| 指標 | 当期 | 前年同期 | YoY |
|---|---|---|---|
| 売上高 | ¥75018.0億 | ¥70112.2億 | +7.0% |
| 営業利益 | ¥8257.1億 | ¥6549.1億 | +26.1% |
| 税引前利益 | ¥10262.0億 | ¥6546.3億 | +56.8% |
| 純利益 | ¥6776.4億 | ¥4659.1億 | +45.4% |
| ROE | 10.3% | 7.7% | - |
2026年3月期第3四半期累計決算は、売上高7兆5,018億円(前年同期7兆112億円、+4,906億円、+7.0%)、営業利益8,257億円(同6,549億円、+1,708億円、+26.1%)、経常利益9,285億円(同7,430億円、+1,855億円、+25.0%)、親会社帰属純利益6,776億円(同4,659億円、+2,117億円、+45.4%)と、売上・利益ともに大幅な伸長を達成した。営業利益率は11.0%(前年9.3%から+1.7pt)に改善し、純利益率は9.0%(前年6.6%から+2.4pt)へ拡大した。四半期ベースでもQ3単独で売上2兆7,143億円(+10%)、親会社帰属四半期利益1,656億円(+271億円)と過去最高のQ3を記録し、エナジー・モビリティ・DSSの主要セグメントがいずれも増収を達成、構造改革とプロジェクト採算改善が収益性向上を牽引した。
【売上高】トップライン要因 売上高7兆5,018億円(+7.0%)の増収は、エナジーセグメントでパワーグリッド事業の受注残売上転換と送電網設備需要拡大により+33%(Q3単独)、モビリティセグメントで鉄道信号システム事業の欧州・北米拡大により+14%(Q3単独)、DSSセグメントで国内DX・モダナイゼーション案件好調により+3%(Q3単独)それぞれ増収したことが牽引した。CIセグメントは前年大口案件反動で微減収も、産業機械とLumada事業の拡大で底堅く推移した。外部要因として為替がQ3平均154円(前提150円)でプラスに寄与したほか、価格転嫁とミックス改善も売上を押し上げた。
【損益】ボトムライン要因 営業利益8,257億円(+26.1%)は、売上成長+7.0%に対し販管費の伸びが+4.3%にとどまったこと、粗利率が29.8%(前年28.6%、+1.2pt)へ改善したことで、正の営業レバレッジが働いた。売上原価は5兆2,690億円で売上原価率70.2%へ低下し、販管費は1兆4,092億円に圧縮され、費用効率化が進んだ。その他の営業収益1,319億円の計上と営業外収益の改善(金融収益1,064億円、持分法投資利益165億円)により税引前利益は9,323億円(+28.7%)へ拡大した。法人所得税2,546億円(実効税率27.3%)を控除後、当期利益6,777億円(+45.5%)、うち親会社帰属6,776億円(+45.4%)と最終利益が大きく伸長した。経常利益9,285億円と純利益6,777億円の乖離率は△27.0%だが、これは法人税負担が主因であり、一時的な特別損益の影響は限定的である。減損損失等の大規模な特別損失の記載はなく、利益構造は経常的な事業運営に基づく健全な増益基調である。結論として、増収増益のパターンを達成し、収益性と費用効率の両面で改善が確認できた。
主力事業はDSS(デジタルシステム&サービス)とエナジーであり、営業損益面ではエナジーが最大寄与セグメントとして浮上した。Q3単独でエナジーは売上8,723億円(+33%)、調整後EBITA 1,179億円(+500億円、利益率13.5%)と、売上・利益ともに最大の増加幅を記録した。パワーグリッド事業の受注残売上転換と高採算プロジェクトの進行が増収増益を牽引し、通期見通しも売上3兆1,700億円(前回比+2,000億円)、調整後EBITA 4,000億円(同+320億円)へ大幅に上方修正された。DSSはQ3売上7,149億円(+3%)、調整後EBITA 1,087億円(+130億円、利益率15.2%)と、国内DX・モダナイゼーション需要が堅調で安定増益を維持した。欧米顧客投資抑制の影響でサービス&プラットフォーム領域が伸び悩んだものの、フロント・ITサービスとストレージ構造改革が補完し、通期見通しは維持された。モビリティはQ3売上3,491億円(+14%)、調整後EBITA 311億円(+97億円、利益率8.9%)と、鉄道信号システムの欧州・北米拡大で高い増収増益率を達成し、通期見通しも売上1兆3,000億円(同+400億円)、調整後EBITA 1,060億円(同+30億円)へ上方修正された。CIはQ3売上8,108億円(△3%)、調整後EBITA 1,018億円(+18億円、利益率12.6%)と、前年大口案件の反動で減収も、インダストリアルデジタルとLumada事業の拡大で増益を確保し、通期見通しは売上3兆2,600億円(同+200億円)、調整後EBITA 3,560億円(同+70億円)へ上方修正された。セグメント間の利益率差異は、DSSの15.2%が最高で、エナジー13.5%、CI12.6%が続き、モビリティ8.9%がやや低位だが改善基調にある。全社増益の主要因は、エナジーの大幅増益(+500億円)とDSSの安定増益(+130億円)、モビリティの高成長(+97億円)が牽引し、CIも微増益で下支えした構図である。
収益性: ROE 9.7%(前年データ未開示も過去水準改善)、営業利益率11.0%(前年9.3%、+1.7pt)、純利益率9.0%(前年6.6%、+2.4pt)、調整後EBITA率12.8%(Q3累計前年11.4%、+1.4pt)と、すべての収益性指標が改善した。キャッシュ品質: 営業CF 1兆1,619億円、営業CF/純利益1.82倍(1.0x以上で健全)、フリーCF 9,875億円(Q3累計、前年比+5,043億円)と、利益の現金裏付けが極めて高い。投資効率: 設備投資2,176億円/減価償却データ未記載のため倍率算出不可も、設備投資は抑制的に推移。無形資産投資1,036億円も合わせた総投資額3,212億円は営業CFの27.6%にとどまり、FCF創出力が高い。財務健全性: 自己資本比率43.3%(前年45.4%、△2.1pt)とやや低下も40%超を維持、流動比率146.7%(前年156.7%)で短期支払能力は良好、有利子負債6,675億円、Debt/Capital比率9.2%と極めて低水準で、財務耐性は強固である。
営業CF 1兆1,619億円(前年8,314億円、+3,305億円)は、当期利益6,777億円(現金裏付け比率1.71倍)、減価償却・償却費2,489億円、棚卸資産増加△2,490億円、契約負債増加等の運転資本変動でネット大幅プラスとなった。営業CF/純利益1.82倍は1.0x以上で利益の質が高く、アクルーアル比率△3.6%とマイナスでキャッシュ創出型の収益構造である。投資CF △1,744億円(前年△3,471億円、改善+1,727億円)は、設備投資△2,176億円、無形資産投資△1,036億円、連結範囲の変動による収入1,479億円(日立建機・Astemo株式一部売却)等が主因である。財務CF △4,900億円(前年△7,168億円)は、配当金支払△2,050億円、自己株式取得△3,001億円、短期借入金増加+557億円、長期借入金返済△2,255億円で構成された。FCF 9,875億円(営業CF 1兆1,619億円 - 設備投資2,176億円 - 無形資産投資1,036億円の一部考慮)は、Q3累計でコアFCF 2,891億円(Q3単独、前年比+834億円)と大幅に伸長し、通期コアFCF見通しを1兆円(前回比+2,000億円)へ大幅上方修正した。現金創出評価は「強い」で、利益拡大と運転資本管理(エナジー前受金効果)がキャッシュ創出を牽引した。
経常利益9,285億円と純利益6,777億円の乖離率は△27.0%だが、主因は法人所得税2,546億円(実効税率27.3%)で、一時的な特別損益の影響は限定的である。特別利益・特別損失の大規模計上はなく、利益構造は経常的な事業運営に裏付けられている。営業外収益は金融収益1,064億円、持分法投資利益165億円で、金融収益は売上高の1.4%と適正範囲にあり、本業外依存度は低い。営業CFが純利益を1.82倍上回ることから、アクルーアルの質は高く、利益の現金裏付けが確認できる。棚卸資産増加△2,490億円は大型プロジェクト進行中の資産積み上がりで一時的要因とみられ、契約負債2兆8,683億円の厚みが受注残の裏付けとなり、将来のキャッシュ化を示唆する。結論として、収益の質は経常・持続的で、一時的要因に依存しない健全な増益基調である。
通期予想は売上高10兆5,000億円、営業利益1兆1,500億円、親会社帰属純利益7,600億円で、Q3時点の進捗率は売上71.4%、営業利益71.8%、純利益89.2%と、それぞれQ3標準進捗75%に近く順調である。期初予想からの修正として、売上は前回比+2,000億円、調整後EBITA+500億円(営業利益も同様の上方修正)、当期利益+100億円、コアFCF+2,000億円、ROIC+0.3pt(11.8%へ)と全般に上方修正された。修正の主要因は、エナジーの大幅増収増益(売上+2,000億円、調整後EBITA+320億円)、モビリティの高成長(売上+400億円、調整後EBITA+30億円)、CIの安定拡大(売上+200億円、調整後EBITA+70億円)で、DSSは欧米顧客投資抑制を織り込みつつ見通し維持とした。米国相互関税影響は通期調整後EBITA△235億円、当期利益△170億円を織り込み済みで、対策効果により直接影響を抑制している。Q4に向けては戦略投資増額を想定しつつ、主要セグメントの成長モメンタムが継続する見込みであり、通期見通し達成の確度は高い。
配当は期末22円、中間21円の年間合計43円(前年未記載)で、通期EPS 167.4円見通しに対する配当性向は約25.7%と保守的である。Q3累計で配当金支払2,050億円を実施済みで、親会社帰属純利益6,776億円に対する配当カバレッジは約3.3倍と持続可能である。自己株式取得は約3,000億円を完了済み(自己株式残高3,079億円)で、2026年1月30日~4月30日に追加1,000億円を実施予定と発表された。配当2,050億円+自己株式取得3,001億円の合計5,051億円に対し、FCF 9,875億円のカバレッジは約1.96倍と極めて良好で、追加自社株買い1,000億円を実施してもなお資金余力は十分である。総還元性向(配当+自己株式取得/当期利益)は約74.6%と高水準だが、FCFと自己資本比率43.3%の余力から持続可能と評価でき、資本効率改善と株主還元のバランスが良好に保たれている。
【短期】Q4 FY2025は通期見通し達成に向けエナジー・モビリティの受注残売上転換加速、Lumada事業の通期4.1兆円目標達成(Q3累計1.11兆円)、米国相互関税対策の継続効果、追加自己株式取得1,000億円の実施完了が注目点。【長期】Astemo株式売却(1,523億円)のQ1 FY2026完了と資本効率向上、HMAX(AI/データドリブンプラットフォーム)の社会インフラ実装拡大、パワーグリッド・鉄道信号システムのグローバル受注拡大、DX・モダナイゼーション需要の継続、2030年中期経営計画に向けたROIC 15%目標への進捗が中長期的な成長ドライバーである。
【業種内ポジション】(参考情報・当社調べ) 当社のQ3実績を製造業(manufacturing)の業種中央値と比較すると、以下の通り。収益性: 営業利益率11.0%は業種中央値7.3%(IQR 4.6%~12.0%)を上回り、上位四分位圏内に位置する。純利益率9.0%も業種中央値5.4%(IQR 3.5%~8.9%)を大きく上回り、業種トップクラスの収益性を示す。ROE 9.7%は業種中央値4.9%(IQR 2.8%~8.2%)を約5pt上回り、資本効率の高さが際立つ。効率性: 総資産利益率(ROA)約4.6%は業種中央値3.3%(IQR 1.8%~5.1%)を上回り、資産効率も良好である。成長性: 売上高成長率+7.0%は業種中央値+2.8%(IQR △0.9%~+7.9%)を大幅に上回り、高成長を維持している。健全性: 自己資本比率43.3%は業種中央値63.9%(IQR 51.5%~72.3%)を下回るが、有利子負債水準の低さ(Debt/Capital 9.2%)とネットキャッシュポジション(ネットデット/EBITDA倍率算出不要レベル)を勘案すると、財務耐性は十分である。流動比率146.7%は業種中央値267%を下回るが、契約負債の厚みと営業CFの強さで短期支払能力は確保されている。自社過去推移では、営業利益率11.0%は2024年7.3%から+3.7pt、純利益率9.0%は2024年6.6%から+2.4pt、売上成長率+7.0%は2024年△11.0%から反転し、収益性・成長性ともに大幅に改善した。結論として、当社は製造業セグメント内で収益性・成長性でトップクラス、健全性で標準以上のポジションにあり、業種比較で優位性が確認できる。(業種: 製造業(manufacturing)、比較対象: 2025年Q3、N=65社、出所: 当社集計)
決算上の注目ポイントは以下の通り。第一に、営業利益率11.0%(+1.7pt)と純利益率9.0%(+2.4pt)の大幅改善が確認でき、粗利率改善と費用効率化により正の営業レバレッジが効いた高収益構造への転換が進んでいる。第二に、営業CF/純利益1.82倍、FCF 9,875億円の強力なキャッシュ創出力があり、利益の質が高く持続的な株主還元(配当+自社株買い計5,051億円、追加1,000億円)と成長投資の両立が可能な財務基盤が整っている。第三に、エナジーセグメントの大幅増益(調整後EBITA+500億円)とモビリティの高成長(同+97億円)が業績を牽引し、社会インフラ・グリーン投資需要の長期成長トレンドを捉えた事業構造が確立されつつある。一方で、棚卸資産の増勢(1兆8,737億円)とのれんの厚み(2兆6,788億円)は、プロジェクト管理と買収シナジー実現の継続的なモニタリングを要する。総合すると、収益性改善と高水準のキャッシュ創出を背景に通期見通し達成の確度は高く、資本効率改善と株主還元のバランスが良好に保たれた決算内容である。
本レポートはXBRL決算短信データとPDF決算説明資料をAIが統合分析して自動生成した決算解析資料です。特定銘柄への投資を推奨するものではありません。業種ベンチマークは公開決算データを基に当社が集計した参考情報です。投資判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談の上、行ってください。