クイックビュー
| 指標 | 当期 | 前年同期 | YoY |
|---|---|---|---|
| 売上高 | ¥185.1億 | ¥181.2億 | +2.1% |
| 営業利益 | ¥7.3億 | ¥14.4億 | −49.6% |
| 経常利益 | ¥10.2億 | ¥16.9億 | −39.2% |
| 純利益 | ¥1.5億 | ¥11.6億 | −87.1% |
| ROE | 0.2% | 1.7% | - |
Executive Summary
2026年度第1四半期決算は、売上高185.1億円(前年同期比+3.9億円 +2.1%)、営業利益7.3億円(同-7.1億円 -49.6%)、経常利益10.2億円(同-6.7億円 -39.2%)、親会社株主に帰属する四半期純利益1.5億円(同-10.1億円 -87.1%)となった。増収大幅減益型の業績で、売上は微増を確保したものの収益性は著しく悪化した。
業績変動要因
【売上高】売上高は185.1億円で前年同期比+2.1%の微増となった。セグメント別では粉体関連事業が148.9億円(前年138.5億円から+7.5%)と主導し、プラスチック薄膜関連事業は36.4億円(前年42.9億円から-15.1%)へ減少した。粉体関連の成長が全体の増収を支えた一方、薄膜関連の縮小が増収幅を限定的とした。【損益】営業利益は7.3億円で前年同期比-49.6%と大幅減となり、営業利益率は3.9%へ低下した(前年8.0%から-4.1pt)。売上総利益は63.6億円を確保したが、販管費が56.4億円と高水準で推移し営業利益を圧迫した。経常利益は10.2億円(-39.2%)で、受取利息等の営業外収益約3.1億円の寄与により営業利益からは+2.9億円の押し上げがあった。一方、親会社株主に帰属する四半期純利益は1.5億円(-87.1%)へ急減した。これは特別損失4.9億円の計上と高い実効税率(約72%)が主因で、税引前四半期純利益5.4億円に対し法人税等が3.9億円負担されたことで最終利益が大幅に圧縮された。経常利益10.2億円と純利益1.5億円の乖離(85.3%減)は、特別損失と異常に高い税負担という一時的要因と税務上の構造問題の両方に起因する。結論として、売上微増も収益性の大幅悪化により増収大幅減益となった。
セグメント別分析
粉体関連事業は売上高148.9億円(前年比+7.5%)、営業利益15.1億円(前年14.2億円から+6.3%)で、全社売上の80.4%を占める主力事業である。プラスチック薄膜関連事業は売上高36.4億円(前年比-15.1%)、営業損失3.8億円(前年は営業利益3.8億円)へ転落した。両セグメント合計の営業利益は11.2億円で、全社配賦費用約4.0億円控除後の連結営業利益は7.3億円となる。主力の粉体関連は増収増益で堅調だが、薄膜関連の減収と赤字転落が全社収益性を大きく押し下げた。営業利益率は粉体関連10.1%に対し薄膜関連-10.5%と大きな格差が生じており、薄膜事業の構造改善が急務である。
主要財務指標
【収益性】ROE 0.2%(四半期ベース年換算約0.9%、前年同期約6.9%から大幅悪化)、営業利益率3.9%(前年8.0%から-4.1pt)。純利益率は0.8%で前年6.4%から著しく低下した。【キャッシュ品質】現金及び預金305.0億円、短期負債282.5億円に対するカバレッジは1.08倍。ただし四半期で現金は前年比-15.2億円減少し、運転資本の悪化が資金を圧迫している。【投資効率】総資産回転率0.177倍(年換算約0.71倍)。財務レバレッジは1.51倍と低位で保守的資本構成。【財務健全性】自己資本比率66.4%(前年65.4%から改善)、流動比率236.6%、負債資本倍率0.51倍。有利子負債は9.7億円と少額で、総資産1044.9億円に対し負債総額は351.2億円と低負債経営を維持している。
キャッシュフロー分析
キャッシュフロー計算書の開示はないが、貸借対照表推移から資金動向を分析する。現金及び預金は305.0億円で前年比-15.2億円減少した。四半期純利益1.5億円に対し現金減少が大きいのは、運転資本の悪化が主因である。売掛金は前年比+1.3億円増の185.2億円、棚卸資産は前年比+7.2億円増の207.3億円へ積み上がり、特に仕掛品は123.4億円と全在庫の59.5%を占める高水準で長期化している。一方、買掛金及び未払金は前年比-6.7億円減の91.7億円へ減少し、仕入債務の圧縮が支払サイト短縮を示唆する。これら運転資本の資金拘束が営業キャッシュの創出を阻害している。投資活動では有形固定資産が前年比+10.3億円増の288.9億円へ増加し、設備投資が実施されたことが読み取れる。財務活動では配当支払約8.8億円が現金を流出させた。短期負債に対する現金カバレッジは1.08倍で流動性は形式的に確保されているが、実効的な現金創出力は運転資本の長期化により著しく劣化している。
収益の質
経常利益10.2億円に対し営業利益7.3億円で、非営業純増は約2.9億円である。内訳は営業外収益3.1億円(受取利息・配当金等の金融収益が主)から営業外費用を控除した純額であり、営業外収益は売上高の1.7%を占める。経常段階までは比較的安定した収益構造だが、特別損失4.9億円の計上により税引前利益が5.4億円へ圧縮された。さらに法人税等3.9億円(実効税率約72%)という異例の高税負担が最終利益を1.5億円まで押し下げた。この高税率は繰延税金資産の調整や過去の税効果の巻き戻しなど一時的要因の可能性があるが、詳細は不明である。運転資本面では売掛金・棚卸資産の増加が現金化を遅延させており、四半期純利益1.5億円に対し現金及び預金が15.2億円減少している事実は、収益の質に重大な懸念を示す。営業利益創出力自体が弱体化しており、特別損失と高税負担という一時的要因を除いても、営業段階での収益性低下が継続的リスクとなる。
業績予想・ガイダンス
通期業績予想は売上高785.0億円(前年比+0.6%)、営業利益70.0億円(同-0.7%)、経常利益74.0億円(同-4.1%)、親会社株主に帰属する当期純利益52.0億円(同+4.0%)である。第1四半期実績の進捗率は売上23.6%、営業利益10.4%、経常利益13.8%、純利益2.9%となり、いずれも標準進捗25%を下回る。特に営業利益と純利益の進捗率が著しく低く、通期予想達成には残り3四半期で大幅な収益改善が必要となる。第1四半期の営業利益率3.9%に対し通期想定は8.9%と大きな乖離があり、下期偏重型の収益構造を前提とした予想と推察される。ただし現状の運転資本悪化や販管費高止まりが続けば、通期予想達成のハードルは高い。進捗率の大幅な遅れは、第1四半期における特殊要因(特別損失や税負担)に加え、営業段階での収益創出力の弱さを反映している。
株主還元
年間配当は1株当たり65円(中間配当は開示なし)を予想している。前年実績は60円であり、前年比+5円の増配予想である。第1四半期の親会社株主に帰属する四半期純利益1.5億円に対し、通期純利益予想52.0億円ベースでの配当性向は約19.7%となり、通期ベースでは妥当な水準である。ただし四半期ベースでは配当支払額約8.8億円に対し四半期利益1.5億円と大きな乖離があり、現金及び預金からの支払となっている。自社株買いの開示はない。配当性向は通期想定では健全だが、短期的には利益とキャッシュフローのミスマッチが配当持続性へのリスク要因となる。通期業績予想が達成されれば配当は維持可能だが、進捗遅延や運転資本問題の長期化により通期予想未達となる場合、配当政策見直しの可能性がある。
リスク要因
- 運転資本リスク:売掛金185.2億円と棚卸資産207.3億円の合計392.5億円に対し、買掛金91.7億円と運転資本の資金拘束が極めて大きい。特に仕掛品123.4億円(全在庫の59.5%)の長期化は製造リードタイムの長期化と現金化遅延を示し、営業キャッシュフロー創出を阻害している。DSO・DIOの改善が急務である。
- セグメント集中リスク:粉体関連事業が売上の80.4%、営業利益のほぼ全額を占める高依存構造で、当該市場の需給悪化や競争激化が業績へ直撃するリスクがある。プラスチック薄膜関連事業は営業損失3.8億円と赤字転落しており、構造改革が進まなければ全社収益を継続的に圧迫する。
- 収益品質と高税負担リスク:実効税率約72%という異例の高税負担は利益を大幅に毀損している。繰延税金資産の評価見直しや税務調整の一時的要因の可能性があるが、詳細不明のまま今後も高税負担が続けば純利益回復は困難となる。また営業利益率3.9%への低下と販管費56.4億円の高止まりは、固定費負担の重さと営業レバレッジの効かない構造を示している。
業種ベンチマーク(参考・当社調べ)
【業種内ポジション】(参考情報・当社調べ)機械業種における本決算の特徴として、営業利益率3.9%は業種一般の水準(概ね5-10%程度)を下回る低位にあり、収益性の相対的な弱さが確認できる。ROE 0.2%(四半期ベース)は極めて低く、資本効率面で業種内での立ち位置は厳しい。一方で自己資本比率66.4%は業種内では高位の水準であり、財務健全性は相対的に良好である。営業利益率の低さは一時的要因(特別損失・高税負担)を除いても、営業段階での収益創出力の弱体化を示唆しており、業種内比較でも改善余地が大きい。過去実績との比較では、営業利益率は前年8.0%から3.9%へ低下し、純利益率も前年6.4%から0.8%へ急落しており、自社過去水準からも著しく悪化している。売上成長率+2.1%は業種内では標準的だが、収益性の大幅劣化が際立つ。データの制約上、詳細な業種ベンチマークは限定的だが、本決算は収益性・資本効率面で業種標準を下回る一方、財務健全性では上位にあると評価できる。
決算上の注目ポイント
決算上の注目ポイントとして、第一に運転資本の極端な悪化が挙げられる。売掛金と棚卸資産の合計392.5億円に対し買掛金91.7億円と資金拘束が大きく、特に仕掛品123.4億円の長期化は製造プロセスの非効率性を示している。これは営業キャッシュフロー創出力を著しく阻害しており、現金及び預金305.0億円という潤沢な流動性があっても、四半期で15.2億円の現金減少を招いている。第二に、通期業績予想に対する第1四半期の進捗率が著しく低く(営業利益10.4%、純利益2.9%)、残り3四半期での大幅な収益改善が前提となっている点である。営業利益率が第1四半期3.9%から通期想定8.9%へ改善するには、販管費の圧縮か売上総利益率の向上が必須だが、現状の固定費構造と運転資本問題が続けば達成困難となる。第三に、配当政策の持続性は通期業績達成に強く依存しており、進捗遅延や通期予想未達の場合は配当見直しのリスクがある。ただし自己資本比率66.4%と財務基盤は堅固であり、短期的な流動性リスクは限定的である。決算データから読み取れる重要な傾向は、売上微増も収益性とキャッシュフロー創出力が同時に劣化している点であり、経営施策として運転資本管理の抜本改善と販管費効率化が喫緊の課題である。
本レポートはXBRL決算短信データをAIが分析して自動生成した決算解析資料です。特定銘柄への投資を推奨するものではありません。業種ベンチマークは公開決算データを基に当社が集計した参考情報です。投資判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談の上、行ってください。
AI財務分析
総括
2026年度Q1は、売上高が前年同期比2.1%増の185.06億円と増収を確保した一方、営業利益は同49.6%減の7.26億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同87.1%減の1.50億円となった。売上総利益は63.64億円で、粗利益率は34.4%と前年同期の34.1%から約28bp上昇した。これに対し、販管費は前年同期の47.41億円から56.38億円へ18.9%増加し、売上成長を大幅に上回った。販管費率は30.6%と前年同期の26.2%から約445bp上昇しており、営業レバレッジは逆方向に作用した。結果として営業利益率は3.9%と前年同期の8.0%から約403bp低下した。経常利益は10.25億円で、営業外の受取利息1.24億円、受取配当金0.62億円などが営業減益を一部補った。もっとも、特別損失4.86億円が計上されたことで、税引前利益は5.40億円まで低下した。実効税率は72.0%と高く、税引前利益から純利益への転換率である税負担係数は0.278にとどまった。純利益率は0.8%で前年同期の6.4%から約560bp悪化し、低収益性が際立つ。営業CFはマイナス9.11億円で、純利益1.50億円に対する営業CF/純利益はマイナス6.07倍となり、当四半期の利益はキャッシュに転換されていない。売掛金増加12.64億円、棚卸資産増加7.17億円、買掛金減少7.16億円、未払費用減少6.57億円が営業CFを圧迫した一方、契約負債の増加5.55億円が一部を相殺した。主力の粉体関連事業は増収増益を維持したが、プラスチック薄膜関連事業が赤字化したことが連結営業減益の直接的な要因である。通期会社予想に対するQ1営業利益進捗率は10.4%で、標準的な25%を14.6pt下回る。純利益進捗率も2.9%にとどまり、通期予想達成には特別損失の非反復化、プラスチック薄膜関連事業の採算改善、ならびに運転資本の回収が重要となる。なお、流動性、低レバレッジ、潤沢な現預金は短期的な収益・CF変動への耐性を支える。
収益性分析
年換算ROEは0.9%である。デュポン3因子では、純利益率0.8%×総資産回転率0.708回×財務レバレッジ1.51倍=ROE0.9%となる。最も大きく悪化した構成要素は純利益率であり、前年同期の6.4%から0.8%へ約560bp低下した。売上高は2.1%増加したものの、販管費が18.9%増加して営業利益率を約403bp押し下げ、さらに4.86億円の特別損失と72.0%の実効税率が純利益率を圧縮した。総資産回転率0.708回は、Q1累計売上高を年換算した指標であり、資産効率も高い水準とは言い難い。財務レバレッジは1.51倍と抑制的であり、ROEを負債拡大で押し上げる構造ではない。CFA 5因子ではEBITマージン3.9%が低く、収益力そのものがROE低迷の主因である。税負担係数0.278は実効税率72.0%に対応するが、これは金利負担によるものではなく、特別損失計上後の低い税引前利益に対して法人税等3.89億円が発生した影響が大きい。金利負担係数0.744も、支払利息0.06億円が原因ではなく、EBITから特別損失を控除した税引前利益5.40億円を分子に用いる当期特有の算定結果である。有利子負債は9.66億円、インタレストカバレッジは121.0倍であり、実際の資金調達コスト負担は限定的である。粉体関連事業のセグメント利益率は10.1%で前年同期の10.3%から概ね横ばいであり、同事業の採算は相対的に安定している。一方、プラスチック薄膜関連事業は前年同期の8.8%からマイナス10.6%へ急低下しており、全社利益率低下の中心である。販管費成長率が売上成長率を16.8pt上回っているため、全社費用の統制と赤字セグメントの固定費吸収改善が持続的な収益回復の前提となる。
成長性評価
売上高は185.06億円、前年同期比2.1%増であり、全体としては小幅な増収である。粉体関連事業は売上高148.68億円、同7.5%増、セグメント利益15.08億円、同6.1%増となった。同事業は連結ベースで最大の営業利益寄与を持つ主力事業であり、粉体処理・加工装置需要の安定性が連結売上を下支えした。プラスチック薄膜関連事業は売上高36.37億円、同15.1%減となり、セグメント損失は3.84億円となった。前年同期は売上高42.86億円、セグメント利益3.78億円であったため、同事業の採算悪化は連結営業利益を大きく毀損している。セグメント合計利益は11.24億円で前年同期の18.01億円から37.6%減少し、全社費用も3.98億円と前年同期比10.6%増加した。通期予想は売上高785.00億円、営業利益70.00億円、経常利益74.00億円、純利益52.00億円である。Q1の売上高進捗率は23.6%で標準的な25%に近い一方、営業利益進捗率10.4%、経常利益進捗率13.9%、純利益進捗率2.9%はいずれも標準進捗を大きく下回る。通期営業利益予想は前年比0.7%減、売上高予想は同0.6%増であり、会社計画自体も大幅な増益を前提としていない。しかしQ1実績から計画を達成するには、粉体関連事業の利益率維持に加え、プラスチック薄膜関連事業の赤字縮小、販管費増加の抑制、特別損失の再発回避が必要である。設備投資は9.23億円、減価償却費は6.38億円で、CapEx/減価償却は1.45倍となっており、生産能力の更新・拡張を継続している。
財務健全性
財務基盤は総資産1,044.87億円、純資産693.66億円、自己資本比率66.4%であり、資本充実度は高い。流動資産668.39億円は流動負債282.48億円を大きく上回り、流動比率および当座比率はともに236.6%である。したがって、流動比率1.0倍未満に起因する満期ミスマッチは認められず、短期支払能力は強固である。現金預金は304.98億円で、流動負債の約1.08倍に相当する。有利子負債は9.66億円、負債資本倍率は0.51倍、Debt/EBITDAは0.71倍、Debt/Capital比率は1.4%にとどまる。EBITDAインタレストカバレッジは227.33倍であり、金利上昇や一時的な利益変動に対する債務返済余力は高い。固定負債は68.72億円で、そのうち退職給付に係る負債33.11億円が主要な負債項目である。契約負債は108.63億円と流動負債の重要な構成要素であり、受注・前受に伴う将来の履行責任と運転資本への影響を継続的に確認する必要がある。のれんは1.12億円、純資産比0.2%、総資産比0.1%にとどまり、M&A価値への依存やのれん減損リスクは限定的である。JGAAP上ののれん償却は0.06億円でEBITDAの1%未満であり、IFRS企業との利益比較を大きく歪める水準ではない。
B/S変動のポイント
原材料: +8.70億円(前年同期比+20.6%)- 調達・生産投入前の在庫が増加。仕掛品増加と合わせ、運転資本および在庫滞留リスクを監視。仕掛品: +10.76億円(前年同期比+22.1%)- 仕掛品比率は41.0%となり警戒水準を上回る。案件進捗、検収時期、生産ボトルネックがキャッシュ回収を左右する。建物及び構築物: +23.61億円(前年同期比+7.9%)- 設備・拠点への投資拡大を反映。有形固定資産全体も+14.79億円増加しており、将来の稼働率と投下資本収益性が重要。契約負債: +9.96億円(前年同期比+10.1%)- 前受・受注に伴う履行義務が増加。営業キャッシュの一部を支える一方、将来の売上計上と原価発生に伴う採算管理が必要。製品保証引当金: +1.86億円(前年同期比+9.3%)- 残高10.08億円、売上高比5.4%。品質関連コストの高止まりが収益性の下振れ要因となり得る。
キャッシュフロー品質
営業CFはマイナス9.11億円で、前年同期のプラス15.54億円から大幅に悪化した。営業CF/純利益はマイナス6.07倍であり、0.8倍未満を警戒水準とする収益品質警告に該当する。現金転換率(営業CF/EBITDA)もマイナス0.67倍で、EBITDA13.64億円が当期には営業キャッシュへ転換されていない。主因は、売掛金・契約資産の増加12.64億円、棚卸資産の増加7.17億円、買掛金の減少7.16億円、未払費用の減少6.57億円である。契約負債は5.55億円増加してキャッシュ源となったが、上記の運転資本流出を補うには至らなかった。原材料45.08億円、仕掛品59.43億円、製品40.55億円で、仕掛品は棚卸資産の41.0%を占め、40%超の仕掛品過剰警告に該当する。年換算DSOは90日、年換算DIOは109日、年換算CCCは147日であり、それぞれ回収遅延、在庫滞留、資金回収長期化の警告水準にある。年換算DPOは約52日であり、仕入先への支払サイト自体は製造業の一般的な30~60日の範囲にある。従ってCCC長期化は、支払条件ではなく売掛金と在庫、とりわけ仕掛品の積み上がりに起因する。アクルーアル比率は1.0%と低位であるが、これは発生主義利益の安定性を直ちに意味するものではなく、当四半期は運転資本のキャッシュ流出が利益の現金化を妨げている。投資CFはマイナス10.31億円、設備投資は9.23億円であり、フリーキャッシュフローはマイナス19.42億円となった。品質コスト面では製品保証引当金10.08億円、売上高比5.4%であり、3%超の品質コスト警告に該当する。保証負担が高水準であることは、製品品質、アフターサービスコスト、採算の下振れリスクという観点から重要な監視項目である。
配当持続性
通期の1株当たり配当予想は130円であり、期中平均株式数14,646,008株を基準とする年間配当総額は約19.04億円と試算される。通期純利益予想52.00億円に対する配当性向は約36.6%であり、配当金のみでみた利益ベースの配当負担は60%未満に収まる。したがって、会社計画の純利益が達成される前提では、利益ベースの配当持続性は一定程度確保される。もっとも、Q1の営業CFはマイナス9.11億円、フリーキャッシュフローはマイナス19.42億円であり、当四半期のキャッシュ創出だけでは設備投資9.23億円と支払配当金8.80億円を賄えていない。現金預金304.98億円と低い有利子負債により短期的な支払い余力は十分であるが、配当持続性の評価では下期以降の営業CF回復が重要となる。特に売掛金・在庫の圧縮とプラスチック薄膜関連事業の収益改善が進まない場合、キャッシュ面での配当余力は利益ベースの見え方より弱くなる。
リスク評価
ビジネスリスクとして、高優先度(発生可能性:高、影響度:高):プラスチック薄膜関連事業は売上高が前年同期比15.1%減少し、3.84億円のセグメント損失となった。同事業の需要回復、稼働率、価格転嫁および固定費吸収の遅れは連結利益の回復を制約する。、高優先度(発生可能性:中、影響度:高):年換算DIO109日、仕掛品比率41.0%は、生産工程の滞留、案件長期化、需要予測乖離または在庫陳腐化のリスクを示す。個別受注型・設備製造業では仕掛品の長期化が利益認識時期とキャッシュ回収の双方を不安定化させ得る。、中優先度(発生可能性:中、影響度:中):製品保証引当金の売上高比5.4%は品質関連コストが高いことを示す。追加的な保証対応、設計変更、顧客対応の発生は採算を圧迫する可能性がある。、中優先度(発生可能性:中、影響度:中):製造業として、原材料・エネルギー価格、部材調達、為替変動、顧客の設備投資サイクルの変化が受注採算と需要に影響する。当期の為替差益は0.10億円と営業利益に対する直接的影響は限定的である。が挙げられます。
財務リスクとしては、高優先度(発生可能性:高、影響度:中):営業CF/純利益マイナス6.07倍およびOCF/EBITDAマイナス0.67倍は収益の現金化が低調であることを示す。売掛金増加12.64億円と在庫増加7.17億円が継続すれば、運転資本が資金を吸収する。、中優先度(発生可能性:中、影響度:中):実効税率72.0%、税負担係数0.278により、低い税引前利益がさらに純利益へ転換されにくい。特別損失を含む四半期固有の影響を踏まえる必要があるが、税務上の損金算入時期と利益水準の乖離は四半期利益の変動性を高める。、低優先度(発生可能性:低、影響度:中):流動比率236.6%、Debt/EBITDA0.71倍、Debt/Capital1.4%であり、現時点でレバレッジや借換えに起因する財務リスクは低い。が挙げられます。
主な懸念事項としては、品質アラートのEBITマージン3.9%は5%未満であり、販管費率の約445bp上昇と赤字セグメントの発生を背景に、収益性の回復速度が最大の確認事項である。、品質アラートのROIC3.6%は5%未満であり、設備投資を減価償却費の1.45倍まで増やす局面で、追加投下資本が資本コストを上回る収益を生むかを検証する必要がある。、品質アラートの金利負担係数0.74は警戒値を下回るが、支払利息は0.06億円にすぎず、当期は特別損失4.86億円がEBTを低下させた算定上の影響が中心である。従って信用リスクよりも一過性損失を含む利益変動リスクとして解釈する。、品質アラートのDSO90日、DIO109日、CCC147日は、受注から検収・回収までの長期化および在庫資金負担を示す。受注残・検収条件・在庫年齢構成と合わせた継続監視が必要である。が挙げられます。
投資示唆
重要ポイントとして、粉体関連事業は増収増益かつ10.1%のセグメント利益率を維持しており、連結収益の主たる支えである。、プラスチック薄膜関連事業の赤字転落、販管費の18.9%増、特別損失4.86億円により、連結営業利益率は3.9%、純利益率は0.8%へ低下した。、Q1営業利益進捗率は10.4%で標準進捗を14.6pt下回り、通期計画の達成確度は下期の利益率改善に依存する。、ネットキャッシュに近い低レバレッジと高い流動性は財務面の緩衝材であるが、営業CFの赤字とCCC147日は資本効率の改善余地を示す。、のれんは純資産比0.2%にとどまり、M&A由来の減損・償却リスクは利益変動の主因ではない。が挙げられます。
注視すべき指標は、プラスチック薄膜関連事業の売上高、セグメント損益、損益分岐点回復の進捗、連結販管費率および全社費用の売上高に対する比率、年換算DSO、DIO、CCC、特に仕掛品の残高と比率、営業CF/純利益、OCF/EBITDA、フリーキャッシュフロー、製品保証引当金の売上高比率および追加保証費用、特別損失の内容と再発性、実効税率の正常化です。
セクター内ポジションについては、財務安全性は自己資本比率66.4%、流動比率236.6%、Debt/EBITDA0.71倍と強い一方、収益性は営業利益率3.9%、年換算ROE0.9%、ROIC3.6%と低く、製造業の収益・資本効率面では改善局面の検証を要する位置にある。