クイックビュー
| 指標 | 当期 | 前年同期 | YoY |
|---|---|---|---|
| 売上高 | ¥4811.5億 | ¥4484.7億 | +7.3% |
| 営業利益 | ¥108.6億 | −¥400.6億 | +127.1% |
| 経常利益 | ¥192.2億 | −¥297.0億 | +164.7% |
| 純利益 | −¥1584.0億 | −¥500.4億 | −216.5% |
| ROE | −20.9% | −5.6% | - |
Executive Summary
2026年3月期は営業損益が黒字転換した一方、半導体素子事業の大規模減損により最終赤字が拡大した決算である。売上高は4811.5億円(前年比+7.3%)、営業利益は108.6億円(前年は営業損失400.6億円)で黒字転換、経常利益は192.2億円(前年は経常損失297.0億円)となった。他方、純利益(親会社株主に帰属する当期純利益)は-1584.0億円で、前年の-500.4億円から赤字が1083.6億円拡大した。増収と粗利率改善による営業面の回復と、減損損失1936.0億円を主因とする最終赤字拡大という、営業実態と会計上の最終損益の乖離が本決算の要点である。
業績変動要因
【売上高】売上高は4811.5億円で前年比+7.3%増収となった。セグメント別ではICs(LSI)が2183.9億円(+7.1%)、半導体素子が2052.6億円(+9.7%)と最も高い成長率を示し、モジュールは315.9億円(-3.0%)と唯一減収した。地域別ではアジアが売上の56.5%を占め、需要回復の恩恵を主導した。
【損益】営業利益は108.6億円となり、前年の営業損失400.6億円から509.3億円改善した。粗利率は23.9%(前年16.6%)へ改善し、販管費も99.6億円減少したことが寄与した。セグメント別ではICsが営業利益245.3億円(利益率11.2%)と最大の利益源となる一方、半導体素子は営業損失227.0億円(利益率-11.1%)と全社採算を制約している。経常利益は192.2億円と営業利益を上回ったが、特別損失2154.8億円(うち減損損失1936.0億円)が特別利益253.5億円を大きく上回り、税引前利益は-1709.0億円、純利益は-1584.0億円となった。増収増益(営業・経常段階)でありながら、一時的な減損要因により純利益は大幅な赤字となっている。
セグメント別分析
ICs(LSI)は売上2183.9億円(+7.1%)、営業利益245.3億円(前年は営業損失7.7億円)と黒字転換し、利益率11.2%で主力の利益源となった。半導体素子は売上2052.6億円(+9.7%)と最も高い増収率を示したが、営業損失227.0億円(利益率-11.1%)にとどまり、当セグメントで減損損失1916.5億円を計上した。モジュールは売上315.9億円(-3.0%)、営業利益35.2億円(利益率11.1%、+30.9%)と安定した収益性を維持した。その他事業は売上259.0億円(+3.5%)、営業利益41.0億円(利益率15.8%)で報告セグメント中最も高い利益率を確保した。全社的にはICsが利益を牽引し、半導体素子の採算回復が今後の課題である。
主要財務指標
【収益性】営業利益率は2.3%(前年-8.9%)へ改善したが、純利益率は-32.9%(前年-11.2%)へ悪化した。ROEは-20.9%(前年-5.4%)であり、減損の影響で大幅な赤字値となっている。【キャッシュ品質】営業CFは894.5億円と純利益(-1584.0億円)を大きく上回り、両者の符号差は減損損失という非資金性項目の大きさを反映している。【投資効率】設備投資は1109.7億円で減価償却費570.3億円の1.95倍にあたり、能力増強・更新投資局面にある一方、営業CFからの充足はマイナス215.2億円である。【財務健全性】自己資本比率は59.1%(前年61.7%)、現金及び預金は4191.1億円で前年から2225.1億円増加し、流動性は厚い。有利子負債は社債2000億円、長短借入金合計2000億円で構成される。
キャッシュフロー分析
営業CFは894.5億円の流入で、前年比+6.5%となり、営業利益・経常利益の改善傾向と整合的な水準を確保した。投資CFは1085.9億円の流入となったが、これは設備投資1109.7億円の支出を投資有価証券売却収入等が上回った結果であり、通常の事業投資局面としてはやや特殊な構図である。財務CFは-208.1億円で、配当支払い193.0億円などが主因である。フリーキャッシュフロー(営業CF+投資CF)は1980.4億円となったが、投資有価証券売却という一時的な資金流入を含むため、恒常的な投資余力として評価するには留意が必要である。営業CFから設備投資を差し引いた通常のキャッシュフローはマイナス215.2億円であり、当期の設備投資は営業活動のみでは充足されていない。
収益の質
当期の経常利益192.2億円は営業利益108.6億円を上回るが、これは受取利息・配当金を中心とした営業外収益118.2億円が寄与したためであり、営業利益単独よりも収益の持続性はやや弱い。純利益への影響が最も大きいのは特別損失2154.8億円、なかでも減損損失1936.0億円であり、これは半導体素子事業の資産評価見直しに伴う一時的要因である。特別利益253.5億円(投資有価証券売却益19.7億円、固定資産売却益24.2億円)も一時的項目に該当する。営業CF894.5億円は純利益-1584.0億円と符号が逆転しており、これは会計上の純利益が非資金性の減損によって大きく歪められていることを示す。また、有形固定資産の減価償却方法を定率法から定額法へ変更した影響により、当期のセグメント利益には会計方針変更による押し上げ効果が含まれており、事業本来の採算改善度を評価する際には留意が必要である。
業績予想・ガイダンス
次期(2027年3月期)会社予想は売上高5100.0億円(前年比+6.0%)、営業利益300.0億円(同+176.1%)、経常利益360.0億円(同+87.3%)、EPS予想75.12円である。当期実績(売上高4811.5億円、営業利益108.6億円)との比較では、売上高は予想の94.3%相当、営業利益は予想の36.2%相当にとどまり、次期は営業利益率を当期の2.3%から予想上5.9%程度へ引き上げる計画となっている。この改善計画の達成には、ICsの収益維持に加え、半導体素子事業の稼働率・価格・製品ミックスの改善による赤字縮小が鍵となる。
株主還元
年間配当は1株当たり50円(第2四半期25円、期末25円)で、前年の年間50円(各25円)から維持された。当期は親会社株主に帰属する当期純損失1584.2億円のため、利益ベースでの配当性向は算出上意味を持たない。ただし配当金支払額193.0億円は営業CF894.5億円の4.6倍程度でカバーされており、配当は営業キャッシュフローの範囲内で支払われている。自己株式取得は行われていないため、還元指標は配当のみで評価する。会社は次期(2027年3月期)も年間50円の配当予想を維持しており、次期予想純利益290億円に対する配当性向は約66.6%となる計算である。
リスク要因
-
半導体素子事業の採算低迷: 売上高2052.6億円と全社の42.7%を占める一方、営業損失227.0億円、営業利益率-11.1%である。当期は同事業で1916.5億円の減損を計上しており、減損後資産の稼働率・収益回復が進まなければ追加の資産再編や損失計上のリスクが残る。
-
運転資本・在庫の滞留: 棚卸資産は409.0億円(うち仕掛品923.3億円を含む在庫構成)であり、生産リードタイムの長さと需要変動への感応度が高い。半導体市況が再び悪化した場合、在庫評価損とキャッシュ拘束が同時に発生する可能性がある。
-
資本効率と資産軽量化の進捗: 有形固定資産は前年比1654.9億円減少し、減損を通じたバランスシートの軽量化が進んだ。投資有価証券も1935.0億円減少して現金化が進んだが、同規模の資金創出が反復的に可能かは不確実であり、資本効率の回復は半導体素子事業の収益再建に依存する。
業種ベンチマーク(参考・当社調べ)
業種ベンチマーク(manufacturing)
収益性・リターン
| 指標 | 自社 | 中央値 (IQR) | Delta |
|---|---|---|---|
| 営業利益率 | 2.3% | 7.6% (4.8%–12.0%) | −5.3pt |
| 純利益率 | −32.9% | 5.9% (2.9%–9.2%) | −38.8pt |
自社の収益性は業種中央値を大きく下回り、特に純利益率は減損の影響で著しく劣後する。
成長性・資本効率
| 指標 | 自社 | 中央値 (IQR) | Delta |
|---|---|---|---|
| 売上高成長率(前年比) | 7.3% | 3.4% (-0.8%–8.8%) | +3.9pt |
売上高成長率は業種中央値を上回り、トップラインの回復力は相対的に良好である。
※出所: 当社集計
決算上の注目ポイント
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営業損益は前年から509.3億円改善し黒字転換したが、営業利益率2.3%は業種中央値7.6%を下回る水準であり、収益回復は初期段階にとどまる。ICsが営業利益245.3億円で最大の利益源となる一方、半導体素子の営業損失227.0億円が全社採算の主な制約要因である。
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減損損失1936.0億円が純損失拡大の主因であり、当期のROE-20.9%や純利益率-32.9%は通常の収益力を過度に悲観的に示している面がある。営業CF894.5億円は純利益と符号が逆転しており、両者の乖離は非資金性項目の規模を反映する。
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次期会社予想は営業利益300億円(当期比+176.1%)を見込み、営業利益率を5.9%まで引き上げる計画である。この達成には半導体素子事業の赤字縮小と、在庫回転・キャッシュコンバージョンサイクルの改善が重要な進捗指標となる。
理論株価(参考値)
| シナリオ | 理論株価 |
|---|---|
| bear(弱気) | 1,677円 |
| base(基準) | 1,692円 |
| bull(強気) | 1,712円 |
| 算出前提 | 値 |
|---|---|
| 1株純資産(BPS) | 1,963円 |
| 調整後予想EPS | 81.1円 |
| 株主資本コスト r | 9.27%(10年国債 2.77% + 株式リスクプレミアム 6.00% + 規模プレミアム 0.50%) |
| 残余利益の持続係数 ω / 明示予測 | 0.62 / 5年 |
| 想定配当性向 | 66.6% |
| 予想EPSの信頼度調整 | ×1.080(同業種のガイダンス達成率実績に基づく) |
| implied PBR / PER | 0.86倍 / 20.9倍 |
感応度: 株主資本コスト±1%で 1,647円〜1,740円、ω±0.1で 1,684円〜1,698円。
注記:
- 予想ROEが株主資本コストを下回るため、理論値は1株純資産を下回る水準になります。
(算出モデル: 残余利益モデル(Ohlson型・明示5年フェード) / 金利基準月: 2026-07 / 公表データのみからの機械算出値であり、市場株価の予測や特定の投資行動の推奨ではなく、将来の株価を予測・保証するものではありません)
本レポートはXBRL決算短信データをAIが分析して自動生成した決算解析資料です。特定銘柄への投資を推奨するものではありません。業種ベンチマークは公開決算データを基に当社が集計した参考情報です。投資判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談の上、行ってください。