.97円 |
| 項目 | 金額 |
|---|
| 第2四半期配当 | 50.00円 |
| 期末配当 | 70.00円 |
| 項目 | 予想値 |
|---|
| 売上高予想 | 16,400.00億円 |
| 営業利益予想 | 1,600.00億円 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益予想 | 1,250.00億円 |
| 1株当たり当期純利益予想 | 117.49円 |
| 1株当たり配当金予想 | 10.00円 |
このデータはXBRLファイルから自動抽出されたものです。正確性については開示資料の原本をご確認ください。
2026年度Q2のIHIは、減収・減益の中でもROEとROICを水準以上に維持した一方、営業キャッシュフローが大幅マイナスとなり利益の質とレバレッジに懸念が残る決算でした。売上高は7,136.51億円で前年比-5.8%、営業利益は694.49億円で前年比-10.1%と鈍化しました。営業利益率は約9.7%で、前年同期の約10.2%から約47bp低下したと推定されます。売上総利益は1,688.23億円、粗利率は23.7%で、販管費1,142.31億円を吸収して営業黒字を確保しています。税引前利益は747.09億円、当期純利益は559.12億円で前年比+42.2%と増益ですが、これは税率や非営業要素の寄与が一因とみられます。ROEは9.9%、ROICは9.4%と、資本効率は社内外の一般的な目標レンジ(ROIC 7–8%以上)を上回っています。総資産回転率は0.305、財務レバレッジは4.13倍で、レバレッジ依存がROEを押し上げる構図です。持分法投資利益は88.99億円で、利益構成に占める比率は11.9%と総合商社のベンチマーク(20–50%)より低く、IHIの収益は主として本業(営業利益)で形成されています。営業CFは-571.30億円と大幅なマイナスで、営業CF/純利益は-1.02倍と品質警告水準を下回りました。フリーキャッシュフローは-801.11億円で、投資と配当を内部資金で賄い切れていません。自己資本比率は23.1%、負債資本倍率(D/E)は3.13倍と高く、バランスシートの保守性は限定的です。流動性指標(流動比率、当座比率)は未記載で定量評価は不可ですが、売掛金5,284.62億円・棚卸資産5,245.89億円の規模から、運転資本の膨張が資金を拘束した可能性が高いです。実効税率は23.6%と標準的で、税コストは安定的に見えます。配当関連では、配当金支払額は-106.05億円にとどまる一方、開示上の配当性向は232.4%と示されており、指標計算の前提差異に留意が必要です。総じて、収益性は維持しつつも、運転資本負担の増大と高レバレッジがキャッシュと財務健全性を圧迫しており、下期に向けたキャッシュ創出とレバレッジ低減が最重要課題です。今後はプロジェクトのマイルストン回収進捗、在庫・売掛金の圧縮、非中核資産の売却・資本効率改善策が注目ポイントとなります。
ROE(9.9%)は、純利益率7.8% × 総資産回転率0.305 × 財務レバレッジ4.13倍の積で説明されます。3要素のうち、レバレッジ(4.13倍)の寄与が相対的に大きく、資本効率は負債依存の度合いに敏感です。営業利益率は約9.7%で前年から約47bp低下し、売上減少(-5.8%)の中で固定費吸収が効き、営業レバレッジが逆回転したとみられます。粗利率は23.7%と一定水準を維持しており、原価面の大幅悪化は限定的で、販管費コントロールが鍵となりました。純利益が+42.2%と伸びたのは、非営業項目・税率の影響が示唆され、持分法利益(88.99億円)も一定の下支え要因です。営業外収支の明細は未記載で、非反復要素の有無は判定困難です。事業環境起因の要素としては、大型プロジェクトの採算管理、アフターマーケット比率、原材料・サプライチェーンコストの平準化が利益率変動の主因と考えられます。これらのうち、コスト平準化とアフター比率の上昇は構造的改善余地がある一方、プロジェクト採算は案件ミックスに左右され一時性が残ります。懸念トレンドとして、売上成長率(-5.8%)に対し販管費の伸縮が見えないため、固定費の硬直性がマージンの下押し要因です。資本効率面ではROICが9.4%と資本コスト上回りを維持している点はポジティブですが、レバレッジに依存したROEは金利上昇や資金調達環境の変化に脆弱です。
売上は-5.8%と減速し、案件ミックスの変化や出荷タイミングの後ズレが示唆されます。純利益は+42.2%と増加しましたが、非営業要素の可能性があるため持続性の判断には追加開示が必要です。持分法投資利益の寄与は11.9%と限定的で、成長の大半は本業の改善・案件進捗に依存しています。粗利率23.7%は一定の価格転嫁・原価管理を反映し、下期に向けてはアフターマーケットや保守・改修の比率上昇が下支え要因となり得ます。受注残・案件パイプラインの情報は未記載で、売上の持続可能性評価に制約があります。今後の見通しは、運転資本の巻き戻しによるキャッシュ創出、プロジェクトのマイルストン計上、コストディシプリンの徹底が前提です。
自己資本比率は23.1%、負債資本倍率(D/E)は3.13倍で高レバレッジに該当し、明示的に警告水準です。流動資産は13,962.14億円と大きい一方、流動負債が未記載のため流動比率・当座比率の定量評価は不可能です。短期資金需要は売掛金5,284.62億円・棚卸資産5,245.89億円の運転資本に強く依存し、満期ミスマッチ(短期負債で長サイクル案件を賄うリスク)に留意が必要です。有利子負債や金利費用の内訳は未記載で、インタレストカバレッジの評価ができません。のれん65.35億円・無形資産1,313.10億円は資本の質を大きく毀損する規模ではないものの、減損リスク監視は必要です。オフバランスの保証・プロジェクト責任(性能保証・遅延損害等)は重工業特有のリスクとして潜在しうるが、本開示では把握困難です。
営業CFは-571.30億円で純利益559.12億円に対し-1.02倍と品質警告域にあり、利益計上に比してキャッシュ化が遅延しています。主因は売掛金・棚卸資産に代表される運転資本の増加と推定されます。投資CFは-229.81億円で、維持・成長投資の双方が含まれるとみられますが、設備投資の内訳未開示で評価は限定的です。フリーキャッシュフローは-801.11億円と大幅なマイナスで、配当と投資を内部CFで賄えず、財務CF+400.26億円で補填しています。運転資本操作の兆候として、期中の売上減少に対し売掛金・在庫の積み上がりが示唆され、キャッシュ回収のタイミング後ズレが発生している可能性があります。下期のキャッシュ改善には、在庫圧縮、マイルストン請求の前倒し、与信・回収条件の厳格化が不可欠です。
配当金支払額は-106.05億円で、当期純利益に対して現金ベースではおおむね20%前後の水準に見えますが、開示上の配当性向(計算値)は232.4%と表示されており、算定基礎に差異がある可能性があります。フリーキャッシュフローは-801.11億円で、FCFカバレッジは-0.62倍と持続性に課題があります。高レバレッジ(D/E 3.13倍)環境下では、配当よりも財務健全性回復(運転資本縮小・有利子負債圧縮)を優先する余地があります。今後の配当方針の安定性は、下期の運転資本巻き戻しとキャッシュ創出の回復度合いに依存します。
ビジネスリスク:
- 大型プロジェクトの採算悪化・遅延によるマージン毀損
- サプライチェーン混乱・原材料価格変動による原価上振れ
- アフターマーケット比率低下時の収益防御力低下
- 持分法適用会社の業績変動(88.99億円の寄与がブレるリスク)
- 為替変動による海外案件の収益・評価差影響
財務リスク:
- 高レバレッジ(D/E 3.13倍)による金利上昇感応度の高さ
- 営業CFマイナス継続による流動性圧迫
- 運転資本の膨張による資金拘束と手元流動性低下
- 潜在的なオフバランス保証・遅延損害賠償債務の顕在化
主な懸念事項:
- 営業CF/純利益が-1.02倍と利益のキャッシュ化に遅れ
- 営業利益率が約47bp縮小し固定費吸収の逆風
- 流動性指標未開示で短期資金繰りの定量評価が不可能
- 非営業項目の詳細未開示で純利益の持続性評価に不確実性
重要ポイント:
- 減収・減益だがROE 9.9%、ROIC 9.4%と資本効率はなお良好
- 利益率は約47bp低下、案件ミックスと固定費吸収が課題
- 営業CF大幅マイナスで利益の質に懸念、運転資本の巻き戻しが必須
- D/E 3.13倍とレバレッジ高水準、財務耐性の改善余地大
- 持分法利益比率は11.9%で本業寄与が中心、非営業依存は限定的
注視すべき指標:
- 営業CF/純利益比率(>1.0への回復)
- 在庫回転日数・売掛金回転日数の短縮
- 受注残・マイルストン請求進捗
- ネット有利子負債/EBITDA(開示時)とインタレストカバレッジ
- ROICの維持(>8%)と資本配分(投資/回収バランス)
- 持分法投資利益の安定性とセグメント別内訳
セクター内ポジション:
重工業同業内ではROICが良好な一方、キャッシュ創出とレバレッジ水準は守りが弱く、下期の運転資本正常化が達成できるかで位置づけが変わる局面。
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