| 指標 | 当期 | 前年同期 | YoY |
|---|---|---|---|
| 売上高 | ¥562.5億 | ¥963.6億 | -41.6% |
| 営業利益 | ¥66.7億 | ¥153.7億 | -56.6% |
| 経常利益 | ¥56.3億 | ¥134.0億 | -58.0% |
| 純利益 | ¥41.9億 | ¥48.4億 | -13.5% |
| ROE | 10.5% | 13.1% | - |
2026年3月期決算は、売上高562.5億円(前年比-401.0億円 -41.6%)、営業利益66.7億円(同-87.0億円 -56.6%)、経常利益56.3億円(同-77.7億円 -58.0%)、純利益41.9億円(同-6.5億円 -13.5%)となった。前年の米国大型半導体案件の反動で売上が大幅減となり、営業段階の利益も規模縮小により大きく減少。粗利率は22.6%と前年21.9%から+0.7pt改善したものの、営業利益率は11.9%と前年15.9%から-4.0pt低下、固定費吸収力の低下が顕著となった。経常利益から純利益への乖離は小さく、特別損益は軽微。営業CFは43.6億円と前年-202.0億円から黒字転換し、フリーCF32.1億円を確保して配当原資を概ね自力で賄った。
【売上高】売上高562.5億円は前年比-41.6%の大幅減収。地域別では米国が100.8億円(-80.8%)と前年の大型半導体案件(Samsung Austin向け524億円)の反動減が直撃し、全社売上の減少を主導した。一方、韓国は95.8億円(+131.5%)と倍増、SK Hynix向け案件の拡大が寄与。日本は290.9億円(+0.9%)と底堅く推移し、ラピスセミコンダクタ向けが主力となった。中国は77.0億円(-23.0%)、台湾は35.4億円(-17.6%)とそれぞれ減少。主力事業である水処理装置の設計・施工案件は半導体設備投資サイクルの谷間を反映し、大型プロジェクトの端境期に直面した。
【損益】売上原価435.4億円(売上比77.4%)で粗利益127.1億円、粗利率22.6%は前年21.9%から+0.7pt改善、案件ミックスの改善と価格維持が寄与した。販管費60.4億円(売上比10.7%)は前年57.4億円(同6.0%)から増加、売上減に対し固定費削減が追いつかず販管費率が悪化。営業利益66.7億円(営業利益率11.9%)は前年153.7億円(同15.9%)から-87.0億円減少、営業レバレッジの逆回転により利益率が-4.0pt低下した。営業外収益13.0億円のうち為替差益10.6億円が主因で、営業外費用23.4億円のうち支払利息23.2億円が大半を占める。経常利益56.3億円(経常利益率10.0%)は前年134.0億円(同13.9%)から減少、金利負担の重さが営業段階からの利益率低下を増幅した。特別損益は特別利益0.2億円(投資有価証券売却益)と特別損失0.0億円でほぼ中立。税引前利益56.5億円から法人税等18.3億円(実効税率32.4%)を控除し、純利益41.9億円(純利益率7.4%)となった。結論として増収減益の反対の減収減益。
日本は売上290.9億円(+0.9%)、営業利益30.8億円(-23.1%)、利益率10.6%。国内半導体メーカー向けが主力で、売上は底堅いが利益率は前年13.9%から低下、競争環境と案件採算の厳しさが反映された。米国は売上100.8億円(-80.8%)、営業利益23.6億円(-72.3%)、利益率23.4%。前年のSamsung Austin向け大型案件の反動が直撃したが、利益率は依然として全セグメント最高水準を維持、高付加価値案件の選別効果が寄与。韓国は売上95.8億円(+131.5%)、営業利益4.0億円(+25.7%)、利益率4.2%。SK Hynix向け案件が牽引し、売上は急拡大したが収益性はまだ低水準、立ち上がり期の費用負担が利益率を圧迫。中国は売上77.0億円(-23.0%)、営業利益0.9億円(-90.5%)、利益率1.2%。需要減速と競争激化で採算が大幅に悪化、ほぼ損益分岐点に近い水準。台湾は売上35.4億円(-17.6%)、営業利益7.5億円(-51.4%)、利益率21.3%。売上減に伴い利益も減少したが、利益率は米国に次ぐ高水準を維持、技術優位性のある案件が中心。
【収益性】営業利益率11.9%は前年15.9%から-4.0pt低下、規模縮小に伴う固定費吸収力の低下が主因。粗利率は22.6%と前年21.9%から+0.7pt改善し、案件ミックスと価格維持が下支え。ROE10.5%は前年31.4%から大幅低下、純利益率7.4%(前年10.6%)の悪化と総資産回転率0.51倍(前年0.83倍)の低下が要因。ROA(経常利益ベース)5.0%は前年14.3%から低下、売上減と経常利益率の縮小を反映。【キャッシュ品質】営業CF43.6億円は前年-202.0億円から黒字転換、売上債権減少66.9億円と契約負債増減-76.5億円の反転が寄与。営業CF/純利益1.04倍(純利益41.9億円ベース)で利益の現金化は概ね良好。OCF/EBITDA0.52倍(EBITDA83.6億円=営業利益66.7億円+減価償却16.9億円)と低水準、買掛金減少-23.3億円、法人税支払-22.6億円、支払利息-30.7億円の負担が重い。フリーCF32.1億円は配当総額30.3億円を上回り、自己資本配当をカバー。【投資効率】総資産回転率0.51倍(総資産1,102.9億円)は前年0.83倍から低下、契約資産773.6億円の高止まりと売上減少が影響。設備投資13.8億円は減価償却16.9億円を下回り、CapEx/減価償却0.82倍と抑制的。【財務健全性】自己資本比率36.1%(純資産398.5億円/総資産1,102.9億円)は前年31.7%から改善、総資産圧縮と利益剰余金の積み上げが寄与。流動比率146.6%(流動資産999.9億円/流動負債682.1億円)で短期流動性は表面上確保。有利子負債は短期借入金510.7億円が大半で、Debt/EBITDA6.1倍、インタレストカバレッジ2.9倍(営業利益66.7億円/支払利息23.2億円)と高レバレッジ、金利負担が重い。現金預金104.3億円に対し短期借入金510.7億円で現金/短期有利子負債0.20倍、リファイナンスリスクが顕在化している。
営業CFは43.6億円と前年-202.0億円から黒字転換した。小計(運転資本変動前)95.4億円から、売上債権減少+66.9億円、前渡金減少+11.1億円が現金流入に寄与した一方、契約負債減少-76.5億円、買掛金減少-23.3億円、棚卸増加-9.1億円が流出要因となった。利息・配当収入+1.5億円に対し支払利息-30.7億円、法人税支払-22.6億円がキャッシュを圧迫。投資CFは-11.5億円で設備投資-13.8億円が主体、定期預金の増減+2.9億円がオフセット。財務CFは-69.1億円で、短期借入の純減-36.1億円(増加21.7億円-減少57.8億円)、配当支払-30.3億円、リース債務返済-6.5億円が支出要因。フリーCF32.1億円は配当をカバーしたが、為替影響-29.1億円もあり、現金預金は-66.1億円減少の104.3億円で着地した。運転資本面では売上債権の回収が進んだ一方、契約負債の減少は案件進捗と検収タイミングのブレを示し、買掛金減少は支払条件の正常化を反映。キャッシュ転換効率の改善には、仕掛案件の早期検収と買掛・在庫の適正化が課題となる。
収益の中核は水処理装置の設計・施工・保守に基づく営業利益66.7億円で、経常的な事業活動から創出された。営業外収益13.0億円は売上比2.3%と軽微で、主因は為替差益10.6億円であり一時的要因の色彩が強い。営業外費用23.4億円の大半は支払利息23.2億円で、有利子負債510.7億円に対する金利負担は構造的。特別損益は特別利益0.2億円(投資有価証券売却益)と特別損失0.0億円でほぼ中立、一時的項目の純利益への影響は軽微。包括利益48.6億円は純利益41.9億円を+6.7億円上回り、その他包括利益+10.5億円の内訳は為替換算調整+9.0億円、有価証券評価差額+1.5億円で、海外資産の円安メリットが寄与した。営業CF43.6億円は純利益41.9億円の1.04倍で現金裏付けは概ね良好、アクルーアルは小さく会計上の利益の質に懸念は少ない。一方、営業利益66.7億円に対し純利益41.9億円は-37.2%の乖離で、支払利息23.2億円と実効税率32.4%が利益圧縮の主因となっており、金利負担の軽減が利益の質の改善に直結する。
2027年3月期通期予想は、売上高970.0億円(前年比+72.5%)、営業利益160.0億円(同+140.0%)、経常利益150.0億円(同+166.5%)、親会社純利益111.0億円、EPS289.90円を見込む。売上は前年の大型案件反動からの回復と、半導体設備投資サイクルの再加速を前提とする。進捗率は上期時点で売上562.5億円/970.0億円=58.0%、営業利益66.7億円/160.0億円=41.7%、経常利益56.3億円/150.0億円=37.5%で、上期に売上偏重・利益後倒しの傾向。通期計画達成には下期の受注積み上がり、米国大型案件の再開、韓国案件の収益性改善が必要条件となる。営業利益率16.5%(160億円/970億円)への回復は、粗利率維持と販管費率の正常化を前提とし、契約資産の回転加速と検収タイミングの正常化が成否を分ける。配当予想30円は前年81円から大幅減配で、レバレッジ抑制とキャッシュ確保を優先する保守的姿勢を示す。計画達成のリスクは、米国顧客の投資計画変更、韓国案件の立ち上がり遅延、為替の円高シフト、金利上昇による調達コスト増が挙げられる。
年間配当は81円(中間20円、期末61円)で、純利益41.9億円に対し配当総額30.3億円(配当性向72.3%)と高水準。前年配当20円(配当性向29.7%)から大幅増配となったが、これは前年が期中計画の未達で配当を抑制した反動と、当期の純利益減少幅が営業利益ほど大きくなかった結果。フリーCF32.1億円は配当30.3億円をわずかに上回り、自己資本配当を年次ベースでカバーした。自社株買いは-0.0億円で実施なし。2027年3月期の配当予想30円は当期81円から大幅減配で、配当性向は予想EPS289.90円に対し10.3%と保守的水準に引き下げ、レバレッジ圧縮と財務柔軟性確保を優先する方針を示す。株主資本配当率(DOE)は9.2%(配当総額30.3億円/株主資本367.2億円)と高めだが、来期は純資産積み上げにより低下する見込み。短期借入依存とキャッシュ転換効率の課題を踏まえ、配当の持続性は来期以降の業績回復と営業CF正常化に依存する。
短期借入依存によるリファイナンスリスク: 有利子負債510.7億円の全てが短期借入金で、現金預金104.3億円に対し現金/短期有利子負債0.20倍と流動性バッファは脆弱。Debt/EBITDA6.1倍、インタレストカバレッジ2.9倍と高レバレッジで、金利上昇や借換条件悪化が資金繰りと収益を直撃するリスクが顕著。長期化・コミットメントライン確保が急務。
大型案件依存とプロジェクト進捗の変動リスク: 契約資産773.6億円(総資産比70.2%)と仕掛品35.9億円の高止まりは、半導体大型案件の進行基準適用と工期長期化を示す。米国Samsung Austin案件の反動で売上-80.8%となった実績が示すとおり、主要顧客の投資計画変更や検収遅延が売上・利益・キャッシュに大きな波及効果をもたらす。案件分散と進捗管理の強化が課題。
営業レバレッジの逆回転と採算悪化リスク: 販管費60.4億円は売上減に対し固定費削減が追いつかず、販管費率10.7%(前年6.0%)と悪化。中国・韓国の利益率が1~4%台と低水準にとどまり、地域・案件ミックスの変化が全社利益率を圧迫。粗利率改善が継続する一方、固定費吸収力低下で営業利益率-4.0pt低下の構図が続くリスクがあり、受注回復と販管費適正化が必須。
収益性・リターン
| 指標 | 自社 | 中央値 (IQR) | Delta |
|---|---|---|---|
| 営業利益率 | 11.9% | 7.8% (4.6%–12.3%) | +4.1pt |
| 純利益率 | 7.4% | 5.2% (2.3%–8.2%) | +2.3pt |
営業利益率は業種中央値+4.1ptと上位に位置し、水処理技術の高付加価値性が反映されている。
成長性・資本効率
| 指標 | 自社 | 中央値 (IQR) | Delta |
|---|---|---|---|
| 売上高成長率(前年比) | -41.6% | 3.7% (-0.4%–9.3%) | -45.3pt |
売上高成長率は業種中央値を-45.3pt下回り、大型案件反動による一時的な落ち込みが顕著。
※出所: 当社集計
大型案件サイクルの谷間で売上-41.6%、営業利益-56.6%と大幅減益となったが、粗利率22.6%(+0.7pt改善)と営業利益率11.9%(業種中央値+4.1pt)は業界上位水準を維持し、技術優位性と価格決定力の底堅さを確認。米国・台湾セグメントの利益率23.4%/21.3%は高付加価値案件の選別効果を示し、韓国の急拡大(売上+131.5%)は地域分散の進展を示唆。2027年見通し(売上970億円、営業益160億円)は前年比+72.5%/+140.0%と強気だが、受注回復の可視化と契約資産の回転加速が達成の鍵となる。
短期借入510.7億円依存(有利子負債比率100%)、Debt/EBITDA6.1倍、現金/短期有利子負債0.20倍とレバレッジ・流動性リスクが顕在化しており、長期化とコミットメントライン確保が最優先課題。営業CF43.6億円は前年-202.0億円から黒転したが、OCF/EBITDA0.52倍とキャッシュ転換効率は低位で、買掛金・在庫管理と支払利息-30.7億円の削減が改善余地。配当は81円から30円へ減配、配当性向72.3%から10.3%へ保守化し、財務柔軟性確保を優先する方針転換を示す。株主還元の持続性は業績V字回復とキャッシュ創出力の正常化に依存する。
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